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循環式の水の濾過装置 UPDATE

国内特許コード P09A015326
掲載日 2010年3月12日
出願番号 特願2008-203934
公開番号 特開2010-036141
登録番号 特許第4670087号
出願日 平成20年8月7日(2008.8.7)
公開日 平成22年2月18日(2010.2.18)
登録日 平成23年1月28日(2011.1.28)
発明者
  • 山本 義久
  • 安藤 忠
出願人
  • 国立研究開発法人水産研究・教育機構
発明の名称 循環式の水の濾過装置 UPDATE
発明の概要 【課題】濾材を間欠的に曝気する循環式の濾過装置であって、大型の水の循環システムに組み込んでも安定的に水位上下サイクルの作動が可能であり、コストを抑制できる水の濾過装置の提供。
【解決手段】上端を閉止し下端に開口部を設けてあり槽の底面との間に隙間を形成してある外管と、上下端とも開口してあり上端は外管の内方に挿入して外管との間に水路を形成し下端は槽の底面を貫通させてある内管とを備えた濾過槽において、側面が上記隙間とほぼ同じ程度の深さに水没する比重を備え、外管の外径の1.1倍以上の内径を有する中空状のフロートを外管を囲んで取り付けてあり、槽内の水位が内管の上端まで上昇したときはサイフォンの機構により槽外へ水を排出し、槽内の水位が外管の開口部付近まで下降したときはフロートの作用によりサイフォンの機構を停止させて水位を上昇させることを繰り返して、槽内の濾材を間欠的に曝気する循環式の水の濾過装置。
【選択図】 図1
従来技術、競合技術の概要


水循環式の養魚用飼育システムの一例を図2に示す。図2において、送水ポンプ7は常時稼働しており、飼育水は、濾過槽1で濾過されて魚の飼育水槽6に送られ、飼料滓や魚糞等で汚れた後、送水管8を経て濾過槽1に戻され、汚物を濾過されるというように一定の流路を循環している。なお、9は警報器付きの流量計である。(実際の養魚用飼育システムでは、飼育水槽の手前に汚物の分離槽ないし貯水槽を設けることが多いが、説明を簡明にするため図示を省略する。)



上記のような飼育水を循環させる養魚用飼育システムは、飼育水の連続式供給システム(いわゆるワンウエイの流水式又は掛け流し式のもの)に比べて、加温・冷却の熱源コストを大幅に節約できる。また、外部からの病原菌やウイルス等が侵入しにくいという利点もある。しかし、水循環式の養魚用飼育システムは、汚物から生じたアンモニア等を生物濾過により低減させる濾過槽が大型になるため、設置面積が大きくなり、かつ、濾過槽の設置コストや維持コストが高くなりやすい。



また、一般的な濾過槽では、濾材が常時水中に浸漬されているため、濾材の隅々まで酸素が行き渡らず、連続的に稼働すると濾過効率が低下することが多い。また、濾過槽内にヘドロが溜まりやすく、長期の稼働によって有害な硫化水素が発生することがある。そのため、濾過槽内の水位を変化させて濾材を間欠的に曝気する濾過装置(間欠式濾過装置)が開発されている。間欠式濾過装置を用いると、濾材に酸素が供給されて好気性バクテリアの活性が飛躍的に上昇するため、汚物由来のアンモニアや亜硝酸塩を比較的無害な硝酸塩に変換することができる。また、濾過装置を間欠式にすると、同じ水槽容量の濾過装置の2倍以上に浄化能力を高めることができるので、その分だけ小型化が可能である。



而して、従来の間欠式濾過装置では、水位を変化させる部材として、二重管式のサイフォン機構を装備して槽内の水位の上下をサイクル化させたり、水の供給と停止にフロートを用いる方法が知られている。本発明者らの調査によれば、その主な先行文献は以下のとおりである。
【特許文献1】
特開平7-148403号公報
【特許文献2】
実用新案登録第3022194号公報
【特許文献3】
特開平5-168372号公報
【非特許文献1】
株式会社レイシー発行の総合製品案内「間欠水流上部フィルターRFGシリーズ」2001年8月発行(CAT.No.R104-03)
【非特許文献2】
エーハイムジャパン株式会社発行「エーハイムウエットアンドドライフィルター2229」の取扱説明書(2004年8月発行)



特許文献1には、二重管式の逆洗用送給水サイフォン管を装備した重力式濾過装置について開示してある。しかし、この濾過装置は、サイフォン管の頂部に流量調整用ダンバを取り付けて逆洗用水の流量をこのダンバを上下方向に移動させて調節する必要があり、また、逆洗をスムースに行なうために予め逆洗水室内に一定量の濾過水を吸い上げておく必要がある等、操作が複雑であり、水の濾過と濾床の逆洗を自動的に繰り返すことは困難である。



特許文献2には、循環水の一部(分流水)をウエット&ドライの容器に導入し、この容器内で二重管式のサイフォン機構を用いて水位の上下を繰り返し、容器内の多孔質石のウエット&ドライ状態を交互につくり出す水質浄化装置について開示している。また、水位の上下を浮きの動きによって観察するための浮き室を設けている。しかし、この水質浄化装置は、循環水を少量ずつ浄化する方法を採っているため、小型の鑑賞用水槽には適用できるとしても、大型の水の循環システムに組み込んで水位上下作動サイクルを安定的に繰り返すことは困難である。



特許文献3には、揚水ポンプからの水供給量と水槽に戻す流出量を落下口直上に設けたフロートの上下動によってバランスさせ、また、落下口における空気の吸い込みをなくすようにして、濾過水の流下に伴う水音の発生を抑制する鑑賞魚用水槽の濾過装置について開示してある。なお、この濾過装置は、フロートを用いているものの、サイフォン機構を採っておらず、濾材を間欠的に曝気する装置ではない。



非特許文献1には、ウエット&ドライ運転により濾材を間欠的に空気に曝すようにした鑑賞魚用の飼育水の濾過装置において、エアチューブの先端まで水位が下がってサイフォン部内に空気が入ると水槽への水の供給が止まり、フィルター内の水位が高くなるとサイフォン部内の空気を巻き込みながら水が落ちていくようにした濾過装置について記載してある。しかし、この濾過装置は、空気取り入れ用の管を備えた二重管式のサイフォン機構を使用して水位を上下させるだけであるから、鑑賞魚用の小型の濾過装置には適するとしても、大型の水の循環システムに組み込んで水位上下作動サイクルを安定的に繰り返すことは困難である。



非特許文献2には、フィルター(濾過装置)の側方にフロート室を設け、フロート室に入ってきた水の浮力によりフロートが上昇して水路が開放されてシャワーパイプへ向かっての排水が始まり、排水が進むにしたがってフロートが落下してフロート下部のO-リング付き突起部がコネクションパイプの穴に嵌合し、流路を閉鎖して排水を停止する仕組みが開示されている。しかし、この装置は、フロート下部の突起部とパイプの穴との嵌合・離脱が常にスムースに行なえるとは限らず、鑑賞魚用の小型の濾過装置には適するとしても、大型の水の循環システムに組み込んで水位上下作動サイクルを安定的に繰り返すことは困難である。



このように、従来から知られている間欠式濾過装置は、鑑賞魚用の小型飼育槽(容積が概ね150L以下のもの)に用いる濾過槽(容積が2L~20L程度)に限られており、水族館の飼育水槽や業務用の養殖魚の飼育水槽や下水の浄化槽等の大型の水の循環システム(水槽の容積が概ね3トン以上のもの)に組み込む間欠式濾過装置(濾過槽の容積が概ね100L以上)は、未だ実用化されていない。これは、サイフォンの機構では、流量を増加させるために排水管の口径を大きくすると配管の内外に乱流や渦巻きが生じ、排水が不安定になるからである。そのため、鑑賞魚用の小型の濾過槽の水位上下作動サイクルの仕組みを単純に相似的に大型化しても、連続的かつ安定的に水位の昇降を繰り返すことはできない。



特に養殖魚用の飼育水槽では、大量の餌を投入するため、配管内部に汚れが蓄積しやすく、配管内清掃等のメインテナンスを怠ると濾過槽への供給水量や濾過槽からの排水量がヘドロ等の蓄積物やその剥離物のために短期間に変動することがあり、濾過槽の水位の上下作動サイクルの安定的な自動化に大きな影響を及ぼしている。



なお、送水ポンプの流量を一定間隔で変動させる電子制御装置を取り付けて濾過槽の水位を上下させることは可能であるが、電子部品は交換時期の予測が難しく、故障による停止を避けるためには定期的な交換が必要であり、維持コストが嵩む。また、ポンプの回転数を一日に数百回から数千回も変動させることは高電流が流れる頻度が上がるためポンプの寿命を大幅に縮めることになる。その上、消費電力の増加にもつながるので避けるべきである。



このような状況に鑑み、本発明者らは、濾材の曝気を間欠的に繰り返し、養殖魚用の飼育水槽をはじめとする大型の水の循環システムに組み込んでも安定して自動化が可能な、低コストの循環式の水の濾過装置の開発を志向し、種々の試験・試作を繰り返した結果、従来の二重管式のサイフォン機構に中空状のフロートを組み合わせることによって目的が達せられることを見出し、本発明を完成するに至った。

産業上の利用分野


本発明は循環式の水の濾過装置に関する。詳しくは、水循環式の間欠式濾過装置に関する。本発明に係る水の濾過装置は、養魚用飼育システムや下水浄化システム等の大型の水の循環システムに組み込んで使用することができる。

特許請求の範囲 【請求項1】
上端を閉止し下端に開口部を設けてあり槽の底面との間に水路となる隙間を形成して直立させてある外管と、上下端とも開口してあり上端は外管の内方に挿入して外管との間に水路を形成し下端は槽の底面を貫通させてある内管とを備えた濾過槽において、側面が上記隙間とほぼ同じ程度の深さに水没する比重を備え、外管の外径の1.1倍以上の大きさの中空部を有する中空状のフロートを外管を囲んで取り付けてあり、槽内の水位が内管の上端まで上昇したときはサイフォンの機構により内管を介して槽外へ水を排出し、槽内の水位が外管の開口部付近まで下降したときはフロートの作用によりサイフォンの機構を停止させて水位を上昇させることを繰り返して、槽内に敷設した濾材を間欠的に曝気する循環式の水の濾過装置。

【請求項2】
下面を外方に広げてあるか又は下面に外方に広がるフランジを取り付けてある中空状のフロートを用いる請求項1に記載の循環式の水の濾過装置。

【請求項3】
濾材を敷設する床面を外管の開口部よりも高くするとともに該床面を外管の開口部に向かって傾斜させてある濾過槽を用いる請求項1又は2に記載の循環式の水の濾過装置。

【請求項4】
濾過槽への送水路に警報器付きの流量計を取り付けてある請求項1から3のいずれかに記載の循環式の水の濾過装置。

【請求項5】
水循環式の養魚用飼育システムに組み込んで使用する請求項1から3のいずれかに記載の循環式の水の濾過装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2008203934thum.jpg
出願権利状態 登録


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