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熱不可逆性逆フォトクロミック分子材料

国内特許コード P10A015674
整理番号 QP070019
掲載日 2010年8月31日
出願番号 特願2007-233672
公開番号 特開2009-062344
登録番号 特許第5273640号
出願日 平成19年9月10日(2007.9.10)
公開日 平成21年3月26日(2009.3.26)
登録日 平成25年5月24日(2013.5.24)
発明者
  • 入江 正浩
  • 深港 豪
  • 田中 雅晃
出願人
  • 国立大学法人九州大学
発明の名称 熱不可逆性逆フォトクロミック分子材料
発明の概要

【課題】初期状態として着色しており、光の作用による可逆的な構造変化(色変化)を呈し、熱安定性等においても優れた新しいタイプのフォトクロミック材料を提供する。
【解決手段】下記式(I)で表されるジアリールエテン化合物および該ジアリールエテン化合物からなる逆フォトクロミック材料。式(I)中、Xは、炭素数1~6のアルキル基もしくはアルコキシル基等の置換基を表す。

【選択図】図3

従来技術、競合技術の概要


高度情報化社会を迎え、莫大な量の情報を小型のメディアに蓄積することは重要な技術的課題となっている。光ディスクはレーザーの短波長化およびピックアップレンズの高NA化(NA:開口数)により高密度・大容量化を図ってきたが、近年のBlu-ray Disc(BD)における青紫レーザー(405nm)とNA0.85のピックレンズの出現により、面内方向での高密度化は事実上限界を迎えたと言われている。10年後にはインターネットを介したコンテンツの配信が大きく増加し、ホームユースで数百ギガバイト、ビジネスユースではテラバイト級の記録容量が必要となると考えられており、如上の限界を超えた高密度光メモリの開発が急務となっている。



現状のBDにおける記録方式は、ヒートモード記録であり、記録層に記録レーザー光を照射し、発生した熱により記録層を変形させ読み出し光の反射率を変化させ、その差を記録情報として読み出している。このヒートモード記録では、熱拡散や物質移動を回避することができないため、これ以上の記録密度は望めないと考えられている。これに変わる方式として、光エネルギーを直接記録に用いるフォトンモード記録が検討されており、この記録方式に用いられる材料として、光に応答してその物性を可逆的に変化させるフォトクロミック材料が有望視されている。



フォトクロミック材料とは、光の作用により色の異なる2つの異性体を可逆的に生成する分子または分子集合体を含む材料をいう。フォトクロミック材料は、自然界にも多く存在しているが、各種の光機能性材料をめざして人工的にも数多くのフォトクロミック材料(フォトクロミック分子材料)が開発されてきている。



フォトクロミック材料は大きく分けて、正のフォトクロミズムと呼ばれる、無色から光の作用による構造変化に伴い着色する現象を示すものと、逆に、光作用により着色体から無色体へと変化する負のフォトクロミズムを示すもの(逆フォトクロミック材料)とがあるが、後者の例は稀有である。



これまでに開発されてきたフォトクロミック材料の中で、ジアリールエテンと呼ばれる分子群がある。このジアリールエテンは、中央にエテンの環があり、その両側にアリール基が結合した構造をもち、数フォトンで応答する高感度性、ピコ秒の高速応答性、半永久的な保存耐久性を有し、光メモリや光加工に適用可能な分子材料として注目されている。これまでに知られているジアリールエテンは無色体から着色する正のフォトクロミズムを示す〔例えば、M. Irie et al., Bull. Chem. Soc. Jpn., 71 (1998) 985(非特許文献1)〕。



逆フォトクロミズムを示す分子(逆フォトクロミック材料)については、日本のShimizuらによって報告されたスピロベンゾピラン誘導体〔I. Shimizu et al., Bull. Chem. Soc. Jpn., 42, 1730 (1969)(非特許文献2)〕や、カナダのMitchellらにより研究されているジメチルジヒドロピレン誘導体〔R. H. Mitchell et
al., J. Am. Chem. Soc., 125, 2974 (2003)(非特許文献3)〕など数例の報告に限られており、関連特許もそれらの分子で小数しか出願されていない〔例えば、特開平6-263767号公報(特許文献1);特開平7-25862号公報(特許文献2)〕。しかも、それらは全て熱戻りを起こす(光照射により着色体から生成した無色体が熱的に不安定的であり、暗所においても自然に元の状態に戻ってしまう)分子であるため光デバイス材料としては使用できず、また、繰り返し耐久性が低いなどの課題も残されている。



ジアリールエテンは優れたフォトクロミック材料であるが、これまでに知られた一般的なジアリールエテンは正のフォトクロミズムを示し、初期状態で無色体であるため、BDの光源である青紫色レーザーに対して感受性を持たない。このジアリールエテンを記録材料として使用するには、記録に紫外光源が必要となるが、紫外光は光学素子に吸収されてしまうため、記録光として使用できないという問題がある。複雑な化学修飾を行い青紫色レーザーに感受性を持たせたり、ジアリールエテンの熱安定性を利用して着色体を単離し、暗所下でデバイスを作製することも可能であるが、煩雑なプロセスを必要とするため実用化の上で理想的でない。



また仮に記録が行えたとしても、記録状態が500~800nmの波長域に新たな吸収をもつ着色体の状態となるため、記録に用いた波長よりも長波長の光を読み出しに用いなくてはならず、記録の分解能よりも読み出しの分解能が落ちる問題点や高いSN比が得られないといった問題点もあり、現状のシステムでは実用レベルでの有効な利用法が見出されていない。

【特許文献1】特開平6-263767号公報

【特許文献2】特開平7-25862号公報

【非特許文献1】M. Irie et al., Bull. Chem. Soc.Jpn., 71 (1998) 985

【非特許文献2】I. Shimizu etal., Bull. Chem. Soc. Jpn., 42, 1730 (1969)

【非特許文献3】R. H.Mitchell et al., J. Am. Chem. Soc., 125, 2974 (2003)

産業上の利用分野


本発明はフォトクロミック材料に関し、特に新規なジアリールエテン化合物からなる逆フォトクロミック材料に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
下記の式(I)で表されるジアリールエテン化合物からなることを特徴とする逆フォトクロミック材料。
【化学式1】


〔式(I)中、Xは、メチル基、フェニル基またはメトキシフェニル基を表す。〕
産業区分
  • 有機化合物
  • その他無機化学
  • 写真映画
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2007233672thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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