TOP > 国内特許検索 > クライオスタット

クライオスタット

国内特許コード P10A015659
整理番号 QP060014
掲載日 2010年8月31日
出願番号 特願2006-188676
公開番号 特開2008-014878
登録番号 特許第4431793号
出願日 平成18年7月7日(2006.7.7)
公開日 平成20年1月24日(2008.1.24)
登録日 平成22年1月8日(2010.1.8)
発明者
  • 矢山 英樹
出願人
  • 九州大学
発明の名称 クライオスタット
従来技術、競合技術の概要 【背景技術】
【0002】 物性物理学や物質科学、材料工学や電気・電子工学などの分野で、物質を極低温に冷却し物理的性質を調べるために、古くから寒剤として液体ヘリウムが用いられてきた。液体ヘリウムの1気圧での沸点は4.2Kであるが、真空ポンプを用いて蒸気圧を下げるだけで温度が下がり、最低到達温度1K程度が実現される。
【0003】 このような液体ヘリウムを用いたクライオスタットが製作され、物理的性質を調べる実験が行われてきたが、このクライオスタットは試料に熱を加えて温度を上げると、試料から液体ヘリウムに熱が多量に流れ込むため液体ヘリウムの蒸発が速くなる。しかし、クライオスタットの中に蓄えられる液体ヘリウムの量は限られているため、一度汲み込んだ液体ヘリウムが蒸発してしまう前に実験を終了することができなければ、一旦運転を停止してもう一度液体ヘリウムを追加汲み込みした後、再度実験を開始する必要があった。そのため、広範囲の温度、特に室温付近の高温まで昇温して物性を調べる実験にはあまり適さないクライオスタットであった。
【0004】 それに加え、液体ヘリウムは高価で取り扱いが難しいため、専門的教育を受けた者でなければ扱えない。さらに、ヘリウムは、空気中に放出されると、回収不能な限られた資源でもある。
【0005】 このため最近では、液体ヘリウムを用いたクライオスタットに代わって、導入コストは高いがランニングコストが安く、総合的にみて低コストのギフォード・マクマホン冷凍機(以下、GM冷凍機)や、パルスチューブ冷凍機、スターリング冷凍機などのいわゆるクライオクーラーを用いて極低温を実現する無冷媒(Cryogen Free)型クライオスタットが開発されている。GM冷凍機の詳細については後述する。パルスチューブ冷凍機は、コンプレッサー、放熱器、蓄冷器、熱交換器、パルスチュ-ブの順に接続したもので、パルスチューブとコンプレッサーとの間で冷媒を往復移動させて熱交換器で冷却するものである。また、スターリング冷凍機はディスプレーサとピストン、蓄冷器、これらを囲むシリンダ、及び高温部と低温部の熱交換器から構成される冷凍機であって、冷媒をピストンで圧縮し、その後ディスプレーサとピストンが移動することで冷媒を膨張させて冷却し、ディスプレーサが元の位置に戻ってこのサイクルを繰返すものである。
【0006】 一方、試料に磁場を印加したいという要求があり、上記した無冷媒型クライオスタットの開発とは独立して、GM冷凍機を用いて伝導冷却により超電導マグネットを冷却する無冷媒超電導マグネット(Cryogen Fee Superconducting Magnet)が開発されている。
【0007】 無冷媒型クライオスタットは、液体ヘリウム(He)を使ったクライオスタットと比較すれば高価な装置であり、無冷媒超電導マグネットと無冷媒型クライオスタットの2つを組み合わせたクライオスタットのように、1つの装置の中にクライオクーラーを2台以上設置するのは、いわば重複した構成といえる。そこで、GM冷凍機を1台にした次のようなクライオスタットが提案された(特許文献1,2)。
【0008】 図9は従来のクライオスタットの構成図である。図9に示すように、特許文献1のクライオスタットは、チャンバ110内の液ポット部分に試料112が設けられ、試料112付近のヒータ114で所定温度に加熱されることにより液体ヘリウムが気化し、対流でパイプ118,124、凝縮部128、細いパイプ130を経て循環する熱サイホンを構成している。これらは周囲から熱絶縁するため外容器132内に設けられた40Kの輻射シールド148内に収容されている。
【0009】 輻射シールド148には40Kの第1ステージ120の熱交換器、4Kの第2ステージ126の熱交換器を備えたGM冷凍機122が設けられ、管路124内を通って第2ステージ126の熱交換器と熱交換したヘリウムガスは凝縮して凝縮部128に溜まり、4Kの液体ヘリウムとしてチャンバ110内の液ポット部分に戻される。ここで図示はしないが、試料112の周囲には超電導マグネットが配設され、強磁場での物性を測定できるようになっている。ニードルバルブ134を操作することにより細いパイプ130を流れる液体ヘリウムの流量を制御する。リザーバタンク140には所定圧力のヘリウムガスが充填されている。
【0010】 試料112は、クライオスタット頂部に設けられたエアロック機構とゲートバルブ136を通したパイプ状の試料ロッドの先端に吊り下げられる。試料112は液体ヘリウム中に浸漬または気体ヘリウム中に配置される。従って、試料を交換するときには、そのメカニズムは明確にされてはいないが、エアロック機構の操作を行ってチャンバ110内の圧力状態を維持しつつ、試料ロッドの引き上げと再挿入を行い、試料112を液ポット中の液体ヘリウムまたは気体ヘリウム内に戻すことになる。
【0011】 ヒータ114を制御すると、特許文献1のクライオスタットは、高温での測定が可能になる理由は明確にされてはないが、1.5Kから300Kの温度範囲で試料の物性を測定することが可能になる。そして、特許文献2で開示されたクライオスタットは、実質的に特許文献1のクライオスタットと同一の構成のものである。
【0012】
【特許文献1】国際公表01/96020号公報
【特許文献2】特開2005-274113号公報
産業上の利用分野 本発明は、20mK(milli Kelvin)前後の極低温あるいはそれ以上の様々の極低温から300Kの室温付近若しくは室温以上に至る広範囲の温度の測定環境を提供することができ、所望の温度で試料の物性を測定することができるクライオスタットに関する。
特許請求の範囲 【請求項1】内部を真空雰囲気に保持することができる真空容器と、前記真空容器に設けられた低熱源と、前記真空容器内に装着され真空雰囲気中で試料を前記低熱源と熱交換させて低温としその物性を測定することができる試料装着装置を備え、前記低熱源と熱的に接続された伝熱部材に対して前記試料装着装置が真空雰囲気中で外部から着脱自在に装着され、前記試料装着装置に設けられたヒータによって前記試料の温度を局部的に上昇させるクライオスタットであって、前記試料装着装置が、前記試料を係止して前記伝熱部材に着脱自在に装着されこれらの間を熱的に接続する試料ホルダと、該試料ホルダに分離可能に装着される操作部とを備え、前記試料ホルダには、前記伝熱部材に着脱するための第1の着脱部と、前記操作部に着脱するための第2の着脱部とが設けられ、前記伝熱部材と前記試料ホルダとの間の熱的接続には、前記伝熱部材と前記第1の着脱部間だけで熱伝導が行われる第1の伝熱レベルと、前記伝熱部材と前記第1の着脱部及び前記試料ホルダを通して熱伝導が行われる第2の伝熱レベルと、前記伝熱部材と前記試料ホルダが分離され熱伝導が行われない第3の伝熱レベルが設けられて、この3つの伝熱レベルで前記伝熱部材と前記試料ホルダが熱的接続されることを特徴とするクライオスタット。
【請求項2】前記第1の着脱部が前記試料ホルダより高熱抵抗の部材によって構成されたことを特徴とする請求項1記載のクライオスタット。
【請求項3】前記第1の着脱部が第1の右ネジ部を備えて前記伝熱部材にはこれと螺合する第1の被螺合右ネジ部が設けられると共に、前記第2の着脱部が第2の左ネジ部を備えて前記操作部にはこれと螺合する第2の被螺合左ネジ部が設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載されたクライオスタット。
【請求項4】前記第1の着脱部が第1の左ネジ部を備えて前記伝熱部材にはこれと螺合する第1の被螺合左ネジ部が設けられると共に、前記第2の着脱部が第2の右ネジ部を備えて前記操作部にはこれと螺合する第2の被螺合右ネジ部が設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載されたクライオスタット。
【請求項5】前記ヒータが、前記試料周辺の局部的な温度を前記伝熱部材によって冷却された温度から上昇させることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のクライオスタット。
【請求項6】前記伝熱部材と前記試料ホルダが前記第2または前記第3の伝熱レベルで熱的接続されるときには、前記第1の伝熱レベルにより前記第1の着脱部を介して徐々に熱的接続されてから前記第2または前記第3の伝熱レベルで熱的接続されることを特徴とする請求項1記載のクライオスタット。
産業区分
  • 試験、検査
  • 加熱冷却
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
上記の特許・技術に関心のある方は、下記問合せ先にご相談下さい。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close