TOP > 国内特許検索 > 植物の内胚乳に特異的に発現する遺伝子および該遺伝子のプロモーター、並びにそれらの利用

植物の内胚乳に特異的に発現する遺伝子および該遺伝子のプロモーター、並びにそれらの利用

国内特許コード P09A015274
掲載日 2010年3月5日
出願番号 特願2008-104132
公開番号 特開2009-254239
登録番号 特許第5158639号
出願日 平成20年4月11日(2008.4.11)
公開日 平成21年11月5日(2009.11.5)
登録日 平成24年12月21日(2012.12.21)
発明者
  • 高岩 文雄
  • 川勝 泰二
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 植物の内胚乳に特異的に発現する遺伝子および該遺伝子のプロモーター、並びにそれらの利用
発明の概要 【課題】植物の内胚乳特異的に発現する遺伝子および該遺伝子のプロモーター、並びにそれらの利用を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明者らは、種子特異的に発現する新規のイネグルテリン遺伝子GluD-1を同定した。GluD-1遺伝子のプロモーターは、種子特異的遺伝子発現を誘導し、種子成熟過程初期において内胚乳特異的に下流の遺伝子の発現を誘導することを確認した。即ちGluD-1プロモーターは内胚乳を含む部位に対して外来遺伝子の強発現を誘導することができる。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


イネ種子の胚乳組織には、発芽後から葉をつくり光合成を行うようになるまでのエネルギー源として、タンパク質、デンプン、および脂質が大量に蓄積される。これらの蓄積物は極めて安定であり、常温で保存しても数年間は発芽する。遺伝子発現制御機構の知見の蓄積や遺伝子組換え技術の進歩により、近年、植物の種子に有用な物質を蓄積させる試みが多く行われてきている(非特許文献1~3参照)。



遺伝子組換え技術を利用して、有用な物質を生産することは、微生物や動物を用いても可能だが、植物を用いることには、多くのメリットが存在する(非特許文献1および2参照)。例えば、植物は、太陽光や大気中の二酸化炭素を利用してエネルギーを作り出すため、化石燃料を消費せず、大気も汚染せず、地球上の資源や環境に優しい。またイネに代表される植物は、プリオンや動物特有のウイルス、微生物の毒素といった人間にとって有害な物質などをそもそも含まないため安全性が高い。コスト面でも、植物を用いる場合は微生物や動物を用いる場合と比較して10分の1~50分の1で済むとの試算もあり、非常に優れている。



このようなメリットから、近年では遺伝子組換え技術を利用して、健康機能性を持つ有用物質を含む、第二世代の遺伝子組換え作物の開発が進められている。代表的な例として、スギ花粉抗原の認識部位の一部(エピトープ)をイネ胚乳中で発現させたスギ花粉症緩和米(非特許文献4および5参照)、トウモロコシ、バクテリア由来の酵素をイネ胚乳中で発現させることによりβ-カロテンを高蓄積させたゴールデンライス(非特許文献6および7参照)が知られている。



以上のように、植物にはバイオリアクターとしてのポテンシャルが認められることから、抗体やワクチンなどの医療品の原材料を蓄積するような、第三世代遺伝子組換え作物の開発が期待されている。有用物質をより安価に、また大量に生産することが、第三世代遺伝子組換え作物の実用化を進める上で極めて重要である。



外来遺伝子産物量を決定する因子は複数存在するが、最も重要な因子は、発現プロモーターである。なぜならば、発現プロモーターによって、外来遺伝子の発現時期、部位、および/または量が制御されるからである。イネを宿主とする場合、外来遺伝子産物は葉や茎などの同化組織よりも、胚乳中に多く蓄積することが知られている(非特許文献8参照)。また、葉や茎などで外来遺伝子が発現することにより、生育に悪影響を及ぼす場合もあることが分かっている。これらのことから、胚乳中で特異的に外来遺伝子を強発現させるプロモーターは有用であると考えられ、複数の胚乳特異的発現を誘導するプロモーターが単離・利用されてきた。



例えば、これまでイネ種子特異的発現誘導プロモーターとしてGluA-2プロモーターや、GluB-1プロモーターが多く使われてきた(非特許文献4および6参照)。しかし、これらのプロモーターは主にアリューロン層、サブアリューロン層と呼ばれる、胚乳最外層における、狭い領域での発現を誘導するものであった(非特許文献9参照)。



一方、その内側である内胚乳で発現を誘導するプロモーターとして、Glb-1プロモーター、20 kDaグロブリンや16 kDaアレルゲンプロモーターが知られているが、これらは種子内以外にも発現を誘導し、種子形成時期以外の栄養成長期などにも発現を誘導することから、成長阻害を引き起こすような外来遺伝子の誘導に用いることはできなかった。さらにはプロモーター活性が弱いといった問題もあり、その利用は限られていた(非特許文献10および11参照)。



なお、本発明に関する先行技術文献を以下に示す。



【特許文献1】
特開2004-321079
【特許文献2】
特開2002-209462
【特許文献3】
特開2002-058492
【特許文献4】
特表2006-521107
【特許文献5】
特表2006-512067
【特許文献6】
特表2004-528022
【特許文献7】
特表2003-503033
【特許文献8】
特表2002-539824
【特許文献9】
特表2001-518305
【特許文献10】
特表平10-513364
【特許文献11】
再表2004/056993
【特許文献12】
特許3149951
【特許文献13】
特許3030339
【特許文献14】
再表01/064865
【特許文献15】
特表平11-510056
【特許文献16】
再表96/030509
【特許文献17】
特表平06-506584
【特許文献18】
特開2002-291484
【特許文献19】
特開2002-253262
【特許文献20】
特表2004-500885
【特許文献21】
特表2004-508803
【特許文献22】
特表2003-523172
【特許文献23】
再表00/058454
【特許文献24】
特表2002-521072
【特許文献25】
特表2002-504336
【特許文献26】
特表2001-512318
【特許文献27】
特開2005-168500
【特許文献28】
特開2005-027654
【特許文献29】
特開2004-105030
【特許文献30】
特開2001-292777
【特許文献31】
特開2001-169790
【特許文献32】
特表2003-510040
【特許文献33】
特開2000-041688
【特許文献34】
特表2002-509696
【特許文献35】
特表2001-517434
【特許文献36】
特表2001-519659
【特許文献37】
特開平10-248570
【特許文献38】
特表2001-512322
【特許文献39】
特表2000-507108
【特許文献40】
特表平10-504969
【非特許文献1】
Daniell, H.ら著,「Medical molecular farming: production of antibodies, biopharmaceuticals and edible vaccines in plants.」, Trends Plant Sci, (2001), Vol.6, p.219-226.
【非特許文献2】
Fischer, R.ら著,「Plant-based production of biopharmaceuticals.」, Curr Opin Plant Biol, (2004), Vol.7, p.152-158.
【非特許文献3】
Hartmann, R.および Meisel, H.著,「Food-derived peptides with biological activity: from research to food applications.」, Curr Opin Biotechnol, (2007), Vol.18, p.163-169.
【非特許文献4】
Takagi, H.ら著,「A rice-based edible vaccine expressing multiple T cell epitopes induces oral tolerance for inhibition of Th2-mediated IgE responses.」, Proc Natl Acad Sci U S A, (2005a), Vol.102, p.17525-17530.
【非特許文献5】
Takagi, H.ら著,「Oral immunotherapy against a pollen allergy using a seed-based peptide vaccine.」, Plant Biotechnol J, (2005b), Vol.3, p.521-533.
【非特許文献6】
Paine, J.ら著,「Improving the nutritional value of Golden Rice through increased pro-vitamin A content.」, Nat Biotechnol, (2005), Vol.23, p.482-487.
【非特許文献7】
Ye, X.ら著,「Engineering the provitamin A (beta-carotene) biosynthetic pathway into (carotenoid-free) rice endosperm.」, Science, (2000), Vol.287, p.303-305.
【非特許文献8】
Takaiwa, F.ら著,「Endosperm tissue is good production platform for artificial recombinant proteins in transgenic rice.」, Plant Biotechnol J, (2007), Vol.5, p.84-92.
【非特許文献9】
Qu, l.Q.およびTakaiwa, F.著,「Evaluation of tissue specificity and expression strength of rice seed component gene promoters in transgenic rice.」, Plant Biotechnol J, (2004), Vol.2, p.113-125.
【非特許文献10】
Storozhenko, S.ら著,「Folate fortification of rice by metabolic engineering.」, Nat Biotechnol, (2007), Vol.25, p.1277-1279.
【非特許文献11】
Wu, C.Y.ら著,「Promoters of rice seed storage protein genes direct endosperm-specific gene expression in transgenic rice.」,Plant and Cell Physiology, (1998), Vol.39, p.885-889.

産業上の利用分野


本発明は、植物の内胚乳に特異的に発現する遺伝子および該遺伝子のプロモーター、並びにそれらの利用に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
植物の内胚乳特異的にプロモーター活性を有する、下記(a)~(b)のいずれかに記載のDNA。
(a)配列番号:3に記載の塩基配列からなるDNA
(b)配列番号:3に記載の塩基配列からなるDNAと98%以上の配列の同一性を有するDNA

【請求項2】
植物が種子貯蔵タンパク質を蓄積する植物である、請求項に記載のDNA。

【請求項3】
請求項1~のいずれかに記載のDNAの下流に、外来遺伝子が機能的に結合した構造を有するDNA。

【請求項4】
請求項1~のいずれかに記載のDNAを含むベクター。

【請求項5】
請求項1~のいずれかに記載のDNA、または請求項に記載のベクターを含む、形質転換植物細胞。

【請求項6】
請求項に記載の形質転換植物細胞を含む、形質転換植物体。

【請求項7】
請求項に記載の形質転換植物体の子孫またはクローンである、形質転換植物体。

【請求項8】
請求項またはに記載の形質転換植物体の繁殖材料。

【請求項9】
請求項1~のいずれかに記載のDNA、あるいは請求項に記載のベクターを植物細胞へ導入する工程を含む、形質転換植物体の製造方法。

【請求項10】
請求項1~のいずれかに記載のDNA、または請求項に記載のベクターを植物細胞に導入する工程を含む、外来遺伝子を植物の内胚乳特異的に発現させる方法。

【請求項11】
植物が種子貯蔵タンパク質を蓄積する植物である、請求項10に記載の方法。

【請求項12】
請求項1011のいずれかに記載の方法によって取得される植物体、またはその種子。

【請求項13】
以下の(a)または(b)を有効成分とする、植物の内胚乳特異的に外来遺伝子の発現を誘導する薬剤;
(a)請求項1~のいずれかに記載のDNA、
(b)請求項に記載のベクター。

【請求項14】
以下の(a)または(b)を有効成分とする、植物の内胚乳特異的に外来タンパク質の蓄積を誘導する薬剤;
(a)請求項1~のいずれかに記載のDNA、
(b)請求項に記載のベクター。

【請求項15】
下記の工程(a)~(c)を含む、請求項1~のいずれかに記載のDNAのプロモーター活性を調節する候補化合物のスクリーニング方法;
(a)請求項1~のいずれかに記載のDNAの制御下に、レポーター遺伝子が機能的に結合した構造を有するDNAを含む細胞または細胞抽出液と、被検化合物を接触させる工程、
(b)該レポーター遺伝子の発現レベルを測定する工程、
(c)被検化合物の非存在下において測定した場合と比較して、該レポーター遺伝子の発現レベルを変化させる化合物を選択する工程。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

25098_01SUM.gif
出願権利状態 登録


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close