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時刻基準点情報伝送システムおよび受信器 新技術説明会

国内特許コード P10S000390
整理番号 A0200111PCJP
掲載日 2010年4月16日
出願番号 特願2007-528168
登録番号 特許第4621924号
出願日 平成18年4月19日(2006.4.19)
登録日 平成22年11月12日(2010.11.12)
国際出願番号 JP2006308212
国際公開番号 WO2006112475
国際出願日 平成18年4月19日(2006.4.19)
国際公開日 平成18年10月26日(2006.10.26)
優先権データ
  • 特願2005-121576 (2005.4.19) JP
発明者
  • 橋爪 宏達
  • 杉本 雅則
出願人
  • 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構
発明の名称 時刻基準点情報伝送システムおよび受信器 新技術説明会
発明の概要

時刻基準点を精度よく且つ短時間で伝送することができる時刻基準点情報伝送システムおよび受信器を提供することを課題とする。本発明にかかる時刻基準点情報伝送システムにおいて、送信器は、通信路で通信可能な周波数信号を複数生成し、生成した複数の周波数信号に基づいて各々の周波数信号の位相が所定の関係になる時点を定め、定めた当該時点を時刻基準点と定義し、定義した時刻基準点に基づいて各々の周波数信号の位相を調整し、位相を調整した後の複数の周波数信号を合成し、合成した複数の周波数信号を通信信号として受信器へ送信する。受信器は、送信器から送信された通信信号を受信し、受信した通信信号に基づいて、当該通信信号に含まれる各々の周波数信号の位相を抽出し、抽出した複数の位相に基づいて各々の位相が所定の関係になる時点を求め、求めた当該時点を時刻基準点として決定する。

従来技術、競合技術の概要
【0002】
通信や計測を行うシステムにおいて、タイミング情報(本発明における時刻基準点に対応)を高速且つ厳密に伝達したり計測したりすることが要求される局面は多く存在する。例えば、画像通信においては水平・垂直走査の同期をとる局面、同期型デジタルデータ通信においては各ビット情報を切り替えるタイミングを検出する局面、計測においては信号の遅延時間に基づいて距離や角度を計測する局面などが存在する。
またデジタル変調された情報パケットを伝送するシステムにおいて、復調の基準になる時刻や振幅を複数の搬送波周波数において効率よく正確に伝達できれば、高速高信頼な通信が可能となる。
【0003】
そして、上述したシステムでは、空間や光ファイバー、導波管、通信ケーブル中を伝搬する電磁波の波動現象や、気体や液体、固体を伝搬する音波の波動現象を利用してタイミング情報を伝達している。
【0004】
ここで、上述したシステムで使用する波形発生器、波動伝搬媒質および波形受信器が、広い周波数領域おいて十分均等な振幅伝達特性および位相伝達特性を有すると仮定すると、例えば、伝えたいタイミング情報を矩形の電気信号パルスの前縁や矩形の超音波バーストの前縁などで表現することで、波形発生器から波形受信器へタイミング情報を正確且つ容易に伝達することができる。また単に包絡線振幅を検出することで、振幅を得ることができる。
【0005】
上述した電気信号パルスや超音波バーストは周波数スペクトラムにおいて無限の広がりを持っている。しかし実在の波形発生器、波動伝搬媒質および波形受信器は、不均等な振幅周波数特性および位相周波数特性を多少なり有し、限られた帯域の周波数による通信しか許されない場合がほとんどである。そのため、矩形の電気信号パルスや矩形の超音波バーストは受信端において変形を受ける。特に、狭帯域の周波数特性を有する波形変換装置や波動伝搬媒質を利用する通信システムや遠距離の通信システムでは、タイミング情報を厳密に伝達することが困難であり、また振幅の検出が困難になり、結果的に情報通信速度が制限される。
【0006】
ところで、計測の分野においては、信号の遅延時間により距離や角度を計測するレーダーやレーザー計測器や超音波計測器が存在する。そして、距離や角度の計測精度はタイミング情報の伝達精度(検出精度)と直接関係する。換言すると、距離や角度の計測精度はタイミング情報の伝達精度(検出精度)に左右される。そのため、計測の分野ではタイミング情報を正確に(厳密に)伝達することが重要である。ここで、例えば、40kHzの搬送波バーストの包絡線前縁を検出することで送信器と受信器との間の距離を計測する超音波式距離計が存在する。そして、当該超音波式距離計の距離計測精度は数cm~数十cm程度である。なお、当該超音波式距離計では超音波の送受信素子に圧電セラミック素子を使用している。ちなみに、空気中を伝搬する音波の速度に照らして換算すると、当該超音波式距離計におけるタイミング情報の伝達精度は0.1ms~1msであり、この値は狭帯域通信路を通過した波形の包絡線を利用して達成できる精度の代表値である。
【0007】
上述した超音波式距離計で使用している圧電セラミック素子は狭帯域の周波数特性を有するため、受信波形は強い歪みを受ける。また、上述した超音波式距離計では、超音波バーストの前縁のような、信号的に過渡応答特性の強く影響する領域を使用するため、送受信素子の特性のばらつきが計測精度やタイミング情報の伝達精度に影響を与えやすくなる。さらに、波形の包絡線は伝送路の振幅周波数特性および位相周波数特性の双方の影響を受けるため、これら特性を有する伝送路を利用する場合には、包絡線の形状が変化し易くなり、その結果、タイミング情報の伝達精度が低下してしまう可能性が考えられる。
【0008】
一方、位相情報のみを使用してタイミング情報を伝達することができれば、包絡線を利用してタイミング情報を伝達する方法に比べてその伝達精度を高めることが可能であり、その結果、より精度の高い計測や通信が行える可能性がある。ここで、例えば、比較的近接した2点間で距離計測を行い、位相の差を得て信号源との角度を求める角度計は実用されている。また、例えば、狭い距離の中で変位を求める微小変位計が実用化されており、当該微小変位計は1mm前後の計測精度を有している。
【0009】
ここで、位相情報のみを使用してタイミング情報を伝達する場合、位相は正弦波のような周期現象から抽出しなければならず、さらに波形は2πラジアンの位相値(時間の場合は周期、距離の場合は波長)で繰り返されるため、受信端で得られる位相は、その絶対値を2πで除した剰余(その絶対値を2πで割ったときの余り)となる。これにより、例えば、位相を抽出することで距離を計測しようとしても、距離の絶対値を計測することはできない。具体的には、40kHzの超音波の波長は空気中で約8.5mm(位相値の2πラジアンに相当する)であるが、当該超音波を利用して位相を抽出し、距離を決めようとしても、距離を8.5mmの波長で割ったときの余りが求められるのみで、距離の絶対値を計測することはできない。
【0010】
そこで、位相を利用した超音波変位計に、40kHzの超音波の空気中での波長に相当する8.5mmを超える計測範囲をもたせる発明として、特許文献1が開示されている。特許文献1には、異なる2つの周波数f1およびf2(f1>f2)による位相遅延計測を周波数を切り替えながら2度行うことで位相φ1およびφ2を得て、その位相に基づいて各種処理を行うことで実質的に「f1-f2」の周波数を使用して位相を計測したことに換算する装置および方法について記されている。具体的には、「f1=40kHz、f2=39kHz」の各周波数を切り替えながら位相遅延を計測することで、実質的に1kHz(40kHz-39kHz)の搬送波で位相を計測したような効果を得ている。これにより、1mm前後の計測精度は維持しつつ、40kHzの超音波を利用した変位計の距離の不定さである8.5mmを1kHzの音波の波長である340mmまで延長することができた。
【0011】
【特許文献1】
特開2004-191145号公報
産業上の利用分野
【0001】
本発明は、所定の周波数帯域で通信可能な通信路(例えば、周波数に因り位相伝搬特性や振幅伝搬特性が変化する等の理由から、通信に利用できる周波数帯域が制約されている通信路)において、送信器から受信器へ時刻基準点に関する情報を伝送する時刻基準点情報伝送システム、および当該時刻基準点情報伝送システムで用いる受信器に関するものである。
特許請求の範囲 【請求項1】 所定の周波数帯域で通信可能な通信路において送信器から受信器へ時刻基準点に関する情報を伝送する時刻基準点情報伝送システムであって、
前記送信器は、
前記通信路で通信可能な周波数信号を複数生成する周波数信号生成手段と、
前記周波数信号生成手段で生成した複数の前記周波数信号のうちの2つの前記周波数信号の周波数の差の絶対値の逆数以下の値を、前記受信器へ通信信号を送信する時間の長さとして設定し、設定した前記時間の長さの範囲で各々の前記周波数信号の位相が一致する時点を定め、定めた当該時点を前記時刻基準点と定義し、定義した前記時刻基準点に基づいて各々の前記周波数信号の前記位相を揃える位相調整手段と、
前記位相調整手段で前記位相を揃えた後の複数の前記周波数信号を合成し、合成した複数の前記周波数信号を前記通信信号として前記時間の長さ分前記受信器へ送信する送信手段と、
を備え、
前記受信器は、
前記送信器から送信された前記通信信号を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した前記通信信号に基づいて、当該通信信号に含まれる各々の前記周波数信号の前記位相を抽出する位相抽出手段と、
前記位相抽出手段で抽出した複数の前記位相に基づいて各々の前記位相が一致する時点を求め、求めた当該時点を前記時刻基準点として決定する時刻基準点決定手段と、
を備えたことを特徴とする時刻基準点情報伝送システム。
【請求項2】 前記位相抽出手段は、前記受信手段で受信した前記通信信号および数式1に基づいて、当該通信信号に含まれる各々の前記周波数信号の前記位相を抽出すること
【数式1】
(数式1において、sinc(x)は標本化関数であり、「sinc(x)=(sinx)÷x」で定義される。ωおよびωは角周波数であり、それぞれ「ω=2πf」および「ω=2πf」で定義される。なお、fおよびfはそれぞれ、前記周波数信号生成手段で生成した前記周波数信号の周波数である。Tは前記通信信号を取り出す時間の長さである。eは自然対数における底である。jは虚数単位である。pおよびpはそれぞれ、周波数fの前記周波数信号に対応する位相および周波数fの前記周波数信号に対応する位相である。s(t)は前記通信信号の波形を表す関数であり、「s(t)=asin(ωt+p)+asin(ωt+p)」で定義される。aおよびaはそれぞれ、周波数fの前記周波数信号に対応する振幅および周波数fの前記周波数信号に対応する振幅である。tは時刻を表す変数である。<s(t),eω1t>および<s(t),eω2t>はそれぞれ、s(t)とeω1tとの内積およびs(t)とeω2tとの内積である。)
を特徴とする請求項1に記載の時刻基準点情報伝送システム。
【請求項3】 前記位相抽出手段は、前記受信手段で受信した前記通信信号に基づいて、当該通信信号に含まれる各々の前記周波数信号の前記位相および当該通信信号に含まれる各々の前記周波数信号の角周波数を抽出し、
前記時刻基準点決定手段は、前記位相抽出手段で抽出した複数の前記位相および複数の前記角周波数に基づいて各々の前記位相が所定の関係になる時点を求め、求めた当該時点を前記時刻基準点として決定すること
を特徴とする請求項1または2に記載の時刻基準点情報伝送システム。
【請求項4】 前記送信手段は、前記合成した複数の前記周波数信号を前記通信信号として超音波、電磁波、光のいずれか1つで前記受信器へ送信し、
前記受信手段は、前記送信器から送信された前記通信信号を、前記超音波、前記電磁波、前記光のいずれか1つで受信すること
を特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の時刻基準点情報伝送システム。
【請求項5】 所定の周波数帯域で通信可能な通信路において時刻基準点に関する情報を受信する受信器であって、
各々の位相が所定の関係になる時点と定義された前記時刻基準点に基づいて各々の前記位相が調整された複数の周波数信号であって前記調整の後に合成されたものを、通信信号として受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した前記通信信号および数式1に基づいて、当該通信信号に含まれる各々の前記周波数信号の前記位相を抽出する位相抽出手段と、
【数式2】
(数式1において、sinc(x)は標本化関数であり、「sinc(x)=(sinx)÷x」で定義される。ωおよびωは角周波数であり、それぞれ「ω=2πf」および「ω=2πf」で定義される。なお、fおよびfはそれぞれ、前記周波数信号生成手段で生成した前記周波数信号の周波数である。Tは前記通信信号を取り出す時間の長さである。eは自然対数における底である。jは虚数単位である。pおよびpはそれぞれ、周波数fの前記周波数信号に対応する位相および周波数fの前記周波数信号に対応する位相である。s(t)は前記通信信号の波形を表す関数であり、「s(t)=asin(ωt+p)+asin(ωt+p)」で定義される。aおよびaはそれぞれ、周波数fの前記周波数信号に対応する振幅および周波数fの前記周波数信号に対応する振幅である。tは時刻を表す変数である。<s(t),eω1t>および<s(t),eω2t>はそれぞれ、s(t)とeω1tとの内積およびs(t)とeω2tとの内積である。)
前記位相抽出手段で抽出した複数の前記位相に基づいて各々の前記位相が所定の関係になる時点を求め、求めた当該時点を前記時刻基準点として決定する時刻基準点決定手段と、
を備えたことを特徴とする受信器。
【請求項6】 前記位相抽出手段は、前記受信手段で受信した前記通信信号に基づいて、当該通信信号に含まれる各々の前記周波数信号の前記位相および当該通信信号に含まれる各々の前記周波数信号の角周波数を抽出し、
前記時刻基準点決定手段は、前記位相抽出手段で抽出した複数の前記位相および複数の前記角周波数に基づいて各々の前記位相が所定の関係になる時点を求め、求めた当該時点を前記時刻基準点として決定すること
を特徴とする請求項5に記載の受信器。
【請求項7】 前記受信手段は、前記通信信号を、超音波、電磁波、光のいずれか1つで受信することを特徴とする請求項5または6に記載の受信器。
【請求項8】 所定の周波数帯域で通信可能な通信路において送信器から受信器へ時刻基準点に関する情報を伝送する時刻基準点情報伝送システムであって、
前記送信器は、
前記通信路で通信可能な複数の周波数信号に対応する各波形の位相が一致する時点と定義した前記時刻基準点に基づいて前記各波形の前記位相を予め揃えて合成した合成波形を記憶する波形記憶部と、
前記波形記憶部で記憶した前記合成波形の前記周波数信号を通信信号として前記受信器へ送信する送信手段と
を備え、
前記受信器は、
前記送信器から送信された前記通信信号を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した前記通信信号に基づいて、当該通信信号に含まれる各々の前記周波数信号の前記位相を抽出する位相抽出手段と、
前記位相抽出手段で抽出した複数の前記位相に基づいて各々の前記位相が一致する時点を求め、求めた当該時点を前記時刻基準点として決定する時刻基準点決定手段と、
を備えたことを特徴とする時刻基準点情報伝送システム。
【請求項9】 所定の周波数帯域で通信可能な通信路において送信器から受信器へ時刻基準点に関する情報を伝送する時刻基準点情報伝送システムであって、
前記送信器は、
前記通信路で通信可能な周波数信号を複数生成する周波数信号生成手段と、
前記周波数信号生成手段で生成した複数の前記周波数信号のうちの2つの前記周波数信号の周波数の差の絶対値の逆数以下の値を、前記受信器へ通信信号を送信する時間の長さとして設定し、設定した前記時間の長さの範囲で各々の前記周波数信号の位相が一致する時点を定め、定めた当該時点を前記時刻基準点と定義し、定義した前記時刻基準点が前記通信信号に含まれるように前記時間の長さの開始時刻を設定し、前記時刻基準点に基づいて各々の前記周波数信号の前記位相を揃える位相調整手段と、
前記位相調整手段で前記位相を揃えた後の複数の前記周波数信号を合成し、合成した複数の前記周波数信号を前記通信信号として、前記開始時刻から前記時間の長さ分前記受信器へ送信する送信手段と、
を備え、
前記受信器は、
前記送信器から送信された前記通信信号を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した前記通信信号に基づいて、当該通信信号に含まれる各々の前記周波数信号の前記位相を抽出する位相抽出手段と、
前記位相抽出手段で抽出した複数の前記位相に基づいて各々の前記位相が一致する時点を求め、求めた当該時点を前記時刻基準点として決定する時刻基準点決定手段と、
を備えたことを特徴とする時刻基準点情報伝送システム。
産業区分
  • ラジオ放送
  • その他通信
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
※ 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII)は、我が国唯一の情報系に特化した研究所です。NIIでは、外部資金による研究成果の社会還元を中心に、技術移転活動に積極的に取り組んでいます。上記の発明にライセンス対象や共同開発対象として関心をお持ちいただいた方は、国立情報学研究所 社会連携推進室までお気軽にお問合せください。


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