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電子顕微方法およびそれを用いた電子顕微鏡

国内特許コード P09S000319
整理番号 P2003-173-JP02
掲載日 2010年2月19日
出願番号 特願2006-513733
登録番号 特許第4852758号
出願日 平成17年5月20日(2005.5.20)
登録日 平成23年11月4日(2011.11.4)
国際出願番号 JP2005009228
国際公開番号 WO2005114693
国際出願日 平成17年5月20日(2005.5.20)
国際公開日 平成17年12月1日(2005.12.1)
優先権データ
  • 特願2004-150588 (2004.5.20) JP
発明者
  • 郷原 一寿
出願人
  • 国立大学法人北海道大学
発明の名称 電子顕微方法およびそれを用いた電子顕微鏡
発明の概要

位相回復法の原理にのっとって高分解能化を実現することができる電子顕微方法。本方法を用いた電子顕微鏡(10)は、位相回復法に特化した専用装置であり、ハードウエア(入射系(100)、試料系(200)、検出系(300)、計算機系(400))と、ソフトウエア(拘束条件、最適化手法)が一体化されている。サポート用スリット(210)の強度分布および位相分布は、位相回復法における実空間拘束条件として付与される。検出系(300)は、電気的にオンオフ可能な対物レンズ(310)とコース検出器(320)を含むコース系と、ファイン検出器(330)を含むファイン系とを有する。コースイメージは、対物レンズを電気的にオンして取得され、ファインイメージは、対物レンズを電気的にオフして回折パターンを取得した後、得られたコースイメージと回折パターンを用いた位相回復法によって再構成される。

従来技術、競合技術の概要


平面波を物体に入射し、物体からの回折像をもとに、実空間と逆空間でフーリエ変換を繰り返すことにより物体の実像を得る方法は、「フーリエ反復位相回復法」または単に「位相回復法」と呼ばれており(ここでは単に「位相回復法」という)、原理的には入射波の波長オーダーの空間分解能が得られることが知られている(非特許文献1)。



図1は、回折現象を模式的に示す図である。まず、ソース(入射波の源)1、試料3、検出器5を、図1に示すように配置する。この状態において、ソース1から出た波は試料3に入射して散乱され、検出器5によって記録される。このとき、検出器5に記録される情報は一般に回折波の強度であり、この情報から振幅は求められるが、回折波の位相は求められない。もし位相が求められれば、回折波のフーリエ変換によって物体の情報(像)が求められる。位相は、位相回復法によって、ある拘束条件を付加することで求められ、上記のように、原理的には入射波の波長オーダーの空間分解能が得られることが知られている。



したがって、位相回復法を電子顕微鏡に適用した場合、加速電圧によって決まる電子のド・ブロイ波長の空間分解能が期待される。



非特許文献2には、電界放出型透過電子顕微鏡(日本電子製:JE0L2010F)を用いてナノチューブの観察に成功し、装置が保証している空間分解能2.2オングストローム以下の1オングストロームを達成したことが報告されている。

【非特許文献1】R. W. Gerchberg and W. O. Saxton, "A practical algorighm for the determination of phase from image and diffraction plane pictures ", Optik (Stuttgart), vol. 35, pp. 237-246, 1972

【非特許文献2】J. M. Zuo et al., "Atomic Resolution Image of a Carbon Nanotubefrom Diffraction Intensities", SCIENCE, vol. 300, pp. 1419-1421, 2003

産業上の利用分野

本発明は、電子顕微方法およびそれを用いた電子顕微鏡に関し、特に、電子顕微鏡における高分解能化を実現する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】 電子線を試料に照射し、試料からの回折波の強度を計測し、計測した回折波の強度をもとに位相回復法を用いて物体の像を再構成する電子顕微方法であって、
空間分解能が比較的低いコースイメージを取得する工程と、
検出系の物理的な対物レンズを用いることなく、回折波の強度を計測して位相回復法によって空間分解能がより高いファインイメージを取得する工程と、
を有する電子顕微方法。
【請求項2】 前記コースイメージは、前記対物レンズを用いることなく取得される、
請求項1記載の電子顕微方法。
【請求項3】 前記コースイメージは、前記対物レンズを用いて取得される、
請求項1記載の電子顕微方法。
【請求項4】 前記対物レンズは、電気的にオンオフ可能な対物レンズであり、
前記コースイメージ取得工程は、
前記対物レンズを電気的にオンしてコースイメージを取得し、
前記ファインイメージ取得工程は、
前記対物レンズを電気的にオフしてコースイメージと同一領域からの回折パターンを取得する工程を有する、
請求項3記載の電子顕微方法。
【請求項5】 前記ファインイメージ取得工程は、さらに、
前記コースイメージ取得工程で取得したコースイメージおよび前記回折パターン取得工程で取得した回折パターンを用いて位相回復法によってファインイメージを再構成する工程を有する、
請求項4記載の電子顕微方法。
【請求項6】 前記ファインイメージ再構成工程は、
前記コースイメージを、位相回復法における初期画像として用いる、
請求項5記載の電子顕微方法。
【請求項7】 位相回復法における拘束条件として振幅に関するデータのみならず位相に関するデータをも用いる、請求項1記載の電子顕微方法。
【請求項8】 前記位相に関するデータは、電子線の照射方向に対して試料の手前に配置されるサポート用スリットの位相分布である、請求項7記載の電子顕微方法。
【請求項9】 電子顕微鏡を構成する入射系、試料系、検出系、および計算機系のうち、前三者の少なくとも1つから得られるデータを、位相回復法における実空間拘束条件として用いる、請求項7記載の電子顕微方法。
【請求項10】 前記検出系は、
空間分解能が比較的低い前記コースイメージを得るためのコース系と、
前記対物レンズを用いることなく、回折波の強度を計測して位相回復法によってより高い空間分解能を得るためのファイン系と、を有し、
前記コース系から得られるデータを、位相回復法における実空間拘束条件として用い、前記ファイン系から得られるデータを、位相回復法における逆空間拘束条件として用いる、
請求項9記載の電子顕微方法。
【請求項11】 前記検出系は、
前記対物レンズを用いることなく、回折波の強度を計測して位相回復法によって空間分解能が比較的高い前記ファインイメージを得るためのファイン系を有し、
STEMモードを用いて、前記ファイン系の検出器によって空間分解能が比較的低い前記コースイメージを得る、
請求項9記載の電子顕微方法。
【請求項12】 前記検出系は、
SEM画像を得るための2次電子検出器を有し、
STEMモードの場合、前記SEM画像によって得られる表面形状を、位相回復法における実空間拘束条件として用いる、
請求項9記載の電子顕微方法。
【請求項13】 電子線を試料に照射し、試料からの回折波の強度を計測し、計測した回折波の強度をもとに位相回復法を用いて物体の像を再構成する電子顕微鏡であって、
空間分解能が比較的低いコースイメージを取得する手段と、
検出系の物理的な対物レンズを用いることなく、回折波の強度を計測して位相回復法によって空間分解能がより高いファインイメージを取得する手段と、
を有する電子顕微鏡。
【請求項14】 前記コースイメージは、前記対物レンズを用いることなく取得される、
請求項13記載の電子顕微鏡。
【請求項15】 前記コースイメージは、前記対物レンズを用いて取得される、
請求項13記載の電子顕微鏡。
【請求項16】 前記対物レンズは、電気的にオンオフ可能な対物レンズであり、
前記コースイメージ取得手段は、
前記対物レンズを電気的にオンしてコースイメージを取得し、
前記ファインイメージ取得手段は、
前記対物レンズを電気的にオフしてコースイメージと同一領域からの回折パターンを取得する手段を有する、
請求項15記載の電子顕微鏡。
【請求項17】 前記ファインイメージ取得手段は、さらに、
前記コースイメージ取得手段によって取得されたコースイメージおよび前記回折パターン取得手段によって取得された回折パターンを用いて位相回復法によってファインイメージを再構成する手段を有する、
請求項16記載の電子顕微鏡。
【請求項18】 前記ファインイメージ再構成手段は、
前記コースイメージを、位相回復法における初期画像として用いる、
請求項17記載の電子顕微鏡。
【請求項19】 平行な電子線を試料に照射する入射系と、
試料を固定するとともに試料の環境を制御する試料系と、
試料からの回折波の強度を計測する検出系と、
前記検出系によって計測された回折波の強度をもとに位相回復法を用いて物体の像を再構成する計算機系と、を有し、
位相回復法における拘束条件として振幅に関するデータのみならず位相に関するデータをも用いる、請求項13記載の電子顕微鏡。
【請求項20】 前記位相に関するデータは、電子線の照射方向に対して試料の手前に配置されるサポート用スリットの位相分布である、請求項19記載の電子顕微鏡。
【請求項21】 前記入射系、前記試料系、および前記検出系の少なくとも1つから得られるデータを、位相回復法における実空間拘束条件として用いる、請求項19記載の電子顕微鏡。
【請求項22】 前記検出系は、
空間分解能が比較的低い前記コースイメージを得るためのコース系と、
前記対物レンズを用いることなく、回折波の強度を計測して位相回復法によってより高い空間分解能を得るためのファイン系と、を有し、
前記コース系から得られるデータを、位相回復法における実空間拘束条件として用い、前記ファイン系から得られるデータを、位相回復法における逆空間拘束条件として用いる、
請求項19記載の電子顕微鏡。
【請求項23】 前記ファイン系を構成する検出器は、球面状の2次元検出器である、請求項20記載の電子顕微鏡。
【請求項24】 前記球面状の2次元検出器は、それぞれ独立に処理可能な複数の部分から構成されている、請求項21記載の電子顕微鏡。
【請求項25】 前記ファイン系を構成する検出器は、中心に孔が形成されている、請求項20記載の電子顕微鏡。
【請求項26】 前記コース系から得られるイメージデータに基づいて、観測条件および/または観測場所が最適な状態に調節されるように、前記入射系、前記試料系、および前記検出系の少なくとも1つをフィードバック制御する、請求項20記載の電子顕微鏡。
【請求項27】 前記ファイン系から得られるイメージデータに基づいて、観測条件および/または観測場所が最適な状態に調節されるように、前記入射系、前記試料系、および前記検出系の少なくとも1つをフィードバック制御する、請求項20記載の電子顕微鏡。
【請求項28】 前記物理的な対物レンズは、電気的にオンオフ可能な対物レンズであり、前記対物レンズをオンオフすることによって、前記コース系と前記ファイン系とが切り替えられる、請求項20記載の電子顕微鏡。
【請求項29】 前記コース系を動作させた後、前記ファイン系を動作させる、請求項26記載の電子顕微鏡。
【請求項30】 前記検出系は、
前記対物レンズを用いることなく、回折波の強度を計測して位相回復法によって空間分解能が比較的高い前記ファインイメージを得るためのファイン系を有し、
STEMモードを用いて、前記ファイン系の検出器によって空間分解能が比較的低い前記コースイメージを得る、
請求項19記載の電子顕微鏡。
【請求項31】 前記検出系は、
SEM画像を得るための2次電子検出器を有し、
STEMモードの場合、前記SEM画像によって得られる表面形状を、位相回復法における実空間拘束条件として用いる、
請求項19記載の電子顕微鏡。
産業区分
  • 電子管
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
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