TOP > 国内特許検索 > 機能性ペプチドを表すルールの抽出法、機能性ペプチドの設計法及び調製法、ポリペプチド又はポリペプチド含有組成物の評価法、並びに機能性ペプチド

機能性ペプチドを表すルールの抽出法、機能性ペプチドの設計法及び調製法、ポリペプチド又はポリペプチド含有組成物の評価法、並びに機能性ペプチド コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P100000309
整理番号 NU-0265
掲載日 2009年8月7日
出願番号 特願2009-071498
公開番号 特開2010-222300
登録番号 特許第5582433号
出願日 平成21年3月24日(2009.3.24)
公開日 平成22年10月7日(2010.10.7)
登録日 平成26年7月25日(2014.7.25)
発明者
  • 本多 裕之
  • 大河内 美奈
  • 加藤 竜司
  • 加賀 千晶
  • 蟹江 慧
  • 長岡 利
出願人
  • 国立大学法人名古屋大学
発明の名称 機能性ペプチドを表すルールの抽出法、機能性ペプチドの設計法及び調製法、ポリペプチド又はポリペプチド含有組成物の評価法、並びに機能性ペプチド コモンズ 新技術説明会
発明の概要 【課題】機能性ペプチドを効率的に見出すことを可能にする手段を提供する。また、機能性の高いペプチドを提供。
【解決手段】以下のステップ、(1)アミノ酸残基数が同一で且つ配列が互いに異なる複数のペプチド配列からなるペプチドライブラリーを用意するステップ、(2)N末端又はC末端からの位置毎に構成アミノ酸の物理化学的性質を数値化することによって、前記ペプチドライブラリーに含まれる各ペプチド配列を数値データに変換するステップ、(3)前記数値データを入力変数として階層的クラスタ分析し、各ペプチド配列を、N末端又はC末端からの位置毎に前記物理的性質の数値範囲で規定される複数のクラスタに分類するステップ、(4)前記複数のクラスタの中から、クラスタ毎、所定数のペプチド配列を選抜するステップ、を経て選抜したペプチド配列からなるペプチドを試料として機能性アッセイを行い、ペプチドを設計する。
【選択図】図2
従来技術、競合技術の概要



近年、生活習慣病が世界の先進国では深刻に蔓延しており、高コレステロール血症、高トリグリセライド血症、又は動脈硬化症の予防・改善のための医薬又は食品の提供が切望されている。我が国における死因の2位は心疾患、3位は脳血管疾患であり、これらはいずれも循環器系疾患の動脈硬化性疾患である。循環器系疾患を罹患する患者数の増加を背景とし、高コレステロール血症を抑える治療薬は現在、大きな市場を形成している。





循環器系疾患の発症は生活環境に非常に大きく影響されるため、予防医療(即ち、日常的に摂取する食品成分などによって血中コレステロール値の低減を図ること)の重要性が強く認識されつつある。血中コレステロールを低減する、食品成分中のタンパク質としては大豆タンパク質、乳製品に含まれるホエータンパク質、卵白中タンパク質などが知られている(非特許文献1、2)。また、タンパク質と同様に血中コレステロール値の低減効果を示すペプチドも数多く報告されている(特許文献1~9)。これら既知の血中コレステロール低減ペプチドの多くは、血中もしくは経口投与により血中コレステロールを低減することが確認されているが、結果として効果が確認されているだけであり、その作用機序の詳細は明らかでないものが多い。





一方、血中コレステロールをより安全に低減させる一つの機構として胆汁酸結合ペプチドによるもの、即ち、(1)腸管内における胆汁酸の再吸収を胆汁酸結合ペプチドが阻害し、その結果、血中コレステロールが低減するというメカニズムと、(2)腸管内の胆汁酸混合ミセル中へのコレステロールの溶解性を胆汁酸結合ペプチドが低下させ、その結果、血中コレステロールが低減するというメカニズムが知られている(非特許文献3)。





ところで、従来の研究手法では、(1)様々な食品タンパク質を無作為(ランダム)に酵素で分解した消化物の中から胆汁酸に結合する画分を見出し、(2)その血中コレステロール低減効果を観察する、という方法が採られている。これまでの報告の中で特許文献10は、胆汁酸結合性を利用した血中コレステロール低減効果を報告している。また、これまでの研究手法では、非常に限られたペプチド源(研究者が注目しているタンパク質の分解産物など)からしか探索されていないことから、同定に成功した有効な配列(胆汁酸に結合するペプチド配列)の情報は非常に少ない。

【特許文献1】

開2007-126369号公報

【特許文献2】

開2007-137816号公報

【特許文献3】

開2002-80495号公報

【特許文献4】

開2002-80393号公報

【特許文献5】

開2001-114800号公報

【特許文献6】

開平10-175997号公報

【特許文献7】

開平9-157290号公報

【特許文献8】

開平7-278010号公報

【特許文献9】

表2005-516043号公報

【特許文献10】

開2004-99447号公報

【非特許文献1】

roc. Nutr. Soc., 41, 19, (1982)

【非特許文献2】

gric. Biol. Chem., 55, 813 (1991)

【非特許文献3】

. Nutr., 129, 1725 (1999)

産業上の利用分野



本発明は、機能性ペプチドの設計手段、及び設計された機能性ペプチドの利用法に関する。詳しくは、機能性ペプチドの設計に有用なルールを抽出する方法、抽出されたルールを利用して機能性ペプチドを設計又は調製する方法、抽出されたルール又は設計された機能性ペプチドの配列情報を利用してペプチド又はペプチド含有組成物を評価する方法、及び機能性ペプチドが提供される。

特許請求の範囲 【請求項1】
以下のステップ(1)~(7)を含む、機能性ペプチドを表すルールの抽出法であって、前記機能性が、リガンド、サイトカイン、抗原タンパク質、抗体、酵素、ヒートショックプロテイン、脂質、糖構造物、高分子、無機イオン及び無機鉱物からなる群より選択される標的、に対する親和性である、抽出法、
(1)アミノ酸残基数が同一で且つ配列が互いに異なる複数のペプチド配列からなるペプチドライブラリーを用意するステップ、
(2)N末端又はC末端からの位置毎に構成アミノ酸の物理化学的性質を数値化することによって、前記ペプチドライブラリーに含まれる各ペプチド配列を数値データに変換するステップ、
(3)前記数値データを入力変数として階層的クラスタ分析し、各ペプチド配列を、N末端又はC末端からの位置毎に前記物理的性質の数値範囲で規定される複数のクラスタに分類するステップ、
(4)前記複数のクラスタの中から、クラスタ毎、所定数のペプチド配列を選抜するステップ、
(5)選抜したペプチド配列からなるペプチドを試料として機能性アッセイを行い、各ペプチド配列の機能性データを取得するステップ、
(6)機能性データに基づき、機能性の順位を前記複数のクラスタに付与するステップ、
(7)上位の順位が付与されたクラスタを規定する、前記物理化学的性質の数値範囲又は該数値範囲を満足するアミノ酸の種類を、高機能ペプチドの特徴を表すルールとして抽出するステップ。

【請求項2】
前記機能性が、前記標的に対する高親和性である、請求項1に記載の抽出法。

【請求項3】
前記機能性が、胆汁酸に対する高親和性である、請求項1に記載の抽出法。

【請求項4】
ステップ(1)における前記アミノ酸残基数が3~6である、請求項1~3のいずれか一項に記載の抽出法。

【請求項5】
ステップ(2)における前記物理的性質が等電点、正規化ファンデルワールス体積、βタンパク質のためのアルファへリックスの指標、βタンパク質のためのベータ鎖の指標、タンパク質安定化のための側鎖の貢献度、原子間ポテンシャルに関する知識を基にした安定化尺度、疎水性指標、正規化されたターン頻度、ベータ鎖領域における自由エネルギー、アルファ-へリックス領域における自由エネルギー、極性、側鎖の相互作用、及びアミノ酸の分配度からなる群より選択される2種以上の性質である、請求項1~4のいずれか一項に記載の抽出法。

【請求項6】
ステップ(2)における前記物理的性質が、等電点、正規化ファンデルワールス体積、βタンパク質のためのアルファへリックスの指標、βタンパク質のためのベータ鎖の指標、タンパク質安定化のための側鎖の貢献度、原子間ポテンシャルに関する知識を基にした安定化尺度、疎水性指標、正規化されたターン頻度、ベータ鎖領域における自由エネルギー、アルファ-へリックス領域における自由エネルギー、極性、側鎖の相互作用、及びアミノ酸の分配度からなる、13種の性質である、請求項1~4のいずれか一項に記載の抽出法。

【請求項7】
ステップ(3)で生成されるクラスタの数が10~100である、請求項1~6のいずれか一項に記載の抽出法。

【請求項8】
ステップ(4)における前記所定数が3~30である、請求項1~7のいずれか一項に記載の抽出法。

【請求項9】
ステップ(5)における前記機能性アッセイが、前記試料である複数のペプチドが配列毎に区画化されて基板に固定されたなるペプチドチップを用いて行われる、請求項1~8のいずれか一項に記載の抽出法。

【請求項10】
ステップ(6)に続いて、以下のステップ(6-1)~(6-4)を1回又は2回以上実施した後、ステップ(7)を実施する、請求項1~9のいずれか一項に記載の抽出法、
(6-1)上位の順位が付与された複数のクラスタを特定するステップ、
(6-2)特定された複数のクラスタより、クラスタ毎、所定数のペプチド配列を選抜するステップ、
(6-3)選抜したペプチド配列からなるペプチドを試料として機能性アッセイを行い、各ペプチド配列の機能性データを取得するステップ、
(6-4)機能性データに基づき、機能性の順位を前記複数のクラスタに付与するステップ。

【請求項11】
ステップ(7)において、上位n位(但し、nは2~5の整数)までのクラスタからそれぞれルールを抽出する、請求項1~10のいずれか一項に記載の抽出法。

【請求項12】
ステップ(7)において、最上位の順位が付与されたクラスタのみからルールを抽出する、請求項1~10のいずれか一項に記載の抽出法。

【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の抽出法によって得られたルールに従ってペプチドを設計するステップを含む、機能性ペプチドの設計法。

【請求項14】
複数の候補ペプチド配列の中から、請求項1~12のいずれか一項に記載の抽出法によって得られたルールに適合するペプチド配列を選抜するステップを含む、機能性ペプチドの設計法。

【請求項15】
請求項1~12のいずれか一項に記載の抽出法によって得られた、上位の順位が付与されたクラスタに含まれる1又は2以上のペプチド配列を高機能ペプチド配列として選択するステップを含む、機能性ペプチドの設計法。

【請求項16】
以下のステップ(1)~(3)を含む、機能性ペプチドの設計法、
(1)以下の(a)~(c)からなる群より選択される集合を用意するステップ、
(a)請求項1~12のいずれか一項に記載の抽出法によって得られた、上位の順位が付与されたクラスタに含まれるペプチド配列の集合、
(b)請求項1~12のいずれか一項に記載の抽出法によって得られたルールに適合するペプチド配列の集合、
(c)(a)及び(b)からなる群より選択される2以上の集合を結合した集合
(2)用意した集合の中から、共通する部分配列を認める第1ペプチド配列及び第2ペプチドを選抜するステップであって、第2ペプチド配列の方が、該部分配列よりもC末端側のアミノ酸の数が多いステップ、
(3)前記第1ペプチド配列から前記部分配列よりもC末端側のアミノ酸を除去して得られる第1部分配列と、前記第2ペプチド配列から前記部分配列及び前記部分配列よりもN末端側のアミノ酸を除去して得られる第2部分配列とを、該第1部分配列がN末端側に配置されるように連結するステップ。

【請求項17】
前記第1ペプチド配列では前記部分配列がC末端アミノ酸を含み、前記第2ペプチド配列では前記部分配列がN末端アミノ酸を含む、請求項16に記載の設計法。

【請求項18】
下記条件1及び2の少なくとも1つを満足する、請求項16又は17に記載の設計法、
条件1:それに含まれるペプチド配列のアミノ酸残基数が異なる複数のペプチドライブラリーを用意し、各ペプチドライブラリーを用いて請求項1~12のいずれか一項に記載の抽出法を行うことにし、各回について得られた、上位の順位が付与されたクラスタに含まれるペプチド配列の集合を全て連結し、前記集合(a)とする、
条件2:それに含まれるペプチド配列のアミノ酸残基数が異なる複数のペプチドライブラリーを用意し、各ペプチドライブリーを用いて請求項1~12のいずれか一項に記載の抽出法を行ってルールを得た後、抽出されたルール毎、適合するペプチドの集合を作製し、最後に全集合を連結して前記集合(b)とする。

【請求項19】
ステップ(1)において前記集合(a)を用意することにし、
ステップ(2)では、第1ペプチド配列と対をなす第2ペプチド配列の候補が二つ以上存在する場合には、より上位の順位が付与されたクラスタに属するペプチド配列を優先して第2ペプチド配列に用い、第2ペプチド配列と対をなす第1ペプチド配列の候補が二つ以上存在する場合には、より上位の順位が付与されたクラスタに属するペプチド配列を優先して第1ペプチド配列に用いる、請求項1618のいずれか一項に記載の設計法。

【請求項20】
ステップ(1)において前記集合(b)を用意することにし、
ステップ(2)では、第1ペプチド配列と対をなす第2ペプチド配列の候補が二つ以上存在する場合には、より上位の順位が付与されたクラスタのルールに適合するペプチド配列の方を優先して第2ペプチド配列に用い、第2ペプチド配列と対をなす第1ペプチド配列の候補が二つ以上存在する場合には、より上位の順位が付与されたクラスタのルールに適合するペプチド配列の方を優先して第1ペプチド配列に用いる、請求項1618いずれか一項に記載の設計法。

【請求項21】
請求項1320のいずれか一項に記載の設計法で設計されたペプチドを調製するステップを含む、機能性ペプチドの調製法。

【請求項22】
以下のステップ(1)~(6)を含む、ポリペプチド又はポリペプチド含有組成物の評価法、
(1)ポリペプチドの配列を用意するステップ、
(2)請求項1~12のいずれか一項に記載の抽出法によって抽出された1又は2以上のルールに対してそれぞれスコアを関連付けるステップ、
(3)前記ルールとの照合が可能な一定の長さに前記ポリペプチドの配列を断片化するステップ、
(4)各断片配列を前記ルールと照合し、適合性を判定するステップ、
(5)ルールに適合すると判定された断片配列に対して、該ルールに関連付けられたスコアを付与するステップ、
(6)付与された全てのスコアを積算して総スコアを算出するステップであって、該総スコアが前記ポリペプチドの機能性を表す指標となるステップ。

【請求項23】
以下の(A)~(C)のいずれかの特徴を備える、請求項22に記載の評価法、
(A)ステップ(3)で生じた断片配列の中から、プロテアーゼ切断部位を内在する断片配列を除いた後にステップ(4)を行う、
(B)ステップ(6)において、プロテアーゼ切断部位を内在する断片配列以外の断片配列に付与されたスコアのみを積算する、
(C)ステップ(6)において、付与された全スコアを積算した後、ステップ(3)で生じた断片配列の中から、プロテアーゼ切断部位を内在する断片配列に付与されたスコアを除算する。

【請求項24】
以下のステップ(1)~(4)を含む、ポリペプチド又はポリペプチド含有組成物の評価法、
(1)ポリペプチドの配列を用意するステップ、
(2)請求項1~12のいずれか一項に記載の抽出法によって得られた、上位の順位が付与されたクラスタに含まれる各ペプチド配列に対して、同一のクラスタに含まれるペプチド配列は各々相同性の高いスコアとなり且つクラスタの順位に対応したスコアとなるように、スコアを関連付けるステップ、
(3)スコアを関連付けた各ペプチド配列をそれぞれ前記ポリペプチドの配列と照合し、配列が一致する領域の数を調べるステップ、
(4)ステップ(3)で判明した前記領域の数と、ステップ(2)で関連付けたスコアとを乗ずることによってペプチド配列毎にスコアを算出した後、全てのスコアを積算して総スコアを算出するステップであって、該総スコアが前記ポリペプチドの機能性を表す指標となるステップ。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2009071498thum.jpg
出願権利状態 登録
名古屋大学の公開特許情報を掲載しています。ご関心のある案件がございましたら、下記まで電子メールでご連絡ください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close