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音波誘起電磁波による物体の特性測定方法及び装置 コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P09S000378
掲載日 2010年3月19日
出願番号 特願2007-544069
登録番号 特許第4919967号
出願日 平成18年8月14日(2006.8.14)
登録日 平成24年2月10日(2012.2.10)
国際出願番号 JP2006316028
国際公開番号 WO2007055057
国際出願日 平成18年8月14日(2006.8.14)
国際公開日 平成19年5月18日(2007.5.18)
優先権データ
  • 特願2005-325064 (2005.11.9) JP
発明者
  • 生嶋 健司
  • 小宮山 進
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 音波誘起電磁波による物体の特性測定方法及び装置 コモンズ 新技術説明会
発明の概要 被測定物体(23)に音波を照射して誘起される電磁波から物体中の荷電粒子の特性値等の変化を測定する方法及び装置であって、音波集束ビーム(1)が照射される被測定物体の部分(2)では、正の荷電粒子(3)が多い電荷分布状態であるので、正の荷電粒子(3)及び負の荷電粒子(4)が誘起する電磁波は完全に打ち消し合わず正味の電磁波(6)が誘起される。正の荷電粒子(3)及び/又は負の荷電粒子(4)の濃度が変化すると、電磁波(6)の強度が変化するので、電磁波(6)の強度変化から荷電粒子の濃度変化を知ることができる。
従来技術、競合技術の概要


人間の精神活動と脳の働きとの関係を解明するために、また、脳の病気治療において病変部分を特定するために、脳の神経活動部位を特定することが行われている。神経細胞(ニューロン)は神経活動の際に、イオン濃度を制御して電荷分布を形成し、電荷分布によって形成される電位、すなわち、活動電位の伝播を通じて情報伝達を行っている(非特許文献1参照)。従って、神経活動の部位を特定できる最も直接的な情報源は活動電位、より根本的にはニューロンが形成する電荷分布である。



神経系の活動電位測定は、通常、体内に電極を直接挿入する方法が取られるが、人体、特にその中でも脳組織においてはこの方法が採用できず、人体外から人体を傷つけることなく活動部位を特定する、非侵襲計測法を用いることが必要である。
現在、神経活動の非侵襲計測法としては、PET(Positron Emission Tomography;非特許文献2参照)、fMRI(functional Magnetic Resonance Imaging;非特許文献3参照)、近赤外光トポグラフィ(非特許文献4参照)、また、脳磁計(非特許文献5参照)が主に実用化されている。



しかしながら、PET、fMRI及び近赤外光トポグラフィとも、活動部位近傍の代謝量、すなわち、血液中の血流量あるいは酸素量の変化からニューロンの活動を間接的に検知しており、直接ニューロンに生じる電気信号を測定しているわけではない。その結果として、活動部位の位置分解能、時間分解能は、人間の精神活動と脳の働きとの関係を解明するうえでも、病気治療に役立てるうえでも、十分なものではない。また、これらの装置は、ポジトロンを生成するためのサイクロトロン加速機、或いは、核磁気共鳴を生じさせるための高磁場発生装置等を必要とし、装置コストが極めて高い。
上記脳磁計は、細胞内電流が誘起する微弱磁場を検出しているので時間分解能は高く、上記の装置に比べて直接的にニューロン活動を検知する方式である。しかしながら、磁場分布をもとに位置を推定しているので、間接的な位置推定法であり、位置分解能が十分ではない。とくに、複数の部位が同時に活動している場合はその特定が難しくなる。また、深部からの情報や表面の法線方向に向かう電流の検出が困難であるという課題がある。



物質の特性として、磁気特性が挙げられる。磁性体の磁化に関しては、例えば、非特許文献8において、強磁性体薄膜へのフェムト秒のレーザー光の照射によりコヒーレントなTHz帯の放射が観測されることが報告されている。



【非特許文献1】
松村 道一 著 「脳科学への招待(神経回路の秘密を解き明かす)」サイエンス社 2003年7月10日初版第3刷発行 pp55-65
【非特許文献2】
M.I.Posner and M.E.Raichele著(養老猛司、加藤雅子、笠井清登 訳):「脳を観る-認知神経科学が明かす心の謎」日経サイエンス社 2002年6月25日第3刷発行
【非特許文献3】
P.Jezzard,P.M.Matthews,S.M.Smith編集「Functional Mri:An IntroductionとMethods」Oxford Univ.Pr(Sd);ISBN:019852773X;(2003/06)
【非特許文献4】
松村 道一 著 「脳科学への招待(神経回路の秘密を解き明かす)」サイエンス社 2003年7月10日初版第3刷発行 p173
【非特許文献5】
松村 道一 著 「脳科学への招待(神経回路の秘密を解き明かす)」サイエンス社 2003年7月10日初版第3刷発行 pp168-169
【非特許文献6】
http://www.rofuku.go.jp/hanasi/eswl.htm
【非特許文献7】
http://www.edap-hifu.com/
【非特許文献8】
E.Beaurepaire 他5名、Appl.Phys.Lett.,Vol.84,No.18,pp.3465-3467,3May 2004

産業上の利用分野


この発明は、音波振動によって電磁波を放射し得る、人体も含めたあらゆる対象物に対して適用可能な音波誘起電磁波による物体の特性測定方法及び装置に関し、特に、この方法を用いた脳の活動部位の測定方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
音波パルスの発生器と被測定物体との間の距離を前記音波パルスが伝搬する時間が前記発生器から生じる電磁波ノイズの継続時間よりも長くなるように、前記被測定物体に前記音波パルスを照射し、
前記電磁波ノイズから時間的に分離した、前記被測定物体から発生する電磁波の信号受信し、
前記電磁波の強度、位相及び周波数特性の群から選択される1つ又は複数の特性から、前記被測定物体の電気特性、磁気特性、及び電磁気・機械特性の群から選択される1つの特性を測定する、
音波誘起電磁波による物体の特性測定方法。

【請求項2】
前記被測定物体の電気特性は、
電場、
誘電率、
電場又は誘電率の空間勾配、及び
前記被測定物体の有する荷電粒子濃度、質量、寸法、形状、又は荷電数、あるいは前記荷電粒子と前記荷電粒子を囲む媒体との相互作用
の群から選択される1つ又は複数の特性値の変化である、
請求項1に記載の音波誘起電磁波による物体の特性測定方法。

【請求項3】
前記被測定物体の磁気特性は、前記被測定物体の電子スピン又は核スピンに起因した磁化、又は、前記被測定物体の電子スピン又は核スピンに起因した音響磁気共鳴である、
請求項1に記載の音波誘起電磁波による物体の特性測定方法。

【請求項4】
前記被測定物体の前記電磁気・機械特性は、前記被測定物体の圧電特性又は磁歪特性である、
請求項1に記載の音波誘起電磁波による物体の特性測定方法。

【請求項5】
前記音波パルスの照射後に検出される前記電磁波の強度の時間依存性を測定することにより、前記被測定物体の有する荷電粒子の特性値の緩和特性を測定する、
請求項1に記載の音波誘起電磁波による物体の特性測定方法。

【請求項6】
前記音波パルス、一定周波数の狭帯域音波パルスであり、
前記電磁波の測定は、前記被測定物体から放射される記電磁波を、前記音波の周波数を参照信号としたヘテロイダイン検波法又は位相検波法により測定する、
請求項1に記載の音波誘起電磁波による物体の特性測定方法。

【請求項7】
前記音波パルス一定周波数の狭帯域音波パルスであり、
前記電磁波の測定は、前記被測定物体の部分から放射される前記電磁波を、前記音波パルスの周波数を参照信号としてヘテロイダイン検波又は位相検波し、
前記検波した信号を前記音波パルスのパルス周期の周波数でヘテロイダイン検波又は位相検波して測定する、
請求項1に記載の音波誘起電磁波による物体の特性測定方法。

【請求項8】
前記位相検波の位相情報から、前記電磁波の信号の起源が前記被測定物体の有する、正の荷電粒子によるものか又は負の荷電粒子によるものかを判定する、
請求項6又は7に記載の音波誘起電磁波による物体の特性測定方法。

【請求項9】
前記音波パルスの照射は、複数の音波源からの音波を前記被測定物体の所望の微小部分へ集束することで行い、
前記微小部分で誘起される前記電磁波を、前記被測定物体を取り囲むアンテナ又はコイルを用いて受信することにより、
前記被測定物体の所望の部分へ、及び、前記被測定物体の所望の部分へ所望の方向から音波を集束し、且つ、前記被測定物体の所望の位置から、及び、前記被測定物体の所望の位置から所望の方向に放射する前記電磁波を測定すると共に、前記電磁波の放射方位分布を測定する、
請求項1、5~7のいずれか1項に記載の音波誘起電磁波による物体の特性測定方法。

【請求項10】
前記音波パルスの集束を前記被測定物体の2次元面又は3次元体積に亘って走査し、
各走査位置で誘起される前記電磁波の強度を、前記被測定物体を取り囲むアンテナ又はコイルを用いて受信し、
前記走査位置と受信した前記電磁波の強度とを対応させることにより、前記被測定物体の荷電粒子の特性値の変化の2次元又は3次元分布を測定する、
請求項9に記載の音波誘起電磁波による物体の特性測定方法。

【請求項11】
前記音波パルスは複数の周波数成分から成る広帯域超短パルスであり、前記電磁波の周波数を測定し、前記電磁波の周波数から電磁波を発生する荷電粒子の位置の深さ方向の情報を得る、
請求項1に記載の音波誘起電磁波による物体の特性測定方法。

【請求項12】
前記被測定物体は、コロイド溶液、液晶、固体電解質、イオン結晶、半導体、誘電体、金属、磁性体、磁性流体の何れかまたはこれらの複合材料、又は、上記材料からなる構造物または機能デバイスである、
請求項1~11のいずれか1項に記載の音波誘起電磁波による物体の特性測定方法。

【請求項13】
音波パルスの発生器と被測定物体との間の距離を前記音波パルスが伝搬する時間が前記発生器から生じる電磁波ノイズの継続時間よりも長くなるように前記被測定物体から離して配置された、前記被測定物体に前記音波パルスを照射する音波発生器と、
前記電磁波ノイズから時間的に分離した、前記被測定物体から発生する電磁波の信号を受信するアンテナ又はコイルと、
前記音波発生器を駆動・制御し、且つ、前記アンテナ又は前記コイルが受信した前記電磁波を測定及び演算することにより、前記電磁波の強度、位相、及び周波数特性の群から選択される1つ又は複数の特性から、前記被測定物体の電気特性、磁気特性、及び電磁気・機械特性の群から選択される1つの特性を測定する制御・測定・演算部とを備える、
音波誘起電磁波による物体の特性測定装置。

【請求項14】
前記音波発生器は、複数の音波発生器又は曲面の法線が一点に集束する凹曲面に固定された複数の音波発生器から成り、
前記複数の音波発生器が発生する音波パルスの相互の位相を前記制御・測定・演算部で制御して、前記被測定物体の所望の位置に前記音波パルスを集束し、
前記被測定物体の2次元面又は3次元堆積に亘って前記音波パルスの集束位置を走査するか、又は、前記音波発生器を前記被測定物体の回りに機械的に走査して、前記被測定物体の2次元面又は3次元体積に亘って前記音波パルスの集束位置を走査する、
請求項13に記載の音波誘起電磁波による物体の特性測定装置。

【請求項15】
前記制御・測定・演算部は、前記アンテナ又は前記コイルの受信した前記電磁波を、前記音波パルスの周波数でヘテロダイン検波又は位相検波する手段と、
前記検波した電磁波信号を、前記音波パルスのパルス周期の周波数でロックイン検出する手段と、を有する、
請求項13に記載の音波誘起電磁波による物体の特性測定装置。

【請求項16】
前記制御・測定・演算部は、前記音波発生器から広帯域超短パルスを発生させると共に、前記アンテナ又は前記コイルの受信した前記電磁波の周波数を測定する手段を有する、
請求項13に記載の音波誘起電磁波による物体の特性測定装置。

【請求項17】
前記電磁波の周波数を測定する手段は、バンドパスフィルター、ロックインアンプ、及びスペクトラムアナライザーの群から選択される1つまたは複数の手段である、
請求項16に記載の音波誘起電磁波による物体の特性測定装置。

【請求項18】
前記制御・測定・演算部は、磁場を検出するSQUIDを備えている、
請求項13~17のいずれか1項に記載の音波誘起電磁波による物体の特性測定装置。

【請求項19】
前記被測定物体が、生体の脳を代表とする神経組織又は生体の筋組織であり、
前記電気特性が、ニューロンの活動に伴って形成される電荷分布又は筋組織の収縮に伴って形成される電荷分布であり、かつ
前記電気特性により、活動した前記ニューロン又は活動した前記筋組織の部位を特定する、
請求項13~18のいずれか1項に記載の音波誘起電磁波による物体の特性測定装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 登録
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