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秘密鍵共有通信システム及び通信方法 コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P10P007049
掲載日 2010年8月6日
出願番号 特願2009-005563
公開番号 特開2010-166210
登録番号 特許第5569670号
出願日 平成21年1月14日(2009.1.14)
公開日 平成22年7月29日(2010.7.29)
登録日 平成26年7月4日(2014.7.4)
発明者
  • 大平 孝
  • 成田 譲二
  • 長谷川 拓
出願人
  • 国立大学法人豊橋技術科学大学
発明の名称 秘密鍵共有通信システム及び通信方法 コモンズ 新技術説明会
発明の概要 【課題】秘密鍵共有通信システムに用いる指向性セットは送信電力対雑音電力比などの通信環境に依存している。
【解決手段】第1の無線装置1と第2の無線装置100の少なくとも一方に備えられる可変指向性アンテナ3と、該アンテナ3について予め定められた複数の指向性からなる第1の指向性セット、及び該アンテナ3について第1の指向性セットとは異なる複数の指向性からなる第2の指向性セットを保存する指向性セット保存部21と、第1の無線装置1と第2の無線装置100との通信環境を参照して指向性セット保存部21から第1又は第2の指向性セットを選択し、可変指向性アンテナ3の指向性を変更する指向性制御部20とを備えている。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


近年、携帯メールや無線LANの普及に伴い、だれもが電波を介してデータ情報交換や電子商取引をする機会が急増してきた。無線は煩雑な配線が不要であり、どこでも使えて便利なので今後益々利用者シーンの広がりが期待できる。
一方で、電波はあらゆる空間へ伝搬するため常に傍受・盗聴の危険にさらされている。一般に、傍受・盗聴の対策技術として暗号化が有効である。
暗号通信を行うためには通信の相手方と「鍵」を共有する必要がある。鍵の方式には大きく分類して「秘密鍵方式」と「公開鍵方式」がある。
現在広く用いられている「公開鍵方式」は「計算量的安全性」に基づいている。「計算量的安全性」とは現存する最速のコンピュータ等を用いても現実時間内では解読不可能なことを意味する。従って、将来的に量子コンピュータ等の実現により現在盗聴されたデータが何年か後に現実時間内で解読される危険性がある。



一方、「秘密鍵方式」は「情報量的安全性」に基づいている。「情報量的安全性」とはコンピュータ等の速度に関係なく安全性が保障される。
秘密鍵方式では、鍵配送問題(鍵情報を盗聴局等の第三者に漏洩することなくどうやって所望の相手方だけと共有するか)が技術的課題である。
最も単純な方法として、鍵情報を紙やカード媒体で相手方に手渡しするという方法もあるが、原始的な方法であるためリアルタイム更新できず発展性に乏しい。最先端の光ファイバ通信分野で最近研究されている量子暗号も一種の秘密鍵であり情報量的安全性を目指す革新的試みであるが、フォトンを粒子として扱うハードウェアが必要であるため現状では非常に高価な装置となる。
鍵配送問題を解決するための手法として、鍵を共有したい2つの無線装置間の伝送路の特性を測定し、その測定した特性に基づいて各無線装置で秘密鍵を生成する方法が提案されている(特許文献1,非特許文献1,非特許文献2)。
この方法は、2つの無線装置間でデータの送受信を繰り返し、RSSI(Received Signal Strength Indicator:受信信号強度、以下同じ)を各無線装置で測定する、これを鍵長回数繰り返してRSSI履歴を各無線装置で作成し、その作成したRSSI履歴に基づいて秘密鍵を生成する。
即ち、伝送路を伝搬する電波は可逆性を示すために、一方の無線装置から他方の無線装置へデータを送信したときのRSSI値は、他方の無線装置から一方の無線装置へデータを伝送したときのRSSI値と比例関係にあるため、RSSI履歴の時間的揺らぎは同じになる。従って、一方の無線装置で測定したRSSI履歴に基づいて生成された秘密鍵は、他方の無線装置で測定したRSSI履歴に基づいて生成された秘密鍵と同じになる。
このように伝送路特性を用いて秘密鍵を生成する方法は2つの無線装置間で、情報を送信せずに電波を相互に送受信するだけで同じ秘密鍵を共有することができる。



また、RSSI履歴を生成する際、どちらかの無線装置が移動局であれば鍵生成毎に前回生成した鍵と独立な鍵を生成可能であるが、無線装置が固定局である屋内環境においては、鍵生成毎に独立な鍵生成が困難である。これを解決するための方法としてエスパアンテナ(非特許文献3)等の可変指向性アンテナを用いる方式が屋内環境においては実用的である。
可変指向性アンテナを用いる方式は一方の無線装置もしくは両方の無線装置が指向性を切り替え可能なアンテナを搭載しており、電波を送受信する際に毎回アンテナの指向性を切り替えることでゆらぎの大きなRSSI履歴を作成することが可能となる。またアンテナの指向性は無数に(例えば3素子エスパアンテナでは2^8^2=65536通り)存在し、鍵生成毎に使用する指向性もしくは使用する指向性の順番が異なるため、前回生成した鍵とは独立な鍵が生成可能である。



RSSI履歴から鍵生成する方法として、各無線装置でRSSI履歴の中央値を計算し、その中央値をしきい値として二値化する方法がある。即ちRSSI値が中央値よりも大きい場合「1」とし、RSSI値が中央値よりも小さい場合「0」として、RSSI履歴を二値化する。そして各無線装置で2値化したビット列は等しくなり、そのビット列が鍵となる。



可変指向性アンテナを用いた秘密鍵共有方式において、要求される耐性として雑音耐性と盗聴耐性がある。雑音耐性は、鍵を共有したい2つの無線装置間の鍵の一致率に関する評価指標であり、鍵の雑音耐性を高めることにより多様な環境下においてリアルタイムで安定した鍵の生成共有が可能となる。盗聴耐性は、鍵を共有したい無線装置の鍵と盗聴局の鍵の一致率に関する評価指標であり、鍵の盗聴耐性を高めることにより盗聴されにくい安全な鍵の生成共有が可能となる。
この雑音耐性と盗聴耐性がトレードオフの関係にある、即ち雑音耐性が高くなる指向性セットでは盗聴耐性が低くなり、盗聴耐性が高くなる指向性セットでは雑音耐性が低くなる傾向にあることが分かっている。
盗聴耐性、雑音耐性を共に高めるためには盗聴耐性の高い指向性セットを選択し、送信電力を増やすことで低減させることも可能であるが、ハードウェアの小型化に伴いバッテリ駆動による機器が増えてきていることを考えると送信電力を増やすことは極力避けたい。



アンテナにつき複数の指向性(リアクタンスセット)を予め定めておいて、アンテナの指向性を当該定められた複数の指向性の間で切り替えることにより雑音特性を高める取り組みが非特許文献4に紹介されている。また、同様にして盗聴耐性を高める取り組みが非特許文献5に紹介されている。
非特許文献6では、リアクタンスセットを決める際に秘匿条件付相互情報量を用いることが示されている。



【特許文献1】
特開平2006-324870号公報
【非特許文献1】
大平 孝, 笹岡秀一, “盗聴防止アンテナ -セキュリティ対策への物理層的アプローチ-”, 信学誌,vol88,No.3,pp.190-194Mar.2005
【非特許文献2】
岩井誠人, 笹岡秀一, “電波伝搬特性を活用した秘密情報の伝送・共有技術”, 信学論(B), vol.J-90B,No.9,pp770-783,2007
【非特許文献3】
大平 孝, 飯草恭一, “電子走査導波器アレーアンテナ, 信学論(C), vol.J87-C,No.1,pp.12-31, Jan. 2004
【非特許文献4】
「3素子エスパアンテナを用いた秘密鍵共有方式において雑音耐性を高めるリアクタンスセット」、2008年電子情報通信学会総合大会 B-5-154
【非特許文献5】
「3素子エスパアンテナを用いた秘密鍵共有方式において盗聴耐性を高めるリアクタンスセット」、2008年電子情報通信学会総合大会 B-5-155
【非特許文献6】
「両端末に3素子エスパアンテナを用いた秘密鍵共有システムにおける秘匿条件付き相互情報量」 信学技報RCS2008-3,pp.13-18,May 2008

産業上の利用分野



本発明は秘密鍵共有通信システム及び通信方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
第1の無線装置と第2の無線装置との間の秘密鍵共有通信システムであって、
前記第1の無線装置と前記第2の無線装置の少なくとも一方に備えられる可変指向性アンテナと、
前記第1の無線装置と第2の無線装置との各通信環境において最も高い秘匿条件付相互情報量となる指向性セットを保存する指向性セット保存部と、
前記第1の無線装置と第2の無線装置との通信環境に応じて前記指向性セット保存部に保存された指向性セットを選択し、前記可変指向性アンテナの指向性を制御する指向性制御部と、
を備えてなる秘密鍵共有通信システム。

【請求項2】
前記制御部は、前記第1の無線装置と前記第2の無線装置との間で秘密鍵を生成する前に電波の送受信を行って両者の通信環境を特定し、特定された通信環境に応じて前記指向性セットを選択する、ことを特徴とする請求項1に記載の秘密鍵共有通信システム。

【請求項3】
記通信環境は送信電力対雑音電力比である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の秘密鍵共有通信システム。

【請求項4】
第1の無線装置と第2の無線装置の少なくとも一方の可変指向性アンテナの指向性を変更することにより、前記第1の無線装置と前記第2の無線装置との間で秘密鍵共有通信を行う通信方法であって、
前記第1の無線装置と第2の無線装置との各通信環境において最も高い秘匿条件付相互情報量となる指向性セットを指向性セット保存部に保存し、
前記第1の無線装置と第2の無線装置との通信環境に応じて前記指向性セット保存部に保存された指向性セットを選択し、前記可変指向性アンテナの指向性を制御する、ことを特徴とする通信方法。

【請求項5】
前記第1の無線装置と前記第2の無線装置との間で秘密鍵を生成する前に電波の送受信を行って両者の通信環境を特定し、特定された通信環境に応じて前記指向性セットを選択する、ことを特徴とする請求項4に記載の通信方法。

【請求項6】
前記通信環境は送信電力対雑音電力比である、ことを特徴とする請求項4又は5に記載の通信方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2009005563thum.jpg
出願権利状態 登録
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