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赤外光検出器 UPDATE コモンズ 外国出願あり

国内特許コード P100000223
整理番号 AF01P006
掲載日 2009年6月12日
出願番号 特願2009-125194
公開番号 特開2010-272794
登録番号 特許第5123889号
出願日 平成21年5月25日(2009.5.25)
公開日 平成22年12月2日(2010.12.2)
登録日 平成24年11月2日(2012.11.2)
発明者
  • 小宮山 進
  • パトリック ニクルス
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 赤外光検出器 UPDATE コモンズ 外国出願あり
発明の概要 【課題】赤外光への感度のさらなる向上を図りうる赤外光検出器を提供する。
【解決手段】本発明の赤外光検出器100によれば、単一の第1電子領域が分割されることにより、相互に電気的に独立しているとともに、指定方向に並んでいる複数の第1電子領域10が形成されている。遮断状態における複数の第1電子領域10のそれぞれの励起サブバンドの電子エネルギーレベルが、伝導チャネル120において第1電子領域10のそれぞれに対向する第2電子領域20のそれぞれにおけるフェルミ準位よりも十分に高くなるように、接続状態における第1電子領域10のそれぞれの電気的な接続先である外部電子系が構成されている。
【選択図】 図1
従来技術、競合技術の概要


本願発明者によりCSIP(Charge Sensitive Infrared Phototransistor:電荷敏感型赤外光トランジスタ)を構成要素とする高感度の赤外光検出器が提案されている(たとえば、特許文献1ならびに非特許文献1および2参照)。



この赤外光検出器によれば、赤外光がマイクロストリップ・アンテナまたは金属パッチ・アレイ等によって量子井戸等、周囲から電気的に孤立した2次元電子層(浮遊ゲート)に集中される。これにより孤立2次元電子層に垂直な振動電場が生成される。そして、孤立2次元電子層における電子がこの振動電場により励起されて基底サブバンドから励起サブバンドに遷移し、さらに孤立2次元電子層からその直下に配置された電荷敏感トランジスタの伝導チャネル等に脱出する。これにより孤立2次元電子層が正に帯電する。その結果、CSIPのソース-ドレイン間の電気伝導度が増加する。



詳細には、赤外光検出器に赤外光が入射すると、光結合機構により第1電子領域に垂直な方向(z方向)に振動電場が形成される。この振動電場により第1電子領域において、図4(a)に上向き矢印で示されているように量子井戸の基底サブバンド(電子エネルギーレベルε0)から励起サブバンドに電子が遷移する。励起サブバンドに遷移した電子は図4(a)に破線矢印で示されているように量子井戸の電位障壁をトンネル過程で脱出する。そのトンネル脱出過程を可能にするために、中間層の量子井戸側のポテンシャルU1は励起サブバンドの電子エネルギーレベルε1より低いが、中間層のエネルギー勾配を確保するために伝導チャネルの対向領域におけるフェルミエネルギー(電気化学ポテンシャル)εFより高く設定されている。そのため、励起サブバンドからトンネル過程で脱出した電子は中間層のエネルギー勾配にしたがって伝導チャネル、特に第1電子領域に対向する領域(本発明における「第2電子領域」に相当する。)に流入する。これにより第1電子領域が正に帯電またはイオン化する。すなわち、遮断状態において第1電子領域および第2電子領域が中間層を挟んだコンデンサとして機能し、第1電子領域に正電荷が蓄えられる。



そして、赤外光検出器への赤外光の入射が継続する結果として、前記のように第1電子領域から伝導チャネルに脱出する電子数が継続的に増加することにより、第1電子領域の帯電量が対応して継続的に増加する。また、第1電子領域の帯電量の増加にともなって、伝導チャネルの電気伝導度が高くなる。このため、伝導チャネルの電気伝導度の変化を検出することにより入射した赤外光の積分値が高感度で検出されうる。



しかるに、赤外光検出が開始されてから比較的短時間でCSIPのソース-ドレイン間の電気伝導度の変化が飽和してしまうので、赤外光感度には限界が生じる。



詳細には、第1電子領域の正の帯電量ΔQが増加することにより、第1電子領域における励起サブバンドの電子エネルギーレベルε1が低下し、電子の主な脱出先である伝導チャネルにおける第2電子領域のフェルミ準位(電気化学ポテンシャル)εFとの差が小さくなる。たとえば、第1電子領域の正の帯電量ΔQがΔQsat=(ε-U1)C/eに達すると、図4(a)に示されているように中間層におけるエネルギー高低差が大きい状態から、図4(b)に示されているように中間層におけるエネルギー高低差が消失した状態になる。ここで、C=ε/dは第1電子領域と伝導チャネルにおける第2電子領域が形成する単位面積当たりの電気容量を表わす。dは第1電子層と第2電子層との間の距離を表わす。εは中間領域の誘電率を表わす。すると、第1電子領域から伝導チャネルへ励起電子が脱出するだけでなく、伝導チャネルで熱励起された電子の第1電子領域への逆流が可能になり正味の脱出が起こらなくなる。その結果、第1電子領域の帯電量増加が停止して飽和する。そして、赤外光がさらに入射してもそれ以上は伝導チャネルの電気伝導度が変化せず、当該電気伝導度の変化率に基づく赤外光検出を続行できなくなる。



そこで、本願発明者により、この問題を解決するための改良が加えられたさらに高感度の赤外光検出器が提案されている(特許文献2および非特許文献3参照)。



この赤外光検出器によれば、ソース-ドレイン間の電気伝導度の変化が飽和する前に、孤立2次元電子領域がリセットゲートを介してソース、ドレインまたはソース-ドレイン間の伝導チャネルに電子的に接続される。これにより、外部電子系から第1電子領域に電子が流入し、この電子が正電荷と結合することによって第1電子領域の帯電量が0に速やかにリセットされ、電気伝導度の値が変化前の初期値に戻り、エネルギーダイヤグラムが図4(b)に示されている状態から図4(a)に示されている状態に復帰する。すなわち、第1電子領域10における励起サブバンドのエネルギーレベルε1が、励起サブバンドに遷移した電子が第1電子領域10から第2電子層104に容易にまたは高確率で流出しうる程度に十分に高い状態に復帰する。



その後、第1電子領域が接続状態から遮断状態に切り替えられることにより、このため、前記のような励起サブバンドに励起された電子の孤立2次元電子領域からの脱出による第1電子領域10の帯電が進行する状況が復活する。このため、反復的または累積的な赤外光の検知が可能となり、赤外光感度の向上が図られている。

産業上の利用分野


本発明は、赤外光検出器に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
2次元電子層である第1電子層において電気的に孤立した状態が維持されうる第1電子領域と、
入射赤外光に応じて前記第1電子領域に垂直な振動電場成分を生成することにより電子を励起し、前記第1電子領域に形成されている量子井戸のサブバンドの間で遷移させる光結合機構と、
前記第1電子層に対して中間絶縁層を介して平行に配置されている2次元電子層である第2電子層において、前記光結合機構により励起された電子が前記第1電子領域から流出した結果として電気伝導度が変化する伝導チャネルと、
前記第1電子領域が外部電子系から電気的に遮断されている遮断状態と、前記外部電子系と電気的に接続されている接続状態とを切り替える状態制御機構とを備え、
前記伝導チャネルの指定方向についての電気伝導度の変化を検出することにより前記入射赤外光を検出する赤外光検出器であって、
単一の前記第1電子領域が、相互に電気的に独立しているとともに、前記伝導チャネルに対向して前記指定方向に並んでいる複数の前記第1電子領域に分割され、
前記複数の第1電子領域のそれぞれについて所定条件が満たされるように前記外部電子系が構成され、
前記所定条件は、前記接続状態における前記第1電子領域のそれぞれの前記励起サブバンドの電子エネルギーレベルが、前記伝導チャネルにおいて前記第1電子領域のそれぞれに対向する第2電子領域のそれぞれにおけるフェルミ準位に対して、前記遮断状態における前記第1電子領域のそれぞれの励起サブバンドに遷移した電子が、前記第2電子領域のそれぞれに流出しうる程度に高くなるという条件であることを特徴とする赤外光検出器。

【請求項2】
請求項1記載の赤外光検出器において、
前記第2電子領域のそれぞれが、前記第1電子領域のそれぞれの前記外部電子系として構成されていることを特徴とする赤外光検出器。

【請求項3】
請求項1記載の赤外光検出器において、
前記中間絶縁層とともに前記一の2次元電子層を挟む上部絶縁層の上面において前記単一の第1電子領域を横断するように複数のゲート電極が形成され、
それぞれの前記ゲート電極にバイアス電圧が印加されて前記一の2次元電子層に電位障壁が形成されることにより、前記単一の第1電子領域が前記複数の第1電子領域に分割されることを特徴とする赤外光検出器。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2009125194thum.jpg
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 物質現象の解明と応用に資する新しい計測・分析基盤技術 領域
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