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キチンを出発源とした架橋キトサンによるモリブデン、タングステンおよびバナジウムなどのオキソアニオンの回収方法 実績あり

国内特許コード P100000271
整理番号 E-062
掲載日 2009年7月10日
出願番号 特願2009-114732
公開番号 特開2010-260028
登録番号 特許第5489033号
出願日 平成21年5月11日(2009.5.11)
公開日 平成22年11月18日(2010.11.18)
登録日 平成26年3月7日(2014.3.7)
発明者
  • 馬場 由成
出願人
  • 国立大学法人 宮崎大学
発明の名称 キチンを出発源とした架橋キトサンによるモリブデン、タングステンおよびバナジウムなどのオキソアニオンの回収方法 実績あり
発明の概要 【課題】バイオマス廃棄物を利用して、モリブデン、タングステンおよびバナジウムなどのレアメタルを選択的かつ低コストで回収することができる手段を提供する。
【解決手段】架橋基によってキトサン分子間を架橋せしめた構造を有する架橋キトサンであって、キトサン分子を構成するグルコサミン単位として式(I):
【化1】



(式中、R1またはR2は、それぞれ独立して、異なるキトサン分子を構成する他のグルコサミン単位のR1またはR2と一緒になって架橋基を形成しているか、または水素であり、ただしR1およびR2が同時に水素であることはない)
で表される単位を含む前記架橋キトサンを含む、金属イオンの吸着剤。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要



現在、レアメタルと呼ばれる希少金属は、パソコン、携帯電話およびデジタル機器のような製品への使用によって消費量が増加したことに加え、中国をはじめとする新興国が消費国に転じたことにより、世界的な価格高騰や供給不安の問題が生じつつある。とりわけ、モリブデン、タングステンおよびバナジウムは、レアメタル国家備蓄制度の対象に指定されていることが示すように、我が国において極めて重要な金属と位置づけられている。





モリブデン、タングステンおよびバナジウムは、ステンレス鋼、構造用合金鋼、高張力鋼、合金工具鋼、鋳鍛鋼、スーパーアロイなどの原料として添加され、主として硬度、強度および靭性を高めるとともに、耐食性および耐熱性を向上させる役割を果たしている。また、モリブデンは触媒や皮革の染料に、タングステンは電球のフィラメントや携帯電話の振動子にも使用されている。





モリブデンの場合、その世界生産の6割以上が銅生産の副産物として生産されている。また、モリブデンのリサイクル動向としては、使用済み触媒についてソーダ焙焼法による回収が工業的に行われているが、この方法ではニッケル、コバルトなどの金属はほとんど回収されない。タングステンの場合、スクラップや使用済み製品は、鉱石から湿式処理、溶解処理、溶媒抽出により不純物を除去し、高純度APT(パラタングステン酸アンモニウム)を製造することで金属へ転換して再生利用を図っている。しかしながら、上記の方法は複雑な工程を含むことに加えて選択性が低いため、高純度のモリブデンやタングステンを得るためには多くの時間とプロセスが必要となる。





ところで、一次産業を多く抱える宮崎県では、農業、漁業や食品加工業の現場から大量のバイオマス廃棄物(柑橘果汁滓やカニおよびエビの殻など)が発生している。環境保護意識の高まりによって廃棄物の海洋投棄ができなくなった現在では、上記のようなバイオマス廃棄物の処理技術や有効利用技術の開発も急を要する課題となっている。





前記バイオマス廃棄物のうち、例えばカニおよびエビなどの甲殻類の殻は、構成成分として多糖類のキチンを大量に含有している。キチンはN-アセチルグルコサミンの重合体であり、脱アセチル化によってキトサンを製造することができる。キトサンは第一級アミノ基を有するカチオン性多糖であることから、かかるアミノ基および糖鎖骨格の水酸基を利用した機能性材料として、様々な用途が提案されている。例えば、金属吸着剤の用途として、キトサンのアミノ基に4-(アルキルチオ)ベンジル基を導入したキトサン誘導体からなる、金イオンを選択的に分離可能な吸着剤(特許文献1)などが提案されている。上記のように、キトサンを金属吸着剤に使用する場合、金属イオンの配位子として作用する置換基をアミノ基に導入する手法が慣用されているが、導入する置換基によっては、吸着処理を行う溶液のpHを調整した際に、キトサン誘導体自体が溶解する問題が生じる場合がある。かかる問題点を解決するため、本発明者は、化学的に安定な分子間架橋構造を有する架橋キトサンを含む金属イオンの吸着剤を開発した。例えば、分子間架橋構造を有する架橋キトサンであって、C-2位アミノ基にピリジン環を含む置換基および/またはチオフェンを含む置換基を有し、金、パラジウム、白金などを選択的に吸着する、貴金属イオンの捕集剤およびその製法(特許文献2)、エピクロロヒドリンなどによって形成された架橋キトサンを用いる金属イオンの選択的回収方法であって、該キトサンのC-2位アミノ基にピリジルメチル基を導入することにより、亜鉛イオンに対する選択性を高めた回収方法(特許文献3)、分子間架橋構造および金属イオン配位子を有する架橋キトサンであって、配位子を有する架橋基を用いることによって製造工程を簡略化し、かつ金、パラジウムおよび白金に対する吸着選択性を高めた、架橋キトサンの製造方法(特許文献4)などである。

産業上の利用分野



本発明は、架橋キトサンを含む、モリブデン、タングステンおよびバナジウムなどのレアメタルの吸着剤およびそれらの回収方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
モリブデン、タングステンおよびバナジウムからなる群から選択される少なくとも一種の金属イオンを、
架橋基によってキトサン分子間を架橋せしめた構造を有する架橋キトサンであって、キトサン分子を構成するグルコサミン単位として式(I):
【化1】



(式中、R1またはR2は、それぞれ独立して、異なるキトサン分子を構成する他のグルコサミン単位のR1またはR2と一緒になって架橋基を形成しているか、または水素であり、ただしR1およびR2が同時に水素であることはない)
で表される単位を含み、前記架橋基が、式(II):
【化2】



(式中、*印は結合位置を表す)
で表される部分構造を含む架橋基である前記架橋キトサンを含み、
前記架橋キトサンが、キチンの水酸基に架橋基を導入して架橋キチンを得る工程と、前記工程で得られた架橋キチンの構成糖であるグルコサミン単位に含まれるC-2位アセチルアミノ基を、濃アルカリ条件で脱アセチル化して架橋キトサンを得る工程とを含む方法によって製造される、金属イオンの吸着剤に接触させることを特徴とする、モリブデン、タングステンおよびバナジウムの吸着方法。

【請求項2】
モリブデン、タングステンおよびバナジウムからなる群から選択される少なくとも一種の金属イオンを、
架橋基によってキトサン分子間を架橋せしめた構造を有する架橋キトサンであって、キトサン分子を構成するグルコサミン単位として式(I):
【化3】



(式中、R1またはR2は、それぞれ独立して、異なるキトサン分子を構成する他のグルコサミン単位のR1またはR2と一緒になって架橋基を形成しているか、または水素であり、ただしR1およびR2が同時に水素であることはない)
で表される単位を含み、前記架橋基が、式(II):
【化4】



(式中、*印は結合位置を表す)
で表される部分構造を含む架橋基である前記架橋キトサンを含み、
前記架橋キトサンが、キチンの水酸基に架橋基を導入して架橋キチンを得る工程と、前記工程で得られた架橋キチンの構成糖であるグルコサミン単位に含まれるC-2位アセチルアミノ基を、濃アルカリ条件で脱アセチル化して架橋キトサンを得る工程とを含む方法によって製造される、金属イオンの吸着剤に接触させる接触工程;ならびに
該吸着剤を酸性溶液または塩基性溶液で処理して、金属イオンを吸着剤から脱離させる脱離工程;
を含むことを特徴とする、モリブデン、タングステンおよびバナジウムの回収方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2009114732thum.jpg
出願権利状態 登録


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