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遺伝子増幅により形成された反復配列から、発現抑制されているタンパク質を発現させる方法、キット、および形質転換体 新技術説明会

国内特許コード P09S000363
掲載日 2010年3月12日
出願番号 特願2006-545074
登録番号 特許第5098014号
出願日 平成17年11月15日(2005.11.15)
登録日 平成24年10月5日(2012.10.5)
国際出願番号 JP2005020972
国際公開番号 WO2006054561
国際出願日 平成17年11月15日(2005.11.15)
国際公開日 平成18年5月26日(2006.5.26)
優先権データ
  • 特願2004-334984 (2004.11.18) JP
  • 特願2005-121431 (2005.4.19) JP
発明者
  • 清水 典明
出願人
  • 国立大学法人広島大学
発明の名称 遺伝子増幅により形成された反復配列から、発現抑制されているタンパク質を発現させる方法、キット、および形質転換体 新技術説明会
発明の概要

遺伝子の反復配列に起因する転写抑制を解除する方法およびキット等を提供し、タンパク質を大量に生産する系を樹立する。本発明の方法は、(a)目的タンパク質をコードする遺伝子を増幅する際に、λ-ファージDNA等の10kbp以上のポリヌクレオチド、またはインシュレーター配列を共増幅する、(b)遺伝子増幅が起こった細胞を漸増濃度の薬剤を含有する培地で培養し選抜する、(c)目的タンパク質をコードする遺伝子の発現を誘導するプロモーター活性を向上させる、(d)増幅した遺伝子領域をCre-LoxP Systemを用いて染色体外に切り出す、(e)遺伝子増幅が起こった細胞を5-aza-2’-deoxycytidineで処理を行ないDNAのメチル化のレベルを低下させる、(f)遺伝子増幅がダブルマイニュート染色体上で起こっている上記哺乳動物細胞を選択する、のいずれか1つ以上の方法により達成される。

従来技術、競合技術の概要

本発明者は、哺乳動物複製開始領域(IR;initiation region)と核マトリックス結合領域(MAR;matrix attachment region)を持つプラスミド(以下「IR/MARプラスミド」という)をヒト由来がん細胞(COLO 320 大腸がん細胞株、およびHeLa細胞株)にリポフェクション法で導入し、プラスミド上に存在する薬剤耐性遺伝子(ブラスティサイジン(Blasticidine)あるいはネオマイシン(Neomycine))を利用して選択するだけで、所望のタンパク質をコードする遺伝子(目的遺伝子)の細胞内コピー数を1万コピー程度にまで増幅できること、および目的遺伝子はIR/MARプラスミドに対して同一の遺伝子構築物(シス)として導入した場合であっても、別の遺伝子構築物(トランス)として導入した場合であっても、高度に増幅することができるということを発見した(特許文献1、特許文献2、非特許文献1、および非特許文献2参照)。


しかしながら、上記IR/MARプラスミド、および目的遺伝子を導入した細胞株について、目的遺伝子からのmRNAの転写量を定量したところ、目的遺伝子のコピー数が増加しているにも関わらず、mRNAの転写量が増加していないということがわかった。このことは、目的遺伝子を含む領域が高度に増幅することによる反復配列に起因して転写の抑制が起こっているということが考えられた。


遺伝子の反復配列に起因する転写抑制を解除する方法としては、例えばtrichostatin A等のヒストンアセチル化酵素阻害剤で細胞を処理する方法が知られている(非特許文献3参照)。



【特許文献1】特開2003-245083号公報(公開日:平成15(2003)年9月2日)
【特許文献2】特開2004-337066号公報(公開日:平成16(2004)年12月2日)
【非特許文献1】Noriaki Shimizu,et al.(2001)Plasmids with a Mammalian Replication Origin and a Matrix Attachment Region Initiate the Event Similar to Gene Amplification.Cancer Research vol.61,no.19,p6987-6990.
【非特許文献2】Noriaki Shimizu,et al(2003)Amplification of plasmids containing a mammalian replication initiation region is mediated by controllable conflict between replication and transcription.Cancer Research,vol.63,no.17,p5281-5290.
【非特許文献3】McBurney,M.W.et al,Exp Cell Res(2002),vol 274,p1-8


上記のごとく、目的遺伝子を増幅することによりタンパク質を大量に生産させるために、その増幅した目的遺伝子を含むポリヌクレオチドを増幅させた場合であっても、反復配列が生じてしまえば目的遺伝子の転写が抑制されてしまい、最終目的であるタンパク質の発現に至らないという問題点がある。


しかしながら、上記非特許文献3に開示されたtrichostatin A等のヒストンアセチル化酵素阻害剤で細胞を処理する方法のみでは、数千から1万コピー程度にまで増幅した遺伝子の反復配列に起因する転写抑制を十分に解除することができなかった。


そこで本発明は、上記遺伝子の反復配列に起因する転写抑制を解除する方法およびキット等を提供し、遺伝子増幅により有用タンパク質を大量に生産する系を樹立することを目的としている。

産業上の利用分野

本発明は、遺伝子増幅が誘導された哺乳動物細胞内において形成された反復配列から、発現抑制されているタンパク質を発現させる方法およびキット等に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】 遺伝子増幅が誘導された哺乳動物細胞内において形成された反復配列から、発現抑制されているタンパク質を発現させる方法であって、
当該哺乳動物細胞は、真核生物細胞内で機能する複製起点および核マトリックス結合領域と、選択マーカーとを含む第1のポリヌクレオチド、並びに発現させるべきタンパク質をコードする第2のポリヌクレオチドが同時に導入されており、
当該第1および第2のポリヌクレオチドを導入する際に、10kbp以上の長さを有する第3のポリヌクレオチドを上記哺乳動物細胞に導入する工程を包含し、
当該第1、第2および第3のポリヌクレオチドは同一の遺伝子構築物として、または第1および第2のポリヌクレオチドが同一の遺伝子構築物で且つ第3のポリヌクレオチドが別の遺伝子構築物として、または第1、第2および第3のポリヌクレオチドがおのおの別々の遺伝子構築物として哺乳動物細胞に導入されることを特徴とする方法
ただし、第1および第2のポリヌクレオチドが同一の遺伝子構築物であり、第3のポリヌクレオチドが別の遺伝子構築物として哺乳動物細胞に導入される場合において、上記第2のポリヌクレオチドは、ブラスティサイジン耐性遺伝子、ヒグロマイシン耐性遺伝子、およびネオマイシン耐性遺伝子であり、第3のポリヌクレオチドがλ-ファージDNAである場合を除く。
【請求項2】 第1のポリヌクレオチド、第2のポリヌクレオチド、および第3のポリヌクレオチドが導入された哺乳動物細胞を、5-aza-2’-deoxycytidineで処理する工程を包含することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】 請求項1または2に記載の方法において、
上記第2のポリヌクレオチドは、第2のポリヌクレオチドおよび薬剤耐性遺伝子を含む第5のポリヌクレオチドとして、上記第1のポリヌクレオチドと同時に哺乳動物細胞に導入されており、
上記第1、第3および第5のポリヌクレオチドが導入された哺乳動物細胞を漸増濃度の薬剤を含有する培地中で培養する工程
を包含し、
当該第1、第3および第5のポリヌクレオチドは同一の遺伝子構築物として、または第1および第5のポリヌクレオチドが同一の遺伝子構築物で且つ第3のポリヌクレオチドが別の遺伝子構築物として、または第1、第3および第5のポリヌクレオチドがおのおの別々の遺伝子構築物として哺乳動物細胞に導入されることを特徴とする方法。
【請求項4】 遺伝子増幅がダブルマイニュート染色体上で起こっている哺乳動物細胞を選択する工程
を包含することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】 上記真核生物細胞内で機能する複製起点が、c-myc遺伝子座、ジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座、またはβ-グロビン遺伝子座の複製起点に由来することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】 上記核マトリックス結合領域が、Igκ遺伝子座、SV40初期領域、またはジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座の核マトリックス結合領域に由来することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】 遺伝子増幅が誘導された哺乳動物細胞内において形成された反復配列から、発現抑制されているタンパク質を発現させるためのキットであって、
真核生物細胞内で機能する複製起点および核マトリックス結合領域と、選択マーカーとを含む第1のポリヌクレオチドと、
10kbp以上の長さを有する第3のポリヌクレオチドと、
5-aza-2’-deoxycytidineとを具備し、
当該第1および第3のポリヌクレオチドは同一の遺伝子構築物、またはおのおの別々の遺伝子構築物であることを特徴とするキット。
【請求項8】 上記真核生物細胞内で機能する複製起点が、c-myc遺伝子座、ジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座、またはβ-グロビン遺伝子座の複製起点に由来することを特徴とする請求項7に記載のキット。
【請求項9】 上記核マトリックス結合領域が、Igκ遺伝子座、SV40初期領域、またはジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座の核マトリックス結合領域に由来することを特徴とする請求項7または8に記載のキット。
【請求項10】 真核生物細胞内で機能する複製起点および核マトリックス結合領域と、選択マーカーとを含む第1のポリヌクレオチドと、
発現させるべきタンパク質をコードする第2のポリヌクレオチドと、
10kbp以上の長さを有する第3のポリヌクレオチドと
が哺乳動物細胞に導入されてなり、
当該第1、第2および第3のポリヌクレオチドは同一の遺伝子構築物として、または第1および第2のポリヌクレオチドが同一の遺伝子構築物で且つ第3のポリヌクレオチドが別の遺伝子構築物として、または第1、第2および第3のポリヌクレオチドがおのおの別々の遺伝子構築物として哺乳動物細胞に導入されてなり、
遺伝子増幅が誘導された哺乳動物細胞内において形成された反復配列から、発現抑制されているタンパク質を発現し得る、形質転換体
ただし、第1および第2のポリヌクレオチドが同一の遺伝子構築物であり、第3のポリヌクレオチドが別の遺伝子構築物として哺乳動物細胞に導入された場合において、上記第2のポリヌクレオチドは、ブラスティサイジン耐性遺伝子、ヒグロマイシン耐性遺伝子、およびネオマイシン耐性遺伝子であり、第3のポリヌクレオチドがλ-ファージDNAである場合を除く。
【請求項11】 5-aza-2’-deoxycytidineで処理されてなることを特徴とする請求項10に記載の形質転換体。
【請求項12】 上記第2のポリヌクレオチドは、第2のポリヌクレオチドおよび薬剤耐性遺伝子を含む第5のポリヌクレオチドとして、上記第1にポリヌクレオチドと同時に哺乳動物細胞に導入されており、
上記第1、第3および第5のポリヌクレオチドが導入された哺乳動物細胞を漸増濃度の薬剤を含有する培地中で培養されてなり、
当該第1、第3および第5のポリヌクレオチドは同一の遺伝子構築物として、または第1および第5のポリヌクレオチドが同一の遺伝子構築物で且つ第3のポリヌクレオチドが別の遺伝子構築物として、または第1、第3および第5のポリヌクレオチドがおのおの別々の遺伝子構築物として哺乳動物細胞に導入されてなることを特徴とする、請求項10または11に記載の形質転換体。
【請求項13】 上記真核生物細胞内で機能する複製起点が、c-myc遺伝子座、ジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座、またはβ-グロビン遺伝子座の複製起点に由来することを特徴とする請求項10ないし12のいずれか1項に記載の形質転換体。
【請求項14】 上記核マトリックス結合領域が、Igκ遺伝子座、SV40初期領域、またはジヒドロ葉酸リダクターゼ遺伝子座の核マトリックス結合領域に由来することを特徴とする請求項10ないし13のいずれか1項に記載の形質転換体。
【請求項15】 上記哺乳動物細胞が、COLO 320DM細胞、COLO 320HSR細胞、Hela細胞、およびCHO細胞からなる群から選択されるいずれかの細胞である、請求項10ないし14のいずれか1項に記載の形質転換体。
産業区分
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中


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