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距離測定方法、距離測定用受信局装置及び位置測定システム 新技術説明会

国内特許コード P10A015390
整理番号 A0200157
掲載日 2010年4月9日
出願番号 特願2008-060922
公開番号 特開2009-216561
登録番号 特許第5305324号
出願日 平成20年3月11日(2008.3.11)
公開日 平成21年9月24日(2009.9.24)
登録日 平成25年7月5日(2013.7.5)
発明者
  • 橋爪 宏達
  • 杉本 雅則
出願人
  • 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構
発明の名称 距離測定方法、距離測定用受信局装置及び位置測定システム 新技術説明会
発明の概要

【課題】屋内のマルチパス環境下においても、高分解能の遅延時間測定を可能とする。
【解決手段】サブキャリアの周波数が同期したマルチキャリア信号を受信局Rで受信し、サブキャリア毎に、コンスタレーションデータ18の位相及び振幅データである周波数領域コンスタレーションデータ26を得、送信局Tからの受信信号を、その伝播パスに応じて、それぞれ振幅A、遅延時間Τ、位相Θが異なる複数の遅延信号の合成遅延信号として表した時、周波数領域コンスタレーションデータ26と、前記遅延信号との残差が少なくなる遅延時間Τから送信局Tと受信局Rの相対的な距離を求める。
【選択図】図3

従来技術、競合技術の概要


近年、GPS等により、モバイル機器の屋外での位置認識が容易となり、それに伴って多くの応用技術(測位アプリケーション)が提案されている。屋内でも同様な位置認識を行えば多くの応用が考えられるが、屋内にはGPSからの電波は届かない。また、屋内では以下のような問題もある。即ち、
(1)位置を知りたいモバイル機器の近傍には、壁や家具など多くの電波伝播上の障害物が存在し、それら伝播障害物からの反射電波のレベルが高い上に、相互の遅延時間差が僅差であるため、直接波と反射波の分離が難しく、位置検出の精度が劣化する。
(2)それにも関わらず、屋内スケールでは屋外より高精度な測定精度(例えば、1m以内、遅延時間差で3n秒以内)を要求される場合が多い。
以上のことより、従来から決め手となる測定方法はなく、このため屋内においては、測位アプリケーションも屋外のようには多くは用いられていない。



無線による3次元位置測定は、その位置が既知の複数の送信局からの信号を受信し、受信信号中の特定の信号を検出して各送信局からの遅延時間を測定し、その遅延時間から各送信局との距離を算出し、当該受信局の位置を決定するのが一般的である。3つの送信局を用いる方式(TOA方式)では各送信局と受信局の伝播遅延時間の絶対値を求める必要があるが、4つの送信局を用いる方式(TDOA方式)では、各送信局と受信局との相対的な遅延時間(遅延時間差)を求めるだけでよい。



TOA方式であれ、TDOA方式であれ、遅延時間(差)を求めるには、受信機において到来信号のタイミングを精密に決定することによって行う。マルチパスがあると、その決定があいまいになり、測定誤差につながる。屋内に適用するには数n秒程度の到着時間差をもつマルチパス信号を分解し、そこに含まれる直接波のみの遅延時間を決定する必要がある。従来、これを行うには、送信信号中のテンプレート信号にそれと同じテンプレート信号を遅延時間を変えながら乗算し、それらの間の相関を計算することにより求める時間領域における相関法(例えば、特許文献1)や、受信信号を逆フーリエ変換することにより遅延時間スペクトラムを得ることにより求める方法(例えば、特許文献2)があった。相関係数をフーリエ変換すれば周波数領域のパワースペクトルになることが知られているので、前者は後者に帰着させることができ、数学的には両者とも、フーリエ変換に基づく方法として同等の性能をもつものととらえることができる。これらの方法において、高い分解能を実現するには送信信号の変調帯域を広くとらなければならない。例えば、1m(遅延時間差:3nsec)の分解能を実現しようとすると通信路の周波数応答の観測帯域幅W=(1/2)×(1/(3nsec))=167MHzとなり、屋内で広く使われている無線LANの規格であるIEEE802.11gの帯域幅16MHzより一桁広い帯域が必要とされる。



上記限界はフーリエ変換における時間・周波数分解能の不確定性原理として知られるもので、時間分解能を上げるためには、周波数分解能を下げる(観測周波数帯域を広くとる)必要があるという事実に対応する。マルチパス波から高時間分解能で直接波を分離するとき、相関法ないし逆フーリエ変換法は数学的には同等の特性をもつ以上、その不確定性原理から脱することはできず、室内の位置計測で要求される精度をIEEE802.11gのような信号形式で達成するには不十分な手法であったということができる。

【特許文献1】特開2002-14152公報(段落0008~段落0015、図2)

【特許文献2】特開2007-300284公報(段落0006)

産業上の利用分野


本発明は、無線を用いた距離及び位置測定に関する。特に、マルチパス環境下の屋内に適し、信号帯域が狭くても精度の高い測定方法、測定装置及び測定システムに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
送信局から送信された、時間基準情報を含み複数のサブキャリアの位相関係が同期したマルチキャリア信号を受信局で受信し、前記時間基準情報の受信タイミング時点における前記マルチキャリア信号の各サブキャリア信号のコンスタレーションデータを得、前記サブキャリア毎に、前記コンスタレーションデータの位相及び振幅を各サブキャリアの復調後の識別信号で正規化して、変調成分を除去した周波数領域コンスタレーションデータを得る工程と;
前記受信局を測定したい位置に設定し、前記送信局からの前記マルチキャリア信号を受信し、前記時間基準情報の受信タイミング時点における前記周波数領域コンスタレーションデータを得る工程と;
前記送信局からの受信信号を、その伝播パスに応じて、それぞれ振幅A、遅延時間Τ、位相Θが異なる複数の遅延信号の合成遅延信号として表した時、前記受信信号の周波数領域コンスタレーションデータと、前記遅延信号の振幅A、遅延時間Τ、位相Θから算出される前記遅延信号との残差を予め定めた尤度関数で評価し、評価された前記残差が予め定めた値以下となる、前記振幅A,前記遅延Τ,前記位相Θを各々決定するフィッティング工程と;
前記決定された複数の前記遅延Τのうち、最も小さい遅延の値を選択し、該最も小さい遅延の値から前記送信局と前記受信局の相対的な距離を求める距離決定工程を備える;
距離測定方法。

【請求項2】
前記マルチキャリア信号はOFDM変調信号である、
請求項1に記載の距離測定方法。

【請求項3】
前記フィッティング工程は、前記合成遅延信号を、各伝播パスを伝播してくる複数の遅延信号の合成とした時の各遅延信号をIQ平面上の円弧で表わし、前記周波数領域コンスタレーションから、前記遅延信号のうち遅延時間が最も小さい遅延信号を減算した残差を予め定めた尤度関数で評価する直接波フィッティング工程を有し、前記残差の値が十分でないと判断される場合は、更に、大きな伝播遅延時間に相当する遅延信号を含めて、再び前記工程を実行するマルチパス波フィッティング工程を有し、
前記遅延時間差選択工程は、前記フィッティング工程を繰り返すことにより求められた遅延Τのうち、最も小さいΤを前記受信遅延時間差として選択する工程を有する、
請求項1又は、請求項2のいずれかに記載の距離測定方法。

【請求項4】
前記尤度関数は、前記残差の円弧の長さで評価する、
請求項3記載の距離測定方法。

【請求項5】
前記尤度関数は、各サブキャリアに対応する前記残差の点列の分散値で評価する、
請求項3記載の距離測定方法。

【請求項6】
前記尤度関数は、各サブキャリアに対応する前記残差の点列の曲率で評価する、
請求項3記載の距離測定方法。

【請求項7】
送信局から送信された、時間基準情報を含みサブキャリアの位相関係が同期したマルチキャリア信号を受信局で受信し、前記時間基準情報の受信タイミング時点における前記マルチキャリア信号の各サブキャリア信号のコンスタレーションデータを得る手段と;
前記サブキャリア毎に、前記コンスタレーションデータの位相及び振幅を各サブキャリアの復調後の識別信号で正規化して、変調成分を除去した周波数領域コンスタレーションデータを得る手段と;
前記送信局から基準となる距離に前記受信局を置いたときに前記周波数コンスタレーションデータが一点に集まるように予め設定するチャネル等化手段と;
前記送信局からの受信信号を、その伝播パスに応じて、それぞれ振幅A、遅延時間Τ、位相Θが異なる複数の遅延信号の合成遅延信号として表した時、前記受信信号の周波数領域コンスタレーションデータと、前記遅延信号の振幅A、遅延時間Τ、位相Θから算出される前記遅延信号との残差を予め定めた尤度関数で評価し、評価された前記残差が予め定めた値以下となる、前記振幅A,前記遅延Τ,前記位相Θを各々決定するフィッティング手段と;
前記決定された複数の前記遅延Τのうち、最も小さい遅延の値を選択し、該最も小さい遅延の値から前記送信局と前記受信局の相対的な距離を求める距離決定手段とを備える;
距離測定用受信局装置。

【請求項8】
設置位置が既知である4つ以上の送信局からの信号を一つの距離測定用受信局で受信し、各送信信号の受信遅延時間差から前記距離測定用受信局の位置を決定する位置測定システムであって、
前記距離測定用受信局は、請求項7記載の距離測定用受信局装置である、
位置測定システム。

【請求項9】
一つの送信局の信号を設置位置が既知である4つ以上の距離測定用受信局で受信し、各受信信号の受信遅延時間差から前記距離測定用送信局の位置を決定する位置測定システムであって、
前記距離測定用受信局は、請求項7記載の距離測定用受信局装置である、
位置測定システム。
産業区分
  • その他通信
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2008060922thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
※ 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII)は、我が国唯一の情報系に特化した研究所です。NIIでは、外部資金による研究成果の社会還元を中心に、技術移転活動に積極的に取り組んでいます。上記の発明にライセンス対象や共同開発対象として関心をお持ちいただいた方は、国立情報学研究所 社会連携推進室までお気軽にお問合せください。


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