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細胞内ミトコンドリアの分極モニタリング 新技術説明会

国内特許コード P09S000379
掲載日 2010年3月19日
出願番号 特願2007-550225
登録番号 特許第5486768号
出願日 平成18年12月14日(2006.12.14)
登録日 平成26年2月28日(2014.2.28)
国際出願番号 JP2006324960
国際公開番号 WO2007069692
国際出願日 平成18年12月14日(2006.12.14)
国際公開日 平成19年6月21日(2007.6.21)
優先権データ
  • 特願2005-360458 (2005.12.14) JP
発明者
  • 小名 俊博
  • 小斉平 篤
出願人
  • 国立大学法人九州大学
発明の名称 細胞内ミトコンドリアの分極モニタリング 新技術説明会
発明の概要 生細胞内のミトコンドリアの分極状態の変化を検出する方法を課題とする。
表面プラズモン共鳴装置を用いて、該生細胞のミトコンドリアの分極状態の変化に起因する表面プラズモン共鳴角の変化を検出する。または、生細胞へ一または複数の物質を供与し、ミトコンドリアの分極状態の変化に起因する表面プラズモン共鳴角の変化を検出する。ミトコンドリアの分極状態の変化に起因する表面プラズモン共鳴角の変化を検出する工程は、表面プラズモン共鳴角の変化がミトコンドリアの分極状態の変化にのみに起因する時間帯におけるその変化を検出する工程とすることができ、好ましくは、物質を供与した時から20分経過以後、より好ましくは30分経過以後、さらに好ましくは35分経過以後の時間帯のその変化を検出する工程である。
従来技術、競合技術の概要



ミトコンドリアは動植物を含め真核細胞生物全般に存在する細胞内小器官の一つであり、生体の生命維持に不可欠なエネルギー代謝において重要な働きを担っている。このため、細胞分裂時、細胞死滅時および老化の過程や、がん、糖尿病、肥満などの各種病変において、ミトコンドリアの活動は細胞の状態と密接に関連しており、その一つの指標としてミトコンドリアの分極状態の変化が挙げられる。例として挙げると、老化した細胞ではミトコンドリアの分極程度が低下することや、逆に細胞分裂活性の高い細胞では分極程度が高いこと(Biological Signals and Receptors 2001;10:176-188)が知られている。また、がん細胞に対して抗がん剤を投与した際、細胞が毒物に暴露された際、脂肪細胞が脂肪を燃焼する際など様々な細胞応答に際してミトコンドリアの分極状態は様々に変化する(抗がん:Apoptosis 2005;10:687-705、毒物:Hepatology 2000;31;1141-1152およびToxicological Sciences 2005;86(2):436-443、脂質代謝:Biophysical journal 2002;82(1):1673 part2およびFEBS Letters 1984;170(1):181-185)。このため、ミトコンドリアの分極状態のモニターは各種の病状の診断や薬剤の開発において有効な指標の一つとして用いられている。





細胞内ミトコンドリアの分極状態のモニタリングは、電位に応答する蛍光色素を細胞内に導入すると、電位の高いミトコンドリアで凝集し、蛍光波長が変化し、また電位の変化に応じて蛍光強度が変化する様子を、蛍光顕微鏡、フローサイトメトリーまたは分光光度計などにより検出する方法が一般的である。





一方、表面プラズモン(surface plasmon resonance; SPR)装置は、表面プラズモン共鳴現象を利用し、共鳴角度変化を測定することができる装置である。この共鳴角度変化は、センサ部の金膜表面近傍における誘電率の変化に依存する。SPR装置においては、対象を金膜上に固定し、それに対するリガンドを供する。生体分子はそれぞれ固有の誘電率を有しているが、金膜上に固定化された対象とリガンドとの結合が生じた場合は複合体が形成され、誘電率が変化する。したがって金属膜表面の誘電率を追うことにより、生体分子間の結合の有無、結合量、結合速度等に関する情報を得ることができる。





SPR装置においては、タンパク質等の生体分子のみならず、生細胞を測定対象とすることもできる。





例えば、特開2002-85089号公報は、表面プラズモン共鳴装置を用いて生細胞に対する外部刺激の生理活性を評価する方法を開示する。この方法においては、細胞が刺激されている期間のシグナル(1次シグナル)だけではなく、1次シグナルに引き続き出現する2次シグナルを指標として外部刺激の細胞活性を評価することを特徴としている。より具体的には、SPR装置内に固定した生細胞にリガンドが結合すると、その量に比例してベースラインが上昇し、安定化する(1次シグナル)が、リガンドが細胞に対して生理活性を持つ場合、初期シグナルに続いて、単なる結合シグナルとは明らかに異なるベースラインの上昇あるいはベースラインの周期的な変動(2次シグナル)が観測される。このような2次シグナルは生理活性が確認されているリガンドを添加したときにのみ現れることから、リガンドが生細胞へ結合することにより引き起こされる何らかの生体反応を反映していると考えられ、したがってこの方法によれば、細胞に対する外部刺激の生理活性を正確に評価することが可能であるとしている。そして、この方法においては、2次シグナルとして、外部刺激が除去された後に出現するシグナルを測定することを好ましい態様としている。実施例としては、(1) CTLL-2細胞(浮遊細胞)とIL-2との反応、(2) Papilla細胞(間葉系系細胞)とbFGFの反応、(3) mast cell(肥満細胞)の抗原に対する反応が検討されている。そして(1) については、IL-2で刺激されている数分間に得られる1次シグナル、およびその後に出現する2次シグナルを得て、CTLL-2細胞とは本来結合しない試薬を添加したときには2次シグナルが観測されなかったことから、細胞がIL-2と結合したときに生じる何らかの現象をSPR装置が捉えたと結論し;(2) については、bFGFとリン酸化阻害剤(SU4984)を注入した場合に、注入10分後にシグナルがプラトーになった一方で、bFGFのみを注入した場合にはシグナルは上昇しつづけたことから、bFGFの結合によって引き起こされるシグナル伝達がリン酸化阻害剤によって抑えられたことを反映していると結論し;さらに(3) については、IgEで感作しているmast cellでは特異的な抗原抗体反応による活性化を反映した強いシグナル(2次シグナル)が観測されるが、未感作のmast cellでは特徴的な変化は認められず、また、IgEには結合するが細胞は活性化しないDNP-lysineを添加した場合には、DNP-lysineの結合に伴う1次シグナルは観察されたが、2次シグナルは認められなかったことから、この方法により、細胞の活性化を迅速に測定可能であると結論している。





特開2002-85089号公報は、既存の反応系での検討により生じることが明らかな特定の現象が、表面プラズモン共鳴装置では2次シグナルに反映されていることを開示するものである。





また、特開2005-17081号公報は、SPR装置を用いた抗がん作用物質のスクリーニング方法を開示する。この方法は、がん細胞に目的とする試薬を作用させて表面プラズモン共鳴を測定し、表面プラズモン共鳴の時間に対する変化率が安定している時間帯における表面プラズモン共鳴変化率を求め、得られた表面プラズモン共鳴変化率に基づいて、目的試薬の抗がん作用の程度を評価するものである。実施例では、抗増殖作用を有するクェルセチンについて、測定開始後2700~3000秒(試薬の投与は、測定開始後600秒の時点)の5分間における表面プラズモン共鳴応答により得られたカーブの傾きを求め、一方で試薬に対する生存率を試薬投与から48時間後のトリパンブルー染色により求め、両者に相関が合ったことから、所定の短時間での表面プラズモン共鳴応答の変化率を測定することにより、細胞の生存率、すなわち抗がん作用を定量的に評価することができると結論している。

産業上の利用分野



本発明は、表面プラズモン共鳴(SPR)センサーを用い、ミトコンドリアの分極状態を非標識、リアルタイムで測定する方法に関するものである。この方法は、ミトコンドリアの分極状態が関与する生体現象のモニタリングおよび薬剤開発に有用である。例えば、抗がん剤、脂肪燃焼物質、糖尿病のための薬剤のスクリーニング、老化を含む細胞活性のモニタリング、薬剤の効果の定量等に用いることができる。

特許請求の範囲 【請求項1】
生細胞内のミトコンドリアの分極状態の変化を検出する方法であって:
生細胞へ一または複数の物質を供与する工程;および
生細胞へ物質を供与した時から35分経過以後の時間帯の、生細胞内のミトコンドリアの分極状態の変化に起因する表面プラズモン共鳴角の変化を検出する工程を含み、さらに
検出した表面プラズモン共鳴角の変化が一定である時間帯であって、少なくとも10分間以上である時間帯を特定し、その時間帯における表面プラズモン共鳴角の変化率を求める工程を含む、前記方法。

【請求項2】
特定した時間帯が、その時間帯における表面プラズモン共鳴角の変化率が、該時間帯を含みそれより10%以上長い時間帯における表面プラズモン共鳴角の変化率の±10%以内である、請求項1に記載の方法。

【請求項3】
求めた変化率と、ミトコンドリアの分極状態に与える影響の程度が分かっている物質について同様に求めた表面プラズモン共鳴角の変化率とを比較する工程を含む、請求項1に記載の方法。

【請求項4】
前記生細胞が、培養がん細胞である、請求項1に記載の方法。

【請求項5】
前記生細胞内のミトコンドリアの分極状態の変化が、以下の工程(a)~(h)のいずれか:
(a) 生細胞へ脂質代謝促進物質を供与する工程;
(b) 生細胞へ細胞のアポトーシス誘導物質を供与する工程;
(c) 生細胞へsiRNAを供与する工程;
(d) 生細胞へ抗がん物質を供与する工程;
(e) 生細胞へ発がん物質を供与する工程;
(f) 生細胞へ細胞の分裂活性に影響を与える物質を供与する工程;
(g) 生細胞へ内分泌かく乱物質を供与する工程;
(h) 生細胞へ細胞に対する毒性物質を供与する工程;
の後に検出される、請求項1に記載の方法。

【請求項6】
前記表面プラズモン共鳴角の変化を検出する工程における細胞外溶液のpHの変化速度が、pH0.005/min以上である請求項1に記載の方法。

【請求項7】
生細胞が、正常細胞である、請求項1~3、5及び6のいずれか1項に記載の方法。

【請求項8】
細胞の分裂活性の評価、細胞の老化状態の評価、脂肪燃焼物質のスクリーニング、正常細胞とがん細胞の判別、RNAiの評価、環境モニタリング、毒性評価、及び老化、肥満または肥満に関連した糖尿病、脳卒中もしくは動脈硬化の処置のための候補物質のスクリーニングのための、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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