TOP > 国内特許検索 > 抗体の可変領域を用いた新規な遺伝子発現調節方法

抗体の可変領域を用いた新規な遺伝子発現調節方法 コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P09A015317
整理番号 KP07-053
掲載日 2010年3月12日
出願番号 特願2008-310132
公開番号 特開2009-201504
登録番号 特許第5858393号
出願日 平成20年12月4日(2008.12.4)
公開日 平成21年9月10日(2009.9.10)
登録日 平成27年12月25日(2015.12.25)
優先権データ
  • 特願2008-022356 (2008.2.1) JP
発明者
  • 乾 秀之
  • 祗園 景子
出願人
  • 国立大学法人神戸大学
発明の名称 抗体の可変領域を用いた新規な遺伝子発現調節方法 コモンズ 新技術説明会
発明の概要 【課題】従来のシステムより優れた、新規で画期的な遺伝子発現調節に用いることのできる発現ベクター、形質転換体、およびそれらを用いた遺伝子発現調節システムを提供する。
【解決手段】抗体の重鎖可変領域と、DNA結合タンパク質または転写調節因子のいずれか一方とを融合させた組換えタンパク質遺伝子、および当該抗体の軽鎖可変領域と、DNA結合タンパク質または転写調節因子のうち重鎖可変領域と融合させた方とは別の方とを融合させた組換えタンパク質遺伝子を含む発現ベクターであって、前記ベクターを導入した細胞、組織又は個体内において、標的遺伝子の発現を調節するベクター。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


分子生物学研究分野においてタンパク質の構造・機能解析には大腸菌、酵母、哺乳類細胞などでの異種発現が重要なストラテジーとなり、様々な遺伝子発現調節システムが汎用されるに至っている。例えば、大腸菌での遺伝子発現調節には、イソプロピル-β-D(-)-チオガラクトピラノシド(IPTG)を誘導因子としたラクトースリプレッサーを利用した発現制御系が用いられ、哺乳類細胞での発現調節には、テトラサイクリンを誘導因子としたテトラサイクリン耐性オペロンを利用した系が利用されている。さらに、遺伝子発現調節システムは遺伝子治療や環境モニタリングなどの分野にも幅広く応用されるようになっている。放射線に応答するプロモーターを用いて腫瘍壊死因子の発現をコントロールするガン治療を目的とした遺伝子治療ベクターの開発なども進んでいる。本発明者らは、これまでに、エストロジェン受容体及びアリルハイドロカーボン受容体を用いた遺伝子発現制御システムを開発し、エストロジェン様化合物やダイオキシン類による環境汚染を検出する遺伝子組換え植物の創製に成功している(非特許文献1及び特許文献1~2)。しかしながら、既存の遺伝子発現調節システムは、生物が本来持っている遺伝子発現制御系を利用して開発されたものである。即ち、誘導因子となる物質は受容体が存在するものに制約され、我々が自由に設定することはできない。



現在では、タンパク質の相互作用によって遺伝子発現を人工的に調節することが可能である。1989年にFields, S.とSong, O.によってタンパク質の相互作用の解析を目的として開発された酵母Two-Hybrid System(非特許文献2)は、転写因子であるGAL4タンパク質のDNA結合領域と転写活性化領域が分離可能であることを利用している。GAL4のDNA結合領域と任意のタンパク質Aを融合したタンパク質と、転写活性化領域とタンパク質Bの融合タンパク質を同時に発現させる。そこで、タンパク質Aとタンパク質Bが相互作用する場合のみ、両融合タンパク質が会合して、一つの転写因子としての働きを示し、遺伝子の発現を調節することができる。ほとんどの転写制御因子は、DNA結合領域や転写調節領域を切り離して別のタンパク質に融合してもその機能を失うことなく、特定の塩基配列に結合したり、転写を促進・抑制することができる。即ち、GAL4のDNA結合領域や転写活性化領域を他の転写因子のそれらと置き換えてTwo-Hybrid Systemを構築することが可能である。



抗体は、その物質に特異的に結合するという性質を利用して、疾病診断検査、抗体医薬、環境モニタリング、食品品質管理などへの応用が試みられてきた。現在では、タンパク質をはじめ、あらゆる物質に結合する抗体の作製方法が確立され、抗体を作製できない物質はないといっても過言ではない。さらに近年、遺伝子工学の発展に伴い、抗体遺伝子の取得が容易となったことから抗体工学が急速に発展し、抗原との結合において重要な役割を果たしている重鎖可変領域(VH)並びに軽鎖可変領域(VL)断片を単離して、利用することができるようになった。これにより、抗体断片の大量生産や、抗体を用いた組換えタンパク質の作製も容易となった。特に、VHとVL断片は、各々が抗原に結合する能力を有しており、抗体機能を有する最小単位のポリペプチドと言える。抗原が存在する場合、VHとVL断片が抗原と結合し、Three-Hybridを形成することが知られている。オープンサンドイッチ免疫化学測定法(ELISA)はこの性質を利用したものである(非特許文献3)。



しかしながら、抗体可変領域と、DNA結合タンパク質または転写活性因子とを融合した組換え遺伝子を利用する遺伝子発現調節システムについては、これまでに一切報告されておらず、また先行技術文献にもそのようなシステムに関する示唆はない。
【特許文献1】
特開2004-089068号公報
【特許文献2】
特開20060-129733号公報
【非特許文献1】
Kodama, S. et al. Aryl hydrocarbon receptor (AhR)-mediated reporter gene expression systems in transgenic tobacco plants. Planta (2007)
【非特許文献2】
Fields, S. and Song, O. A novel genetic system to detect protein-protein interactions. Nature(1989) 340, 245-246
【非特許文献3】
Ueda, H. et al. Open sandwich ELISA: A novel immunoassay based on the interaction of antibody variable region. Nature Biotechnology (1996) 14, 1714-1718

産業上の利用分野


本発明は、新規で画期的な遺伝子発現調節に用いることのできる発現ベクター、形質転換細胞、およびそれらを用いた遺伝子発現調節システムに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
抗体の重鎖可変領域と、DNA結合タンパク質または転写調節因子のいずれか一方とを融合させた組換えタンパク質遺伝子、および
当該抗体の軽鎖可変領域と、DNA結合タンパク質または転写調節因子のうち重鎖可変領域と融合させた方とは別の方とを融合させた組換えタンパク質遺伝子を含む発現ベクターであって、
前記ベクターを導入した細胞、組織又は個体内において、標的遺伝子の発現を調節することを特徴とする発現ベクター。

【請求項2】
請求項1に記載の発現ベクターを導入してなる、形質転換体であって、
当該細胞、組織又は非ヒト個体内において標的遺伝子の発現を調節するための形質転換体

【請求項3】
遺伝子発現調節方法であって、
請求項1に記載の発現ベクターを、DNA結合タンパク質に応答するプロモーターの下流に標的遺伝子を有する細胞、組織又は非ヒト個体に導入し、
当該細胞、組織又は非ヒト個体に、融合させた抗体に特異的な抗原を添加することにより、標的遺伝子の発現を調節する、遺伝子発現調節方法。

【請求項4】
細胞、組織又は非ヒト個体が有するDNA結合タンパク質に応答するプロモーターおよび標的遺伝子が外来遺伝子である、請求項3に記載の方法。

【請求項5】
特定の抗体の抗原を誘導物質とする遺伝子発現調節システムであって、
当該抗体の重鎖可変領域と、DNA結合タンパク質または転写調節因子のいずれか一方とを融合させた組換えタンパク質遺伝子、および
当該抗体の軽鎖可変領域と、DNA結合タンパク質または転写調節因子のうち重鎖可変領域と融合させた方とは別の方とを融合させた組換えタンパク質遺伝子、並びに
DNA結合タンパク質に応答するプロモーターおよびその下流にある標的遺伝子を、細胞、組織又は非ヒト個体において同時に発現させることを特徴とする、遺伝子発現調節システム。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
神戸大学連携創造本部では、神戸大学で創出された知的財産の管理,活用等を行っています。上記の公開特許に関心のある方は、下記「問合せ先」まで直接お問い合わせ下さい。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close