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遺伝情報によりブタ筋肉中脂肪蓄積能力を評価する方法

国内特許コード P09A015265
掲載日 2010年3月5日
出願番号 特願2008-062552
公開番号 特開2009-213435
登録番号 特許第4776037号
出願日 平成20年3月12日(2008.3.12)
公開日 平成21年9月24日(2009.9.24)
登録日 平成23年7月8日(2011.7.8)
発明者
  • 三橋 忠由
出願人
  • 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 遺伝情報によりブタ筋肉中脂肪蓄積能力を評価する方法
発明の概要

【課題】ブタの筋肉中脂肪蓄積能力を評価する方法の提供を課題とする。
【解決手段】ブタTubby遺伝子について、ブタ個体間の塩基配列の異なりと筋肉中脂肪含量の関係を解析した結果、Tubby遺伝子のエクソン部分の多型と筋肉中脂肪量が統計的に有意な関係にあることを見いだした。ブタTubby遺伝子の第5エクソンの55番目の多型の塩基種を決定することにより、ブタの筋肉中脂肪蓄積能力を評価することが可能である。
【選択図】図5

従来技術、競合技術の概要


これまでの育種・選抜では、種豚候補の兄弟豚、親豚あるいは子孫の豚をと殺し、それらの筋肉中脂肪量を目視あるいは化学分析により評価し、生存している種豚候補の筋肉中脂肪量を予測して、種豚として残すかどうかを決めていた。



養豚農家では、三元交雑種(三元交雑豚あるいは三元交雑とも呼ぶ)(LWD)を肥育豚としている場合が多い。三元交雑種とは、ランドレース種(L:Landrace)の雌に大ヨークシャー種(W:Large White)の雄を掛けて得られた交雑種(LW)の雌にデュロック種(D:Duroc)の雄を交配して得られる個体のことであり、これが肥育豚として飼養されている。LやWは最終的な肥育豚LWD個体が強健で成長が良く、肥育豚の母親となるLW雌が多産となることを重視して選抜されている。一方DはLWD個体の肉質を良くする目的でLW雌と交配される。食肉が美味であるかどうかはその脂肪含量による。例えば牛肉でも高脂肪の霜降り肉は美味とされる。また、豚肉においても時折見られる霜降り肉は美味とされる。Dの筋肉中脂肪量はLやWのそれより高くそれ故食味に優れているとされ、養豚農家は、肥育用コマーシャル豚であるLWDの筋肉中の脂肪量が高くなることを期待してLW雌にD雄を交配している。



種豚農場は、特別な系統のDを「筋肉中高脂肪系統用の種豚」として販売しているが、と殺により筋肉中脂肪量が高いことが判明したD個体は既に生存していないので、その兄弟等遺伝的に近く生きているDを「筋肉中高脂肪系統用の雄種豚」として販売することになる。養豚農家はこれを導入し交配に用いていた。しかし、そのDの産子LWDは筋肉中に高い脂肪を持たない、という場合も多々あった。筋肉中高脂肪持つ個体に遺伝的に近い個体が必ずしも筋肉中高脂肪持つとは限らない。遺伝的に比較的近縁であるというだけの情報によって作出され販売された種豚を導入した生産農家は期待する生産物を得られない場合も多い。



また、筋肉脂肪の形質は、雌側からも遺伝する形質であり、コマーシャル豚の雌親であるLW及びLWの親であるL及びWが筋肉中高脂肪形質を遺伝的に保有しているかが重要となるが、生きている個体から直接に筋肉中高脂肪形質の遺伝的能力を評価する手法は無かった。



豚の系統に由来する種豚系統造成には試験と殺が必要であり、多くの時間、飼料費、家畜管理費が必要である。また、他の系統から好ましい遺伝的形質を保有する個体を既存系統に導入する場合にも、他系統の遺伝的形質を評価情報が必要であるが、その評価には多大の費用を要した。



上記の問題を解決するため「遺伝情報による選抜」の技術化が急がれていた。筋肉中の脂肪量や成長速度など家畜生産にとって重要形質は複数遺伝子の支配を受けている。これら複数の遺伝子が座位する染色体上部分はQTL(Quantitative Trait Loci:量的形質を支配する遺伝子座)と呼ばれ、豚の筋肉中脂肪量QTLの1つは9番染色体p腕テロメア部分(先端部)に存在することが発明者を含む研究グループにより示されていた(非特許文献1)。このようにして筋肉中脂肪量支配遺伝子が存在するであろう領域は染色体の長さの1/10程度の範囲に定められたのだが、遺伝子は特定されていなかった。



高等動物の染色体は長いものでは約1億塩基対のDNAを含む。染色体の1/10の距離に筋肉中脂肪量を支配する遺伝子座が特定できたとして、それを塩基の数にすると500万~1千万塩基程度あり、そこには少なくとも数十以上の遺伝子が存在する。そのため、その中に存在するであろう筋肉中脂肪量関連遺伝子あるいは家畜選抜のための遺伝マーカーは明らかにされていなかった。すなわち「遺伝情報によりブタ筋肉中脂肪蓄積能力を評価する」には至っていなかった。




【非特許文献1】Sato,et.al. Quantitative trait loci analysis for growth and carcass traits in a Meishan Duroc F2 resource population. J. Anim Sci 2003.81:2398-2949

産業上の利用分野


本発明は、ブタTubby遺伝子第5エクソンに存在する多型を利用したブタ筋肉中脂肪蓄積能力の評価方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
ブタTubby遺伝子のエクソン上の多型部位であって、配列番号:1に記載の塩基配列の55番目の塩基に相当する多型部位の遺伝子型を決定することを特徴とする、ブタの筋肉中脂肪蓄積能力を評価する方法。

【請求項2】
前記遺伝子型が、A/Aである場合に被検ブタの筋肉中脂肪蓄積能力が高脂肪型であるものと判定し、G/Gである場合に筋肉中脂肪蓄積能力が低脂肪型であるものと判定する、請求項1に記載の方法。

【請求項3】
ブタTubby遺伝子によってコードされるタンパク質上の部位であって、配列番号:2に記載のアミノ酸配列の19番目のアミノ酸に相当する部位のアミノ酸種を決定することを特徴とする、ブタの筋肉中脂肪蓄積能力を評価する方法。

【請求項4】
前記アミノ酸種が、メチオニンである場合に被検ブタの筋肉中脂肪蓄積能力が高脂肪型であるものと判定し、バリンである場合に筋肉中脂肪蓄積能力が低脂肪型であるものと判定する、請求項3に記載の方法。

【請求項5】
下記(a)に記載のポリヌクレオチド、または下記(b)に記載のプライマーを含んでなる、ブタの筋肉中脂肪蓄積能力の評価用試薬。
(a) 配列番号:1に記載の塩基配列の少なくとも20~100の連続塩基からなるポリヌクレオチドであって、該配列番号:1の55番目の塩基に相当する多型部位を含みかつ、該多型部位における塩基種がAまたはGであるポリヌクレオチド、またはその相補鎖
(b) ブタTubby遺伝子上の配列番号:1に記載の塩基配列の55番目の塩基に相当する多型部位を含むDNAを増幅するためのプライマーであって、配列番号:3に記載の塩基配列もしくはその相補鎖と65℃、5×SSC及び0.1%SDSのストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつ、17~30ヌクレオチド長のDNA配列からなるプライマー

【請求項6】
配列番号:3に記載の塩基配列の一部の配列からなる20~500 bpのDNAであって、配列番号:1に記載の塩基配列の55番目の塩基に相当する多型部位を含みかつ、該多型部位における塩基種がであるDNAからなる遺伝マーカー。
産業区分
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2008062552thum.jpg
出願権利状態 権利存続中


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