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血液細胞の力学的特性測定装置 新技術説明会

国内特許コード P09P007253
整理番号 IP577
掲載日 2010年2月19日
出願番号 特願2008-189719
公開番号 特開2010-025852
登録番号 特許第5137129号
出願日 平成20年7月23日(2008.7.23)
公開日 平成22年2月4日(2010.2.4)
登録日 平成24年11月22日(2012.11.22)
発明者
  • 安田 利貴
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 血液細胞の力学的特性測定装置 新技術説明会
発明の概要

【課題】試料中の血液細胞にせん断応力負荷を加えた状態で血液細胞の変形能を測定する際に、血液細胞に接触する部分をディスポーザブル化し、せん断応力負荷を与える流れ場が精度よく保持されるようにする。
【解決手段】固定平板(11)と可動平板(13)との間に間隙板(12)が介挿されて固定平板(11)と可動平板(13)との間隔を維持するとともに固定平板(11)と可動平板(13)との間で間隙板(12)により血液細胞を含む試料を載置する空間Sが形成されるようにし、可動平板上に鉄製薄片(14)を載置したものを交換可能でディスポーザブルなユニットとして構成する。血液細胞の力学的特性測定装置としては、せん断応力負荷機構部(10)において試料中の血液細胞にせん断負荷応力が加えられている状態で血液細胞の変形能を測定するための照射光源部(30)、受光部(40)、データ解析処理部(50)を備えている。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


日本人の循環器系疾患の数は増大しており、動脈硬化、塞栓症のような循環器系疾患は生活習慣、環境ストレスなどが起因すると考えられ、循環器系の機能には、血管特性の力学的特性のみならず、血液流動性が影響を与える。血液は血漿及び血球細胞(赤血球、白血球、血小板等)からなり、血液循環が循環器機能、ひいては生命維持に不可欠であるが、主成分である赤血球の役割、細胞もしくは組織のガス交換が特に大きい。



赤血球は変形能を有し、その大きさより小さい径の毛細血管を通過することができる。赤血球の変形能は一般的に浸透圧、血液内に溶解している脂質の影響、加齢による影響等が考えられるが、血液が正常な機能を果たす上ではこの変形能が重要になり、循環器系の疾患は赤血球の変形能、血液の流動性が損なわれることにも起因する。そのようなことから、血球細胞、特に赤血球の変形能を測定し、定量的に評価することが循環器系疾患の検査に有効であると考えられ、このような血球細胞の変形能の測定、評価について研究、開発がなされている。また、遺伝による血液疾患における血液循環特性などについても定量的な評価が行われている。



従来、赤血球の変形能評価技術として、細胞を含む試料がニッケルメッシュフィルタを通過するのに要する時間、流れ抵抗を測定することによるもの(特許文献1)、マイクロチャネルアレイに予め圧力を加えておき、試料のマイクロチャネルアレイの通過時間から流動性を測定することによるもの(特許文献2)、経皮的に血管内の血流に向けて超音波を入射させて散乱エコーを受信し、これから求められた血流速度分布に基づいて血液の粘性率分布を求めることによるもの(特許文献3)、試料流に含まれる赤血球を撮像して得られた画像に基づいて赤血球の形態を示す値を算出することによるもの(特許文献4)がある。



特許文献1、2では、赤血球を含む試料がフィルタ、マイクロチャネル等を通過する速度が直接的には求められるが、赤血球の変形能について定量的に評価する上で有効な指標を与えるものにはならない。また、特許文献3では、生体内での血流についての速度分布から粘性率分布が求められるが、赤血球の変形能について定量的に評価するにはやはり適合しないものである。特許文献4においては、撮像により得られた画像に基づいて赤血球の形態を示す値として、赤血球の平均容積、凝集率、奇形の指数等が求められるが、それらの指標は赤血球の形状、形態的なものであって、赤血球の変形能について定量的に示すものではない。



非特許文献1においては、二重円筒管の一方に回転運動を与え、間に充填されている血液細胞を含む試料にせん断応力を与え、外部からの観測により血液細胞の力学的特性を測定することについて記載されているが、二重円筒管の一方を相対的に精度よく回転させるためには、それに応じた駆動制御機構が高度の精度を要するものとなり、日常的に利用可能となるように簡易な構成で経費を少なくするには適合しないものである。



本発明者は、非特許文献1のように二重円筒管の形態でなく、1対の平行に間隔をおいて配置し平板の間に試料を収容し、一方の平板を平行に移動させて試料に周期的なせん断応力を加えた状態で血液細胞の状態を光学的に検出し、血液細胞の力学的特性を計測する方法、システムについて特許出願をしており(特許文献5)、この血液細胞の力学的特性を計測するためのシステムは図10に概略的に示すような構造形態を有している。



図10において、1は透明ガラスなどからなり稼動部7により駆動される第1平板、2は固定部6に第1平板に対し間隔をおいて固定された第2平板、3は第1の平板1と第2の平板2との間の空間内に収容された血液細胞を含む試料、4は光照射手段、5は受光手段である。第1平板1はアクチュエータにより稼動部7を介して固定された第2平板2に対して平行振動及び高さ制御がなされる。受光手段5が光照射手段4からの試料を透過した光を受光する場合、固定された平板2も透明ガラス等からなるものとする。



第1平板1を平行振動させた状態で収容された血液細胞を含む試料に対し光照射手段4により光を照射し、試料の透過光または反射光を受光手段5により受光して得られた信号についてデータ解析を行う。稼動部7を介して第1平板を平行振動させることにより、第1平板と第2平板との間にある試料にはせん断応力が作用し、血液細胞に力学的負荷が加わってこの力学的負荷に応じて赤血球が変形した状態になる。この状態での試料の透過光または反射光を受光し解析することにより、赤血球の粘弾特性、疲労破壊に達する時間等を求めることができ、さらに光源の波長の変更、試料内への蛍光剤の導入により血球膜細胞特性変化の膜構造レベルからの評価がなされる。



この血液細胞の力学的特性の計測、評価においては、平行な1対の平板の一方を可動にし平行に振動させ、間に収容された血液を含む試料にせん断応力を作用させた状態での試料からの透過光、反射光を受光して得られた信号の解析を行うことにより、血液細胞の力学特性を計測し、評価することができるのである。



このような一方を可動にした平行平板により試料にせん断力を与える際に、平行平板の間隙を一定にし、流れ場内のせん断速度分布を均一に保つことが変形能の測定における再現性を高める上で重要であり、また、日常的に検査を行う上で血液試料を載置する平行平板を含む部分をディスポーザブル化するのが好ましいが、特許文献5においてはそれらの点について考慮されてはいないものであった。

【特許文献1】特開2001-242166号公報

【特許文献2】特開2006-145345号公報

【特許文献3】特開2006-166974号公報

【特許文献4】特開平10-260181号公報

【特許文献5】特願2007-6090号

【非特許文献1】M. Bessis and N. Mohandas, 「A diffractometric method for the measurement of cellulardeformability」, Blood Cells 1(1975),p.303

産業上の利用分野


本発明は、血細胞の力学的特性測定装置に関し、特に血細胞の変形能を測定する際のせん断応力負荷機構部に改良を施した血細胞の力学的特性測定装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
血液細胞を含む試料に周期的なせん断応力負荷を加えるためのせん断応力負荷機構部と、前記せん断応力負荷機構部において周期的なせん断応力負荷を加えた状態の血液細胞を含む試料に光を照射するための照射光源部と、前記照射光源部により光を照射された血液細胞を含む試料からの透過光または反射光を受光する受光部と、前記受光部により受光された光信号データについて解析処理を行って血液細胞の力学的特性を求めるデータ解析処理部とを備えてなる血液細胞の力学的特性測定装置であって、
前記せん断応力負荷機構部は固定平板と、可動平板と、前記固定平板及び可動平板の間に介挿されて前記固定平板及び可動平板の間隔を維持するとともに前記固定平板及び可動平板の間において血液細胞を含む試料を載置するための空間を形成する間隙板と、前記可動平板を前記固定平板に対して平行方向に往復動させて前記固定平板及び可動平板の間において前記間隙板により形成された空間に載置された血液細胞を含む試料に周期的なせん断応力負荷を加えるためのアクチュエータと、前記可動平板が往復動する際に浮き上がるのを抑制するように前記可動平板に対し前記固定平板に向けて押圧するための押圧力付加手段を備えており、前記アクチュエータが弾性部材を介して前記可動平板を押圧しつつ往復動を伝えることにより試料に周期的なせん断応力負荷が加えられ、前記固定平板と可動平板との間隙が一定に保たれるとともに血液細胞を含む試料への周期的なせん断応力負荷による試料の平行な流れ場が維持され、前記固定平板及び可動平板の少なくとも一方が透明材料で形成されたものであることを特徴とする血液細胞の力学的特性測定装置。

【請求項2】
前記受光部が高速撮像装置であり、該高速撮像装置により撮像された血液細胞を含む試料についての画像を前記データ解析処理部において解析処理してせん断応力負荷に応じた血液細胞の変形状態を求めるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の血液細胞の力学的特性測定装置。

【請求項3】
前記受光部が血液細胞を含む試料からの透過光または反射光の強度を測光する測光手段を備えており、前記データ解析処理部においては前記測光手段により取得された血液細胞を含む試料の透過光または反射光の強度のデータに基づき予め設定された血液細胞についての粘弾性モデルによる慣性、粘性、弾性、抗力を含むパラメータを求めるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の血液細胞の力学的特性測定装置。

【請求項4】
前記可動平板に対する押圧力付加手段は前記固定平板の外側における磁石と前記可動平板の外側における鉄製薄片とが前記間隙板を介在する前記固定平板及び可動平板を挟むように配置されてなり、前記磁石及び鉄製薄片の吸引作用により前記可動平板を押圧するようにしたことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の血液細胞の力学的特性測定装置。

【請求項5】
血液細胞を含む試料と接触する前記可動平板、間隙板及び固定平板を含む部分を交換可能でディスポーザブルなユニットとして形成し、かつ試料中の血液細胞に随意な周期的なせん断応力が加えられるようにしたことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の血液細胞の力学的特性測定装置。
産業区分
  • 治療衛生
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2008189719thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
山口TLOは平成11年11月に山口大学の教官50名の出資により設立された、リエゾン一体型のTLO活動会社です。山口大学を主とし、山口県内の大学・高専の研究成果をご紹介致します。特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください。


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