TOP > 国内特許検索 > ホスホリパーゼD欠失性イネ系統

ホスホリパーゼD欠失性イネ系統

国内特許コード P09A015257
掲載日 2010年3月5日
出願番号 特願2008-045995
公開番号 特開2008-245638
登録番号 特許第5190928号
出願日 平成20年2月27日(2008.2.27)
公開日 平成20年10月16日(2008.10.16)
登録日 平成25年2月8日(2013.2.8)
優先権データ
  • 特願2007-053214 (2007.3.2) JP
発明者
  • 鈴木 保宏
出願人
  • 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 ホスホリパーゼD欠失性イネ系統
発明の概要

【課題】ホスホリパーゼDが欠失された新規のイネ系統、ならびにイネ植物においてPLD欠失性遺伝子の有無を判定する方法を提供すること。
【解決手段】ホスホリパーゼD欠失性である、イネ系統(受託番号FERM P-21231)、その後代またはその交雑株が作出される。そのイネ系統が有するホスホリパーゼD欠失性遺伝子が同定され、特定配列に示される塩基配列における2779番目の塩基のグアニンからアデニンへの変異、あるいはそれに相当する位置の塩基のナンセンス変異を検出することを含む方法により、ホスホリパーゼD欠失性遺伝子の有無が判定される。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


籾から籾殻を取り除いて調製された玄米、および玄米を精米して得られた米ヌカは、米を機能性や健康志向の視点からみた場合、風味成分や栄養成分が豊富に存在する重要な画分であるが、デンプン質やタンパク質よりも酸化しやすい脂質が多く含まれている。脂質が酸化されると、玄米および米ヌカの品質、風味などが低下する。



脂質の酸化分解は、ホスホリパーゼD(PLD)が、米ヌカ細胞にあるスフェロゾーム(細胞顆粒)膜のホスホジルコリンを加水分解してスフェロゾーム膜を崩壊させ、スフェロゾーム中に蓄積された中性脂質が細胞質へ漏出することにより生じ、中性脂質がリパーゼにより遊離脂肪酸(FFA)に分解される。このFFAは、米の品質、風味などを低下させる原因となる。特に、精白・搗精や粉食のための製粉工程においては、米ヌカ細胞が破壊されるために、脂質の酸化が進行する。そこで、玄米や米ヌカの脂質の酸化を抑える方法が求められていた。



例えば、脂質の酸化を抑えて米の貯蔵性を高める方法や米ヌカを安定化する方法がいくつか開発されており、(i)米を15℃程度の冷温で保存する方法(多くの貯蔵倉庫で実施されている)、(ii)高温・高圧の水蒸気でヌカを処理することにより脂質分解酵素を不活性化する方法(特許文献1)、(iii)PLD阻害剤の添加により(トウモロコシ等の)老化・劣化を防止する方法(特許文献2)、(iv)ヌカに水とタンパク質分解酵素を加えて脂質分解酵素を不活性化した後に加熱・脱水処理する方法(特許文献3)、(v)FFA量を測定し、高FFA量の場合に更に精白する方法(特許文献4)等を挙げることができる。



しかし、これらの方法や従来行われている方法で米、玄米または米ヌカの劣化を抑制するためには、以下のような施設または技術が必要である。例えば、米の劣化(古米化)を抑えるためには、冷却・保冷施設が必要であり、あるいはFFA量を測定し精白する等の処理を行う必要がある。また、穀粒の劣化を抑制するためにPLDの阻害剤を加えたり、ヌカの劣化を抑えるために加熱やタンパク質分解酵素で脂質分解酵素を不活化する必要がある。これらの処理を行うためには、設備、時間、費用が必要となる。
従って、脂質の酸化分解が抑制されたイネを作出することが望まれている。



例えば特許文献5には、細胞が産生するリン脂質の組成を変化させるため、アンチセンスベクターを用いてPLD遺伝子の発現を抑制したイネを作出したことが開示されている。このイネでは、公知のPLD遺伝子をターゲットとして、宿主細胞中のPLD遺伝子のmRNAと細胞内でハイブリダイズするmRNAをコードする遺伝子をベクターに組込んで導入することにより、PLD遺伝子の発現が直接抑制されている。




【特許文献1】特開平11-9207号公報

【特許文献2】米国特許第6514914号明細書

【特許文献3】特表平8-506720号公報

【特許文献4】特開平10-4875号公報

【特許文献5】再公表WO97/31106号公報

産業上の利用分野


本発明は、ホスホリパーゼD欠失性イネ系統に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
ホスホリパーゼD欠失性である、イネ系統(受託番号FERM P-21231)、その後代またはその交雑株。

【請求項2】
請求項1に記載のイネ系統とイネ野生型株を交配し、その種子を栽培して植物体にし、ホスホリパーゼD欠失について植物体をスクリーニングすることを含む、ホスホリパーゼD欠失性イネ系統の作出方法。

【請求項3】
請求項1に記載のイネ系統から得た細胞とイネ野生型株から得た細胞を細胞融合し、得られた融合細胞を培養して植物体に再生し、ホスホリパーゼD欠失について植物体をスクリーニングすることを含む、ホスホリパーゼD欠失性イネ系統の作出方法。

【請求項4】
ホスホリパーゼD欠失が、ホスホリパーゼD遺伝子のナンセンス変異によるものである、請求項2又は3に記載の方法。

【請求項5】
請求項1に記載のホスホリパーゼD欠失性である、イネ系統、その後代またはその交雑株の種子。

【請求項6】
請求項5に記載の種子由来の米粉。

【請求項7】
請求項5に記載の種子由来の米飯。

【請求項8】
調理米飯である、請求項7に記載の米飯。

【請求項9】
以下の(a)~(e)のいずれかである、ホスホリパーゼD欠失性遺伝子。
(a)配列番号4に示される塩基配列において2779番目の塩基のグアニンがアデニンに置換された塩基配列からなるDNAを含むホスホリパーゼD欠失性遺伝子
(b)配列番号4に示される塩基配列において2779番目の塩基のグアニンがアデニンに置換され、かつ該塩基配列において1もしくは数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列からなるDNAを含むホスホリパーゼD欠失性遺伝子
(c)配列番号4に示される塩基配列において2779番目の塩基のグアニンがアデニンに置換され、かつ該塩基配列に対して95%以上の同一性を有する塩基配列からなるDNAを含むホスホリパーゼD欠失性遺伝子
(d)配列番号4に示される塩基配列において2779番目の塩基のグアニンがアデニンに置換され、かつ該塩基配列と95%以上の同一性を有する塩基配列からなるDNAの相補鎖とハイブリダイズするDNAを含むホスホリパーゼD欠失性遺伝子
(e)配列番号22に示される塩基配列からなるDNAを含むホスホリパーゼD欠失性遺伝子

【請求項10】
請求項9に記載の遺伝子を含む組換えベクター。

【請求項11】
請求項9に記載の遺伝子を植物細胞に導入して相同組換えを行い、植物を育成することを含む、ホスホリパーゼD欠失性形質転換植物の作出方法。

【請求項12】
請求項10に記載の組換えベクターを用いてDNAが導入される、請求項11に記載の方法。

【請求項13】
植物がイネ科植物である、請求項11または12に記載の方法。

【請求項14】
イネ科植物において、配列番号4に示される塩基配列における2779番目の塩基のグアニンからアデニンへの変異、あるいはそれに相当する位置の塩基のナンセンス変異を検出することを含む、請求項9に記載のホスホリパーゼD欠失性遺伝子の有無を判定する方法。

【請求項15】
核酸試料について、CAPS法、ドットブロットSNP法、SSCP法、dCAPS法のいずれかの方法によって上記変異を検出する、請求項14に記載の方法。
産業区分
  • 微生物工業
  • 農林
  • 食品
  • 省エネルギー
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

25081_01SUM.gif
出願権利状態 権利存続中


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close