TOP > 国内特許検索 > 青果物の鮮度評価方法

青果物の鮮度評価方法

国内特許コード P10A015450
整理番号 GI-H20-8
掲載日 2010年5月14日
出願番号 特願2008-190757
公開番号 特開2010-025883
登録番号 特許第5326166号
出願日 平成20年7月24日(2008.7.24)
公開日 平成22年2月4日(2010.2.4)
登録日 平成25年8月2日(2013.8.2)
発明者
  • 中野 浩平
出願人
  • 国立大学法人岐阜大学
発明の名称 青果物の鮮度評価方法
発明の概要

【課題】 官能評価に頼ることなく、単回の測定によって青果物の鮮度を精度高く評価する方法を提供する。
【解決手段】 本発明の青果物の鮮度評価方法は、青果物に含まれる脂質過酸化物当量と、リン脂質当量と、糖脂質当量とを定量する工程と、定量された脂質過酸化物当量と、リン脂質当量と、糖脂質当量とから、青果物が収穫時から鮮度評価時までに遭遇した積算温度と高い相関を有する鮮度値を算出する工程と、算出された鮮度値によって、青果物の鮮度を判定する工程とを備えている。
【選択図】 図2

従来技術、競合技術の概要


青果物の中には、品質の劣化が早く、長期の保存が困難なものが多い。そこで消費者は、青果物を購入する際に、できるだけ鮮度の高いもの、即ち収穫時の品質ができるかぎり維持されているものを選ぼうとする傾向がある。このため青果物の流通や販売に携わる者から、取り扱っている青果物の鮮度を定量的に評価し、評価結果を消費者にわかりやすく提示したいという要望があった。



従来は、青果物の鮮度を評価する方法として、評価者が外観、触感(テクスチャー)、香り等の項目を評価する官能試験が広く行われてきた。しかし官能評価は、評価者の主観が入る恐れがあり、また官能評価の基準そのものが経験に基づいた大まかなものである場合があった。又、青果物は比較的鮮度の高い時期において、外観、テクスチャー、香りに明らかな変化を呈さず、劣化の兆候が現れるまでの猶予期間がある品種がある。このような青果物についてその猶予期間内に官能評価を行った場合、一見同じような鮮度であると評価された場合であっても、鮮度が異なる場合がある。このため、より客観的で定量的であって、且つ官能評価ではその変化が認めにくい期間内であってもその鮮度の違いを評価できる青果物の鮮度評価方法が求められてきた。



青果物の鮮度を定量的に評価するための一つの方法として、青果物に含まれるビタミンCの量の変動を計測する方法が知られている。青果物は、収穫後の時間経過と貯蔵環境温度とに対応して、ビタミンCの含量が低下する。そこで、ビタミンCの含量の変動を計測することによって、鮮度を推定することが可能である。しかしながら、今回改めて検討を行った結果、図18に示すように、青果物はその品種や作型等によって、収穫直後のビタミンCの初発含量及びその後の含量が大きく異なることが確認された。例えば、1月に収穫されたほうれん草の場合、ビタミンCの初発含量の平均値は乾燥ほうれん草1g当たり12mgである。これに対して、10月に収穫されたほうれん草のビタミンCの初発含量の平均値は、乾燥ほうれん草1g当たり8.5mgであり、1月に収穫されたほうれん草の初発含量との間に大きな隔たりがあることが明らかとなった。又、収穫後の貯蔵環境温度が10℃で5日間経過した場合、即ち積算温度にして50℃・日の温度条件に遭遇した場合、1月に収穫されたほうれん草には、乾燥ほうれん草1g当たり平均7.7gのビタミンCが含まれているのに対して、10月に収穫されたほうれん草は、乾燥ほうれん草1g当たり平均6mgのビタミンCしか含有されていない。このように、収穫時期の異なるほうれん草は、同じ条件で保存された場合であっても、よってビタミンCの含量が大きく異なることが明らかとなった。



このようなビタミンCの含量のばらつきを考慮した上で青果物の鮮度をビタミンCの含量によって評価する方法の1つに、予め収穫時の青果物に含まれるビタミンCの初発値を計測し、鮮度検査を実施する時点で更に追加の含量の計測を行って、初発値に対する比率としてその変動量を算出して評価する方法がある。図19に示すように、収穫時の初発値に対する相対ビタミンC含量は、その品種や作型に拘わらず時間の経過と高い相関を保って減少していることが明らかであり、この方法によって、青果物の鮮度は推定できると考えられる。しかしながら、流通や小売の現場で青果物の鮮度を評価したい場合に、その青果物が収穫された時のビタミンCの初発値を入手することは非常に難しい。以上のことから、流通や小売の現場で、ビタミンCの含量の変動を指標として鮮度を評価することは、困難であると言わざるを得ない。



非特許文献1には、青果物の鮮度劣化と青果物の呼吸量との間に正の相関関係があることが開示されている。青果物は収穫した後も呼吸を行っており、呼吸によって水分が蒸散すると共に、糖・酸、ビタミンなどの成分を消耗して、鮮度が落ちていく。非特許文献1が開示する知見に基づけば、収穫後から継続して青果物の呼吸量を計測し、回帰分析を行うことで青果物の鮮度を評価することが可能となる。しかしながら、流通と小売の現場で継続的に青果物の呼吸量を計測することは、特別な装置の配置が必要であると同時にコスト面の問題があり、呼吸量による鮮度の評価方法はほとんど行われていないのが現状である。



又、非特許文献1には、青果物の呼吸量が貯蔵環境温度と正の相関を有することが開示されている。この知見に基づけば、収穫後の青果物が流通段階と小売段階で遭遇した貯蔵環境温度を積算し、この積算値を回帰分析することによって、青果物の鮮度を評価できると考えられる。しかしこの評価方法は、青果物が遭遇する貯蔵環境温度を常に記録して積算する装置が必要となるために、呼吸量による鮮度の評価方法と同様に、ほとんど実施されていないのが現状である。

【非特許文献1】「青果物流通技術の基礎知識」、(株)流通システム研究センター、2007年、p.45

産業上の利用分野


本発明は、青果物の鮮度を定量的に評価する技術に関し、特に青果物中の脂質過酸化物とリン脂質と糖脂質の含量を計測し、その計測結果を用いて青果物の鮮度を正確に評価する技術に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
ほうれん草、小松菜、パセリ、キュウリ、にんじん、及びブロッコリーから選択されるいずれかの青果物の鮮度評価方法であって、
前記青果物に含まれる脂質過酸化物当量と、リン脂質当量と、糖脂質当量とを計測する計測工程と、
前記計測工程で計測した脂質過酸化物当量と、リン脂質当量と、糖脂質当量とから、前記青果物が収穫時から鮮度評価時までに遭遇した積算温度と高い相関を有する鮮度値を算出する算出工程と、
前記鮮度値に基づいて、前記青果物の鮮度を判定する判定工程と、
を含む青果物の鮮度評価方法であって、
前記青果物の鮮度値は、
式: 鮮度値= 脂質過酸化物当量 / (リン脂質当量 + 糖脂質当量 +脂質過酸化物当量)
によって算出されることを特徴とする青果物の鮮度評価方法。

【請求項2】
ほうれん草、小松菜、パセリ、キュウリ、にんじん、及びブロッコリーから選択されるいずれかの青果物の鮮度評価装置であって、
前記青果物に含まれる脂質過酸化物当量と、リン脂質当量と、糖脂質当量とを計測する計測手段と、
前記計測された脂質過酸化物当量と、リン脂質当量と、糖脂質当量とから、前記青果物が収穫時から鮮度評価時までに遭遇した積算温度と高い相関を有する鮮度値を算出する算出手段と、
前記鮮度値に基づいて、前記青果物の鮮度を判定する判定手段と、
を備えており、
前記青果物の鮮度値は、
式: 鮮度値= 脂質過酸化物当量 / (リン脂質当量 + 糖脂質当量 +脂質過酸化物当量)
を用いて前記算出手段によって算出されることを特徴とする青果物の鮮度評価装置。
産業区分
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2008190757thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
岐阜大学産官学連携推進本部では、岐阜大学における知的財産の創出・管理・活用のマネジメントをしています。上記の特許・技術に関心のある方は、下記問い合わせ先に整理番号とともにご相談下さい。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close