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イネいもち病圃場抵抗性遺伝子Pi35(t)とその利用

国内特許コード P10A015544
掲載日 2010年7月2日
出願番号 特願2008-299377
公開番号 特開2010-124701
登録番号 特許第5545793号
出願日 平成20年11月25日(2008.11.25)
公開日 平成22年6月10日(2010.6.10)
登録日 平成26年5月23日(2014.5.23)
発明者
  • 福岡 修一
  • 溝淵 律子
  • 山本 伸一
  • 小泉 信三
  • 藤田 佳克
  • 安田 伸子
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 イネいもち病圃場抵抗性遺伝子Pi35(t)とその利用
発明の概要 【課題】新規なイネのいもち病圃場抵抗性遺伝子の提供ならびに該遺伝子を利用した植物イネのいもち病抵抗性の改良方法の提供。
【解決手段】連鎖解析によりイネの圃場抵抗性遺伝子Pi35(t)を単離し、Pi35(t)遺伝子を導入する、またはPi35(t)遺伝子を保持するイネを育種することによって、幅広いいもち病レースに対して抵抗性を付与する。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


イネのいもち病菌に対する抵抗性は真性抵抗性と圃場抵抗性の2種類に分類される(非特許文献1:イネのいもち病と抵抗性育種 p175-186 高坂・山崎編 1980博友社)。
真性抵抗性は、過敏感反応に基づく抵抗性であり、効果が大きくレースに対する特異性が高い質的な抵抗性である。しかしながら、1個の抵抗性遺伝子を導入した品種はその遺伝子に親和性の菌が出現することによって数年で効果を失うことが経験的に知られる。一方、圃場抵抗性は真性抵抗性が機能しない条件下で観察される量的な抵抗性の品種間差と定義される。それぞれのレースへの抵抗性効果は真性抵抗性に比べると小さいものの、レースに対する特異性が低いため、効果の持続性の点で実用性が高い。



真性抵抗性に関与する遺伝子は20種類以上が知られ(非特許文献2:McCouch et al. In Rice Blast Disease (edt by Zeigler RS, Leong SA, Teng PS) pp167-186、1994)、そのうち、Pib遺伝子(非特許文献3:Wang et al Plant J 19:55-64, 1999)、Pita遺伝子(非特許文献4:Bryan et al Plant Cell. 12:2033-46, 2000)が単離されている。また近年、新規の遺伝子Pi37(非特許文献5:Lin et al, Genetics, 177,:1871-1880)、Pi9(非特許文献6:Qu et al Genetics 172: 1901-1914)、Pi2、Pizt(非特許文献7:Zhou et al. Mol. Plant-Microbe Interact. 11: 1216-1228)、Pid-2 (非特許文献8:Chen et al Plant J. 46: 794-804)、Pi36(非特許文献9:Liu et al. Genetics 176: 2541-2549)が単離されている。これらの遺伝子の大半は、植物の病害抵抗性遺伝子と類似した構造を持ち、一般に、植物の抵抗性遺伝子の産物はそれに対応する病原体の非病原性遺伝子の産物を直接的あるいは間接的に認識する受容体としての機能を果たすと考えられている。実際、Pitaは非病原性遺伝子産物と物理的に直接結合することが明らかにされている。一方、いもち病病斑の進展を抑制するタイプの抵抗性である圃場抵抗性では、Pi21遺伝子、およびPb1遺伝子が単離されている(特許文献1:特開2007-006711)だけで、真性抵抗性に比べて遺伝学的な知見が乏いため効率的に育種に利用できる状況にはなかった。



なお、本出願の発明に関連する先行技術文献情報を以下に示す。
【特許文献1】
特開2007-006711
【特許文献2】
特開2007-054020
【特許文献3】
特開平11-346783
【特許文献4】
特開2000-279170
【特許文献5】
特表2002-525033
【非特許文献1】
イネのいもち病と抵抗性育種 p175-186 高坂・山崎編 1980博友社
【非特許文献2】
McCouch et al. In Rice Blast Disease (edt by Zeigler RS, Leong SA, Teng PS) pp167-186、1994
【非特許文献3】
Wang et al Plant J 19:55-64, 1999
【非特許文献4】
Bryan et al Plant Cell. 12:2033-46, 2000
【非特許文献5】
Lin et al, Genetics, 177,:871-1880
【非特許文献6】
Qu et al Genetics 172: 1901-1914
【非特許文献7】
Zhou et al. Mol. Plant-Microbe Interact. 11: 1216-1228
【非特許文献8】
Chen et al Plant J. 46: 794-804
【非特許文献9】
Liu et al. Genetics 176: 2541-2549
【非特許文献10】
Nguyen et al Theoretical and Applied Genetics 113 697-704

産業上の利用分野



本発明は、イネいもち病圃場抵抗性遺伝子Pi35(t)、および該遺伝子を利用した植物にいもち病に対する圃場抵抗性を付与する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
イネいもち病に対する圃場抵抗性を有するタンパク質をコードする、下記(a)から(d)のいずれかに記載のDNAであって、配列番号:2の3157から3159位に相当する位置がアスパラギン酸をコードする、前記DNA
(a)配列番号:3に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA。
(b)配列番号:1または2に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA。
(c)配列番号:3に記載のアミノ酸配列において1~8個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加したアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA。
(d)配列番号:1または2に記載の塩基配列からなるDNAと99%以上の配列同一性を有するDNA。

【請求項2】
請求項1に記載のDNAを含むベクター。

【請求項3】
請求項1に記載のDNAまたは請求項2に記載のベクターを保持する形質転換イネ植物細胞。

【請求項4】
請求項3に記載の形質転換イネ植物細胞を含む形質転換イネ植物体。

【請求項5】
請求項に記載の形質転換イネ植物体の子孫またはクローンである、形質転換イネ植物体。

【請求項6】
請求項4または5に記載の形質転換イネ植物体の繁殖材料。

【請求項7】
請求項4または5に記載の形質転換イネ植物体の製造方法であって、請求項1に記載のDNAまたは請求項2に記載のベクターをイネ植物細胞に導入し、植物細胞から植物体を再生させる工程を含む方法。

【請求項8】
請求項1に記載のDNAをイネ植物の細胞内で発現させる工程を含む、イネ植物にいもち病に対する圃場抵抗性を付与する方法。

【請求項9】
請求項1に記載のDNAによりコードされるタンパク質。

【請求項10】
配列番号:2に記載の塩基配列における3157から3159位の間または、3163から3165位の間に存在する多型部位を増幅するプライマーセット。

【請求項11】
以下の(a)~(c)の工程を含む方法であって、配列番号:2の3157から3159位に相当する位置がアスパラギン酸をコードする塩基配列であるときに、被検イネ植物がいもち病圃場抵抗性であると判定する方法;
(a)被検イネ植物からDNA試料を調製する工程、
(b)該DNA試料から請求項1に記載のDNAにおける配列番号:2の3157から3159位に相当する位置を含む領域を増幅する工程、
(c)増幅したDNA断片の塩基配列を、請求項1に記載のDNAのそれと比較する工程。

【請求項12】
以下の(d)および(e)の工程をさらに含む、請求項11に記載の方法。
(d)被検イネ植物における配列番号:2に記載のDNA領域に相当する部位、またはその周辺配列に存在する多型部位の塩基種を決定する工程、
(e)(d)で決定された多型部位の塩基種において、配列番号:2またはその周辺配列と同じアレルが検出された場合に、いもち病圃場抵抗性を有するイネ植物であると判定する工程。

【請求項13】
配列番号:2に記載の塩基配列において、さらに3163から3165位がセリンをコードするコドンである場合に、被検イネ植物がいもち病圃場抵抗性であると判定する請求項12に記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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26132_01SUM.gif
出願権利状態 登録


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