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微生物細胞からのプラスミドDNA抽出法 新技術説明会

国内特許コード P10P006745
掲載日 2010年4月30日
出願番号 特願2008-261320
公開番号 特開2010-088343
登録番号 特許第5463492号
出願日 平成20年10月8日(2008.10.8)
公開日 平成22年4月22日(2010.4.22)
登録日 平成26年1月31日(2014.1.31)
発明者
  • 永田 善明
出願人
  • 島根県
発明の名称 微生物細胞からのプラスミドDNA抽出法 新技術説明会
発明の概要 【課題】プラスミドDNAの抽出操作を簡略化し、試薬の使用量を削減し、操作にかかる時間を短縮する方法を提供する。
【解決手段】アルカリ金属水酸化物塩と陰イオン界面活性剤とを含む細胞溶解液によって微生物細胞を溶解し、ライセートを調製する。次に、このライセートをアルカリ土類金属を交換性陽イオンとして保持する陽イオン交換体、および水素イオンを交換性陽イオンとして保持する陽イオン交換体と接触させる。次に、固液分離を行ってプラスミドDNAを含有する溶液を回収する。
【選択図】図2
従来技術、競合技術の概要



プラスミドDNAは、遺伝子工学実験において、遺伝子のクローニング、遺伝子の増幅、遺伝子にコードされたタンパク質の発現、DNA塩基配列の読みとり、特定のDNA塩基配列に結合する因子の探索、遺伝子導入による細胞の薬剤耐性獲得等の形質転換、遺伝子のノックアウト等、様々な目的に用いられる。





プラスミドDNAは、一般的には大腸菌、枯草菌等の微生物細胞内で複製される。従って、プラスミドDNAを遺伝子工学実験に用いるためには、目的とするプラスミドDNAを微生物に導入したのち培養し、増殖した微生物細胞を回収してプラスミドDNAを抽出する必要がある。そこで、そのための方法が数多く提案されている。





プラスミドDNAの導入対象として大腸菌を用いる場合、代表的な大腸菌からのプラスミドDNA抽出法として、アルカリ-miniprep法が挙げられる。非特許文献1によれば、アルカリ-mini prep法の概略は、次の通りである。





(1)プラスミドDNAを保持する大腸菌培養液を1.5mLのチューブに移して遠心操作を行い、菌体をペレットとして回収する。(2)菌体ペレットに100μLのsolutionI[25mM Tris-HCl(pH8.0)、10mM EDTA、0.9%グルコース]を加えて懸濁する。(3)200μLのsolution II[0.2

M NaOH、1%SDS]を加えて菌体を溶解し、タンパク質、核酸を変性状態とする

。(4)150μLのsolution III[3M 酢酸カリウム、11.5%酢酸]を加えて溶液の中和とSDSの除去を行う。この操作により、染色体DNA、タンパク質は凝集沈殿物となるが、プラスミドDNAは溶液部分に留まる。(5)凝集沈殿物を遠心分離により溶液から除去し、プラスミドDNAを含む溶液を回収する。(6)得られたプラスミドDNAを含む溶液に対して、フェノール・クロロホルム抽出を行ってタンパク質を除去する。(7)プラスミド溶液の2倍量のエタノールを加えてドライアイス上に5分静置する。(8)遠心操作によってプラスミドDNAの沈殿を得る。(9)得られたプラスミドDNAの沈殿をTE[10mMTris-HCl pH8.0、1mM EDTA]に溶解して試料とする。





上記のように、アルカリ-mini prep法は操作段階が多く煩雑であり、また有

害物質であるフェノール、クロロホルムを使用する必要がある。そこで、操作の簡略化や有害物質の使用量削減を目的として、核酸結合担体を用いたプラスミドDNA抽出法が開示されている。以下に、核酸結合担体を用いたプラスミドDNA抽出法の例を示す。





特許文献1には、「プラスミドDNAを保持する微生物あるいは細胞に、カオトロピック物質を含むpH3~6の溶解液、有機溶媒からなる抽出液および核酸結合性固相担体を接触させることにより、プラスミドDNAを固相担体上に吸着させ、この固相担体を洗浄し、洗浄した固相担体から溶出液によりプラスミドDNAを溶出させる方法」が開示されている。この方法を前記アルカリ-miniprep法における操作(2)~(9)に置き換えることにより、操作の簡略化を図るとしている。しかしこの方法で使用されるカオトロピック塩は、多くの場合強力な変性剤であり、人体に有害である。また、同じく有害性のある有機溶媒を使用しなければならない。





特許文献2には、有害物質であるフェノール、クロロホルムを使用することなくプラスミドDNAを抽出する方法が開示されている。すなわち、前記アルカリ-miniprep法における操作(5)を、「A細胞破片および他の粒子を流れの方向に、または試料が流れる方向に見てポア径が小さくなるフィルター層によって除く」工程とし、(6)から(9)を「B該溶出液をその後、低イオン強度または高イオン強度のバッファー溶液中で陰イオン交換体により処理する」工程とすることで、有害物質の使用を避け、操作時間の短縮化を図るとしている。しかしこの方法は、工程中にフィルター層を有する器具を新たに導入する必要があり、コストの上昇を招く。また、アルカリ-miniprep法と比較した場合、操作段階は実質的に減少していない。





上記2つの方法以外にも、核酸結合担体を使用するプラスミド抽出法は数多く開示されているが、核酸結合担体を使用するという原理上、(i)微生物細胞の溶解(ii)プラスミドDNAの担体への結合、(iii)担体の洗浄、(iiii)担体からのプラスミドDNAの溶出、の4操作は必須であり、この操作を省略することはできない。

【非特許文献1】

本雅編、「実験医学別冊バイオマニュアルシリーズ1 遺伝子工学の基礎実験」、羊土社、1993、p.19-76

【特許文献1】

開平9-327290

【特許文献2】

開2001-95572

産業上の利用分野



本発明は、プラスミドDNAを保持する微生物細胞からの、プラスミドDNAの抽出方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
微生物細胞からプラスミドDNAを抽出する方法であって、
工程(1):以下の細胞溶解液Aにより微生物細胞を溶解してライセートを調製する工程。
工程(2):工程(1)において調製したライセートに、以下のゼオライトBおよびゼオライトCを接触させる工程。
工程(3):不溶性画分と水層を分離する工程。
細胞溶解液A:アルカリ金属水酸化物塩と、アルキル硫酸塩を除く陰イオン界面活性剤とを含む液。
ゼオライトB:交換性陽イオンとしてアルカリ土類金属陽イオンを保持するゼオライトゼオライトC:交換性陽イオンとして水素イオンを保持するゼオライト
以上の工程(1)から工程(3)を含むことを特徴とする微生物細胞からのプラスミドDNA抽出法。

【請求項2】
微生物細胞からプラスミドDNAを抽出する方法であって、
工程(1):以下の細胞溶解液Aにより微生物細胞を溶解してライセートを調製する工程。
工程(2):工程(1)において調製したライセートに、以下のゼオライトBおよびゼオライトCを接触させる工程。
工程(3):不溶性画分と水層を分離する工程。
細胞溶解液A:水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウムからなる群より選択される、1つまたは複数のアルカリ金属水酸化物塩と、アルキル硫酸塩とを含む液。
ゼオライトB:カリウム、ルビジウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムからなる群より選択される、1つまたは複数の陽イオンを交換性陽イオンとして保持するゼオライト
ゼオライトC:交換性陽イオンとして水素イオンを保持するゼオライト
以上の工程(1)から工程(3)を含むことを特徴とする微生物細胞からのプラスミドDNA抽出法。

【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の工程(2)において、ライセートがゼオライトBへの接触の後にゼオライトCへ接触することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の微生物細胞からのプラスミドDNA抽出法。

【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の工程(2)において、ライセートがゼオライトBゼオライトCとに同時に接触することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の微生物細胞からのプラスミドDNA抽出法。

【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の工程(2)において、ライセートとゼオライトBまたはゼオライトCあるいはその両方との接触が、ゼオライトを充填したカラムにより行われることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の微生物細胞からのプラスミドDNA抽出法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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