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微小変位計測方法及び装置 新技術説明会

国内特許コード P100000257
掲載日 2009年6月26日
出願番号 特願2009-056600
公開番号 特開2010-210399
登録番号 特許第5036005号
出願日 平成21年3月10日(2009.3.10)
公開日 平成22年9月24日(2010.9.24)
登録日 平成24年7月13日(2012.7.13)
発明者
  • 門野 博史
  • 小林 幸一
  • 高原 正博
出願人
  • 国立大学法人埼玉大学
  • 株式会社東洋精機製作所
発明の名称 微小変位計測方法及び装置 新技術説明会
発明の概要

【課題】統計的干渉計測法の円滑な実施を可能にする微小変位計測装置を提供する。
【解決手段】分岐したレーザ光を被測定物体10の2点に照射し、その散乱光より得られるスペックル干渉画像から被測定物体の変位を求める計測装置であり、光線の位相を位相可変手段17で違えて作成した第1、第2の基準スペックル干渉画像(基準画像)と測定対象のスペックル干渉画像(計測画像)との間の位相差を統計的干渉計測法で求める対基準画像位相差算出部32と、各計測画像の位相差から計測画像間の変位を表す位相差を求める変位位相差算出部33と、基準画像を更新する基準画像更新部34とを有する。基準画像の更新により、統計的干渉計測法を用いて微小変位を計測する際の測定レンジを拡大することができる。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


粗面にレーザ光線のようなコヒーレントな光を照射すると、粗面の凹凸で散乱したレーザ光線が不規則な位相で干渉し合うために「スペックルパターン」と呼ばれる粒状斑点模様が観察される。このスペックルパターンを利用して粗面物体の変位を検出する方法として、レーザースペックル干渉法や電子的スペックルパターン干渉法(ESPI)が知られているが、本発明者等は、先に、こうした方法とは発想を異にする、スペックルを利用した微小変位計測方法を下記特許文献1で提案している。
この方法は、統計的手法を導入して変位を求めているため「統計的干渉計測法」と名付けている。



図10は、この方法で用いる装置を模式的に示している。この方法では、レーザ光源11からの光を2本の平行光線a1、a2に分けて、変位する粗面10に照射する。ここでは、粗面10が矢印A方向に変位(伸縮)しているものとする。
光線a1及び光線a2の散乱光は、偏光フィルタ15を通過してカメラ16に入射する。このとき、光線a1によるスペックルパターンと光線a2によるスペックルパターンとの重ね合わせによって生じたスペックル干渉画像だけが偏光フィルタ15を通過し、CCDカメラ16で撮影される。
CCDカメラ16は、所定の時間間隔でスペックル干渉画像を撮影し、その画像がフレームメモリ21に順次記録される。
データ処理装置22は、フレームメモリ21に記録された画像の中から3つのスペックル干渉画像を用いて、それらの画像が撮影される間に生じた粗面10の光線a1、a2により照射された2点間の変位を統計的干渉計測法により求める。



ここでは、3つの画像の内、変位が最も小さい状態の画像を第1スペックル干渉画像、変位がそれより大きい状態の画像を第2スペックル干渉画像、変位が最も大きい状態の画像を第3スペックル干渉画像とする。
変位は、第1スペックル干渉画像及び第3スペックル干渉画像を基準画像として、第1スペックル干渉画像が撮影されてから第2スペックル干渉画像が撮影される間に生じた変位、及び、第2スペックル干渉画像が撮影されてから第3スペックル干渉画像が撮影される間に生じた変位が、その間の位相変化として算出される。



図11のフロー図は、データ処理装置22での処理手順を示している。
まず、1番目の画素に着目して(ステップ1)、第1スペックル干渉画像、第2スペックル干渉画像及び第3スペックル干渉画像から着目する画素の画像強度(I1(x)、I2(x)、I3(x))を取得する(ステップ2)。
第1スペックル干渉画像、第2スペックル干渉画像及び第3スペックル干渉画像の画素xにおける画像強度(I1(x)、I2(x)、I3(x))は、次のように表すことができる。
I1(x)=I0(x)[1+α(x)cos(φ(x)+Ψ1)] (数1)
I2(x)=I0(x)[1+α(x)cos(φ(x))] (数2)
I3(x)=I0(x)[1+α(x)cos(φ(x)+Ψ3)] (数3)
ここで、I0(x)は、画素xにおける第1スペックル干渉画像、第2スペックル干渉画像及び第3スペックル干渉画像の平均強度、α(x)は画素xでのビジビリティ、φ(x)は画素xでのスペックル干渉画像の位相(光線a1によるスペックルパターンと光線a2によるスペックルパターンとの位相差。「スペックル位相」と言う。)であり、スペックル位相はランダムである。また、Ψ1、Ψ3は、求めるべき物体変位に対応する位相である。(数1)~(数3)において、I0(x)、α(x)、φ(x)、Ψ1及びΨ3は未知数であり、I1(x)、I2(x)及びI3(x)は、測定された値である。



ここで、仮想位相量Ψが設定されているか否かを識別し(ステップ3)、設定されていない場合(x=1のときΨが設定され、x=2以降では、そのΨが使用される。)、Ψ1、Ψ3を求めるために仮想位相量Ψを設定する(ステップ4)。
Ψ1、Ψ3は、仮想位相量Ψからの偏差を対称位相項△Ψs及び反対称位相項△Ψaとして次式のように表すことができる。
Ψ1=-Ψ-ΔΨs+ΔΨa (数4)
Ψ3=Ψ+ΔΨs+ΔΨa (数5)
次に、仮想位相量Ψが、-Ψ13=Ψ(即ち、ΔΨs=0、ΔΨa=0)の関係にあるものと仮定して、設定した仮想位相量Ψを用いて、画素xでのスペックル位相(真のスペクトル位相φ(x)ではなく、仮想位相量Ψの下でのスペックル位相であるため「見掛上のスペックル位相φ'(x)」と言う。)を次式(数6)により算出する(ステップ5)。
φ'(x)=tan-1[{(I1(x)-I3(x))/(I1(x)+I3(x)-2I2(x))}{(cosΨ-1)/sinΨ}]
(数6)
こうした処理を、N個の画素における見掛上のスペックル位相φ'(x)が得られるまで繰り返す(ステップ6、ステップ7)。
N個の画素における見掛上のスペックル位相φ'(x)を求めた後、その見掛上のスペックル位相φ'(x)の確率密度分布Pφ'(φ')を算出する(ステップ8)。



ランダムなスペックル位相の確率密度分布は、物体表面が光学的に粗く、十分多くの散乱が生じる場合に、-πから+πの範囲で1/2πになることが知られている。
そのため、Pφ'(φ')=1/2πとなるようにΔΨs、ΔΨaを決定する(ステップ9)。
次いで、決定したΔΨs、ΔΨaと、設定した仮想位相量Ψとを用いて、(数4)(数5)から位相差Ψ1、Ψ3を算出する(ステップ10)。
なお、確率密度分布Pφ'(φ')の算出式、及びPφ'(φ')=1/2πとなるΔΨs、ΔΨaを求めるための式は、特許文献1に詳述されている。
この統計的干渉計測法では、Nの値を大きくする程、確率密度分布の算出精度が向上し、より精確な物体変位を求めることができる。例えば、着目する画素数を数万点に設定すると、レーザ波長をλとして、λ/1000の精度で物体の変位を計測することが可能である。



また、変位が進行する物体を所定の時間間隔で撮影したM枚のスペックル干渉画像がフレームメモリ21に記録されている場合、1枚目の画像を第1スペックル干渉画像に、また、M枚目の画像を第3スペックル干渉画像にそれぞれ設定し、2枚目から(M-1)枚目までの画像を、順次、第2スペックル干渉画像とすることにより、基準画像を固定した状態で、2枚目から(M-1)枚目までの画像における変位を求めることができる。



また、統計的干渉計測法は、このように2本の平行光線を物体に照射して面内の微小歪みを測定する場合だけでなく、2本の非平行光線を物体に照射して得られるスペックル干渉画像から面内の変位を測定する場合や、近接する二つの物体に1本の光線を照射し、それらの物体のスペックルパターンの干渉画像から二つの物体間の変位を計測する場合にも用いることができる。

産業上の利用分野


本発明は、物体の歪みや植物の日々の成長などの微小変位を計測する方法と、その方法を実施する装置に関し、統計的干渉計測法を利用して変位の計測を行うものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
コヒーレント光源の光を被測定物体に照射し、その散乱光により得られるスペックル干渉画像から被測定物体の変位を求める微小変位計測方法であって、
被測定物体に照射する前記光線の位相を違えて第1の基準スペックル干渉画像と第2の基準スペックル干渉画像とを作成する基準画像作成ステップと、
測定対象のスペックル干渉画像を順次取得し、前記第1の基準スペックル干渉画像及び第2の基準スペックル干渉画像を用いて、測定対象のスペックル干渉画像と前記第1の基準スペックル干渉画像または第2の基準スペックル干渉画像との間の位相差を統計的干渉計測法で求める対基準画像位相差算出ステップと、
それぞれの測定対象のスペックル干渉画像について求めた前記位相差から、測定対象のスペックル干渉画像間の変位を表す位相差を求める変位位相差算出ステップと、
前記対基準画像位相差算出ステップで求める前記位相差が所定値より小さくなる前に前記第1の基準スペックル干渉画像及び第2の基準スペックル干渉画像を更新する基準画像更新ステップと、
を備えることを特徴とする微小変位計測方法。

【請求項2】
請求項1に記載の微小変位計測方法であって、前記基準画像更新ステップが、
測定対象のスペックル干渉画像と前記第1の基準スペックル干渉画像及び第2の基準スペックル干渉画像との間の位相差を閾値と比較するステップと、
前記位相差が前記閾値より小さいときに前記第1の基準スペックル干渉画像及び第2の基準スペックル干渉画像を更新するステップと、
を備えることを特徴とする微小変位計測方法。

【請求項3】
請求項1に記載の微小変位計測方法であって、前記基準画像更新ステップが、
前記第1の基準スペックル干渉画像及び第2の基準スペックル干渉画像の作成時点または更新時点からの経過時間を閾値と比較するステップと、
前記経過時間が前記閾値を超えたときに前記第1の基準スペックル干渉画像及び第2の基準スペックル干渉画像を更新するステップと、
を備えることを特徴とする微小変位計測方法。

【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の微小変位計測方法であって、前記基準画像作成ステップで、前記第1の基準スペックル干渉画像及び第2の基準スペックル干渉画像の複数組を作成し、前記基準画像更新ステップで、前記複数組の中から、更新する前記第1の基準スペックル干渉画像及び第2の基準スペックル干渉画像を選択することを特徴とする微小変位計測方法。

【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の微小変位計測方法であって、コヒーレント光源の光を2つの平行な光線に分岐して被測定物体の2点に照射したときの散乱光により得られるスペックル干渉画像から被測定物体の変位を求めることを特徴とする微小変位計測方法。

【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の微小変位計測方法であって、コヒーレント光源の光を2つの非平行な光線に分岐して被測定物体に照射したときの散乱光により得られるスペックル干渉画像から被測定物体の変位を求めることを特徴とする微小変位計測方法。

【請求項7】
請求項1から4のいずれかに記載の微小変位計測方法であって、コヒーレント光源の光を2つの被測定物体に照射したときの散乱光により得られるスペックル干渉画像から被測定物体間の相対変位を求めることを特徴とする微小変位計測方法。

【請求項8】
コヒーレント光源の光を被測定物体に照射し、その散乱光により得られるスペックル干渉画像から被測定物体の変位を求める微小変位計測装置であって、
被測定物体に照射する前記光線の位相を可変する位相可変手段と、
前記スペックル干渉画像を撮影するCCDカメラと、
前記CCDカメラで撮影された前記スペックル干渉画像を解析するデータ処理手段と、を具備し、
前記データ処理手段が、
前記位相可変手段により被測定物体に照射する前記光線の位相を違えて作成された第1の基準スペックル干渉画像と第2の基準スペックル干渉画像とを用いて、測定対象のスペックル干渉画像と前記第1の基準スペックル干渉画像または第2の基準スペックル干渉画像との間の位相差を統計的干渉計測法で求める対基準画像位相差算出部と、
前記対基準画像位相差算出部がそれぞれの測定対象のスペックル干渉画像について求めた前記位相差から、測定対象のスペックル干渉画像間の変位を表す位相差を求める変位位相差算出部と、
前記対基準画像位相差算出部で求める前記位相差が所定値より小さくなる前に前記第1の基準スペックル干渉画像及び第2の基準スペックル干渉画像を更新するための処理を行う基準画像更新部と、
を有することを特徴とする微小変位計測装置。

【請求項9】
請求項8に記載の微小変位計測装置であって、前記基準画像更新部は、前記対基準画像位相差算出部が求めた測定対象のスペックル干渉画像と前記第1の基準スペックル干渉画像及び第2の基準スペックル干渉画像との間の位相差を閾値と比較して、前記位相差が前記閾値より小さいとき、前記第1の基準スペックル干渉画像及び第2の基準スペックル干渉画像を更新するための処理を行うことを特徴とする微小変位計測装置。

【請求項10】
請求項8に記載の微小変位計測装置であって、前記基準画像更新部は、前記第1の基準スペックル干渉画像及び第2の基準スペックル干渉画像の作成時点または更新時点からの経過時間を閾値と比較し、前記経過時間が前記閾値を超えたときに前記第1の基準スペックル干渉画像及び第2の基準スペックル干渉画像を更新するための処理を行うことを特徴とする微小変位計測装置。

【請求項11】
請求項8から10のいずれかに記載の微小変位計測装置であって、前記第1の基準スペックル干渉画像及び第2の基準スペックル干渉画像を更新するために、前記基準画像更新部が、予め作成された前記第1の基準スペックル干渉画像及び第2の基準スペックル干渉画像の複数組の中から、更新する前記第1の基準スペックル干渉画像及び第2の基準スペックル干渉画像を選択することを特徴とする微小変位計測装置。
産業区分
  • 測定
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
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