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3C-SiC単結晶の製造方法 コモンズ

国内特許コード P100000335
整理番号 NU-0271
掲載日 2009年9月4日
出願番号 特願2009-075974
公開番号 特開2010-228939
登録番号 特許第5244007号
出願日 平成21年3月26日(2009.3.26)
公開日 平成22年10月14日(2010.10.14)
登録日 平成25年4月12日(2013.4.12)
発明者
  • 宇治原 徹
  • 田中 亮
  • 関 和明
  • 竹田 美和
出願人
  • 国立大学法人名古屋大学
発明の名称 3C-SiC単結晶の製造方法 コモンズ
発明の概要

【課題】低欠陥密度で種結晶基板としても使用可能な程度に大型である3C-SiC単結晶を容易に成長させることができる3C-SiC単結晶の製造方法を提供する。
【解決手段】Si-Sc系溶媒に炭素が溶解している原料融液Mを1350℃未満とし、該原料溶液を6H-SiC単結晶基板Sの少なくとも(0001)炭素面に接触させて該面に3C-SiC単結晶を二次元核成長させる。Si-Sc系溶媒は、Si-Sc系溶媒全体を100原子%としたときに、15原子%以上32原子%以下のScを含み残部がSiと不可避不純物からなるのが好ましい。また、前記6H-SiC単結晶基板は、昇華法により作製されたものでもよいし、前記方法により得られた3C-SiC単結晶を種結晶基板としてもよい。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


炭化珪素(SiC)は、熱的および化学的に非常に安定な半導体材料である。SiCは、電子デバイスなどの基板材料として現在広く用いられている珪素(Si)と比較して、禁制帯幅が2~3倍程度、絶縁破壊電圧が約10倍である。そのため、SiC単結晶は、珪素を用いたデバイスを超えるパワーデバイスの基板材料などとしての応用が期待されている。



SiCは200種類以上の多くの結晶多形をもつと言われている。結晶多形とは、化学量論的には同じ組成でありながら、Si-C結合をもつ正四面体構造からなる正四面体構造層の積層順序が異なるものである。代表的な多形として、3C-SiC、6H-SiC、4H-SiC、15R-SiCが挙げられる。ここで、Cは立方晶、Hは六方晶、Rは菱面体構造、数字は積層方向の一周期中に含まれる正四面体構造層の数を表す。なかでも、4H-SiC単結晶は、他の多形よりも禁制帯幅および電子移動度の点で優れるため、各種デバイスの基板材料として有望視されている。



ところで、集積化に適した回路素子として、MOS素子がある。MOS素子は、金属と半導体との間にSiOなどの酸化物が挟まれた構造をもつ。MOS素子においては、半導体/酸化物の界面状態を改善する、具体的には、界面準位密度を減少させて電子移動度を向上させることが重要である。MOS素子において、酸化物としてSiO、半導体として3C-SiC単結晶を用いると、半導体として4H-SiC単結晶を用いた場合よりも界面準位密度が減少し電子移動度が向上することが知られている。つまり、MOS素子、MOS構造をゲートに用いた電界効果トランジスタ(MOSFET)等には、3C-SiC単結晶の使用が有効である。



さらに、3C-SiC単結晶は、窒化物系材料の無極性成長用の基板としても注目されている。たとえば、窒化ガリウム(GaN)などは、電子デバイス、LEDなどに使用されるが、ピエゾ効果による特性の低下が問題となる。この特性の低下は、GaNを無極性方向へ成長させることで抑制されることが知られている。3C-SiC単結晶は、窒化物系材料に対する格子不整合が他の化合物半導体に比べて小さいため、窒化物系材料のエピタキシャル成長に好適な無極性面が得られる。



現在、3C-SiCなどのSiC単結晶の製造方法としては、気相成長法(化学蒸着(CVD)法または昇華法)と液相成長法とがある。3C-SiC単結晶は、シランガスおよび炭化水素系ガスを原料ガスとして用いたCVD法により、Si基板表面に形成することができる。しかし、CVD法では、3C-SiCとSiとの格子定数の差が大きいため、Si基板表面に成長する3C-SiCに欠陥が生じやすく積層欠陥密度が5000cm-1以上となるため、高品質な3C-SiC単結晶が得られるとは言い難い。



昇華法は、SiC粉末を原料とし、2000℃以上の高温で原料を昇華させ、SiとCとからなる蒸気を低温にした種結晶基板上で過飽和にし、SiC単結晶を析出させる方法である。この方法によれば、種結晶基板としても使用可能な比較的大型のSiC基板を製造することが可能となる。しかし、SiCが安定に存在する温度域は、6H-SiC→4H-SiC→3C-SiCの順で低くなり、2000℃以上の高温では3C-SiCの存在確率は、格段に低くなる。つまり、昇華法により6H-SiCおよび4H-SiCの単結晶を製造することは容易であるが、3C-SiC単結晶を製造することは困難である。



液相成長法では、SiまたはSi合金の融液中に炭素を溶解させて、原料融液を調製する。このSiC溶液に種結晶基板を浸漬し、少なくとも基板近傍の溶液を過冷却状態にすることで過飽和状態を作り出し、SiC単結晶を種結晶基板上にエピタキシャル成長させる。液相成長法では、熱平衡状態に近い環境で結晶成長が行われるため、積層欠陥などの欠陥密度の低い良質なSiC単結晶が得られる。また、比較的低温での結晶成長が可能であることから、3C-SiC単結晶であっても製造可能である。



以上より、3C-SiC単結晶の製造方法として好適なのは、低欠陥密度の結晶が得られる液相成長法である。3C-SiC単結晶を製造可能な液相成長法の具体例として、以下の特許文献1~3がある。



特許文献1では、1670~1900℃の温度範囲で、SiとCと第三の元素を含む原料融液を用い、SiC単結晶基板の表面に第三の元素の種類に応じた種々のSiC単結晶を成長させることが記載されている。たとえば、スカンジウム(Sc)を2重量%含む1680℃のSiC溶液を用い、6H-または15R-SiC単結晶基板の表面にSiC単結晶を成長させると、3C-SiC単結晶が成長すると記載されている。その一方で、Scを含むSiC溶液を1860℃とすると、基板と同様の構造をもつSiCが得られることが記載されている。



特許文献2では、SiとCとを含む原料融液に、15R-SiC単結晶基板を接触させ、基板の周囲に所定の温度勾配を生じさせて、基板の(000-1)炭素面に3C-SiC単結晶を成長させている。このとき、種結晶基板の温度を1700~1900℃とし、原料融液内部から種結晶基板と接触する表面に向かう温度勾配を5~50℃/mmの範囲内としている。



特許文献3では、Si-Al合金を溶媒とするSiC溶液を原料融液とし、サファイアと原料融液とを反応させて、サファイア結晶の(0001)面に3C-SiC単結晶を成長させている。このとき、サファイア結晶が溶解しないように、原料融液の温度を1500℃以下としている。また、サファイアと原料融液との反応生成物がアルミナ(Al)となるように、原料融液としてアルミニウム(Al)を含む溶媒を用いている。

産業上の利用分野


本発明は、立方晶炭化珪素(3C-SiC)単結晶の製造方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
液相成長法を用いた3C-SiC単結晶の製造方法であって、
Si-Sc系溶媒に炭素が溶解している原料融液を1350℃未満とし、該原料溶液を6H-SiC単結晶基板の少なくとも(0001)炭素面に接触させて該面に3C-SiC単結晶を二次元核成長させることを特徴とする3C-SiC単結晶の製造方法。

【請求項2】
前記6H-SiC単結晶基板は、3C-SiC単結晶を成長させる主表面のオフ角が(0001)炭素面から8°未満である請求項1記載の3C-SiC単結晶の製造方法。

【請求項3】
前記Si-Sc系溶媒は、該溶媒全体を100原子%としたときに、15原子%以上32原子%以下のScを含み残部がSiと不可避不純物からなる請求項1または2記載の3C-SiC単結晶の製造方法。

【請求項4】
前記6H-SiC単結晶基板は、昇華法により作製されたものである請求項1~3のいずれかに記載の3C-SiC単結晶の製造方法。

【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の方法により得られた3C-SiC単結晶を種結晶基板とし、該基板上にさらに3C-SiC単結晶を成長させることを特徴とする3C-SiC単結晶の製造方法。

【請求項6】
1350℃未満の前記原料融液を前記種結晶基板に接触させて3C-SiC単結晶を液相成長法により成長させる請求項5記載の3C-SiC単結晶の製造方法。
産業区分
  • 無機化合物
  • 処理操作
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2009075974thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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