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微生物を用いたスフィンゴ糖脂質の製造方法

国内特許コード P10A015636
整理番号 QP01013
掲載日 2010年8月31日
出願番号 特願2001-249782
公開番号 特開2003-061663
登録番号 特許第4825963号
出願日 平成13年8月21日(2001.8.21)
公開日 平成15年3月4日(2003.3.4)
登録日 平成23年9月22日(2011.9.22)
発明者
  • 伊東 信
  • 末吉 紀行
  • 澄田 智美
出願人
  • 国立大学法人九州大学
発明の名称 微生物を用いたスフィンゴ糖脂質の製造方法
発明の概要 (57)【要約】【課題】 新規なエキソ型ガングリオシド分解酵素を産生するエキソ型ガングリオシド分解酵素産生菌Paenibacillus sp.と、新規なエキソ型ガングリオシド分解酵素と、新規なエキソ型ガングリオシド分解酵素を生産する製造方法とを提供すること。【解決手段】 新規なエキソ型ガングリオシド分解酵素は、エキソ型ガングリオシド分解酵素を生産するPaenibacillus sp. TS12 FERM P?18416を培養することによって製造することができる。
従来技術、競合技術の概要
スフィンゴ糖脂質は、スフィンゴシン塩基を含むセラミドを脂質部分として持つ糖脂質の総称で、なかでもガングリオシドはシアル酸を分子内に有するスフィンゴ糖脂質の一群につけられた名称である。ガングリオシドという名称は、神経節(ガングリオン)に由来しているが、実際に脳や神経系に豊富に存在している(Ledeen, R. W. (1989) Biosynthesis, metabolism, and biological effects of gangliosides, In Neurobiology of Glycoconjugates;Margolis, R. U. and R. K. Margolis, eds)。ガングリオシドは、成長因子受容体などの膜貫通型タンパク質の機能(多くはリン酸化)を調節することで細胞増殖を制御したり、神経系では軸索の伸長やシナプスの形成にも重要な機能を果たしていると考えられている。一方、ある種の病原菌や毒素の受容体としても注目されている。例えば、ある種のガングリオシドはインフルエンザウイルスのレセプターとして、また、GM1ガングリオシドはコレラ毒素の受容体として知られている。最近になって、ガングリオシドを含むスフィンゴ糖脂質は、スフィンゴミエリンやコレステロールとともに細胞膜ミクロドメインを形成し、同じくミクロドメインに集積するsrc-family キナーゼやGPI型タンパク質と相互作用することで細胞機能を調節している可能性が指摘されている。ガングリオシドは、分子内に十数個のシアル酸を有しており、骨格となる中性糖鎖の構造に基づいておよそ5つの系統に分類される。なかでも、Galβ1-3GalNAcβ1-4Galβ1-4Glcβ1-1'Cer (セラミド)という4糖を骨格に持つガングリオテトラオース系列は、神経系に比較的豊富に存在している。ガングリオテトラオース系列のうち、シアル酸を1個有するGM1(モノシアロガングリオテトラオシルセラミド)はこれまで最もよく研究されてきたガングリオシドの1つで、現在までにアルツハイマー(Svennerholm, L., (1994) Life Sci. 55, 2125-2134)やパーキンソン病(Schneider J. S., Roeltgen, D. P., Rothblat, D.S., Chapas-Crilly, J., Seraydarian, L., and Rao, J., (1995) Neurology 45, 1149-1154)、脊髄損傷(Geisler, F. H., Dorsey, F. C., and Coleman, W. P., (1991) New England J. Med. 324, 1829-1838)、脳卒中(Argentino, C., Sacchetti, M. L., Toni, D., Savoini, G., D'Arcangelo, E., Erminio, G. A., Ponari, O., Rebucci, G., Senin, U., and Fieschi, C., (1989) Stroke 20, 1143-1149)、胎児アルコール障害(Basalingappa, L. H., Donald, R. C., and Vinayak, G.S. (1994) Alcohol Clin. Exp. Res. 18, 1248-1251)などの様々な神経疾患への臨床応用が試みられている。スフィンゴ糖脂質の調製は、それぞれのスフィンゴ脂質が豊富に含まれていると思われる動物組織から行われている。例えば、ガングリオテトラオース系ガングリオシドであるGT1a, GD1a, GD1b, GM1は、ウシ脳から単離される。GM2は、正常な脳組織には殆ど存在せず、Tay-Sachs病の患者脳から単離される。GM3は、ヒト赤血球から単離される。ラクトシルセラミド(LacCer)は、ウシやブタの臓器から単離される。グルコシルセラミド(GlcCer) は、Gaucher病患者の脾臓から単離される。セラミドは、ウシ脳から調製される。これらの天然物由来の標品以外に化学合成法によっても調製されているが、非常に高価である。従って、これらの各種ガングリオシドやスフィンゴ糖脂質を大量にしかも安価に調製する方法の開発が待たれている。
動物の生体内でのガングリオシドの分解は、リソソームに存在する種々の糖加水分解酵素よって段階的に進められる。つまり、糖鎖の非還元末端から順次単糖が外れ、最終的にはセラミドが生成する。このセラミドは、リソソームに存在する酸性セラミダーゼによってスフィンゴシン塩基と脂肪酸に代謝される。一方、自然界ではどのようにしてガングリオシドやスフィンゴ糖脂質が分解されているのは明らかでない。自然界では、これらの複合脂質の分解に微生物が関与していることは漠然と推測されているが、ガングリオシドやスフィンゴ糖脂質を単独で完全に分解できる微生物は知られていない。現在までに報告のあるガングリオシドあるいはスフィンゴ糖脂質に作用する微生物起源の酵素としては、非還元末端のα位のシアル酸に作用するシアリダーゼ(Sugano,K., Saito, M., and Nagai, Y.,(1978)FEBS Lett. 89, 321-325)、スフィンゴ糖脂質のオリゴ糖鎖とセラミド間のグリコシド結合を加水分解するエンドグリコセラミダーゼ(EGCase)(Ito, M. and Yamagata, T. (1986) J. Biol. Chem. 261, 14278-14282)、また、スフィンゴ糖脂質のセラミド内にあるスフィンゴシン塩基と脂肪酸との酸アミド結合を加水分解するグリコスフィンゴ脂質セラミドデアシラーゼ(Hirabayashi, Y., Kimura, Matsumoto, M.,Yamamoto, K., Kadowaki, S, Tochikura, T. (1988) J. Biochem.(Tokyo)103, 1-4)およびスフィンゴ糖脂質のみならずスフィンゴミエリンのセラミドの酸アミド結合も加水分解するスフィンゴ脂質セラミドN-デアシラーゼ (SCDase) (Ito, M., Kurita, T., and Kita, K.(1995) J. Biol. Chem. 270, 24370-24374)などがある。しかし、シアリダーゼを除いてガングリオシドを含むスフィンゴ糖脂質糖鎖の非還元末端に作用する微生物起源のエキソグリコシダーゼは未だ報告がない。
【0003】
グリコシダーゼは、その性質によってエキソ型とエンド型に分けられる。エキソ型酵素は、糖鎖の非還元末端の糖に作用し、単糖を遊離する。一方、エンド型酵素は、糖鎖の内部グリコシド結合に作用し、単糖ではなくオリゴ糖あるいはより大きな糖鎖を遊離する。一般に、微生物由来のエキソグリコシダーゼは、動物起源の酵素と比較すると糖鎖部分の構造に対する特異性が厳密である。この性質を利用して糖タンパク質やオリゴ糖鎖の構造解析に繁用されてきた。しかし、ガングリオシドを含むスフィンゴ糖脂質糖鎖に作用する微生物由来のエキソ型グリコシダーゼは、シアリダーゼ以外には知られておらず、植物や動物臓器由来の酵素を使用することを余儀無くされてきた。安価で大量に調製可能な微生物起源のエキソ型グリコシダーゼの開発が待たれている。微生物由来のエキソグリコシダーゼは、糖鎖配列自動決定装置(糖鎖シーケンサー)の開発にも欠かせない。
また、エキソ型グリコシダーゼを動物や植物の培養細胞に作用させ、細胞表面の糖鎖をトリミングすることによって、細胞の増殖、分化、サイトカインや増殖因子との応答性の変化を調べ、糖鎖の機能を知ることもできる。さらに、糖鎖をトリミングすることで積極的に細胞機能を変化させる細胞工学的な試みも可能であろう。
産業上の利用分野
この発明は、微生物を用いたスフィンゴ糖脂質の製造方法に関するものである。詳細には、ガングリオシドを分解する新規バクテリア、および新規エキソグリコシダーゼとそれらの遺伝子並びにそれらを用いたスフィンゴ糖脂質の製造方法に関するものである。
特許請求の範囲 【請求項1】エキソ型ガングリオシド分解酵素産生菌Paenibacillus
sp.TS12 FERM P-18416をGD1a、GD1b、GM1、GM2およびGM3から選ばれるガングリオシドと共培養してアシアロGM1、アシアロGM2、ラクトシルセラミドおよびグルコシルセラミドから選ばれるスフィンゴ糖脂質を得ることを特徴とするスフィンゴ糖脂質の製造方法。
産業区分
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
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