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植物由来高重合度フルクタン合成スクロース:フルクタン-6-フルクトシルトランスフェラーゼ遺伝子

国内特許コード P09A015259
掲載日 2010年3月5日
出願番号 特願2008-050760
公開番号 特開2009-207364
登録番号 特許第5257880号
出願日 平成20年2月29日(2008.2.29)
公開日 平成21年9月17日(2009.9.17)
登録日 平成25年5月2日(2013.5.2)
発明者
  • 田村 健一
  • 吉田 みどり
出願人
  • 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 植物由来高重合度フルクタン合成スクロース:フルクタン-6-フルクトシルトランスフェラーゼ遺伝子
発明の概要

【課題】高重合度レバン型フルクタンを合成するフルクトシルトランスフェラーゼ及びそれをコードする遺伝子の提供。
【解決手段】所定のDNAからなるスクロース:フルクタン-6-フルクトシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子及びそれによってコードされるタンパク質。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


フルクタンは、スクロースに1個以上のフルクトース残基が重合した可溶性多糖であり、イネ科のムギ類や牧草類、キク科のチコリやキクイモ、ユリ科のタマネギやアスパラガスのような植物の重要な貯蔵炭水化物である。フルクタンは近年、バイオマス利用のための炭水化物の新しい貯蔵形態として注目されている。



フルクタンは、貯蔵炭水化物としてのみならず、乾燥や低温に対する耐性を付与する物質として重要な機能を果たすと考えられている。さらに牧草においてはフルクタン含量とその飼料品質(嗜好性やサイレージ適性等)に相関が見られることも指摘されている。



植物が蓄積するフルクタンは、フルクトースの結合様式から主にイヌリン型、レバン型に分類される。イヌリン型フルクタンは、主にフルクトースのβ-2,1結合による重合体を骨格とするものである。スクロース:スクロース-1-フルクトシルトランスフェラーゼ(1-SST)とフルクタン:フルクタン-1-フルクトシルトランスフェラーゼ(1-FFT)の二種類の酵素の作用により直鎖型イヌリンがスクロースから生合成される。さらに、このイヌリン生合成にフルクタン:フルクタン-6G-β-D-フルクトシルトランスフェラーゼ(6G-FFT)が作用することによりイヌリンネオシリーズフルクタン(イヌリンを構成するグルコース残基の6位の炭素の水酸基にフルクトースまたはβ-2,1結合フルクトース鎖をもつもの)が生合成される。一方、レバン型フルクタンは、主にフルクトースのβ-2,6結合による重合体を骨格とするものである。レバン型フルクタンは、スクロースにβ-2,6結合したフルクトース鎖からなる直鎖型と、スクロースにβ-2,6結合したフルクトース鎖とβ-2,1結合したフルクトース又はフルクトース鎖からなる分岐型がある。植物のレバン型フルクタンはスクロース:フルクタン-6-フルクトシルトランスフェラーゼ(6-SFT)や1-SSTなどが作用して生合成される。さらにムギ類などに見られるβ-2,6結合とβ-2,1結合を併せ持つ複雑な分岐型フルクタンはグラミナンとよばれ、6-SFTと1-SST、1-FFTが作用して生合成される。またレバン型フルクタン生合成に6G-FFTが作用することにより、レバンネオシリーズフルクタン(スクロースを構成するグルコース残基の6位の炭素の水酸基にβ-2,6結合フルクトース鎖をもつもの)が生合成される。



スクロース:フルクタン-6-フルクトシルトランスフェラーゼ(6-SFT)は、レバン型フルクタン合成酵素とも呼ばれている。植物由来のレバン型フルクタン合成酵素遺伝子としては、コムギ由来6-SFT遺伝子(特許文献1)、オオムギ由来6-SFT遺伝子(非特許文献1)等が単離されている。一方、微生物由来のレバン型フルクタン合成酵素遺伝子は、レバンスクラーゼとも呼ばれ、バチルス属をはじめ数多くの種属から単離同定されている(特許文献2及び3、非特許文献2等)。さらにレバンネオシリーズやレバン型以外のイヌリン型、イヌリンネオシリーズのフルクタンの合成に関わるフルクトシルトランスフェラーゼ遺伝子も、各種生物から単離されている(非特許文献3、特許文献4及び5等)。



これらフルクトシルトランスフェラーゼ遺伝子を植物に導入した形質転換体の作製が行われており、これらの形質転換体では耐冷性・耐凍性の向上や可溶性炭水化物含量の増加が確認されている(特許文献6、非特許文献4等)。また微生物由来のレバンスクラーゼ遺伝子の導入によるフルクタン蓄積性の形質転換植物の作製も行われている(特許文献7及び8等)。



しかし、微生物由来レバンスクラーゼ遺伝子を導入した形質転換植物では、多くの場合奇形が見られる。その原因として、植物が通常蓄積しているフルクタンの重合度が数十~数百程度であるのに対し、微生物由来レバンスクラーゼによって合成されるフルクタンは重合度が数万にも及ぶため植物細胞が適合できないことが考えられている。また微生物由来レバンスクラーゼは、植物のフルクタン蓄積器官である液胞へ輸送するためのシグナルペプチドが付加された状態で生産されないため、フルクタンが液胞以外の場で非局在的に合成されてしまうことも原因となりうる(非特許文献5)。



一方、コムギやオオムギ等の植物由来の既知スクロース:フルクタン-6-フルクトシルトランスフェラーゼ(6-SFT)遺伝子を導入した形質転換植物では、奇形頻度は低いものの、十数程度の低い重合度のレバン型フルクタンしか合成できない(非特許文献5)。キク科植物においては、数十以上の重合度のイヌリン型フルクタンを合成する1-FFT遺伝子が単離されている(非特許文献6等)。しかしながら1-FFTはフルクタン間でフルクトシル基を転移する酵素であり、単独ではスクロースからフルクタンを合成できず、スクロースから3糖フルクタンを合成できる1-SSTの作用をさらに必要とするため、1-FFT遺伝子は植物に導入してフルクタンを合成させる上では不便な面がある。浸透圧を高めずに多量の炭水化物を形質転換植物内で蓄積させるには、ある程度高い重合度のフルクタンを合成させる必要があるが、高重合度のフルクタンをスクロースのみを基質として当該酵素単独で合成できるフルクトシルトランスフェラーゼをコードする植物由来遺伝子は、これまでのところ報告されていない。




【特許文献1】特開2000-350583号公報

【特許文献2】特表平08-500015号公報

【特許文献3】特開平08-047394号公報

【特許文献4】特開2003-274969号公報

【特許文献5】特開2004-222573号公報

【特許文献6】特開2007-00050号公報

【特許文献7】国際公開第89/12386号パンフレット

【特許文献8】特表平09-505467号公報

【非特許文献1】Sprenger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, (1995) Vol.92, p.11652-11656

【非特許文献2】Steinmetz et al., Mol. Gen. Genet., (1985) Vol.200, p.220-228

【非特許文献3】Lasseur et al., J. Exp. Bot., (2006) Vol. 57, p.2719-2734

【非特許文献4】Hisano et al., Plant Sci., (2004) Vol.167, p.861-868

【非特許文献5】Cairns, J. Exp. Bot., (2003) Vol.54, p.549-567

【非特許文献6】Van den Ende et al., J. Exp. Bot., (2006) Vol. 57, p.775-789

産業上の利用分野


本発明は、高重合度レバン型フルクタンを合成できるフルクトシルトランスフェラーゼ及びそれをコードする遺伝子に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
以下の(a)~(e)のいずれかのDNAからなる、スクロース:フルクタン-6-フルクトシルトランスフェラーゼ遺伝子。
(a) 配列番号1に示される塩基配列上の少なくとも68位~1939位を含む塩基配列からなるDNA
(b) 配列番号1に示される塩基配列上の少なくとも245位~1939位を含む塩基配列からなるDNA
(c) 配列番号2に示されるアミノ酸配列をコードするDNA
(d) 配列番号2に示されるアミノ酸配列上の少なくとも60位~623位を含むアミノ酸配列をコードするDNA
(e) 配列番号2に示されるアミノ酸配列上の少なくとも60位~623位を含むアミノ酸配列において1~5個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、スクロース:フルクタン-6-フルクトシルトランスフェラーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA

【請求項2】
1-ケストースに対するよりも6-ケストースに対してより高い基質特異性を有するスクロース:フルクタン-6-フルクトシルトランスフェラーゼをコードする、請求項1に記載の遺伝子。

【請求項3】
以下の(a)~(c)のいずれか1つであるスクロース:フルクタン-6-フルクトシルトランスフェラーゼタンパク質。
(a) 配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(b) 配列番号2に示されるアミノ酸配列上の少なくとも60位~623位を含むアミノ酸配列からなるタンパク質
(c) 配列番号2に示されるアミノ酸配列上の少なくとも60位~623位を含むアミノ酸配列において1~5個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、スクロース:フルクタン-6-フルクトシルトランスフェラーゼ活性を有するタンパク質

【請求項4】
1-ケストースに対するよりも6-ケストースに対してより高い基質特異性を有する、請求項3に記載のタンパク質。

【請求項5】
請求項1又は2に記載の遺伝子を含む組換えベクター。

【請求項6】
請求項1若しくは2に記載の遺伝子又は請求項5記載の組換えベクターが導入された形質転換体。

【請求項7】
形質転換植物である、請求項6に記載の形質転換体。

【請求項8】
請求項6に記載の形質転換体において前記遺伝子を発現させて、産生されたタンパク質を採取することを含む、スクロース:フルクタン-6-フルクトシルトランスフェラーゼタンパク質の製造方法。

【請求項9】
請求項3又は4に記載のタンパク質に基質としてスクロースを加えて反応させることを含む、フルクタンを製造する方法。

【請求項10】
基質としてさらにフルクタンを加える、請求項9に記載の方法。

【請求項11】
請求項1若しくは2に記載の遺伝子又は請求項5記載の組換えベクターを導入して植物を形質転換することを含む、植物におけるフルクタン含量を増加させる方法。
産業区分
  • 微生物工業
  • 農林
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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25083_01SUM.gif
出願権利状態 権利存続中


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