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急峻波電圧発生装置

国内特許コード P10A015395
掲載日 2010年4月23日
出願番号 特願2001-140289
公開番号 特開2002-340958
登録番号 特許第4117700号
出願日 平成13年5月10日(2001.5.10)
公開日 平成14年11月27日(2002.11.27)
登録日 平成20年5月2日(2008.5.2)
発明者
  • 井口 良夫
  • 園田 利明
  • 四蔵 達之
  • 佐久間 政喜
出願人
  • 防衛装備庁長官
発明の名称 急峻波電圧発生装置
発明の概要 【課題】誤動作し難くするとともに低コストにする。
【解決手段】第1のトリガパルス6Aを発生させる第1のトリガ電源27Aが、直流電源1でもって充電される第1のトリガ用コンデンサ25Aと、この第1のトリガ用コンデンサ25Aに直列接続される第1のトリガギャップ24Aと、この第1のトリガギャップ24Aと第1のトリガ用コンデンサ25Aとの直列回路に並列接続されるとともに第1のインダクタLA および第1のキャパシタCA でもって構成された第1の遅延回路18Aとで構成され、第1のトリガギャップ24Aに始動パルス3Aが注入され第1のトリガギャップ24Aを短絡させることによって第1のトリガ用コンデンサ25Aに充電されていた電荷を第1の遅延回路18Aに入力させ第1のトリガパルス6Aを始動パルス3Aより所定時間だけ遅らせて出力させる。
従来技術、競合技術の概要


急峻な波形の電磁波ノイズが電子機器に侵入し、その電子機器が誤動作することが最近大きな問題になっている。ICやLSIなどの集積半導体素子は、電子機器の縮小化や価格の低減など多大な効果をもたらした。しかし、一方では個々の素子の寸法が縮小化されたことから、外来の電磁波ノイズによる誤動作や局部的な絶縁損傷が生じやすくなってきた。そのために、電子機器の耐ノイズ性を向上させる努力が懸命に払われている。このような電子機器の耐ノイズ性を評価するために人工的な電磁波発生装置が必要になってきている。すなわち、電磁波発生装置に電子機器をセットし、急峻に立ち上がるパルス性の電磁波によって電子機器の誤動作や素子の損傷が認められないか否かが試験される。急峻波電圧発生装置は前記のような電磁波発生装置に組み込まれ、空中線などの負荷に急峻波電圧を印加することによって電磁場を形成させている。



図2は、従来の急峻波電圧発生装置の構成を示す回路図である。インパルス発生回路2の構成は、直列接続された複数の充電用コンデンサCG のそれぞれに直列に火花ギャップ3が介装され、この充電用コンデンサCG のそれぞれに並列に直流電源1が接続されている。インパルス発生回路2の出力端2Aには、ピーキング回路5が接続されている。このピーキング回路5は、出力端2Aに並列に短絡ギャップ10が接続され、この短絡ギャップ10に並列に放電抵抗RC を介して波頭調整用コンデンサCp が接続されている。ピーキング回路5の出力端5Aは放電ギャップ6を介して波頭調整用コンデンサCp に並列接続されている。



図2において、トリガ信号源7が始動パルス3Aを発生させるための電源であり、トリガ電源8,9がそれぞれ第1のトリガパルス6A,第2のトリガパルス6Bを発生させるための電源である。始動パルス3Aは複数の火花ギャップ3にそれぞれ注入され火花ギャップ3を短絡させるためのパルスである。また、第1のトリガパルス6Aは放電ギャップ6に注入され放電ギャップ6を短絡させるためのパルスであり、第2のトリガパルス6Bは短絡ギャップ10に注入され短絡ギャップ10を短絡させるためのパルスである。トリガ電源8,9は同じ回路構成を備え、遅延回路17の出力がゲート駆動回路19に入力され、このゲート駆動回路19の出力が半導体スイッチ22のゲートに入力されている。半導体スイッチ22と、直流電源20によって直流充電された始動用コンデンサ21との直列回路がパルストランス23の低圧巻線に並列接続され、パルストランス23の高圧巻線からそれぞれ第1のトリガパルス6A,第2のトリガパルス6Bが出力されるようになっている。トリガ信号源7からの始動パルス3Aを遅延回路17が受け、遅延回路17が始動パルス3Aを遅らせた後、ゲート駆動回路19に出力する。ゲート駆動回路19の出力信号でもって半導体スイッチ22が短絡状態になるので、始動用コンデンサ21に充電されていた電荷がパルストランス23の低圧巻線に流れ込む。それによって、それぞれのパルストランス23の高圧巻線に高圧の第1のトリガパルス6A,第2のトリガパルス6Bが誘起される。



図2の急峻波電圧発生装置の動作としては、ピーキング回路5の出力端5Aに図示されていない負荷が接続された状態で、各充電用コンデンサCG が直流電源1によって充電される。次に、火花ギャップ3に始動パルス3Aが注入され火花ギャップ3を短絡させる。火花ギャップ3の短絡によって充電用コンデンサCG に蓄えられていた電荷がピーキング回路5の方へ流れ出し、放電抵抗RC を介して一旦波頭調整用コンデンサCp に蓄積される。波頭調整用コンデンサCp にある程度の電荷が蓄えられたときに、放電ギャップ6に第1のトリガパルス6Aが注入され、放電ギャップ6の短絡によって立ち上がり時間の短い急峻波電圧が出力端5Aに発生する。立ち上がりの時間が1μs以上の電圧を発生させる場合にはインパルス発生回路2だけで充分であるが、立ち上がりの時間が100ns以下の急峻な電圧を発生させる場合には、ピーキング回路5が必要になって来る。なお、短絡ギャップ10は、必ずしも必要ではないが、放電ギャップ6の短絡時刻の付近で短絡ギャップ10に第2のトリガパルス6Bを注入させることにより、短絡ギャップ10が絶縁破壊しインパルス発生回路2の出力端2Aが短絡される。それによって、後述されるように出力端5Aに発生する電圧波形の持続幅を短くすることができる。



図3は、図2の急峻波電圧発生装置から発生する電圧波形を計算した結果を示すタイムチャートであり、図4は図3の要部拡大タイムチャートである。すなわち、横軸tは火花ギャップ3を短絡させた時からの時間であり、縦軸Vは電圧である。回路定数としては、放電抵抗Rc を1000Ω、充電用コンデンサCg のトータルの直列容量を35nF、波頭調整用コンデンサCp を1.5nFとした。放電ギャップ6を短絡させる時間tp は6μs、短絡ギャップ10を短絡させる時間tc は6.2μsにそれぞれ設定された。図3において、波形11(一点鎖線)がインパルス発生回路2の出力端2Aに発生する電圧V0 、波形12(点線)が図2における波頭調整用コンデンサCp にかかる電圧V1 、波形13(実線)がピーキング回路5の出力端5Aに発生する電圧V2 である。火花ギャップ3を短絡されると、波形11は直ぐに立ち上がり直列に接続された充電用コンデンサCg のトータルの充電電圧に等しくなる。一方、波形12は放電抵抗Rc が1000Ωと大きいので、ある時定数でもって緩やかに上昇する。時間tp において放電ギャップ6が短絡されると、波形11は僅かに変歪するがほぼ充電用コンデンサCg の充電電圧のまま保持される。その時間tp において波形13が急峻に立ち上がり、直ぐに減衰し始める。時間tc において短絡ギャップ10が短絡されると波形11は急に零まで裁断されるが、波形13は波頭調整用コンデンサCp と負荷のインピーダンスと放電抵抗Rc とによって決まる時定数でもって減衰するようになり、急峻でかつ持続時間の短い電圧波形が得られる。なお、波形13は時間tc において僅かに変曲している。これは、時間tc において短絡ギャップ10が短絡されるのでインパルス発生回路2の出力端2Aが短絡し、波形13の減衰時定数が変わるためである。



すなわち、図4において、波形13(実線)は時間tc が6.2μsに設定された場合であるが、短絡ギャップ10が短絡されない場合は波形29(一点鎖線)のように持続時間が長くなるだけである。したがって、図2の短絡ギャップ10をあえて設けなくても、波形29のような急峻波電圧を発生させることができる。しかし、短絡ギャップ10を短絡させることによって、波形29の持続時間を調整することができる。短絡ギャップ10を短絡させる時間tc は時間tp の前であってもよく、また時間tp であってもよく、さらに、時間tp の後であってもよい。波形13(実線)は時間tc が6.2μsの場合であり、時間tp より0.2μs後である。時間tが6.2μs以降はインパルス発生回路2が短絡されるので急峻波電圧の時定数が小さくなり、それによって、波形13の持続時間が短くなっている。一方、波形16(点線)は時間tc が5.8μsまたは6.0μsの場合のものである。その場合のインパルス発生回路2の出力端2Aに発生する電圧V0 は、図3のようにそれぞれ波形14(tc が5.8μs)、波形15(tc が6.0μs)となるが、ピーキング回路5の出力端5Aに発生する電圧V2 の波形16は図4のように波形13とは殆ど変わらない。したがって、短絡ギャップ10を短絡させる時間tc は、放電ギャップ6を短絡させる時間tp の付近であれば、時間tp の前後付近ならいずれの時間であってもよい。しかも、波形13や波形16の持続幅は、インパルス発生回路2の回路定数には全く依存せず、放電抵抗Rc や波頭調整用コンデンサCp 、負荷側の回路定数だけによって決まる。なお、放電抵抗Rc の抵抗値を負荷側のインピーダンスより遙に大きくしておけば、波形13や波形16の持続幅は波頭調整用コンデンサCp のキャパシタンスと負荷側のインピーダンスだけによってほぼ決まる。

産業上の利用分野


この発明は、10nsよりも短い時間で急峻に立ち上がる波形の電圧発生装置に関し、特に、誤動作し難いとともに低コストな装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】直流電源によって充電される充電用コンデンサに火花ギャップが直列接続されてなるインパルス発生回路と、このインパルス発生回路に放電抵抗を介して波頭調整用コンデンサが並列接続され、急峻波電圧の出力端が放電ギャップを介して前記波頭調整用コンデンサの両端に接続されてなるピーキング回路とにより構成され、始動パルスが前記火花ギャップに注入されるとともに、第1のトリガパルスが前記始動パルスより所定時間遅れて前記放電ギャップに注入されるように構成され、始動パルスの注入でもって前記火花ギャップを短絡させることにより充電用コンデンサに充電されていた電荷を波頭調整用コンデンサに蓄積させ、次に第1のトリガパルスの注入でもって前記放電ギャップを短絡させることによって波頭調整用コンデンサに蓄積されていた電荷を負荷側に放出しピーキング回路の出力端に急峻波電圧を発生させる急峻波電圧発生装置において、前記第1のトリガパルスを発生させる第1のトリガ電源が、前記直流電源でもって充電される第1のトリガ用コンデンサと、この第1のトリガ用コンデンサに直列接続される第1のトリガギャップと、この第1のトリガギャップと第1のトリガ用コンデンサとの直列回路に並列接続されるとともに第1のインダクタおよび第1のキャパシタでもって構成された第1の遅延回路とで構成され、第1のトリガギャップに前記始動パルスが注入され第1のトリガギャップを短絡させることによって第1のトリガ用コンデンサに充電されていた電荷を第1の遅延回路に入力させ前記第1のトリガパルスを始動パルスより前記所定時間だけ遅らせて出力させることを特徴とする急峻波電圧発生装置。
【請求項2】直流電源によって充電される充電用コンデンサに火花ギャップが直列接続されてなるインパルス発生回路と、このインパルス発生回路に短絡ギャップが並列接続されるとともにこの短絡ギャップに放電抵抗を介して波頭調整用コンデンサが並列接続され、急峻波電圧の出力端が放電ギャップを介して前記波頭調整用コンデンサの両端に接続されてなるピーキング回路とにより構成され、始動パルスが前記火花ギャップに注入されるとともに、第1のトリガパルスが前記始動パルスより所定時間遅れて前記放電ギャップに注入されるように構成され、第2のトリガパルスが前記放電ギャップの短絡時刻付近で短絡ギャップに注入されるように構成され、始動パルスの注入でもって前記火花ギャップを短絡させることによって充電用コンデンサに充電されていた電荷を波頭調整用コンデンサに蓄積させ、次に第1のトリガパルスの注入でもって前記放電ギャップを短絡させることによって波頭調整用コンデンサに蓄積されていた電荷を負荷側に放出しピーキング回路の出力端に急峻波電圧を発生させ、さらに、第2のトリガパルスの注入でもって前記短絡ギャップを短絡させる急峻波電圧発生装置において、前記第2のトリガパルスを発生させる第2のトリガ電源が、前記直流電源でもって充電される第2のトリガ用コンデンサと、この第2のトリガ用コンデンサに直列接続される第2のトリガギャップと、この第2のトリガギャップと第2のトリガ用コンデンサとの直列回路に並列接続されるとともに第2のインダクタおよび第2のキャパシタでもって構成された第2の遅延回路とで構成され、第2のトリガギャップに前記始動パルスが注入され第2のトリガギャップを短絡させることによって第2のトリガ用コンデンサに充電されていた電荷を第2の遅延回路に入力させ前記第2のトリガパルスを前記放電ギャップの短絡時刻付近で出力させることを特徴とする急峻波電圧発生装置。
【請求項3】請求項2に記載の急峻波電圧発生装置において、前記第1のトリガパルスを発生させる第1のトリガ電源が、前記直流電源でもって充電される第1のトリガ用コンデンサと、この第1のトリガ用コンデンサに直列接続される第1のトリガギャップと、この第1のトリガギャップと第1のトリガ用コンデンサとの直列回路に並列接続されるとともに第1のインダクタおよび第1のキャパシタでもって構成された第1の遅延回路とで構成され、第1のトリガギャップに前記始動パルスが注入され第1のトリガギャップを短絡させることによって第1のトリガ用コンデンサに充電されていた電荷を第1の遅延回路に入力させ前記第1のトリガパルスを始動パルスより所定時間だけ遅らせて出力させることを特徴とする急峻波電圧発生装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 登録
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