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重水素化芳香族カルボン酸類の製造方法

国内特許コード P09A015341
整理番号 L0700027
掲載日 2010年3月19日
出願番号 特願2008-119036
公開番号 特開2009-269825
登録番号 特許第5151659号
出願日 平成20年4月30日(2008.4.30)
公開日 平成21年11月19日(2009.11.19)
登録日 平成24年12月14日(2012.12.14)
発明者
  • 中村 浩蔵
出願人
  • 国立大学法人信州大学
発明の名称 重水素化芳香族カルボン酸類の製造方法
発明の概要

【課題】特殊で高価な試薬を用いることなく、簡便に効率よく、しかも安全に、重水素化芳香族カルボン酸類を調製することができ、簡易で汎用性に優れた経済的な製造方法を提供する。
【解決手段】重水素化芳香族カルボン酸類の製造方法は、フェノール性水酸基を含有した芳香族カルボン酸類を、重水中に溶解又は懸濁させて、加熱し、前記芳香族カルボン酸類の芳香環上の水素を、重水素に置換するというものである。70℃~前記重水の沸点に、前記加熱してもよい。前記加熱と前記重水の除去との重水素化工程を、複数回繰り返してもよい。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


近年、食品に含まれる機能性成分として食品機能性化合物、とりわけフェノール化合物が、注目されている。フェノール化合物は抗酸化活性、抗変異原性、抗発がん性など様々な機能性を有することが明らかになっている。フェノール化合物は、生体内で多様な代謝を受け様々な代謝物へ化学変換されるため、生体作用機構が未解明であるものが多い。



分析装置の高性能化、分析手法の発達によって、このような食品機能性化合物の分析はかなり精密にできるようになったが、それらが代謝により多様な化学修飾を受けた代謝物は、これらの装置や手法によってでさえ、生体内での挙動解析が困難である。



そのため、そのままでは挙動解析が困難な食品機能性化合物や代謝化合物について、生体内挙動解析を確実に行うためには、同位体で標識されたその化合物を用いる方法が有効であると考えられる。同位体標識化合物は、生体内で未標識化合物とほぼ同様の挙動をとり同様の代謝を受けるため、正確な動態解析が行える試薬として、臨床的にも実験的にも多くの実績がある。



このような同位体標識化合物には、14Cのような放射性同位体を用いているものと、13Cのような安定同位体を用いているものとがある。



放射性同位体標識化合物は、放射性同位体が崩壊して放射線を発するため非常に感度がよく、ごく微量でも容易に検出できる。しかし、放射線を発するため被爆の恐れがあり、被爆防止設備が整った専用の実験施設等を必要とする。



一方、安定同位体標識化合物は、安定同位体自体が常に天然に一定割合で存在しており、日常的にヒトの体内へ摂取されている。したがって、安定同位体標識化合物は、一般の試薬と同様に、安全に取り扱うことができる。



その安定同位体は、かつてその検出が困難であったが、近年の分析機器の発達によって、かなり精密に検出、定量できるようになった。



このような安定同位体標識化合物のうち、特に重水素(D)標識化合物、及び重炭素(13C)標識化合物は、研究施設で広く一般的に使用されるようになってきた核磁気共鳴分光法、質量分析法により、生体内での追跡が可能であることから、生体内動態を調べる試薬として、有用であると考えられる。



実際に現在、安定同位体標識化合物として、13C標識化合物が、主に医薬品代謝研究に用いられている。そのような医薬品の13C標識化合物はほとんど市販されておらず、13C標識原料物質から少量の受注製造がされているに過ぎない。



安定同位体化合物が、市販され入手可能な場合であっても、非常に高価なため、食品成分動態解析試薬として、ふんだんに用いることは難しい。



重水素標識化合物は、13C標識化合物よりも幾分、簡便に調製できるため、食品成分動態解析試薬として利用可能であると考えられるが、これまでに動態解析試薬として利用された例が殆んど無い。



フェノール等の重水素化芳香族化合物の製造方法として、例えば非特許文献1のようにD-硫酸という非常に過激な反応条件を用いるものや、非特許文献2のように水素化触媒であるニッケル珪藻土を利用するものが知られているが、反応性や経済性や実用性の点で問題があり満足すべきものではない。



また、非特許文献3に、ハロゲン化芳香族化合物を重水溶液中でアルカリ金属炭酸塩及び/又はアルカリ土類金属炭酸塩の存在下、ラネー合金触媒で処理することにより、重水素化芳香族化合物を得るという調製方法に関する報告があるが、この方法は、特殊なラネー合金触媒を必要とする。



さらに、特許文献1に、電子供与性の置換基をもつ芳香族化合物を重水素及び位置選択剤存在下、高温、高圧の反応条件でベンゼン環に直接結合する水素を重水素に置換する方法が、開示されている。この方法では非常に高い温度、圧力が必要なため特別な設備が必要となる。




【非特許文献1】インゴールド,クリストファーケイ.;ライジン,クリフォード ジー.;及びウィルソン,クリストファーエル.(Ingold, Christopher K.; Raisin, CliffordG. and Wilson, Christopher L.)、ジャーナル オブ ザ ケミカル ソサエティ(Journalof the Chemical Society)、1936年、p.1637-1643.

【非特許文献2】マクドナルド,コリンジー. 及びシャンノン,ジェームズ エス.(Macdonald, Colin G. and Shannon, James S.)、オーストラリアン ジャーナル オブ ケミストリー(Australian Journal of Chemistry)、1967年、第20巻第2号、p.297-311.

【非特許文献3】マサシ,タシロ;アキオ,イワサキ;及びゴウキ,フクタ(Masashi, Tashiro.; Akio, Iwasaki.;and Gouki, Fukata.)、ジャーナル オブオーガニック ケミストリー(Journal of Organic Chemistry)、1978年、第43巻、p.196-199.

【特許文献1】特開2005-220118号公報

産業上の利用分野


本発明は、芳香族カルボン酸類、特にフェノール酸類の芳香族炭素に結合した水素を重水素に置換して、動態解析試薬に有用な重水素化芳香族カルボン酸類を製造する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
フェノール性水酸基を含有した芳香族カルボン酸類を、重水中に触媒非存在下で溶解又は懸濁させて、加熱し、前記芳香族カルボン酸類の芳香環上の水素を、重水素に置換することを特徴とする重水素化芳香族カルボン酸類の製造方法。

【請求項2】
70℃~前記重水の沸点に、前記加熱することを特徴とする請求項1に記載の重水素化芳香族カルボン酸類の製造方法。

【請求項3】
前記芳香族カルボン酸類は、芳香環をベンゼン環とし、その環上にカルボキシル基と水酸基とを夫々少なくとも一つ以上有するフェノール酸類であることを特徴とする請求項1に記載の重水素化芳香族カルボン酸類の製造方法。

【請求項4】
前記フェノール酸類が、モノヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸、トリヒドロキシ安息香酸、又はそれらのアルキルエーテル体であることを特徴とする請求項3に記載の重水素化芳香族カルボン酸類の製造方法。

【請求項5】
前記芳香族カルボン酸類及びそれの重水素化芳香族カルボン酸類が夫々、
4-ヒドロキシ安息香酸、及び3,5-d置換-4-ヒドロキシ安息香酸又は2,3,5,6-d4置換-4-ヒドロキシ安息香酸
4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸及び5-d置換-4-ヒドロキシ-3-メトキシ安息香酸、
2,3-ジヒドロキシ安息香酸及び5-d置換-2,3-ジヒドロキシ安息香酸、
3,4-ジヒドロキシ安息香酸及び5-d置換-3,4-ジヒドロキシ安息香酸、
2,5-ジヒドロキシ安息香酸及び3,4,6-d置換-2,5-ジヒドロキシ安息香酸、
3,5-ジヒドロキシ安息香酸及び2,4,6-d置換-3,5-ジヒドロキシ安息香酸、
2,6-ジヒドロキシ安息香酸及び3,4,5-d置換-2,6-ジヒドロキシ安息香酸、又は
3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸及び2,6-d置換-3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸
であることを特徴とする請求項1に記載の重水素化芳香族カルボン酸類の製造方法。

【請求項6】
前記加熱の後、重水を除去することを特徴とする請求項1に記載の重水素化芳香族カルボン酸類の製造方法。

【請求項7】
前記加熱と前記重水の除去との重水素化工程を、複数回繰り返すことを特徴とする請求項6に記載の重水素化芳香族カルボン酸類の製造方法。

【請求項8】
前記重水の重水素イオン濃度を、塩化重水素、及び/又は重水酸化ナトリウムにより調整しつつ、前記重水素に置換することを特徴とする請求項6又は7に記載の重水素化芳香族カルボン酸類の製造方法。
産業区分
  • 有機化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
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