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稲の糖化法

国内特許コード P09A015322
掲載日 2010年3月12日
出願番号 特願2008-198418
公開番号 特開2010-035431
登録番号 特許第5311548号
出願日 平成20年7月31日(2008.7.31)
公開日 平成22年2月18日(2010.2.18)
登録日 平成25年7月12日(2013.7.12)
発明者
  • 徳安 健
  • 朴 正一
  • 荒金 光弘
出願人
  • 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 稲の糖化法
発明の概要

【課題】稲わらの各部位における糖化性や粉砕性を考慮して、稲わら中の糖質を効率良く且つ安定的に回収できる方法の提供。
【解決手段】稲茎葉部を、重量比で全体の7割以上の断片が10cm以下の長さになるように裁断した後、稲茎葉部から稈とそれ以外の茎葉部とを分離した後に稈が濃縮された画分をセルロース分解酵素、澱粉分解酵素、β-(1→3),(1→4)グルカン分解酵素及びヘミセルロース分解酵素からなる群より選ばれた少なくとも一種類の酵素を含む条件において酵素糖化する、稲の糖化法、及び該方法を用いるエタノールの製造法。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


バイオ燃料への世界的ニーズの高まりに対応して、糖質系バイオマス由来のバイオエタノール製造技術開発競争が世界的規模で繰り広げられている。特に、食料資源と競合しないリグノセルロース系バイオマスの利用技術開発が、欧米のみならず我が国においても最も重要なブレイクスルーとなりうると考えられている。



リグノセルロース系バイオマスの糖化技術開発は200年の歴史を有しているが、現在、再び活発化している。特に、酸糖化を中心に展開した糖化技術に代わり、セルラーゼを中心とした酵素糖化技術が高い期待を集めている。しかしながら、一般的に、リグノセルロース系バイオマス中の糖質は複雑な構造をとる細胞壁中に埋め込まれており、糖化に先立ち、苛酷な条件による前処理によって糖質を分離する必要がある。そのため、変換コストが大きくなり、細胞壁中の糖質を糖化して加工原料とするプロセスは、現時点で経済的に独立していない。



農産廃棄物としての主要な草本系バイオマス原料として、稲わらが挙げられる。稲わらを原料とした効率的糖化技術の開発については、我が国や米国、中国、韓国、ベトナム、タイなどで、農業政策とバイオマス政策とを一体的に考慮することが可能であり、現在、高い期待を集めているところである。我が国でも、農産廃棄物資源として最も豊富な稲わらを原料とした、国産バイオ燃料製造技術の開発は喫緊の課題となっている。また、ホールプラント原料としての稲植物体全体の糖化技術が完成した場合、農業構造改革上の高い有効性を発揮することが期待される。



稲を糖化する際には、圃場から収穫したものを原料として用いるが、一般的には、植物体地上部を回収後、適宜、脱穀したり、さらに回収時・梱包時の嵩を抑えるために裁断したものを前処理・変換に供することとなる。



稲わらをはじめとする草本系植物細胞壁の回収に用いる農業機械としては、ノッタ(結束装置)がある。これは稲用コンバインに付随するもので、稲わらの後利用向けに、切断なしに結束して後方に落下させる装置がついている。また、トラクターで牽引しながら、コンパクトベーラで稲わらをすくい上げ角型に成型し、ロールベーラ紐を巻付けて放出するタイプの方式も知られている。同様に、ロールベーラと称する円柱状に成型・梱包する機械も存在し、最後にベールラッパでロールベールをラップするフィルムで密封する作業機も使用されている(非特許文献1参照)。また、コメの収穫後、藁部分または稲の地上部全体を回収・保存するために、藁を束にした後に行う天日干し、ロールベール処理、アンモニア処理、尿素処理、乾燥処理などの方法が開発・検討されている。



草本系植物細胞壁の粉砕装置としては、ハンマシュレッダ、植繊機、2軸式低速破砕機、KDS Micronex技術、振動ミル、カッターミルならびにリファイナーなどが挙げられる。ハンマシュレッダは長物の木質廃材などを大型ハンマーが回転することで破砕する装置である(非特許文献2参照)。植繊機とは膨潤破砕機械であり、爆砕に近い性状を持ちながら容易に強固な木質構造を変えて柔らかな素材を得る装置である(非特許文献3参照)。2軸式低速破砕機とは2軸の歯が噛み合った構造となっており、回転刃の外周側面に発生する強力なせん断力によって切断する装置である(非特許文献4参照)。KDS Micronex技術とはカナダFASC社から技術導入を行ったものであり、バイオマスを粉砕するとともに、粉砕物が乾燥される技術である。振動ミルはロッドやボールの衝撃力、カッターミルは装置内部にあるカッターによる切断力、リファイナーは摩擦力を利用した粉砕装置である(非特許文献5参照)。



しかしながら、これらの技術は、稲茎葉中の易分解性糖質、例えば澱粉、遊離糖(シュークロース、フラクトース、グルコース)、β-(1→3), (1→4)-グルカンなどの安定的回収を全く考慮していない方法であり、これらの物質を効率的に回収するための技術は全く検討されていない。また、稲わら等の稲茎葉を粉砕し、前処理・糖化を行う際には、稲茎葉全体を粉砕して一纏めにしているのが現状であり、粉砕性の高い部位や低い部位が混在する稲茎葉部の構造を考慮して、分画・粉砕工程を加えて糖化する技術の開発は行われていない。易分解性糖質の安定的回収を考慮した場合、常温で含水率が高い条件下に放置した際の損耗が激しいことが懸念されるが、逆に、稲茎葉部全体を乾燥すると乾燥コストが高価なものになる。




【非特許文献1】重田一人:稲わら収集・梱包機の現状と今後の開発方向について、第18号、pp.23-28、2006

【非特許文献2】津村信弘:木材破砕機紹介「ハンマシュレッダ」リサイクル破砕機の紹介、環境浄化技術、第3巻、第6号、pp.51-53,73、2004

【非特許文献3】平田和男:植繊機でのバイオマスの利活用-夢の素材ふわふわ君-、建設の施工企画、第667号、pp.27-31、2005

【非特許文献4】矢野正二郎:バイオマスの利用と固体の取り扱いバイオマスの破砕・粉砕技術、粉体と工業、第38巻、第12号、pp.47-54、2006

【非特許文献5】小林信介ら:日本エネルギー学会誌、第86巻、第9号、pp.730-735、2007

産業上の利用分野


本発明は、稲を原料とした糖の回収方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
稲茎葉部を、重量比で全体の7割以上の断片が10cm以下の長さになるように裁断した後、その裁断物中の稈とそれ以外の茎葉部との結合を分断し、稈とそれ以外の茎葉部とを分離した後に、稈が濃縮された画分を酵素糖化することを特徴とする、稲の糖化法。

【請求項2】
「稈が濃縮された画分」を、粉砕処理及び/または80℃以上130℃以下の加熱処理を行った後、セルロース分解酵素、澱粉分解酵素、β-(1→3), (1→4)グルカン分解酵素及びヘミセルロース分解酵素からなる群より選ばれた少なくとも一種類の酵素を含む条件において酵素糖化することを特徴とする、請求項1に記載の稲の糖化法。

【請求項3】
稈とそれ以外の茎葉部とを分離することにより得られた「稈が濃縮された画分」以外の画分を、粉砕処理を行った後、酸処理、アルカリ処理及び水熱処理からなる群より選ばれた少なくとも一種類の前処理を行い、酵素糖化することを特徴とする、請求項1または2に記載の稲の糖化法。

【請求項4】
稲茎葉部が、稲の地上部を刈り取り、籾を分離した後の植物体地上部またはその切断物であることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の稲の糖化法。

【請求項5】
「稈が濃縮された画分」を、含水率を20%(w/w)以下に下げた状態で貯蔵した後に、酵素糖化することを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の稲の糖化法。

【請求項6】
稈とそれ以外の茎葉部との結合部を分断する方法が、磨砕による方法であることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の稲の糖化法。

【請求項7】
稈とそれ以外の茎葉部とを分離する方法が、稈とそれ以外の茎葉部の比重差により分離する方法であることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の稲の糖化法。

【請求項8】
稈とそれ以外の茎葉部とを分離する工程の前に、稈を加圧して潰すことにより稈の空隙サイズを低下させることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の稲の糖化法。

【請求項9】
稈とそれ以外の茎葉部とを分離する方法が、風に飛ばされる際の挙動差により両者を分離する方法であることを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の稲の糖化法。

【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の稲の糖化法を用いることを特徴とする、エタノールの製造法。
産業区分
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中


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