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テラヘルツ測定装置、時間波形取得法及び検査装置

国内特許コード P10A015433
整理番号 13146
掲載日 2010年5月14日
出願番号 特願2008-165659
公開番号 特開2010-008139
登録番号 特許第5213167号
出願日 平成20年6月25日(2008.6.25)
公開日 平成22年1月14日(2010.1.14)
登録日 平成25年3月8日(2013.3.8)
発明者
  • 村上 洋
出願人
  • 独立行政法人日本原子力研究開発機構
発明の名称 テラヘルツ測定装置、時間波形取得法及び検査装置
発明の概要

【課題】測定周波数帯域の広帯域化と周波数分解能の高分解能化とを実現したテラヘルツ測定装置等を提供する。
【解決手段】THz波スペクトル測定装置(1)は、フェムト秒レーザーをポンプ光とプローブ光とに分岐するビームスプリッタ(11)と、ポンプ光を受けてTHz波を発生させるTHz波発生源(12)と、プローブ光をチャープパルスに変換するチャープ発生光学器(22)と、チャープパルスを2つに分岐するビームスプリッタ(31)と、分岐された一方の参照光を検出する参照光検出手段と、他方をTHz波の電気光学効果にて変調する電気光学結晶(43)と、電気光学結晶(43)から出力された信号光を検出する信号光検出手段と、同時に検出された参照光と信号光とに基づいてTHz波の時間波形を取得する演算回路(50)とを有する。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


現在、フェムト秒レーザーを用いたTHz波の測定法は、THz時間領域分光法(以下、A法と呼ぶ)が主流である。A法において、レーザーパルスは2つに分岐される。一方のレーザーパルス(ポンプパルスと呼ぶ)はTHz波発生素子に照射されて、THz波パルスの発生に使われる。もう一方のパルス(プローブパルスと呼ぶ)は、THz波パルスの時間波形をサンプリングするために用いられる。
A法では、光学的時間遅延器を使って時間幅がTHz波パルスに比べて充分狭いプローブパルスを動かし、THz波パルスの時間波形を一点ずつサンプリングしてTHz波パルスの時間波形全体を得る。光学的時間遅延器を機械的に動かしながら所定の時間間隔毎に測定を繰り返すため、THz波パルスの時間波形全体を測定するのに数分程度の時間を必要とする。



また、A法では、測定対象物をTHz波パルスの光路内の測定位置に配置した場合と配置しない場合の両方でTHz波パルスの時間波形を測定し、フーリエ変換してそれぞれの周波数スペクトル(それぞれEr及びEsとする)を取得する。取得した2つの周波数スペクトルに基づいて所定の演算をすることにより、測定対象物のTHz領域の吸収スペクトル(log(|Er|2/|Es|2))と複素振幅透過率スペクトル(Er/Es)とを得る。尚、以下ではTHz領域の吸収スペクトルと複素振幅透過率スペクトルをTHzスペクトルと呼ぶ。



A法での測定時間を短縮するための一つの方法として、チャープパルスを用いたマルチチャンネル計測法(以下B法と呼ぶ)が、Jiangらにより提案された(非特許文献1)。B法では、フェムト秒レーザーのレーザーパルスの時間幅をTHz波パルスの時間幅より長く伸張させたチャープパルスを作り、THz波パルスの波形情報全体をそのチャープパルスに載せる。よって、THz波パルスの時間波形の測定は、1個のチャープパルスの検出で足りる。これにより、B法では、THz波パルスの時間波形の単発計測が可能となり、THz波パルスの時間波形の測定時間は、1個のチャープパルスを検出する検出系の応答時間となる。例えば、1ミリ秒程度以下の測定時間も可能である。B法では、A法に比べて測定時間の大幅な短縮が実現できる。



A法での測定時間を短縮するための他の方法として、スペクトル幅が広い白色光パルスをフェムト秒レーザーにより発生させた後に、その白色光パルスをチャープさせて用いる方法がある(特許文献1、以下C法と呼ぶ)。B法を開示する非特許文献1ではテラヘルツ分光の測定周波数帯域及び時間分解能はそれぞれ約0.3THz及び0.07THzであるのに対して、C法の実施例では測定周波数帯域及び時間分解能はそれぞれ約1THz及び約0.1THzにできることが開示されている。
C法を用いることで測定周波数帯域を、B法の0.3THzから約1THzに広げることは可能となるが、約0.1THzというC法の時間分解能は、A法の時間分解能(数0.01THz)に比べると数倍悪い。




【非特許文献1】Zhiping Jiang and X.-C. Zhang"Electro-optic measurement of THz field pulses with a chirped optical beam", Applied Physics Letters, Vol.72, No.16, 20 April 1998, pp.1945-1947.

【特許文献1】特開2005-233683号公報

産業上の利用分野


本発明は、周波数域が約0.1~数THz(波長が30μm~3000μm、以下「THz領域」とする)のテラヘルツ波(以下、THz波とする)を使用するテラヘルツ測定装置等、及び透過THz波が特徴となるスペクトル成分をTHz領域に持つ測定対象物のテラヘルツ測定装置等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
超短光パルスを発生する光パルス発生手段(10)と、
前記光パルス発生手段(10)にて発生された前記超短光パルスをポンプ光とプローブ光の2つに分岐する第1の分岐手段(11)と、
前記第1の分岐手段(11)にて分岐された前記超短光パルスの前記ポンプ光を受けてテラヘルツ波(THz波)を発生させるテラヘルツ波発生光学系(12)と、
前記第1の分岐手段(11)にて分岐された前記超短光パルスの前記プローブ光を線形チャープしたチャープパルスに変換するチャープ発生光学系(22)と、
前記チャープ発生光学系(22)にて変換された前記チャープパルスを2つに分岐する第2の分岐手段(31)と、
前記第2の分岐手段(31)にて分岐された前記チャープパルスの一方を参照光としてスペクトルを検出する参照光検出手段(32,48)と、
前記第2の分岐手段(31)にて分岐された前記チャープパルスの他方を前記テラヘルツ波発生光学系(12)にて発生された前記THz波の電場信号で誘起された電気光学効果にて変調する電気光学結晶(43)と、
前記電気光学結晶(43)にて変調されて出力された光を受けて信号光としてスペクトルを検出する信号光検出手段(45,48)と、
同時に検出された前記参照光検出手段(32,48)による前記参照光と前記信号光検出手段(45,48)による前記信号光とに基づいて前記THz波の時間波形を取得する演算手段(50)と
を有することを特徴とするテラヘルツ測定装置(1)。

【請求項2】
請求項1に記載のテラヘルツ測定装置において、前記チャープ発生光学系(22)は、前記超短光パルスを10ピコ秒以上に線形チャープした前記チャープパルスに変換することを特徴とするテラヘルツ測定装置。

【請求項3】
請求項1又は2に記載のテラヘルツ測定装置において、
前記第1の分岐手段(11)にて分岐された前記超短光パルスの前記プローブ光を所定の時間だけ遅延させる光学的時間遅延器(21)を更に有し、
前記テラヘルツ波発生光学系(12)から発生される前記THz波と前記第2の分岐手段(31)にて分岐される前記チャープパルスの他方とが前記電気光学素結晶(43)において時間的にオーバーラップするように、前記光学的時間遅延器(21)は前記プローブ光を遅延させることを特徴とするテラヘルツ測定装置。

【請求項4】
請求項3に記載のテラヘルツ測定装置において、
前記演算手段(50)は、所定の測定位置に測定対象物がない状態で取得された前記THz波の第1の時間波形と前記測定位置に配置された測定対象物を透過した前記THz波の第2の時間波形とに基づいて時間遅延量を算出し、
前記光学的時間遅延器(21)は、前記演算手段(50)にて算出された前記時間遅延量だけ前記プローブ光を遅延させることを特徴とするテラヘルツ測定装置。

【請求項5】
請求項4に記載のテラヘルツ測定装置において、
前記第1の分岐手段(11)にて分岐された前記超短光パルスの前記ポンプ光を更に2つに分岐する第3の分岐手段(101)と、
前記第3の分岐手段(101)にて分岐された前記超短光パルスの一方の光路を開閉するシャッター(103)と
を更に有し、
前記測定位置に配置された前記測定対象物に対して、前記第3の分岐手段(101)にて分岐された前記超短光パルスの一方を照射して光励起させると共に、前記超短光パルスの他方を受けた前記テラヘルツ波発生光学系(12)から前記THz波を照射させることを特徴とするテラヘルツ測定装置。

【請求項6】
超短光パルスをポンプ光とプローブ光の2つに分岐する第1の分岐手段(11)と、
前記第1の分岐手段(11)にて分岐された前記超短光パルスの前記ポンプ光を受けてテラヘルツ波(THz波)を発生させるテラヘルツ波発生光学系(12)と、
前記第1の分岐手段(11)にて分岐された前記超短光パルスの前記プローブ光を線形チャープしたチャープパルスに変換するチャープ発生光学系(22)と、
前記チャープ発生光学系(22)から出力された前記チャープパルスを2つに分岐する第2の分岐手段(31)と、
前記第2の分岐手段(31)にて分岐された前記チャープパルスの一方を参照光としてスペクトルを検出する参照光検出手段(32,48)と
前記第2の分岐手段(31)にて分岐された前記チャープパルスの他方を受けて、前記テラヘルツ波発生光学系(12)にて発生された前記THz波の電場信号で誘起された電気光学効果にて変調する電気光学結晶(43)と、
前記電気光学結晶(43)にて変調された光を信号光としてスペクトルを検出する信号光検出手段(45,48)と、
同時に検出された前記参照光と前記信号光とに基づいて前記テラヘルツ波発生光学系(12)にて発生された前記THz波の時間波形を演算する演算手段(50)と
を有するテラヘルツ測定装置(1)において実行される時間波形取得法であって、
THz波を発生させないで前記参照光R(t)_offと前記信号光S(t)_offとを同時に検出する第1の検出工程と、
THz波を発生させて前記信号光S(t)_onと前記参照光R(t)_onとを同時に検出する第2の検出工程と、
前記第1の検出工程にて検出された前記参照光R(t)_offと前記信号光S(t)_off、及び、前記第2の検出工程にて前記信号光S(t)_onと前記参照光R(t)_onを使って、前記THz波の前記時間波形ETHz(t)を演算して取得する演算工程と
を有することを特徴とする時間波形取得法。

【請求項7】
請求項6に記載の時間波形取得法において、
前記第1の検出工程にて検出された前記参照光R(t)_offと前記信号光S(t)_off、及び、当該参照光R(t)_offと当該信号光S(t)_offとから算出される分岐比S(t)_off/R(t)_offのいずれかを記憶する記憶工程を更に有し、
前記演算工程では、前記記憶工程にて記憶された前記参照光R(t)_offと前記信号光S(t)_off及び前記分岐比S(t)_off/R(t)_offのいずれか一方、並びに、前記第2の検出工程にて前記信号光S(t)_onと前記参照光R(t)_onを使って、前記THz波の前記時間波形ETHz(t)を演算して取得することを特徴とする時間波形取得法。

【請求項8】
請求項6又は7に記載の時間波形取得法において、
前記第1の検出工程にて検出された前記参照光R(t)_offと前記信号光S(t)_offとに基づいて分岐比S(t)_off/R(t)_offを算出し、
前記第2の検出工程にて検出された前記参照光R(t)_onと算出された前記分岐比S(t)_off/R(t)_offとを使って、前記THz波で変調されない前記チャープパルスI(t)_offを演算し、
前記第2の検出工程にて検出された前記信号光S(t)_onを前記THz波で変調された前記チャープパルスI(t)_onと見なして、前記THz波の前記時間波形ETHz(t)を演算して取得することを特徴とする時間波形取得法。

【請求項9】
請求項8に記載の時間波形取得法において、
前記THz波で変調されない前記チャープパルスI(t)_offを、式(1)
【数式1】



により演算し、
前記THz波の前記時間波形ETHz(t)を、式(2)
【数式2】



により取得することを特徴とする時間波形取得法。

【請求項10】
測定対象物を所定の測定位置に搬送する搬送手段(98)と、
前記搬送手段(98)により前記測定位置に搬送された前記測定対象物を透過する透過THz波を測定する請求項1に記載のテラヘルツ測定装置(1)と
を有することを特徴とする検査装置(99)。

【請求項11】
請求項10に記載の検査装置において、
様々な物質のTHz領域におけるTHzスペクトルを記憶するデータベース(96)を更に有し、
前記テラヘルツ測定装置(1)にて測定された前記測定対象物の前記透過THz波と前記データベース(96)に記憶された前記THzスペクトルとに基づいて当該測定対象物を検査することを特徴とする検査装置。
産業区分
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2008165659thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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