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稲わらの糖化法

国内特許コード P09A015256
掲載日 2010年3月5日
出願番号 特願2008-045766
公開番号 特開2009-183264
登録番号 特許第5322151号
出願日 平成20年2月27日(2008.2.27)
公開日 平成21年8月20日(2009.8.20)
登録日 平成25年7月26日(2013.7.26)
優先権データ
  • 特願2008-004393 (2008.1.11) JP
発明者
  • 徳安 健
  • 近藤 始彦
出願人
  • 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 稲わらの糖化法
発明の概要

【課題】 稲の植物体地上部を原料とした場合に、強酸・強アルカリを用いた化学的前処理を行わずに、化学薬品の使用に伴うコストや環境負荷の問題のない、容易な操作のみで効率が顕著に高い糖化法を提供することにある。
【解決手段】 茎葉部に乾燥重量あたり5%以上のでん粉を含有する稲の植物体地上部を回収し、粉砕した後に、アミログルコシダーゼおよびβ-グルカン分解酵素を含む酵素液を用いて糖化処理することを特徴とする糖化法を提供する。
【選択図】 なし

従来技術、競合技術の概要


バイオ燃料への世界的ニーズの高まりに対応して、糖質系バイオマス由来のバイオエタノール製造技術開発競争が世界的規模で繰り広げられている。特に、食料資源と競合しないリグノセルロース系バイオマスの利用技術開発が、欧米のみならず我が国においても最も重要なブレイクスルーとなりうると考えられている。
リグノセルロース系バイオマスの糖化技術開発は約200年の歴史を有しているが、現在、再び活発化している。特に、酸糖化を中心に展開した糖化技術に代わり、セルラーゼを中心とした酵素糖化技術が高い期待を集めている。しかしながら、一般的に、リグノセルロース系バイオマス中の多糖は複雑な構造をとる細胞壁中に埋め込まれており、糖化工程に先立つ前処理工程の開発が不可欠とされていた。



農産廃棄物を中心とした草本系バイオマス原料は、木質系原料と比較して、穏和な前処理工程により酵素糖化効率が上昇するものと期待されており、現在までに、希硫酸・水蒸気爆砕法、アンモニア処理法等の前処理技術開発が精力的に行われてきた。
しかしながら、これらの前処理工程においても、化学薬品の使用に伴うコストや環境負荷の問題などが指摘されており、より穏和で低コストな前処理技術の開発が望まれている。特に、稲わらを中心とするイネ科植物の茎葉を原料とした効率的糖化技術の開発については、我が国や米国、中国、韓国、ベトナム、タイなどにおいて農業政策とバイオマスエネルギー政策との両方に深く関与するものとして、高い期待を集めているところである。我が国でも、農産廃棄物資源として最も豊富な稲わらのバイオエタノール変換技術開発は喫緊の課題となっている。



稲わらをはじめとする単子葉植物系植物細胞壁の前処理技術としては、比較的穏和な処理法が検討されてきた。例えば、2005年まで行われた米国農務省プロジェクト「未来型農業・食品産業システムのための農業イニシアチブ(IFAFS)」では、成分分析データを添えたコーンストーバの均一試料を供給し、多数の機関がそれぞれ手持ちの要素技術(希酸、水蒸気、水酸化カルシウム、アンモニア、アンモニア爆砕等の前処理技術)によるエタノール変換技術について有用性を比較し、それぞれの技術の特徴を評価した(例えば、非特許文献1参照)。また、草本系原料に対する水蒸気爆砕法についても研究が行われている。
しかしながら、これらの方法は、全て、140℃を超える高温での反応、または高濃度の酸・アルカリを用いた反応のいずれかを軸とする前処理であり、反応槽の高度化に伴うコスト、酸・アルカリの回収または処理コストや環境負荷等の問題が解決されていない。
バイオマスの糖化は、可能な限り熱変化やpH変化が少なく、糖化産物の発酵を行う場合には、容易に発酵工程に受け渡すことができるような穏和な方法で行うことが望ましい。既に実用化されているコーンでん粉のドライミルによる糖化技術は、原料の粉砕、100℃前後の比較的低温での加熱および酵素糖化工程により構成されている(例えば、非特許文献2参照)。この技術では、反応装置に係る投資が抑制されるとともに、穏和な酵素反応により化学薬品の使用を抑える点などがメリットとなり、中小規模のバイオエタノールプラント用に急速に普及しているところである。
現在、稲を含むイネ化植物などの草本系バイオマスを原料とした、このような容易な糖化技術の開発が求められている。




【非特許文献1】Wyman, C. E.,et al., Bioresour. Technol. 2005, 96:1959-1966

【非特許文献2】山田富明、「バイオ液体燃料」株式会社エヌ・ティー・エス (2007)、pp.91-114

産業上の利用分野


本発明は、稲の植物体地上部を原料とした酵素を用いた糖化法に関するものである。
詳しくは、茎葉部に乾燥重量あたり5%以上のでん粉を含有する稲の植物体地上部を原料とし、且つ、アミログルコシダーゼおよびβ-グルカン分解酵素を含む酵素液を用いて糖化処理することによって、糖化の効率が顕著に高められた糖化法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
下記(A1)~(A3)に記載の条件を満たす稲の茎葉部を回収し、;前記回収後24時間以内に、40~130℃での加熱乾燥処理を行い、;粉砕した後に、;下記(B)に記載の酵素を含む酵素液を用いて糖化処理することを特徴とする糖化法。
(A1):乾燥重量あたり5%以上のでん粉を含有する稲の茎葉部。
(A2):出穂期にある稲の茎葉部。
(A3):地面から15cmまでの植物体地上部を含む稲の茎葉部。
(B):アミログルコシダーゼ、セロビオハイドロラーゼ活性を有するセルラーゼ、エンドグルカナーゼ活性を有するセルラーゼ、及びβ-グルコシダーゼ。

【請求項2】
前記加熱乾燥処理後の稲の茎葉部が、含水率5%以下になったものである、請求項1に記載の糖化法。

【請求項3】
前記(A1)に記載の条件が、乾燥重量あたり20%以上のでん粉を含有する稲の茎葉部である、請求項1又は2に記載の糖化法。

【請求項4】
前記酵素液が、さらにヘミセルロース分解酵素を含むものである、請求項1~3のいずれかに記載の糖化法。

【請求項5】
前記茎葉部に含有される総グルカン量50%以上を糖化してグルコースとして回収することを可能とする、請求項1~のいずれかに記載の糖化法。

【請求項6】
前記糖化処理の前において、および/または、前記糖化処理において、;前記茎葉部を粉砕したものを湿潤状態又は懸濁状態にして70~130℃の加熱処理を行うことを特徴とする、請求項1~のいずれかに記載の糖化法。
産業区分
  • 微生物工業
  • 処理操作
  • 廃棄物処理
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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25080_01SUM.gif
出願権利状態 権利存続中


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