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環状二本鎖DNAおよびそれを用いたDNAの増幅方法

国内特許コード P10A015371
掲載日 2010年4月9日
出願番号 特願2008-216601
公開番号 特開2010-051182
登録番号 特許第5652842号
出願日 平成20年8月26日(2008.8.26)
公開日 平成22年3月11日(2010.3.11)
登録日 平成26年11月28日(2014.11.28)
発明者
  • 高橋 宏和
  • 杉山 滋
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 環状二本鎖DNAおよびそれを用いたDNAの増幅方法
発明の概要 【課題】 本発明の課題は、DNAを簡易な手順で特異的に増幅する方法、とくに目的となるDNAが極微量であっても特異的に増幅することができる方法を提供することにある。
【解決手段】 本発明は、DNA増幅方法に用いられる鋳型としての環状二本鎖DNAであって、一方のDNA鎖がニックを有しない完全な閉環状であり、他方のDNA鎖が少なくとも1つのニックを有する、前記環状二本鎖DNA、該環状二本鎖DNAの製造方法、並びに、前記環状二本鎖DNAまたは前記製造方法により製造された前記環状二本鎖DNAを用いたDNAの増幅方法に関する。
【選択図】 図1
従来技術、競合技術の概要


DNAの増幅は、一般的には、増幅の対象となるDNA(以下、目的DNAともいう)の断片を含むプラスミド等のベクターを用い、該ベクターを大腸菌内に導入し、大腸菌の増殖させることによって行われる。また、比較的短いDNAを増幅するにあたり最も汎用されている方法は、PCR(polymerase chain reaction)法であり、この方法は特定領域を増幅するのには非常に適している。



PCR産物は、PCR法に用いる酵素の特性上、DNA断片に変異が入りやすく、また増幅の対象となるDNAの配列にも影響を受けやすいため、増幅がほとんど起きない場合がある。さらに、PCR産物のままでは使用方法が限定されるため、大腸菌内で目的DNA断片を含むプラスミド等のベクターを用いて増幅することが頻繁に行われている。しかし、例えば、レトロウイルス様配列は、配列内に反復配列が有る為に相同組み換えが起きやすく、大腸菌内では非常に不安定であり頻繁に欠失が起きてしまう。さらに、大腸菌に対し致死性の配列を有するDNA断片を増幅することは不可能である。また、一般的には大腸菌に形質転換できるDNAの大きさは、おおよそ20kbp程度が限界点になるため、それ以上の大きさのDNA断片を持つプラスミドを大腸菌に形質転換する事は非常に困難であるという問題があった。



最近では、鎖置換型DNA合成酵素とランダムプライマーとを用いた増幅方法(MPRCA(Multiply-primed rolling circle amplification)法)を応用した、in vitro DNAクローニング法が普及しつつある。MPRCA法を利用した場合、上記で示した様な大腸菌では増幅が困難なDNA断片も増幅が可能になり、増幅産物はプラスミドと同じ使用目的に用いることができる。



一方でMPRCA法を用いたin vitro DNAクローニング法は、DNA結合反応時に、目的のDNA結合産物以外に、目的外のDNA結合産物が多量に生成される。したがって、増幅反応の後、多くの目的外のDNA増幅産物が混入していることになる。この目的外のDNA結合産物または増幅産物は、大腸菌に遺伝子導入する場合には、産物内のベクターが有する複製開始点の有無による選択が起きることから、大きな問題とはならなかった。しかしながら、in vitroクローニングの場合には、大腸菌による選択が無いため、目的とするDNA由来の増幅産物が最終産物に含まれる割合が非常に少ない等の問題があった。



さらにMPRCA法は、鋳型DNA分子が少なくなればなるほど、非特異なDNA増幅が目的DNAの増幅より大きくなるため、環状DNAの検出時には、SN比の低下を引き起こし、また環状DNA増幅時には目的DNAの回収ができなくなる。最近、これらの問題を克服する手法として、反応容量を極微量で行うことにより微量の環状DNAの増幅、検出する方法も報告されているが(非特許文献1および2)、反応手順が煩雑で実際の現場における使用には向いていなかった。
【非特許文献1】
Hutchison, CA., Smith, HO., Pfannkoch, C. & Venter, JC. Cell-free cloning using phi29 DNA polymerase. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 102, 17332-6 (2005).
【非特許文献2】
Marcy, Y., Ishoey, T., Lasken, R.S., Stockwell, T.B., Walenz, B.P., Halpern, A.L., Beeson, K.Y., Goldberg, S.M. & Quake, S.R. Nanoliter reactors improve multiple displacement amplification of genomes from single cells. PLoS Genet., 3, 1702-8 (2007).

産業上の利用分野


本発明は、増幅の対象となる鋳型DNA、該鋳型DNAの製造方法、および該鋳型DNAを用いたDNAの増幅方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
鎖置換型DNA合成によるDNA増幅方法に用いられる鋳型としての環状二本鎖DNAを製造する方法であって、
直鎖状二本鎖DNA断片の両末端を脱リン酸化し、制限酵素でこれを切断することによって、一方の末端が脱リン酸化され、他方の末端が脱リン酸化されていない直鎖状二本鎖DNA断片を得ること、および、
得られた直鎖状二本鎖DNA断片を少なくとも1つ含む、1または2以上の直鎖状二本鎖DNA断片をライゲーションすること
を含む、前記方法。

【請求項2】
2以上の直鎖状二本鎖DNA断片のいずれをも、一方の末端が脱リン酸化されており、他方の末端が脱リン酸化されていない直鎖状二本鎖DNA断片とする、請求項1に記載の方法。

【請求項3】
さらに、ライゲーションの後に反応液中の直鎖状DNAを分解処理する工程を含む、請求項1または2に記載の方法。

【請求項4】
2つの直鎖状二本鎖DNA断片を用いて鎖置換型DNA合成によるDNA増幅方法に用いられる鋳型としての環状二本鎖DNAを製造する方法であって、
(1)一方の直鎖状二本鎖DNA断片を制限酵素(X)で切断した後、両末端を脱リン酸化し、さらに前記制限酵素(X)と異なる制限酵素(Y)で切断する工程、
(2)他方の直鎖状二本鎖DNA断片を前記制限酵素(Y)で切断した後、両末端を脱リン酸化し、さらに前記制限酵素(X)で切断する工程、
(3)工程(1)および(2)で得られた2つの直鎖状二本鎖DNA断片をライゲーションする工程、および
(4)反応液中の直鎖状DNAを分解処理する工程、
を含む、前記方法。

【請求項5】
請求項3または4に記載の方法により製造された環状二本鎖DNAからなる、鎖置換型DNA合成によるDNA増幅反応用の鋳型DNA溶液。

【請求項6】
請求項3または4に記載の方法により製造された環状二本鎖DNAからなる、鎖置換型DNA合成によるDNA増幅反応用の鋳型DNA溶液を製造するためのキットであって、
少なくとも、生理緩衝液、ATP、RecBCDヌクレアーゼおよびエキソヌクレアーゼIを含む、前記キット。

【請求項7】
請求項5に記載の鋳型DNA溶液に含まれる環状二本鎖DNAを鋳型とし、DNAプライマー、RNAプライマーまたはRNA/DNAキメラプライマーとして用いてなる、鎖置換型DNA合成によりDNAを増幅する方法。

【請求項8】
プライマーの5’末端から少なくとも1塩基がRNAである、請求項7に記載の方法。

【請求項9】
プライマーが、鋳型DNA特異的プライマーである、請求項7または8に記載の方法。

【請求項10】
プライマーが、ランダムプライマーである、請求項7または8に記載の方法。

【請求項11】
請求項8~10のいずれか一項に記載の鎖置換型DNA合成によるDNA増幅方法のためのキットであって、少なくとも、RNAプライマー、鎖置換型DNA合成酵素および鎖置換型DNA合成反応用緩衝液を含む、前記キット。

【請求項12】
請求項8~10のいずれか一項に記載の鎖置換型DNA合成によるDNA増幅方法によって増幅されたDNA増幅産物であって、
鋳型の環状二本鎖DNAの配列が、樹状構造状に10~1013回繰り返した配列を有する、前記DNA増幅産物。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2008216601thum.jpg
出願権利状態 登録


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