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X線応力測定方法 新技術説明会 実績あり

国内特許コード P100000293
整理番号 KUTLO-2009-010,2008-073
掲載日 2009年7月31日
出願番号 特願2009-173619
公開番号 特開2011-027550
登録番号 特許第5339253号
出願日 平成21年7月24日(2009.7.24)
公開日 平成23年2月10日(2011.2.10)
登録日 平成25年8月16日(2013.8.16)
発明者
  • 佐々木 敏彦
出願人
  • 国立大学法人金沢大学
発明の名称 X線応力測定方法 新技術説明会 実績あり
発明の概要

【課題】従来のエリアディテクタ方式の3軸応力測定法の問題点を解決し、より精度の高い測定方法を提供すること。
【解決手段】被検物にX線を照射して得られる回折環に基いて3軸応力を測定する方法である。第一の態様では、4つの入射方向(φ0 = 0°、90°、180°、270°)にてX線を斜めに照射して各々回折環を得、φ0 =(0°、180°)では(σx -σz )、τyzを求め、φ0 =(90°、270°)では(σy-σz )、τxz を求め、これらの回折環からτxyσz を求め、もって6個の3軸応力成分を得る。第二の態様では、垂直入射と2つの斜め入射φ0 =(0°、90°)によって回折環を得、垂直入射ではτxz、τyz を、φ0 = 0°では(σx-σz )、τxy を、φ0 = 90°では(σy -σz )、τxy を求め、これらの回折環からσz を求め、もって6個の3軸応力成分を得る。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


X線応力測定法は、材料(特に、金属などの結晶性材料)にX線を照射したときの回折の情報から、材料中の応力の状態を求める方法である。X線応力測定法では、応力によって格子面間隔が変化することを利用し、その変化を、回折X線の角度と強さの関係を測定することで求め、歪や応力を算出する。



X線応力測定法は、被検物の表面部分の測定を行う方法であるため、通常は、平面応力理論が適用され、平面応力測定法が用いられる。
また、研削加工された鋼材などでは、研削の際に工具によって加えられた特定方向への強い変形などに起因して、3軸応力が残留することが知られている(例えば、非特許文献1など)。3軸応力は、被検物の表面(x-y平面)に沿った成分(x軸、y軸方向の成分)と、該表面に対して垂直方向(z軸方向)の成分とを持った、3次元方向の応力を同時に含む応力状態である。
X線照射によって3軸応力を測定する方法(X線3軸応力測定法)の別方式の技術は、デール(Dolle)らによって提案されている。



しかしながら、デールらの測定法は、合計6方向の格子ひずみ分布(sin2 Ψ 線図)を用いるために、測定と解析に、複雑な装置と多大な測定時間とを要するという問題がある。このような方法では、実験室での実施では特に問題は生じないが、建設現場、被検物が敷設された現場、生産ラインなど、比較的迅速な測定作業が求められる現場などでは適用が困難である。



上記のような従来のX線応力測定方法の問題に対し、本発明者は、X線を照射して得られる回折環の全体の情報を、イメージングプレート(IP)やCCDなどのエリアディテクタによって解析に利用するX線平面応力測定法(特許文献1)、X線3軸応力測定法(非特許文献1)を提案しており、測定と解析の無駄を軽減している。以下、非特許文献1に記載されたX線3軸応力測定法を、従来のエリアディテクタ方式のX線3軸応力測定法と呼んで説明する。
従来のエリアディテクタ方式の3軸応力測定法では、例えば、回折環の中心角を1度間隔に解析すると、回折環全体からは合計360個の格子ひずみが得られるので、6個の3軸応力成分の決定に対して十分なデータが得られる。



次に、従来のエリアディテクタ方式のX線3軸応力測定法について、その測定の原理を説明する。
尚、現場での測定や実用性を考慮すると、試料の設定の影響を受けやすくなる回折データの絶対値の使用をなるべく避け、相対的な変化を利用することが望ましい。この点から、以下の説明では、平面応力測定法(sin2 Ψ法)のような、回折データの相対的変化を通した3軸応力測定法について述べる。



実使用される金属材料の多くは、微細な結晶粒の集合体であり、X線を照射すると、次式(1)のブラッグの条件に従って回折X線が発生する。
〔式(1)〕


ここで、dは格子面間隔、θはブラッグ角、λはX線の波長、nは回折次数である。以下、n=1を用いる。
回折X線は、照射点(X線照射の標的となる測定点)を頂点とする円錐の側面を形成するように発生するため、入射X線に対して垂直にエリアディテクタを置くと、ほぼ円形の回折環が測定される。
デールらの測定方法では、回折環の一端の回折強度分布測定を通してθを決定し、応力計算に用いる。
これに対して、従来のエリアディテクタ方式の3軸応力測定法では、図8のように最初に回折環半径Rが得られ、次いで次式(2)を用いてブラッグ角θ(単位:ラジアン)を得る。
〔式(2)〕


ここで、CL は、X線照射点と検出器との距離である。



上記のようにして得られるブラッグ角θの値は、回折に寄与した一群の格子面に対する平均値である。上記式(1)の微分から、格子面の法線方向の縦ひずみεとブラッグ角θとの関係が次式(3)のように導かれる。
〔式(3)〕


ここで、Δdは、格子面間隔dの変化量、即ち、無ひずみ時のdの値をd0 としたときに、Δd=d-d0 である。
また、Δθは、ブラッグ角θの変化量、即ち、無ひずみ時のθの値をθ0 としたときに、Δθ=θ-θ0 である。



次に、図9に示すように、被検物表面の照射点に座標系xyzを設定し、原点(=照射点)における3軸方向の各応力(即ち、x軸方向の応力σx 、y軸方向の応力σy、z軸方向の応力σz )と、各せん断応力(τxy 、τxz 、τyz)とを次式(4)のように表記する。尚、τxy は、xy面のずれを生じさせる応力を表し、同様に、τxzは、xz面のずれを生じさせる応力を表し、τyz は、yz面のずれを生じさせる応力を表している。
〔式(4)〕




回折環の中心角がαの位置から上記式(3)を用いて得られるひずみをεαと書くと、上記式(4)の応力に対して、次式(5)が成立する。
〔式(5)〕


ここで、Eは縦弾性定数、vはポアソン比である(いずれも回折弾性定数)。



上記式(5)は、従来のエリアディテクタ方式の3軸応力測定法の基礎式である。該式中のn1 ~n3 は、試料座標系に対するεα の方向余弦であり、それぞれ次式(6)で表される。
〔式(6)〕


ここで、
ηは、ブラッグ角θの補角〔(π/2)-θ〕であり、
Ψ0 は、測定点における被検物表面に対する法線と入射ビームとのなす角であり、
φ0 は、被検物表面への入射ビームの投影とx軸とのなす角である。



図8に示すように、任意のφ0 に対する回折環において、
εα :中心角α方向のひずみ、
επ+α :εα に対して中心角がπだけ異なる方向のひずみ、
ε-α :中心角-α方向のひずみ、
επ-α :ε-α に対して中心角がπだけ異なる方向のひずみ
について考え、これらを用いて次式(7)で表されるa1 ~a3 を求める。
〔式(7)〕




上記式(7)に上記式(5)を代入すると、φ0 =0°のとき、次式(8)が得られる。
〔式(8)〕


ここで、ΦおよびΨは、それぞれ、次式(9)のとおりである。
〔式(9)〕



上記式(8)より、a1 およびa2 は、それぞれ、cosα、sinαに関して直線的であることが判明する。また各直線の傾きは次式(10)で表される。
〔式(10)〕



次に、上記式(10)のそれぞれについて、Ψ0 >0(即ち、φ0 =0°側に傾いた方向からの入射)と、Ψ0<0(即ち、前者とは逆方向の、φ0 =180°側に傾いた方向からの入射)とに関する平均および偏差を求め、次式(11)のように、b1~b4 と表す。
〔式(11)〕

上記式(10)を上記式(11)へ代入して整理すると、φ0 =0°のとき次式(12)が得られる。
〔式(12)〕


上記式(12)から、全てのせん断応力成分(τxy 、τxz 、τyz )と、x軸z軸の応力関係式(σx-σz )とが得られる。



一方、上記式(8)、上記式(9)のΦより、y軸z軸の応力関係式(σy -σz )に関する次式(13)の関係が得られる。
〔式(13)〕


ここで、Φは、εα によって求められた上記式(7)のa3 を、cos2 αに対して直線近似したときの傾きであり、測定により得ることができる。
既に、上記式(12)によって、上記式(13)の右辺の(σx -σz )とτxz が判明しているので、上記式(13)とΦとから、(σy-σz )が決定できる。



垂直応力成分σz を明らかにするためには、上記式(5)から導出される次式(14)の関係を用いる。
〔式(14)〕


ここで、Xは、次式(15)のように表される。
〔式(15)〕


上記式(15)のとおり、Xは、ここまでに判明した応力成分と既知数だけからなり、計算により値が確定する。従って、得られたXを上記式(14)に代入すると、Eおよびvは既知であるから、σz が判明する。
このようなσz は、回折環全体から得られる360個のデータの1つ1つからσz が得られるが、ばらつきの影響を考慮して、それらの平均値を採用することが好ましい。
σz と、既に得られている応力関係式(σx -σz )と(σy -σz)とから、σx とσy が判明し、その結果、6個の3軸応力成分(σx 、σy、σz 、τxy 、τyz 、τxz )がすべて判明する。



以上が、従来のエリアディテクタ方式の3軸応力測定法における、3軸応力成分決定の原理である。
しかしながら、本発明者が、従来のエリアディテクタ方式による3軸応力測定方法を、詳細に検討したところ、測定精度が不十分な場合があることが新たに判明した。本発明者の研究によれば、上記した従来の方法では、σy 成分についての測定精度がとりわけ低いことがわかった。その原因は、ポアソン効果のために、φ0 =0°および180°方向だけから測定した回折環の半径変化にσyの作用が反映され難く、それによって測定感度が低くなることであると考えられる。

産業上の利用分野


本発明は、被検物にX線を照射することで、該被検物内に存在する応力(とりわけ3軸応力)を測定するX線応力測定方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
被検物にX線を照射して得られる回折環に基いて被検物内に存在する応力を測定するX線応力測定方法であって、
被検物表面の測定点に対して、下記(A)で規定される4つの入射方向s1、s2、s3、s4にてX線を照射し、それぞれに回折環を得、
該入射方向s1、s3の回折環の組からは、x軸、z軸方向の応力の関係式(σx -σz )と、剪断応力τyz とを少なくとも求め、
該入射方向s2、s4の回折環の組からは、y軸、z軸方向の応力の関係式(σy -σz )と、剪断応力τxzとを少なくとも求め、
該入射方向s1、s3の回折環の組、および、該入射方向s2、s4の回折環の組のうちの一方または両方から、剪断応力τxy を求め、
以上によって得られた応力の関係式および剪断応力からz軸方向の応力σz を求め、これらをもって、6個の3軸応力成分σx 、σy 、σz 、τxy、τyz 、τxz を得ることを特徴とする、X線応力測定方法。
(A)測定点における被検物表面の法線から所定の入射角度Ψ0 だけ傾いて測定点へ向かう4つの入射方向s1、s2、s3、s4であって、これらの入射方向は、測定点において直交するxy座標を被検物表面に規定し、これらの入射方向を被検物表面に投影したときに、入射方向s1とs3の投影がx軸に一致しかつ互いに対向し、入射方向s2とs4の投影がy軸に一致しかつ互いに対向するような位置関係にある、前記4つの入射方向s1、s2、s3、s4。

【請求項2】
剪断応力τxy を、入射方向s1とs3の回折環のペア、および、入射方向s2とs4の回折環のペアの両方からそれぞれに得られた剪断応力τxy のうちのいずれか一方の値、または、両方の値の平均値とする、請求項1記載のX線応力測定方法。

【請求項3】
被検物が、多結晶性の物質からなる車輪またはコロであるか、多結晶性の物質からなるレールである、請求項1または2記載のX線応力測定方法。

【請求項4】
被検物にX線を照射して得られる回折環に基いて被検物内に存在する応力を測定するX線応力測定方法であって、
被検物表面の測定点に対して、下記(B)で規定される3つの入射方向t1、t2、t3にてX線を照射し、それぞれに回折環を得、
入射方向t1の回折環からは、剪断応力τxz 、τyzを求め、
入射方向t2の回折環からは、x軸、z軸方向の応力の関係式(σx -σz )と、剪断応力τxy とを求め、かつ、
入射方向t3の回折環からは、x軸、z軸方向の応力の関係式(σy -σz )と、剪断応力τxy とを求め、
以上によって得られた剪断応力および応力の関係式からz軸方向の応力σz を求め、これらをもって、6個の3軸応力成分σx 、σy 、σz 、τxy、τyz 、τxz を得ることを特徴とする、X線応力測定方法。
(B)測定点における被検物表面の法線に沿って測定点へ向かう入射方向t1と、該法線から所定の入射角度Ψ0 だけ傾いて測定点へ向かう2つの入射方向t2、t3とからなる3つの入射方向t1、t2、t3であって、入射方向t2、t3は、測定点において直交するxy座標を被検物表面に規定し、これらの入射方向を被検物表面に投影したときに、入射方向t2の投影がx軸に一致し、入射方向t3の投影がy軸に一致するような位置関係にある、前記3つの入射方向t1、t2、t3。

【請求項5】
剪断応力τxy を、入射方向t2とt3の回折環からそれぞれに得られた剪断応力τxy の平均値とする、請求項4記載のX線応力測定方法。

【請求項6】
当該X線応力測定方法を実施するに際し、先に、被検物表面の測定点に対して上記入射方向t1でのX線の照射を行ない、その回折環から求められる剪断応力τxz または剪断応力τyz に基いて、被検物内部の応力の状態を判断する、請求項5記載のX線応力測定方法。
産業区分
  • 測定
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2009173619thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
(有)金沢大学ティ・エル・オーは、金沢大学の研究者の出願特許を産業界へ技術移転することを主目的として、金沢大学の教官の出資により設立された技術移転機関です。
ご興味のある方は、下記「問合せ先」へ整理番号と共にご連絡願います。
なお、既に活用のお申し込み・お打合わせ等の段階に入っている場合もございますので、予めご承知おきください。


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