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咀嚼・口内滞留特性が向上した食品の製造法

国内特許コード P09A015211
掲載日 2010年3月5日
出願番号 特願2007-126559
公開番号 特開2008-278811
登録番号 特許第4900952号
出願日 平成19年5月11日(2007.5.11)
公開日 平成20年11月20日(2008.11.20)
登録日 平成24年1月13日(2012.1.13)
発明者
  • 徳安 健
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 咀嚼・口内滞留特性が向上した食品の製造法
発明の概要 【課題】 本発明は、咀嚼・口内滞留特性が向上した食品を提供することを目的とするものである。
【解決手段】 本発明は、破砕された食品素材またはその加工残さ、あるいは成形された食品ゲルを、まだ成形していないゲル化剤、つまりゲランガム、ガラクトマンナン、グルコマンナン、キシログルカン、寒天、キサンタンガム、ゼラチン、アルギン酸のうち、少なくともいずれかの一つ以上の成分またはその塩より構成される物質とともに、その物質を含む溶液または分散液中で混合し、その後に後者の物質をゲル化し、さらに乾燥を行うという一連の工程を含む、食品の製造法、並びにこれにより製造された、咀嚼・口内滞留特性が向上した食品を提供するものである。
【選択図】 なし
従来技術、競合技術の概要


過食や偏食等による食生活の乱れにより、肥満等の生活習慣病患者が増加しており、メタボリック・シンドローム抑制のためにも、食生活を正しく制御するための手法開発は急務となっている。
しかしながら、現代社会における生活パターンを変えずに極端な食生活制限や管理のみを行う場合には、過度のストレスを伴い、リバウンドによる状況悪化に繋がることも少なくない。



このようななかで、無理の少ない形で食生活を制御・改善するための方法が求められている。特に、空腹感に駆られて過食に陥ったり、口寂しさからカロリー摂取量が多くなったり、短時間で食事をかき込んで食べたりする状況に対して、これらの問題を低減する技術開発が必要となる。
また、口内での食表現を高度化して食品に付加価値を付与する際には、口内での味覚刺激や物理的刺激に働きかけることが有効である。
これまでに、層状構造により途中で味の変わる飴や、食品ゲル粒子が包埋された菓子、重曹が弾ける菓子、小麦由来タンパク質によるガム状可食物など、多くの商品が開発されている。
また、口内における食品機能性に関しては、十分程度の咀嚼により歯の再石灰化を誘導する食品等が知られている。



しかしながら、このようなメリットを、咀嚼・口内滞留時間が長いノンカロリー食品あるいは低カロリー食品により提供する方法については、ガム以外には開発されていない。ガムは、歯への粘着性により差し歯をもつ者等には使いにくいことや、残存する食べカスを出す必要があることが問題となることから、可食性を示しつつ口内滞留時間が確保できるようなカロリー制御食品の開発が期待されている。そのためには、咀嚼・口内滞留特性を向上させることが重要である。



咀嚼・口内滞留特性の中で、咀嚼による食品の崩壊挙動は、口内滞留時間を決定する重要因子である。口内での崩壊を遅らせるためには、食品全体を固くして崩壊を遅らせることが重要であるが、弾力性に富む壊れにくい食品のみならず、微小粒子を含む食品または繊維質の残存感が高い食品は、違和感が持続する結果、嚥下までの時間が長くなることが期待される。
特に、口中で捕捉が困難な微粒子や適度に繊維感を残す不溶性食物繊維、固くゲル化した食物繊維などは、臼歯などですり潰されて質感が消えるまでに長時間を有すると考えられており、これを多く含む食事は、咀嚼・口内滞留特性が向上する結果、咀嚼・口内滞留時間の延長を通じて摂食活動を改善し、肥満者等に対する健康管理に適していると期待されている。
また、咀嚼により、脳機能の向上や唾液の分泌による口中衛生向上等の効果が期待されており、新たな機能性食品となることが期待される。



しかしながら、食物繊維を強化して質感を増すための食品は提供されているものの、咀嚼・口内滞留特性を改善する食品、特にカロリーが低い食品の製造法は開発されていない。
口内滞留特性を制御するための食品開発については、適度な咀嚼感を有するシート状の可食性成形物の開発(例えば、特許文献1参照)、健康の維持や増進又は回復に役立つ機能性咀嚼食品の開発(例えば、特許文献2参照)などが知られている。



しかしながら、これらの技術は、咀嚼時に繊維質や微小粒子を残して咀嚼継続を促すものではなく、ゲルや結合剤作用の崩壊に伴い、容易に咀嚼が完了してしまう。
特許文献1においては、チューインガムの様な咀嚼性を持たせる場合にも言及しているが、同発明の目的は、「口腔内において容易に溶解し、かつ適度の咀嚼感を有するシート状の可食性成成形物及びその製造法を提供する」ことであり、咀嚼時間の長期化は意図していない。また、同発明で賦形剤として用いた結晶セルロースは、賦形以外の役割を意図しておらず、繊維質としての口中残存性を期待するものとは考えられない。
特許文献2は、小麦グルテン、グリアジン分画物等を用いてグミ菓子よりも弾力性・集合性の高い咀嚼食品を提供する手法であり、繊維質の口中残存を期待するものではない。



一方、微粒子と咀嚼時間の関係については、神山らによりアーモンドの形状と咀嚼時間に関する研究の中で、細片化したアーモンドで咀嚼時間が長くなることが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
しかしながら、本研究は、高齢者・嚥下困難者等に対して噛みやすい食品を提供するための食品物性研究として行われたものである。肥満等の生活習慣病患者の増加を抑えるために微小粒子の食品素材を意図的に食品に添加し、健康的な食生活を助けるという考え方は存在しなかった。食品高分子ゲルの粒子を調製し、それを意図的に混入することにより、咀嚼時間を長くするという概念や方法、さらには、それをノンカロリー食品として製造するという考え方は、これまでに存在していない。



【特許文献1】
特開平10-179045号公報
【特許文献2】
特開2006-109751号公報
【非特許文献1】
食総研報、69, pp.13-17, 2005.

産業上の利用分野


本発明は、咀嚼・口内滞留特性が向上した食品の製造法に関し、詳しくは破砕された食品素材またはその加工残さ、あるいは成形された食品ゲルを含む、咀嚼・口内滞留特性が向上した食品を提供するための技術、特に、過剰なカロリー摂取や虫歯の進行を抑制しつつ、空腹時の食欲や口寂しさを低減するための食品、或いは口内での味覚刺激、物理的刺激等を高度化することや、食物繊維を供給することにより、新たな付加価値が付与された食品を提供するための技術に関する。
本食品は、食物繊維を効率的に供給すること、あるいは日々の食生活において咀嚼・口内滞留特性を向上することにより生じる、咀嚼・口内滞留時間の延長やその他の多様なメリットを表現することを可能とする、新食品としての役割を果たす。

特許請求の範囲 【請求項1】
予め帯状、柱状、板状、パイプ状、糸状または球状に加工成形されたアルギン酸カルシウムにより構成される食品ゲルを、;別に用意したゲランガム、ガラクトマンナン、グルコマンナン、キシログルカン、寒天、及びキサンタンガムのうちの1以上の成分により構成されるゲル化剤を含む溶液または分散液中で、以下(a1)及び(a2)に示す条件で混合し、;その後に当該ゲル化剤をゲル化し、さらに以下(b)に示す乾燥処理を乾燥物が得られるまで行うことを特徴とする、以下(c)に示す特性が向上した乾燥食品の製造法。
(a1) 前記ゲル化剤を、前記食品ゲルに対して0.16~25の間となる重量比(乾燥重量あたり)で混合する条件。
(a2) 前記食品ゲルの成形された形状が保持される条件。
(b) 加熱乾燥、減圧乾燥、または凍結乾燥。
(c) 食感を咀嚼中に長時間残存させ、嚥下までの時間を長くする特性。

【請求項2】
前記ゲル化剤が、寒天により構成されるゲル化剤である、請求項1に記載の食品の製造法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録


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