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光脱炭酸反応を利用した重水素化化合物の製造方法 コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P100000316
掲載日 2009年8月7日
出願番号 特願2009-046130
公開番号 特開2010-195755
登録番号 特許第5077895号
出願日 平成21年2月27日(2009.2.27)
公開日 平成22年9月9日(2010.9.9)
登録日 平成24年9月7日(2012.9.7)
発明者
  • 吉見 泰治
  • 伊藤 達哉
出願人
  • 国立大学法人福井大学
発明の名称 光脱炭酸反応を利用した重水素化化合物の製造方法 コモンズ 新技術説明会
発明の概要

【課題】カルボン酸のカルボキシル基を重水素で置換することを含む、重水素化化合物の製造方法であって、加熱や金属触媒を必要とすることなく、安価で、簡便に、そして良好な収率で、カルボン酸の重水素化された脱炭酸還元生成物を得ることができ、カルボン酸の脱炭酸還元生成物における重水素化率が高く、かつカルボン酸の特定の位置だけに選択的に重水素を導入することができる、重水素化化合物の製造方法を提供すること。
【解決手段】カルボン酸をフェナントレン、ジシアノベンゼン、チオール、および重水素源の共存下で光脱炭酸反応に供し、該カルボン酸のカルボキシル基を重水素で置換することを含む、重水素化化合物の製造方法。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


化合物に重水素を導入する重水素化反応は、きわめて有用な反応である。重水素化反応によって提供される重水素化化合物は、重水素標識化合物、重水素化溶媒、重水素化内部標準物質などとして使用されている。



重水素標識化合物は、反応機構の解明、生体内における物質の代謝や薬物動態の解析などのために有用である。



重水素化反応は、化合物の1つ以上の水素を重水素に置換することで同位体効果をもたらすことから、得られる重水素化化合物に、置換前とは異なる、より好ましい反応性や物性を与え得る。



例えば、医薬、農薬などの有効成分を構成する化合物において、その1つ以上の水素を重水素で置換することで、同位体効果が生じ、該化合物の反応性や物性が変化し得、それにより向上した薬効や薬物動態を示す医薬、効能が向上した農薬などが提供され得る。



また例えば、水素を重水素で置換することで、有機発光材料において、分子振動を抑え得、熱失活が抑制され得、有機非線形光学材料において、吸収波長をシフトさせ得、使用波長域での吸収損失が低減され得る。



かかる重水素化反応の有用性にもかかわらず、重水素化化合物は、一般には、重水素化アセトン、重水素化酢酸などの限られた小分子のものや、食品における残留農薬の定量分析などのための内部標準物質としての重水素化された農薬といった特定の化合物しか市販されておらず、それらは非常に高価である。



かかる背景の下、種々の官能基や構造を有する化合物について、その重水素化方法の研究がなされている。アミノ酸、ペプチドなどのカルボキシル基を有する化合物を含め、カルボン酸は、自然界にも広く存在するものであり、重水素化が特に望まれる化合物の1つである。



カルボン酸の重水素化方法としては、従来、種々の方法が提案されている。例えば特許文献1は、カルボン酸を含む、一定の式で表される化合物の重水素化方法を開示しており、該方法は、活性化された、パラジウム触媒、白金触媒などの金属触媒の存在下、該化合物を重水などの重水素源と加熱条件下で反応させることを特徴とする。



かかる従来のカルボン酸の重水素化方法は、高価な金属触媒を用いる必要があり、そのため重水素化化合物を安価で提供することができなかった。また、特許文献1記載の方法においては、化合物において重水素置換され得る水素の位置が複数存在する場合、特定の位置の水素だけを選択的に重水素化することはできず、重水素置換された位置の異なる、いくつかの種類の生成物が生成し得る。



非特許文献1は、カルボン酸をフェナントレン、1,4-ジシアノベンゼン、および重水の共存下で光脱炭酸反応させ、カルボン酸のカルボキシル基を重水素で置換し、カルボン酸の重水素化された脱炭酸還元生成物を生成させることを含む、カルボン酸の重水素化方法を開示している。



非特許文献1の方法によれば、金属触媒を必要とすることなく、カルボン酸(アミノ酸などのカルボキシル基を有する化合物を含む)の特定の位置だけに選択的に、かつ高い重水素化率で重水素を導入することが可能となる。また、加熱を必要としないことから、簡便に重水素化された化合物を得ることができる。しかしながら、非特許文献1記載の方法においては、カルボン酸のカルボキシル基が4-シアノフェニル基で置換された副生成物が生成し、得られるカルボン酸の重水素化された脱炭酸還元生成物の収率が低いという問題がある。



具体的には、非特許文献1によれば、tert-ブトキシカルボニル基(Boc)でアミノ基が保護されたL-フェニルアラニン(N-Boc-L-フェニルアラニン)をフェナントレン、1,4-ジシアノベンゼン、および重水の共存下で光脱炭酸反応させ、重水素化した場合、得られる脱炭酸還元生成物は、100%の割合でカルボキシル基が重水素で置換されたものであるが(カルボキシル基が水素で置換された脱炭酸還元生成物は実質的には生成しない)、その収率は低く、11%であり、該副生成物が22%の収率で生成したことが報告されている。

産業上の利用分野


本発明は、医薬、農薬、有機発光材料、有機非線形光学材料などの光学材料といった化学薬品や化学製品などへの重水素の導入方法を含む、重水素標識化合物などの重水素化化合物の製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
カルボン酸をフェナントレン、ジシアノベンゼン、チオール、および重水素源の共存下で光脱炭酸反応に供し、該カルボン酸のカルボキシル基を重水素で置換することを含む、重水素化化合物の製造方法。

【請求項2】
ジシアノベンゼンが1,4-ジシアノベンゼンである、請求項1記載の方法。

【請求項3】
ジシアノベンゼンに代えて4-シアノ安息香酸エステルを用いる、請求項1記載の方法。

【請求項4】
フェナントレンに代えて、ナフタレン、1,4-ジメチルナフタレン、トリフェニレン、またはクリセンを用いる、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。

【請求項5】
該カルボン酸がアミノ酸またはペプチドであり、そのアミノ基が保護基で保護されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。

【請求項6】
保護基がtert-ブトキシカルボニル基である、請求項5記載の方法。

【請求項7】
該カルボン酸が、2つ以上のカルボキシル基を有するα-アミノ酸またはその誘導体であり、
該α-アミノ酸またはその誘導体のα-カルボキシル基だけを選択的に重水素で置換することを特徴とする、
請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。

【請求項8】
重水素源が、重水素化された、水酸基、フェノール性水酸基、カルボキシル基、スルホ基、およびメルカプト基からなる群から選択される1種類以上の官能基を有する化合物である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。

【請求項9】
重水素源が重水である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。

【請求項10】
チオールが1,1-ジメチルデカン-1-チオールである、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
産業区分
  • 有機化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
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