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バイオフィルム形成阻害剤及び治療用器具 外国出願あり

国内特許コード P10A015654
整理番号 QP040025
掲載日 2010年8月31日
出願番号 特願2004-337604
公開番号 特開2006-141794
登録番号 特許第5028605号
出願日 平成16年11月22日(2004.11.22)
公開日 平成18年6月8日(2006.6.8)
登録日 平成24年7月6日(2012.7.6)
発明者
  • 松田 武久
  • 前山 良
出願人
  • 国立大学法人九州大学
発明の名称 バイオフィルム形成阻害剤及び治療用器具 外国出願あり
発明の概要 【課題】 大腸菌を含むあらゆる細菌の死滅、細菌の増殖を抑制することによってバイオフィルム形成を効果的かつ永続的に阻害することができる胆管ステント等の治療用器具及びその治療用器具にコーティングするのに適したステント形成阻害剤を提供する。
【解決手段】 バイオフィルム形成阻害に有効な量のカテキン類と、前記カテキンを生体内に留置される治療用器具に付着させるのに適した担体とを有することを特徴とするバイオフィルム形成阻害剤が提供される。
【選択図】 なし
従来技術、競合技術の概要 進行膵癌・胆管癌は、診断及び治療が非常に困難な、いわゆる難治癌として知られている。すなわち、膵臓及び胆管は、胃・十二指腸・小腸・大腸・肝臓・胆嚢・脾臓等の他の臓器に囲まれているために癌の発見が困難であり、また、早い段階では癌に特徴的な症状が見出せない。このため、早期発見が難しく、癌であると診断された際にはすでに手遅れということも多い。

一方、これらの癌に比較的関連した症状として、閉塞性黄疸(体が黄色になる症状)がある。これは、肝臓から十二指腸に至る膵臓頭部中の胆管(肝臓で作られた胆汁を消化管に排出する管)が癌によって閉塞してしまい胆汁の排泄が行われなくなることが原因で起こるものである。一般に、進行膵癌・胆管癌の治療の第一段階はこの閉塞性黄疸を改善することであるとされている。

この閉塞性黄疸を改善するための手段として、胆管ステントが用いられている。この胆管ステントは筒状のプラスチックまたは金属(ステント)であり、十二指腸乳頭を経由して内視鏡的に胆管内に留置することで、胆管の細くなった部位を拡げて胆汁を流すことができる。

しかしながら、この胆管ステントの胆汁流出部は十二指腸内に露出しているため、十二指腸液がステント内腔に逆流するということがある。その結果、この十二指腸液に含まれる種々の腸内細菌(大腸菌など)がステント内腔の表面に付着して増殖し、菌体外物質(ポリサッカライド)を産生しながら複雑な立体構造を構築することでいわゆるバイオフィルムが形成される。バイオフィルムが形成されると、その表面に胆石(ビリルビンカルシウム結石が主成分であり、その生成には細菌の産生する酵素や炎症に伴う活性酸素が関与している)が沈着してしまい内腔の閉塞をきたす。

このバイオフィルム形成のため胆管ステント内腔は術後約3ヶ月で閉塞してしまい、新しい胆管ステントとの交換が必要となる。しかし例えば膵癌患者の平均余命は6ヶ月程しかないため、度重なる手術は患者のQOL(Quality of life)を著しく低下させるだけでなく、経済的な負担も大きい。

さらに生体表面に形成されたバイオフィルムは、慢性気管支炎や慢性骨髄炎等の感染症をも引き起こす可能性がある。また、人工基材表面、例えば心臓の人工弁、人工関節、尿道カテーテル等にバイオフィルムが形成されると、敗血症を合併して最悪、死に至ることもある。

現在、胆管ステント内のバイオフィルム形成を防止するため、各種抗生剤が使用(局所投与、血中投与)されている(Is prophylactic ciprofloxacin effective in delaying biliary stent blockage?,Gastrointest Endosc 52:175~182)。しかし抗生剤の長期投与によって耐性菌が出現する可能性が高く、投与期間はせいぜい1週間程度である。一度バイオフィルムが形成されると、薬剤に対して強い抵抗性を示すため、有効な薬剤がないのが現状である

さらにステント表面への細菌の付着を抑制するために、動物細胞の接着が少ないとされている高親水性表面のポリマー(商品名Hydromer)によるコーティングや高疎水性表面を有するフッ素系ポリマー(PFA;perfluoroalkoxy PTFE)による胆管ステントも開発されている。しかし、これらの素材は細菌の増殖を抑制できない。このため、表面にわずかに付着した増殖能の高い細菌(大腸菌の倍加時間は30分)が付着していると、その増殖を防ぐことができず、バイオフィルムの形成を阻害することはできない。

また細菌の増殖を抑制するために、抗生剤や銀イオンを用いた薬剤徐放性ポリマーも開発されており、実験レベルでは有効性が示されている。しかし生体への毒性や影響が問題となり人体への実用化には至っていない。

産業上の利用分野 本発明は、バイオフィルム形成阻害剤及びそれを適用してなる治療用器具に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
大腸菌によるバイオフィルム形成を阻害するためのバイオフィルム形成阻害剤であって、
大腸菌によるバイオフィルム形成阻害に有効な量のカテキン類と、
前記カテキン類を生体内に留置される治療用器具に付着させた場合に、前記カテキンを徐放させることができる親水性生分解性ポリマーと
を有し、前記大腸菌によるバイオフィルム形成の阻害は、前記治療用器具への大腸菌の付着を阻害することによって達成されるものであり、前記カテキン類はエピガロカテキンガレートであり、前記親水性生分解性ポリマーはTMC/LL/PEG1k及びTMC/PEG200からなる群から選択されるものであり、前記エピガロカテキンガレートは前記TMC/LL/PEG1kまたは前記TMC/PEG200に20wt%含有されるものであり、これにより前記エピガロカテキンガレートの徐放量が1日当り0.22mg/cmもしくはそれ以上となるものであることを特徴とするバイオフィルム形成阻害剤。

【請求項2】
生体内に留置され、大腸菌によるバイオフィルム形成を阻害することができる治療用器具であって、
その表面に大腸菌によるバイオフィルム形成阻害に有効な量のカテキン類と、前記カテキンを徐放させることができる親水性生分解性ポリマーとがコーティングされており、前記カテキン類は徐放されるものであり、
前記大腸菌によるバイオフィルム形成の阻害は、前記治療用器具への大腸菌の付着を阻害することによって達成されるものであり、前記カテキン類はエピガロカテキンガレートであり、前記親水性生分解性ポリマーはTMC/LL/PEG1k及びTMC/PEG200からなる群から選択されるものであり、前記エピガロカテキンガレートは前記TMC/LL/PEG1kまたは前記TMC/PEG200に20wt%含有されるものであり、これにより前記エピガロカテキンガレートの徐放量が1日当り0.22mg/cmしくはそれ以上となるものであ
ことを特徴とする治療用器具。

【請求項3】
請求項記載の治療用器具であって、
前記治療用器具は、非自己拡張型のプラスチックステントであることを特徴とする治療用器具。
国際特許分類(IPC)
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