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ラップ剤、ラッピング装置及びラッピング加工方法 新技術説明会

国内特許コード P10P007583
掲載日 2010年5月21日
出願番号 特願2008-265379
公開番号 特開2010-094752
登録番号 特許第5445992号
出願日 平成20年10月14日(2008.10.14)
公開日 平成22年4月30日(2010.4.30)
登録日 平成26年1月10日(2014.1.10)
発明者
  • 田辺 郁男
  • 井山 徹郎
出願人
  • 国立大学法人長岡技術科学大学
発明の名称 ラップ剤、ラッピング装置及びラッピング加工方法 新技術説明会
発明の概要 【課題】複雑形状の工作物を均一な鏡面にラップするために砥粒を長時間浮遊させるラップ剤、好ましくは気化熱冷却効果をさらに奏するラップ剤、及びこれを含んだラッピング加工方法及びラッピング装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
ラッピング装置2に使用されるラップ剤27は、水と水溶性ポリマーと有したラップ剤媒体と、砥粒と、を含む。水溶性ポリマーは、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリルアミド(PAA)、またはアクリル酸金属塩であり、砥粒はダイヤモンドまたはアルミナからなる。ラップ剤27は、水に水溶性ポリマーを5重量パーセント以下の濃度で混ぜ合わせた後に、砥粒を混ぜ合わせることによって生成される。さらに、水に低級アルコールをさらに添加することが好ましい。
【選択図】図7
従来技術、競合技術の概要



ラッピング加工とは、ラップと称する工具と工作物との間にラップ剤を介在させ、ラップと工作物との相対運動によって工作物の表面を加工するものであり、工作物表面の面粗度の向上、平坦度・平滑度の向上を目的とするものである。ラップ剤としては、通常、遊離砥粒を液体中に分散させた懸濁液を用いる。このラッピング加工を行う装置は、一般的にラッピング専用の装置であり、他の工作機械や加工装置と共用できるものではなかった。





遊離砥粒を用いる従来の加工装置としては、下記の特許文献1および特許文献2などが公知である。特許文献1には、弾性球体工具を回転駆動させ研磨液中の工作物を加工するための加工ヘッドが記載されている。特許文献2には、回転スピンドルによって弾性球体工具を回転させ、スラリー中に分散させた研磨砥粒を介して自由曲面の研磨加工を行う研磨装置が記載されている。





以上のように、ラッピング加工を行うためにはラッピング専用の装置が必要となり、工作機械に加えてラッピング装置を設置するためには、設置スペースの確保や設備コストの大幅増加が避けられず、製品の加工・製造コストの増加を招いていた。特許文献1および特許文献2に記載された加工装置も専用機であり同様の問題点がある。さらに、特許文献1および特許文献2の工具は、回転駆動する必要があり、工具の構造や駆動機構が複雑になるという問題点があった。





また、一般的にラッピング加工は加工能率の点ではあまり良好ではなく、さらなる加工能率の向上が求められていた。さらに、加工位置へのラッピング剤の供給に関しても、一定かつ均一な供給を行うためには作業者の熟練技術や注意深い作業が必要であった。





これらの問題点に対して、本願発明の発明者らは、特許文献3及び特許文献4に示すように、在来の工作機械を利用して簡単な構成の工具により高精度かつ高加工能率の自動加工を可能とするラッピング工具および装置を既に提案している。特に特許文献4に記載の技術によれば、ラップ端子として直径6mmのナイロン球体を使用し、ラップ剤として、水、水飴、及びダイヤモンド砥粒の混合液を使用し、工作物として超硬合金V10(JIS表記)の平面形状のラッピング加工(二次元の平面ラップ加工)を行ったところ、表面粗さ(最大高さRz)0.07μmの平滑な鏡面が得ることが可能となっている。

【特許文献1】

開平5-92362号公報

【特許文献2】

開2002-361546号公報

【特許文献3】

許第4081551号公報

【特許文献4】

開2008-194796号公報

産業上の利用分野



本発明は、ラップと工作物とを相対移動させてラップ剤中の砥粒によって表面加工を行うラッピング加工方法およびラッピング装置に関するものであり、詳しくは、複雑形状の工作物を均一な鏡面にラップするために砥粒を長時間浮遊させるラップ剤、好ましくは気化熱冷却効果をさらに奏するラップ剤、及びこれを含んだラッピング装置及びラッピング加工方法に関する。加えて、従来のラッピング加工技術にさらに超音波振動を適用したラッピング装置及びラッピング加工方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
水と水溶性ポリマーと有したラップ剤媒体と、砥粒と、を含んだラッピング装置用のラップ剤であって、
前記水溶性ポリマーは、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリルアミド(PAA)、またはアクリル酸金属塩であり、
前記砥粒は、ダイヤモンドからなり、
前記ラップ剤は、前記水に前記水溶性ポリマーを2重量パーセント以上5重量パーセント以下の濃度で混ぜ合わせた後に、前記砥粒を混ぜ合わせることによって生成され、かつ、
前記ラッピング装置は、合成樹脂からなるラップ端子と該ラップ端子を弾性的に支持する弾性支持部とを備えたラッピング工具と、工作物を取り付けるためのテーブルと、前記ラッピング工具と前記テーブルとを互いに直交する3軸方向に相対的に移動させる送り機構と、前記テーブル上に設けられかつ前記ラップ剤を貯留して該ラップ剤中に前記工作物の加工部と前記ラップ端子とを浸漬させるための加工槽と、を有したものであることを特徴とするラップ剤。

【請求項2】
請求項1に記載のラップ剤であって、
前記水には低級アルコールが添加されていることを特徴とするラップ剤。

【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のラップ剤であって、
前記低級アルコールがエタノールであり、
前記低級アルコールの重量が、前記水の重量を1としたときに、1以上であることを特徴とするラップ剤。

【請求項4】
低級アルコールと水溶性ポリマーとを有したラップ剤媒体と、砥粒と、を含んだラッピング装置用のラップ剤であって、
前記水溶性ポリマーは、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリルアミド(PAA)、またはアクリル酸金属塩であり、
前記砥粒は、ダイヤモンドからなり、
前記ラップ剤は、前記低級アルコールに前記水溶性ポリマーを2重量パーセント以上5重量パーセント以下の濃度で混ぜ合わせた後に、前記砥粒を混ぜ合わせることによって生成され、かつ、
前記ラッピング装置は、合成樹脂からなるラップ端子と該ラップ端子を弾性的に支持する弾性支持部とを備えたラッピング工具と、工作物を取り付けるためのテーブルと、前記ラッピング工具と前記テーブルとを互いに直交する3軸方向に相対的に移動させる送り機構と、前記テーブル上に設けられかつ前記ラップ剤を貯留して該ラップ剤中に前記工作物の加工部と前記ラップ端子とを浸漬させるための加工槽と、を有したものであることを特徴とするラップ剤。

【請求項5】
合成樹脂からなるラップ端子とラップ端子を弾性的に支持する弾性支持部とを備えたラッピング工具と、工作物を取り付けるためのテーブルと、前記ラッピング工具と前記テーブルとを互いに直交する3軸方向に相対的に移動させる送り機構と、前記テーブル上に設けられかつラップ剤を貯留して該ラップ剤中に前記工作物の加工部と前記ラップ端子とを浸漬させるための加工槽と、を有したラッピング装置であって、
前記ラップ剤は、水と水溶性ポリマーと有したラップ剤媒体と、砥粒と、を含み、
前記水溶性ポリマーは、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリルアミド(PAA)、またはアクリル酸金属塩であり、
前記砥粒は、ダイヤモンドからなり、
前記ラップ剤は、前記水に前記水溶性ポリマーを2重量パーセント以上5重量パーセント以下の濃度で混ぜ合わせた後に、前記砥粒を混ぜ合わせることによって生成されることを特徴とするラッピング装置。

【請求項6】
請求項5に記載のラッピング装置であって、
前記ラップ剤の前記水には低級アルコールが添加されていることを特徴とするラッピング装置。

【請求項7】
請求項6に記載のラッピング装置であって、
前記低級アルコールがエタノールであり、
前記低級アルコールの重量が、前記水の重量を1としたときに、1以上であることを特徴とするラッピング装置。

【請求項8】
合成樹脂からなるラップ端子とラップ端子を弾性的に支持する弾性支持部とを備えたラッピング工具と、工作物を取り付けるためのテーブルと、前記ラッピング工具と前記テーブルとを互いに直交する3軸方向に相対的に移動させる送り機構と、前記テーブル上に設けられかつラップ剤を貯留して該ラップ剤中に前記工作物の加工部と前記ラップ端子とを浸漬させるための加工槽と、を有したラッピング装置であって、
前記ラップ剤は、低級アルコールと水溶性ポリマーとを有したラップ剤媒体と、砥粒と、を含み、
前記水溶性ポリマーは、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリルアミド(PAA)、またはアクリル酸金属塩であり、
前記砥粒は、ダイヤモンドからなり、
前記ラップ剤は、前記低級アルコールに前記水溶性ポリマーを2重量パーセント以上5重量パーセント以下の濃度で混ぜ合わせた後に、前記砥粒を混ぜ合わせることによって生成されることを特徴とするラッピング装置。

【請求項9】
請求項5~8のいずれか1項に記載のラッピング装置であって、
前記ラップ端子がポリプロピレン(PP)樹脂を含んだ球形の中実体であることを特徴とするラッピング装置。

【請求項10】
請求項5~9のいずれか1項に記載のラッピング装置であって、
前記工作物の材質が超硬合金からなり、かつ、
前記工作物の前記加工部に対する前記ラップ端子の押付圧力を10x10Pa以上に設定することを特徴とするラッピング装置。

【請求項11】
請求項5~10のいずれか1項に記載のラッピング装置であって、
前記ラップ端子と前記弾性支持部との間に、超音波振動子と共振体とを含んだ超音波振動部を有することを特徴とするラッピング装置。

【請求項12】
合成樹脂からなるラップ端子とラップ端子を弾性的に支持する弾性支持部とを備えたラッピング工具と、工作物を取り付けるためのテーブルと、前記ラッピング工具と前記テーブルとを互いに直交する3軸方向に相対的に移動させる送り機構と、前記テーブル上に設けられかつラップ剤を貯留して該ラップ剤中に前記工作物の加工部と前記ラップ端子とを浸漬させるための加工槽と、を有したラッピング装置を用いたラッピング加工方法であって、
前記ラップ剤を生成して前記加工槽に貯留する工程と、
前記ラップ端子を前記ラップ剤中で往復振動させながら、該ラップ端子が前記工作物の前記加工部に押付・離間するように該ラップ端子によって該加工部を打叩する工程と、
前記送り機構を用いて、前記ラッピング工具と前記テーブルとを互いに直交する3軸方向に相対的に移動させる工程と、を含み、かつ、
前記ラップ剤は、水と水溶性ポリマーと有したラップ剤媒体と、砥粒と、を含み、
前記水溶性ポリマーは、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリルアミド(PAA)、またはアクリル酸金属塩であり、
前記砥粒は、ダイヤモンドからなり、
前記ラップ剤の生成工程は、前記水に前記水溶性ポリマーを2重量パーセント以上5重量パーセント以下の濃度で混ぜ合わせた後に、前記砥粒を混ぜ合わせることによって生成されることを特徴とするラッピング加工方法。

【請求項13】
請求項12に記載のラッピング加工方法であって、
前記ラップ剤の前記水には低級アルコールが添加されていることを特徴とするラッピング加工方法。

【請求項14】
請求項13に記載のラッピング加工方法であって、
前記低級アルコールがエタノールであり、
前記低級アルコールの重量が、前記水の重量を1としたときに、1以上であることを特徴とするラッピング加工方法。

【請求項15】
合成樹脂からなるラップ端子とラップ端子を弾性的に支持する弾性支持部とを備えたラッピング工具と、工作物を取り付けるためのテーブルと、前記ラッピング工具と前記テーブルとを互いに直交する3軸方向に相対的に移動させる送り機構と、前記テーブル上に設けられかつラップ剤を貯留して該ラップ剤中に前記工作物の加工部と前記ラップ端子とを浸漬させるための加工槽と、を有したラッピング装置を用いたラッピング加工方法であって、
前記ラップ剤を生成して前記加工槽に貯留する工程と、
前記ラップ端子を前記ラップ剤中で往復振動させながら、該ラップ端子が前記工作物の前記加工部に押付・離間するように該ラップ端子によって該加工部を打叩する工程と、
前記送り機構を用いて、前記ラッピング工具と前記テーブルとを互いに直交する3軸方向に相対的に移動させる工程と、を含み、かつ、
前記ラップ剤は、低級アルコールと水溶性ポリマーと有したラップ剤媒体と、砥粒と、を含み、
前記水溶性ポリマーは、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリルアミド(PAA)、またはアクリル酸金属塩であり、
前記砥粒は、ダイヤモンドからなり、
前記ラップ剤の生成工程は、前記低級アルコールに前記水溶性ポリマーを2重量パーセント以上5重量パーセント以下の濃度で混ぜ合わせた後に、前記砥粒を混ぜ合わせることによって生成されることを特徴とするラッピング加工方法。

【請求項16】
請求項12~15のいずれか1項に記載のラッピング加工方法であって、
前記ラップ端子がポリプロピレン(PP)樹脂を含んだ球形の中実体であることを特徴とするラッピング加工方法。

【請求項17】
請求項12~16のいずれか1項に記載のラッピング加工方法であって、
前記工作物の材質が超硬合金からなり、かつ、
前記工作物の打叩工程において、前記加工部に対する前記ラップ端子の押付圧力を10x10Pa以上に設定することを特徴とするラッピング加工方法。

【請求項18】
請求項12~17のいずれか1項に記載のラッピング加工方法であって、
前記ラッピング工具は前記ラップ端子と前記弾性支持部との間に、超音波振動子と共振体とを含んだ超音波振動部をさらに有し、かつ、
前記工作物の打叩工程において、前記ラップ端子の前記往復運動に超音波振動を付与させることを特徴とするラッピング加工方法。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 登録
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