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高温酢酸発酵酢酸菌 新技術説明会

国内特許コード P10P007089
整理番号 H20-060
掲載日 2010年5月28日
出願番号 特願2008-287703
公開番号 特開2010-110298
登録番号 特許第5470807号
出願日 平成20年11月10日(2008.11.10)
公開日 平成22年5月20日(2010.5.20)
登録日 平成26年2月14日(2014.2.14)
発明者
  • 松下 一信
  • 秦野 智行
  • 薬師 寿治
  • 足立 収生
  • ガンジャナ テーラグール
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 高温酢酸発酵酢酸菌 新技術説明会
発明の概要 【課題】
これまで知られている酢酸菌では効率的な酢酸発酵の上限が38℃とされていたが、38℃以下にするには、冷却のための設備、費用負担が大きい。そこで39℃~41℃でも生育及び酢酸発酵能力を有する自然変異株を作出する
【解決手段】
Acetobacter pasteurianus SKU1108に対して、段階的に培養温度を上昇させて繰り返し培養することにより、高温適応能力が付与されたことを特徴とする酢酸菌Acetobacter pasteurianusの変異株。
【選択図】図4
従来技術、競合技術の概要



酢酸菌は様々なアルコールや糖アルコールを酸に酸化する能力を有する。この酢酸菌を用いて、工業的にエタノールからの酸化によって酢酸が製造されている。





工業的な酢酸の製造にはAcetobacter属酢酸菌が広く一般的に使用されている。Acetobacter属酢酸菌は我が国の伝統的な静置発酵法による食酢醸造現場において、米酢もろみ上の発酵菌膜から分離された酢酸菌である。高い酢酸生産能力と酢酸耐性能を有し、我が国を中心に多くの研究実績があり、酢酸菌研究の標準株の一つと位置づけられる。





このAcetobacter属酢酸菌を利用した酢酸発酵は工業的に広く行われているが、効率的な酢酸発酵を行うためには正確な温度制御が必要である。Acetobacter属酢酸菌の培養においては30℃より高くなると、急激に生育及び酢酸発酵能力が低下するため、通常25℃~30℃で行われる。しかしながら、夏期には気温が30℃以上になり、さらに微生物の発酵によって熱が発生するために、酢酸発酵が進むにつれて発酵層が40~45℃以上となってしまうことがある。したがって発酵槽を25℃~30℃に保つための冷却設備及び冷却のためのエネルギーや水が必要となるが、その費用負担は大きい。生産量にも左右されるが、1トンの発酵槽で1℃下げるための冷却水・エネルギー等で年間数百万円もかかる場合がある。そこで、1℃でも高温で生育及び酢酸発酵が可能な高温耐性酢酸菌の研究が進められている。





高温耐性の酢酸菌として、非特許文献1には、本発明者らによってAcetobacter pasteurianus

SKU1108が単離され、この菌は38℃で生育及び酢酸発酵能を有することが示されている。しかしながら、39℃では生育、発酵能力が低下し、40℃では生育、発酵能力が非常に弱くなる。





また、非特許文献2には、Acetobacter acetiにおいて、35℃で30℃とほぼ同じ最高の酢酸生成能を保持し、37℃でも30℃で培養した場合に対して68%の活性があることが示されている。通常のAcetobacter acetiは35℃で酢酸生成能を完全に失うことから,本菌株による高温度発酵で冷却費を多少減少させることができるが、38℃以上になると急激に酢酸発酵が減少し、40℃では全く酢酸発酵が見られておらず、多大な冷却コストがかかることには変わりない。





特許文献1にはAcetobacter属に属する実用酢酸菌から、温度耐性に関与する新規な遺伝子をクローニングし、該遺伝子を酢酸菌に導入してなる形質転換株において、顕著に温度耐性が向上したことが示されている。この文献においては、Acetobacter acetiの形質転換株では38℃でも増殖、酢酸発酵が可能であることが示されている。しかしながら、40℃においては、増殖が認められるだけで酢酸発酵は認められていない。また、遺伝子工学的手法によって得られた株であり、食品として摂取される酢酸を遺伝子組み換え手法によって得られた株を用いて製造するには、高い安全性の確認が求められる。さらに、社会的感情としても受け入れがたいものがある。





さらに、非特許文献3には、Acetobacter属の酢酸菌の細胞融合法、つまり温度耐性は有するが酢酸発酵能のあまり強くない酢酸菌株(Acetobacter aceti)と酢酸発酵は強いが温度耐性のあまり強くない酢酸菌(Acetobacter

xylinus)とを融合させる方法により、高温で発酵能を有する菌株が示されているが、37℃が生育及び酢酸発酵の上限であり、39℃以上での生育及び発酵能力は示されていない。





このように、これまで知られている酢酸菌では効率的な酢酸発酵の上限が38℃とされていたが、38℃以下にするには、冷却のための設備、費用負担が大きいため、さらに高温で酢酸発酵能力を有する酢酸菌が求められていた。

【特許文献1】

公表WO2004-053122

【非特許文献1】

.Saeki.,etal.,Biosci.Biotech.Biochem.,61,138-145(1997)

【非特許文献2】

.OHMORI.,et al.,Vol.44 No.12 Page.2901-2906(1980.12)

【非特許文献3】

.Fukaya.,etal.,Agric.Biol.Chem.,53(9),2435-2440(1989)

産業上の利用分野



本発明は、段階的に培養温度を上昇させて繰り返し培養することにより39~41℃の範囲で酢酸発酵能力を有する酢酸菌Acetobacter.pasteurianusの自然変異株及びその変異株により酢酸を製造する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
酢酸菌Acetobacter pasteurianus SKU1108を生育限界温度(38℃)の培地で繰り返し培養し、得られた生育限界温度適応株の一部を前培養液として、38.5℃の新しい培地で繰り返し培養を行い、得られた38.5℃の培地での適応株の一部を前培養液として、39.5℃の新しい培地で繰り返し培養を行うことにより、39~41℃の範囲で酢酸発酵能力を有する酢酸菌を得る、酢酸菌Acetobacter pasteurianus SKU1108の変異株の作製方法であって、前記繰り返し培養は、培養した培地の濁度がKlett Unitにして60~120、酸性度が1.0~1.8%に達したところで、培養液の一部を次の新しい培地に種菌として接種し、同じ温度で再び培養するという操作を繰り返し行う培養である、酢酸菌Acetobacter pasteurianus SKU1108の変異株の作製方法

【請求項2】
請求項1記載の酢酸菌Acetobacter pasteurianus SKU1108の変異株の作製方法によって作製された酢酸菌Acetobacter pasteurianus TH-3(託番号 NITE P-664)。

【請求項3】
請求項1記載の酢酸菌Acetobacter pasteurianus SKU1108の変異株の作製方法によって作製された酢酸菌Acetobacter pasteurianus SKU1108の変異株を用いて39℃~41℃で酢酸発酵を行うことを特徴とする酢酸の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2008287703thum.jpg
出願権利状態 登録
山口TLOは平成11年11月に山口大学の教官50名の出資により設立された、リエゾン一体型のTLO活動会社です。山口大学を主とし、山口県内の大学・高専の研究成果をご紹介致します。特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください。


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