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天然植物繊維と合成高分子よりなる複合材料及びその製造方法

国内特許コード P09S000367
整理番号 IP16-023
掲載日 2010年3月12日
出願番号 特願2008-542088
登録番号 特許第5376363号
出願日 平成19年10月29日(2007.10.29)
登録日 平成25年10月4日(2013.10.4)
国際出願番号 JP2007070986
国際公開番号 WO2008053817
国際出願日 平成19年10月29日(2007.10.29)
国際公開日 平成20年5月8日(2008.5.8)
優先権データ
  • 特願2006-293832 (2006.10.30) JP
発明者
  • 黒田 真一
出願人
  • 国立大学法人群馬大学
発明の名称 天然植物繊維と合成高分子よりなる複合材料及びその製造方法
発明の概要 環境に対する負荷を軽減でき、軽量でしかも機械的強度が高く、成形加工性、耐水性に優れた複合材料を得る。
本発明の天然植物繊維と合成高分子よりなる複合材料の製造方法は、天然植物繊維表面に合成高分子の分子鎖を化学結合させる工程と、この化学結合させた繊維を、化学結合に使用した合成高分子と同一又は異なる種類の合成高分子と混練りする工程と、得られた混練物を所定の形状に成形する工程とを含むことを特徴とする。
従来技術、競合技術の概要


繊維強化複合材料(Fiber Reinforced Composite Materials)の中で最も多量に生産され、広い範囲に用いられているのは、ガラス繊維強化プラスチック(Glass Fiber Reinforced Plastic、以下「GFRP」という。)である。しかし、近年環境に適合させる観点からGFRPの採用が抑制されている。つまり、GFRPは焼却時に多くのガラスフィラメントからなる残滓を生じるが、これらのガラスフィラメントは環境に適合した処理方法では分解することができない。その上、GFRPを加工する際に発生するガラス粉塵によって、加工業者がアレルギーや皮膚の炎症を引き起こすおそれがある。



そこで、GFRPに代わって注目されるようになったのが、天然繊維で強化したプラスチックである。この天然繊維強化プラスチック(Natural Fiber Reinforced Plastic、以下「NFRP」という。)はガラス質の残滓を生じることなく焼却することができる。特にNFRPを構成する天然繊維に限って言えば、天然繊維の焼却に伴って発生する二酸化炭素の量は植物が成長するときに吸収した二酸化炭素の量に過ぎず、昨今の地球温暖化の点から規制が厳しくなっている二酸化炭素の生産消費バランスがゼロになることが期待できる。更に環境面だけでなく、機械的特性の点においても、NFRPは繊維が低密度であり、脆くないために、軽量でしかも高靭性の複合材料として期待できる。



NFRPに関する研究は、木材繊維を用いた複合材料について1980年代から盛んに行われるようになった。しかし1990年代以降は、ケナフ繊維に代表されるような一年生植物の繊維を利用しようとする動きが顕著になっている。例えば、ケナフ繊維50重量%(39体積%)とポリプロピレンよりなる複合材料が発表されている(例えば、非特許文献1参照。)。この複合材料は、ガラス繊維を40重量%(19体積%)をポリプロピレンに添加した複合材料に匹敵する性能を発現している。このような研究成果を背景にして、2000年初めからNFRPが自動車のアンダーボディ・パネルに採用されている。



また相溶化剤で表面処理したケナフ繊維等の天然繊維とオレフィン系その他の熱可塑性樹脂材とを所定の比率で混合し、この混合物を所定の条件下にて加熱・混練することにより形成された繊維強化樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。



一方本発明者らは、植物繊維を強力な酸化剤であるセリウム塩の硝酸溶液で処理した後にメタクリル酸メチルを作用させることにより、植物繊維表面にポリメタクリル酸メチルの高分子鎖がグラフトすることを見出し、新規な植物繊維-高分子複合材料となる可能性を指摘した(非特許文献2参照。)。

産業上の利用分野


本発明は、成形加工性、耐水性、熱的安定性に優れた、天然植物繊維と合成高分子よりなる複合材料及びその製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
天然植物繊維を過酸化水素水で処理して前記繊維表面に過酸化基を導入させ、前記表面に過酸化基を導入した繊維にビニル系のモノマーであるスチレンを接触させて前記過酸化基を重合開始剤として前記繊維表面に合成高分子であるポリスチレンをグラフト重合することにより、天然植物繊維表面にポリスチレンの分子鎖を化学結合させる工程と、
前記ポリスチレンの分子鎖を化学結合させた繊維を、前記化学結合に使用した合成高分子と同一又は異なる種類の合成高分子と混練りする工程と、
前記得られた混練物を所定の形状に成形する工程と
を含むことを特徴とする天然植物繊維と合成高分子よりなる複合材料の製造方法。

【請求項2】
天然植物繊維をプラズマ照射して前記繊維表面に過酸化基を導入し、前記表面に過酸化基を導入した繊維にビニル系のモノマーであるスチレンを接触させて前記過酸化基を重合開始剤として前記繊維表面に合成高分子であるポリスチレンをグラフト重合することにより、天然植物繊維表面にポリスチレンの分子鎖を化学結合させる工程と、
前記ポリスチレンの分子鎖を化学結合させた繊維を、前記化学結合に使用した合成高分子と同一又は異なる種類の合成高分子と混練りする工程と、
前記得られた混練物を所定の形状に成形する工程と
を含むことを特徴とする天然植物繊維と合成高分子よりなる複合材料の製造方法。

【請求項3】
ポリプロピレン、ポリエチレン又はポリスチレンからなる合成高分子をビニル基含有アルコキシシランモノマーであるメタクリル酸プロピルトリアルコキシシラン存在下でラジカル発生剤を作用させて、前記合成高分子に前記アルコキシシランモノマーをグラフト重合させる工程と、
前記合成高分子にグラフト重合したアルコキシシラン基と前記天然植物繊維表面に存在する水酸基とを脱水縮合させることにより、天然植物繊維表面に合成高分子の分子鎖を化学結合させる工程と、
前記化学結合させた繊維を、前記化学結合に使用した合成高分子と同一又は異なる種類の合成高分子と混練りする工程と、
前記得られた混練物を所定の形状に成形する工程と
を含むことを特徴とする天然植物繊維と合成高分子よりなる複合材料の製造方法。

【請求項4】
天然植物繊維がケナフ繊維であり、モノマーがスチレンであり、合成高分子がポリスチレンである請求項1又は2記載の製造方法。

【請求項5】
天然植物繊維がケナフ繊維であり、モノマーがメタクリル酸プロピルトリアルコキシシランであり、合成高分子がポリプロピレンである請求項記載の製造方法。

【請求項6】
天然植物繊維がケナフ繊維であり、モノマーがメタクリル酸プロピルトリアルコキシシランであり、合成高分子がポリエチレンである請求項記載の製造方法。

【請求項7】
天然植物繊維がケナフ繊維であり、モノマーがメタクリル酸プロピルトリアルコキシシランであり、合成高分子がポリスチレンである請求項記載の製造方法。

【請求項8】
請求項1ないしいずれか1項に記載の方法により製造された、天然植物繊維と合成高分子よりなる複合材料。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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