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リケッチア・ジャポニカ感染症の診断方法

国内特許コード P10P007257
整理番号 H20-064
掲載日 2010年6月18日
出願番号 特願2008-304031
公開番号 特開2010-124773
登録番号 特許第5435612号
出願日 平成20年11月28日(2008.11.28)
公開日 平成22年6月10日(2010.6.10)
登録日 平成25年12月20日(2013.12.20)
発明者
  • 松谷 峰之介
  • 東 慶直
  • 白井 睦訓
  • 岸本 壽男
  • 花岡 希
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 リケッチア・ジャポニカ感染症の診断方法
発明の概要

【課題】リケッチア・ジャポニカ感染症の迅速かつ正確な診断のための検査法の提供。
【解決手段】リケッチア・ジャポニカゲノム中の特定DNA塩基配列、および/またはその相補配列から、リケッチア・ジャポニカ感染症の診断に使用するプライマー、および/またはプローブを設計し、PCR法、リアルタイムPCR法、LAMP法、in situハイブリダイゼーション法、サザンハイブリダイゼーション法から選択される少なくとも1つの方法によるリケッチア・ジャポニカ感染症の診断のための、被検体DNAの検査法。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


リケッチア属は、偏性細胞内細菌で、通常節足動物に伝染し、病原因子となるリケッチア感染症は世界中で広く分布していることが知られている(非特許文献1)。リケッチア感染症熱と、その病原因子は以下のように明らかにされている。ロッキー山紅斑熱:リケッチア・リケッチ(R.rickettsii)の感染で起こり、西半球における最も重症なダニ媒介リケッチア疾患(非特許文献2、3)、リッケチア痘:ヨーロッパにおいてリケッチア・アカリ(R.akarii)の感染で起こるリケッチア疾患(非特許文献4)、ボタン熱:地中海沿岸、アフリカ、インド、南西アジアにおいて、リケッチア・コノリ(R.conorii)の感染で起こるリケッチア疾患(非特許文献4、5)、シベリアマダニチフス:シベリア、モンゴル、中国北方において、リケッチア・シビリカ(R.sibirica)の感染で起こるリケッチア疾患(非特許文献1、6)、クイーンズランドマダニチフス:オーストラリアにおいて、リケッチア・オーストラリス(R.australis)の感染で起こるリケッチア疾患(非特許文献1、7)である。また、リケッチア・プロワゼキ(R.prowazekii)と、リケッチア・ティフィ(R.typhi)は、流行性の発疹チフスや発疹熱の病原因子であることが知られている(非特許文献8、9)。1984年、3人の日本人が紅斑熱類のリケッチア症を確認した(非特許文献10)。このリケッチア症について、内田らは、他の病原性のリッケチア属菌とは違った新しい種として、分類学上の名前を‘リケッチア・ジャポニカ’と提案した(非特許文献11)。リケッチア・ジャポニカの感染により起こる日本紅斑熱について、国家的サーベランス(データの収集,比較,解析,公表のプロセス)は毎年50件以上の例を示しており、リケッチア・ジャポニカの感染による致死の例も示している(非特許文献12)。リケッチア感染症は、風邪様の症状を示すため、正しい診断が行われず誤った治療で重篤になりうる疾患であり、そのため、患者発生時における高感度でかつ迅速な診断法が望まれている。



近年、医学・生物学的研究の進歩により、生物の全ゲノムが解明されてきており、それぞれのゲノム配列における特異的領域を利用して、生物、特に有害菌を検出する方法が考えられている。リケッチア属のリケッチア・アフリカ、リケッチア・プロワゼキ、リケッチア・スロバカ、リケッチア・マシリア、リケッチア・ベリ、リケッチア・リケッチ、リケッチア・アカリ、リケッチア・カナデンシス、リケッチア・フェリス、リケッチア・ティフィ、リケッチア・シビリカとリケッチア・コノリにおいても、ゲノム配列は、GenBank databaseに完全に明らかにされている。日本紅斑熱の病原因子であるリケッチア・ジャポニカの分子診断は、他のリケッチア症におけるSNP(Single Nucleotide Polymorphism)を用いた従来のPCRを使用して行われた(非特許文献13)。



また、近年発達したリアルタイムPCR法は、リケッチア感染症の迅速で感度良い診断法として使用された(非特許文献2、12、14、15)。さらに、新しい微生物感染症の診断法として、従来のTaqMan(登録商標)プローブ法より優れたTaqMan(登録商標) MGB法が明らかになった。TaqMan(登録商標) MGB法は、高い特異性と正確さでゲノムDNA領域を同定することが知られている(非特許文献16)。TaqMan(登録商標) MGBプローブを用いたリアルタイムPCRによる特異的病原菌の検出法として特許文献1では、塹壕熱病原体(Bartonella quintana)遺伝子のintergenic spacer regionの1領域鋳型にして検出できる方法を明らかにしている。【非特許文献1】Walker,D.H.,Clin.Infect.Dis.45 Suppl 1:S39-44,2007)【非特許文献2】Eremeeva,M.E.,et al,J.Clin.Microbiol.41:5466-72,2003【非特許文献1】Tzianabos,T.,et al,J.Clin.Microbiol.27:2866-8,1989【非特許文献4】Brouqui,P.,et al,FEMS Immunol.Med. Microbiol.49:2-12,2007【非特許文献5】Giammanco,G.M.,et al,J.Clin.Microbiol.43:6027-31,2005【非特許文献6】Tarasevich,I.V.,et al,Ann N Y Acad.Sci.1078:48-59,2006【非特許文献7】Unsworth,N.B.,et al,Emerg.Infect. Dis.13:1105-7,2007【非特許文献8】Massung,R.F.,et al,Clin.Infect.Dis.32:979-82,2001【非特許文献9】Svraka,S.,et al,Emerg.Infect.Dis.12:428-32,2006【非特許文献10】Mahara,F.,et al,Kansenshogaku Zasshi 59:1165-71,1985【非特許文献11】Uchida,T.,et al,Int.J.Syst.Bacteriol.42:303-5,1992【非特許文献12】Hashimoto,S.,et al,J.Epidemiol.17 Suppl:S48-55,2007【非特許文献13】Furuya,Y.,et al,J.Clin.Microbiol. 33:487-489,1995【非特許文献14】Fenollar,F.,et al,Int.J.Antimicrob.Agents 30 Suppl 1:S7-15,2007【非特許文献15】Kidd,L.,et al,Vet.Microbiol.129:294-303,2008【非特許文献16】Kutyavin,I.V.,et al,Nucleic.Acids.Res.28:655-61,2000【特許文献1】特開2008-154479号公報

産業上の利用分野


本発明は、日本紅斑熱の原因菌であるリケッチア・ジャポニカ(Rickettsia japonica)感染症の診断に使用するリケッチア・ジャポニカに特異的な領域の塩基配列に関する。さらに、当該塩基配列から設計したプライマーおよび/またはプローブを利用してリケッチア・ジャポニカ感染症の診断をするための検査法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
リケッチア・ジャポニカのゲノム中に存在するDNA塩基配列からなるDNAであって、リケッチア・ジャポニカ感染症の診断に使用するプライマー、および/またはプローブとして利用できる領域を含む、以下の(a)または(b)のいずれかの塩基配列からなるDNA、および/またはその相補配列からなるDNA
(a)配列番号1または2で示される塩基配列、
(b)(a)の塩基配列の1個ないし数個が、欠失、付加、置換されてなる塩基配列。
【請求項2】
請求項1に記載したリケッチア・ジャポニカ感染症の診断に使用するプライマーとして利用できる領域の塩基配列からなるDNA、およびその相補配列からなるDNAが、以下の(a)、(b)または(c)のいずれかの塩基配列からなるDNA
(a)配列表の配列番号5および6に示される塩基配列、
(b)(a)の塩基配列の1個ないし数個が、欠失、付加、置換されてなる塩基配列、
(c)配列番号1または2の塩基配列において、選択される10~40個の連続した塩基配列と同一の塩基配列、および、対をなすプライマーが、配列番号1または2の塩基配列において、選択される10~40個の連続した塩基配列と相補的な塩基配列であって、被検体DNAの増幅が可能な塩基配列。
【請求項3】
請求項1に記載したリケッチア・ジャポニカ感染症の診断に使用するプローブとして利用できる領域の塩基配列からなるDNA、および/またはその相補配列からなるDNAが、以下の(a)、(b)または(c)のいずれかの塩基配列からなるDNA
(a)配列表の配列番号7に示される塩基配列、
(b)(a)の塩基配列の1個ないし数個が、欠失、付加、置換されてなる塩基配列、
(c)配列番号1または2の塩基配列において、選択される20~50個の連続した塩基配列と同一の塩基配列。
【請求項4】
請求項2および/または請求項3の塩基配列からなるDNAを用いた、PCR法、リアルタイムPCR法、LAMP法、in situ ハイブリダイゼーション法、サザンハイブリダイゼーション法から選択される少なくとも1つの方法によるリケッチア・ジャポニカ感染症の診断のための、被検体DNAの検査法。
【請求項5】
前記リアルタイムPCR法が、TaqMan(登録商標)MGBを用いたリアルタイムPCR法である請求項4に記載の検査法。
【請求項6】
配列番号5で示される塩基配列からなるプライマーと配列番号6で示される塩基配列からなるプライマーと、配列番号7で示される塩基配列からなりその5’末端に蛍光タグを有し3’末端に非蛍光消去タグとMGBを有するプローブと、リアルタイムPCR用ポリメラーゼを含む、リケッチア・ジャポニカ感染症の診断に使用するための検査用キット。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
山口TLOは平成11年11月に山口大学の教官50名の出資により設立された、リエゾン一体型のTLO活動会社です。山口大学を主とし、山口県内の大学・高専の研究成果をご紹介致します。特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください。


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