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標的遺伝子を含む種子を判定する方法

国内特許コード P09A015324
掲載日 2010年3月12日
出願番号 特願2008-201934
公開番号 特開2010-035482
登録番号 特許第5322051号
出願日 平成20年8月5日(2008.8.5)
公開日 平成22年2月18日(2010.2.18)
登録日 平成25年7月26日(2013.7.26)
発明者
  • 梶原 英之
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 標的遺伝子を含む種子を判定する方法
発明の概要 【課題】従前の判定方法と比べて、工程時間が短く、かつ作業効率に優れた標的遺伝子を含む種子を判定する方法を提供すること。
【解決手段】種子を粉砕することなしに溶媒と混合し、種子を溶媒から分離して、種子由来の核酸を含有する抽出液を得る工程;並びに
前記抽出液に含まれる核酸を、標的遺伝子の配列を含む30~100塩基長の二本鎖核酸を増幅し得る核酸増幅反応に供して、前記種子が前記標的遺伝子を含む場合には、二本鎖核酸増幅物を得る工程
を含む、標的遺伝子を含む種子を判定する方法。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


近年、食品検査の中でも、遺伝子検査が注目を集めている。遺伝子検査とは、特定の遺伝子(標的遺伝子)を指標として、被検食品に標的遺伝子が含まれているか否かを判定する検査である。食品の遺伝子検査は、例えば、食品偽装検査として実施されている。食品偽装検査は、食品が種子である場合、被検種子が遺伝子組換え種子であるにも関わらず非遺伝子組換え種子として市場で売買されていないか否か、又は、その逆に被検種子が非遺伝子組換え種子であるにも関わらず遺伝子組換えにより機能が付加された種子として市場で売買されていないか否かを判定することにより行なわれる。



遺伝子組換えにより機能が付加された種子としては、例えば、特許文献1に記載の花粉症緩和米がある。花粉症緩和米の食品偽装検査をする場合、アレルゲン特異的T細胞エピトープをコードする遺伝子を標的遺伝子として、被検種子に該標的遺伝子が含まれているか否かを判定することにより検査が行なわれる。



市場で売買されている種子は、種類が多く、かつ各種子の産地も多岐に渡ることから、食品偽装検査は、サンプリングの数、地点及び頻度を増やして網羅的に実施することが望まれている。そこで、食品偽装検査を効率よく行なうために、多くの被検種子を並行して処理できる検査方法の提供が期待されている。



食品偽装検査に利用される、従前の標的遺伝子を含む種子の判定方法には、種子中のゲノムDNAを回収するゲノムDNA回収工程とゲノムDNA上の標的遺伝子を検出する標的遺伝子検出工程が含まれていた(非特許文献1)。



ゲノムDNA回収工程には、種子を粉砕すること、得られた種子粉砕物を酵素処理すること、及び得られた酵素処理液からゲノムDNAを回収することが含まれる(非特許文献8)。詳しくは、ゲノムDNA回収工程には、フードミルや金槌等の種子粉砕用器具を用いて種子を粉砕し、次いで、粉砕化した種子粉末をバッファーに加えて混合し、酵素処理に適した温度及び時間で種子粉末に酵素を反応させ、次いで、酵素反応液からバッファー、アルコール、スピンカラムなどを用いて、試薬の添加、遠心及び上清の廃棄若しくは回収を繰り返しながらゲノムDNAを回収することを含む。



標的遺伝子検出工程は、標的遺伝子に相補的なプライマーを用いて、ゲノムDNA上の標的遺伝子の一部又は全部を核酸増幅反応により増幅し、得られた核酸増幅物から標的遺伝子の存在をアガロースゲル電気泳動法で確認して行うことを含む。



上記工程を含む従前の判定方法によれば、汎用されている装置を利用して、標的遺伝子を含む種子を判定することができた。しかし、該方法のゲノム回収工程は、粉塵が発生してコンタミネーションの危険性があること、有害な廃棄物が発生することなどの他に、種子の粉砕からゲノムDNAの回収まで2~3時間を要し、工程時間が長大であるという問題があった。該方法の標的遺伝子検出工程もまた、核酸増幅反応に2~3時間及び核酸増幅物の確認に1~2時間と、合計して4~6時間程度を要し、工程時間が長大であるという問題があった。さらに、該方法における各工程とも手動で作業しなければならず、作業効率が悪いという問題もあった。したがって、従前の判定方法は、工程時間が長大であり、かつ作業効率が悪いことから、一日に100検体程度の種子しか、標的遺伝子の有無を判定することができない方法であった。



標的遺伝子検出工程におけるアガロースゲル電気泳動に代わる高スループットな方法として、質量分析計を利用する方法が知られている。特に、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計(MALDI-TOF-MS)は、核酸の分析に広く利用されている(非特許文献2~5)。このMALDI-TOF-MSを用いて血液試料から標的遺伝子を高感度で検出する方法として、Good assay法(非特許文献6)及びその改良法である光反応プライマー法(非特許文献7)などが開発されている。Good assay法及び光反応プライマー法は、プライマーセットを用いて標的遺伝子内の200塩基程度の配列を含む核酸を増幅する第一のPCRと、ddNTPを用いて核酸を増幅する第二のPCRを含む方法であり、これらの方法によれば、一塩基多型変異を含む標的遺伝子を検出することができる。
【特許文献1】
特開2004-321079号公報
【非特許文献1】
Auer, C.A. Trends Plant Sci. 8, 582-590 (2003).
【非特許文献2】
Smylie, K.J. et al. Genome Res. 14, 134-141 (2006).
【非特許文献3】
Sauer, S. & Gut, I.G. J. Chromatogr. B. 782, 73-87 (2002).
【非特許文献4】
Krebs, K. et al. Nucleic Acids Res. 31, e37 (2003).
【非特許文献5】
Stanssens, P. et al. Genome Res. 14, 126-133 (2004).
【非特許文献6】
Sauer, S. et al. Nucleic Acids Res. 28, e13 (2000).
【非特許文献7】
Xiaopeng Bai et al. Nucleic Acids Res. 32, No. 2, pp.535-541, (2004).
【非特許文献8】
GM quicker 2 マニュアル Ver. 1.1、ニッポンジーン、(2006)

産業上の利用分野


本発明は、簡便かつ迅速に標的遺伝子を含む種子を判定する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
種子を粉砕することなしに溶媒と混合し、種子を溶媒から分離して、種子由来の核酸を含有する抽出液を得るが、このとき種子と溶媒とを混合する時間が、混合開始から20分以内である工程;並びに
前記抽出液に含まれる核酸を、標的遺伝子の配列を含む30~60塩基長の二本鎖核酸を増幅し得る核酸増幅反応に供して、前記種子が前記標的遺伝子を含む場合には、二本鎖核酸増幅物を得る工程
を含む、標的遺伝子を含む種子を判定する方法。

【請求項2】
前記二本鎖核酸が少なくとも1種の酵素切断部位を含む請求項1に記載の方法。

【請求項3】
前記核酸増幅反応後の溶液を、前記酵素切断部位に対応する酵素で処理して、前記種子が前記標的遺伝子を含む場合には、二本鎖核酸断片を得る工程;
前記酵素で処理した溶液を変性処理して、前記種子が前記標的遺伝子を含む場合には、一本鎖核酸断片を得る工程;並びに
前記変性処理後の溶液から、質量分析計により、前記一本鎖核酸断片を検出する工程
をさらに含む、請求項2に記載の方法。

【請求項4】
前記核酸増幅反応が前記二本鎖核酸を増幅することができる少なくとも一組のプライマーセットを用いて行われる反応であり;
前記酵素切断部位が前記プライマーセットにおける少なくとも一方のプライマーの配列、又は該プライマーの配列と相補的な配列の中に位置する、
請求項2又は3に記載の方法。

【請求項5】
前記二本鎖核酸が35~50塩基長である請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。

【請求項6】
前記溶媒が水及び緩衝液からなる群から選ばれる溶媒である請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。

【請求項7】
前記質量分析計が、磁場偏向型質量分析計、四重極型質量分析計、イオントラップ型質量分析計、飛行時間型質量分析計、及びフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴型質量分析計からなる群から選ばれる質量分析計である、請求項3~6のいずれか1項に記載の方法。

【請求項8】
前記飛行時間型質量分析計がマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計(MALDI-TOF-MS)である請求項7に記載の方法。

【請求項9】
前記核酸増幅反応が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法、リガーゼ連鎖反応(LCR)法、LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)法及びRCA(Rolling Circle Amplification)法からなる群から選ばれる方法による核酸増幅反応である請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。

【請求項10】
前記種子が、米、大麦、黒豆、小豆、とうもろこし、きび、あわ、大豆、白ごま、黒ごま、はと麦、キヌア、たかきび、ホワイトソルガム、ひえ、及びアマランサスからなる群から選ばれる作物の種子である、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。

【請求項11】
前記標的遺伝子が、アレルゲン特異的T細胞エピトープをコードする遺伝子である請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。

【請求項12】
請求項11に記載の方法により検出されたアレルゲン特異的T細胞エピトープをコードする遺伝子を含む種子を花粉症緩和作物であると判定する工程
を含む、花粉症緩和作物を判定する方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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25198_01SUM.gif
出願権利状態 登録


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