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流路内の気泡発生の抑制方法

国内特許コード P09A015156
掲載日 2010年3月5日
出願番号 特願2005-277811
公開番号 特開2007-085998
登録番号 特許第4273252号
出願日 平成17年9月26日(2005.9.26)
公開日 平成19年4月5日(2007.4.5)
登録日 平成21年3月13日(2009.3.13)
発明者
  • 民谷 栄一
  • 日野 明寛
  • 古井 聡
  • 中山 剛
出願人
  • 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 流路内の気泡発生の抑制方法
発明の概要

【課題】流路内の送液中の気泡を抑制できる方法を提供する。
【解決手段】マイクロ流体デバイスにおいて、流路を飽和蒸気圧以上の圧力に保たれ、温度、圧力の変化により溶存気体の析出が起きない条件を満足する長さを持つサブ流路を反応領域の下流に連結するか、または当該設定温度条件化では飽和蒸気圧以上の圧力を保つことが出来、かつ当該条件下における温度、圧力の変化によって溶存気体の析出が起きない試料溶液と混ざらないか、あるいは混ざりにくい溶液を試料溶液の前に流し流路内の試料溶液圧力を高めるか、あるいは流れを生じさせている上流からの圧力に対して、これと逆方向の下流側から圧力を加え試料溶液内の圧力を高めるなどの管内の流れの式を基に、メイン流路の流出口周辺の最適な液体試料送液圧力の制御方法により気泡の発生を抑制する。
【選択図】図5

従来技術、競合技術の概要


近年、生化学分析を流体デバイスが集積化された数センチ角の基板上で行うμTAS(Micro Total Analysis System)の研究が行われている。本来、生化学分析は複数の機器を用いて一連の分析操作が行われるが、基板上に様々な分析機能をもつ流体デバイスを集積、連結することで、複数の分析操作の自動化が可能になる。ピペット等を用いて行っていた溶液調整を流体制御により基板上で行うことで、分析時間の飛躍的な迅速化が期待できる。また個人の技術差による分析結果の違いやコンタミネーションの問題も改善される。さらにナノあるいはピコリットルの流体制御により溶液調整を行うため、これまで人為的には不可能であった操作や条件検討が可能となる。これにより生物学的に大変興味深い実験結果を得ることが期待できる。



生化学分析は複数の生化学反応を用いて行われるが、一般的に常温で反応を行うものがほとんどである。しかし中には反応溶液の沸点付近で行われる反応も存在する。例として、生化学分析で必須のDNA増幅反応PCR(Polymerase chain reaction)は、95℃付近の高温領域で反応を行う。よってμTAS構築のためには、この様な温度条件下に対応した流体デバイスの開発が必要となる。しかし、このとき特に問題となるのが流路中に発生した気泡による送液の阻害である。これまでマイクロ流体デバイスを用いてPCRを行うContinuous flow PCRなどが報告されているが、これらは有効な気泡発生抑制方法もなく、また単にDNA増幅するだけの場合には特に問題とはならなかった(非特許文献1-5)。
しかし、増幅産物の定量測定であるRT-PCR、μTASに高温領域で反応が必要とするDNA増幅反応を導入するためには大きな問題となる。
また、特開2004-61320公報(特許文献1)では、試料液体とは非相溶性の駆動液体を用いて、微量の試料液体を送液する方法を開示している。しかし、該方法は、気泡の混入防止を目的とし、流路の流出口周辺での気泡の発生抑制を行うことができない。
加えて、流路内での高温反応では、はじめに高温領域に試料溶液を送液した場合、試料溶液の先頭部から気泡が発生し、液体試料送液が不安定になる問題点がある。

【非特許文献1】SCIENCE,VOL.280,15 MAY 1998

【非特許文献2】Lab on a Chip,2001,1,42-49

【非特許文献3】Sensors and Actuators B 82 (2002)75-81

【非特許文献4】Sensors and Actuators B 84 (2002)283-289

【非特許文献5】Anal.Chem.2003,75,288-295

【特許文献1】特開2004-61320

産業上の利用分野


本発明は、流路内の気泡の発生を抑制した液体試料の送液方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
マイクロ流体デバイスの液体試料送液方法において、該液体試料中の気泡の発生を抑制するために必要最低量の「試料溶液と混ざらないか、もしくは混ざりにくい、及び送液温度条件下では飽和蒸気圧以上の圧力を保つことができ、かつ当該条件下における温度及び/若しくは圧力の変化によって溶存気体の析出が起きない先送液体」を以下の1~4の工程で得られた数値を以下の数式(3)、(4)、(7)又は(8)に代入して算出し、該算出した必要最低量以上の先送液体を該液体試料より先にメイン流路内に送液することを特徴とする液体試料送液方法。
1.任意のメイン流路長を有するマイクロ流体デバイスを作製する。
2.任意の液体試料送液速度の液体試料を該メイン流路内に流す。ここで、メイン流路内で気泡が発生する場合には、気泡が発生しなくなるまで液体試料送液速度を上げる。また、ここで、メイン流路内で気泡が発生しない場合には、気泡が発生するまで液体試料送液速度を下げる。これにより、気泡が発生しない程度の液体試料送液速度を求める。
3.上記「2」の気泡が発生しない程度の液体試料送液速度及び上記「1」の任意のメイン流路長を下記式(3)又は式(4)に代入することにより、気泡が発生しない程度のメイン流路の流出口周辺の液体試料送液圧力値を求める。
4.上記「3」の気泡が発生しない程度のメイン流路の流出口周辺の液体試料送液圧力値及び上記「1」のメイン流路長を固定値として、特定の液体試料送液速度値を、下記式(7)又は式(8)に代入することにより、該特定の液体試料送液速度における気泡発生抑制に必要な先送液体の必要最低量を算出する。
【数式1】


【数式2】


(ここで、ΔP prevent:液体試料中の気泡発生を抑えるのに必要な圧力、L:メイン流路長、μ:液体試料粘度、dはメイン流路内の直径、dh:hydraulic diameter、λ:メイン流路の管摩擦係数、ρ:液体試料の密度、u:液体試料の平均流速を意味する。)
【数式3】


【数式4】


(ここで、Voil液体試料中の気泡発生を抑えるのに必要最低量の先送液体量、S:メイン流路の断面積、Loilメイン流路を流れる先送液体の長さ、ΔP prevent:液体試料の気泡発生を抑えるのに必要な圧力、μ:先送液体の粘度、dはメイン流路内の直径、dh:hydraulic diameter、λ:メイン流路の管摩擦係数、ρ:先送液体の密度、u:液体試料の平均流速を意味する。)

【請求項2】
前記液体試料はメイン流路内で異なる温度領域を通過させることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体デバイスの液体試料送液方法。

【請求項3】
前記液体試料はメイン流路内でポリメラーゼ連鎖反応を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロ流体デバイスの液体試料送液方法。

【請求項4】
前記メイン流路の流出口周辺の圧力を一定以上に保つために、該メイン流路の流出口下流に連結した流路を備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか1に記載のマイクロ流体デバイスの液体試料送液方法。

【請求項5】
請求項1~4のいずれか1に記載の液体試料送液方法を利用することを特徴とする化学反応方法。

【請求項6】
請求項1~4のいずれか1に記載の液体試料送液方法を使用することを特徴とする液体試料中のDNA増幅反応方法。
産業区分
  • 試験、検査
  • 処理操作
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2005277811thum.jpg
出願権利状態 権利存続中


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