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タンパク質分子の分子模型及びその作製方法 新技術説明会

国内特許コード P100000379
掲載日 2009年10月9日
出願番号 特願2009-038761
公開番号 特開2010-197419
登録番号 特許第5344391号
出願日 平成21年2月23日(2009.2.23)
公開日 平成22年9月9日(2010.9.9)
登録日 平成25年8月23日(2013.8.23)
発明者
  • 川上 勝
出願人
  • 国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学
発明の名称 タンパク質分子の分子模型及びその作製方法 新技術説明会
発明の概要

【課題】3Dプリンタ等の三次元造形装置を用いてタンパク質分子の分子表面形状と分子内部の主鎖・側鎖構造とを同時に観測可能な分子模型を提供する。
【解決手段】タンパク質構造データベースから取得されたタンパク質の構成原子の三次元座標を基に分子内部構造モデルと、分子内部構造モデルと同一の縮尺に調節された分子表面構造モデルと、を用意するとともに、分子表面構造モデルの三次元形状データを基に鋳型モデルをさらに用意する(ステップS1~S5)。鋳型モデル内に分子内部構造モデルを対応する位置と配向に配置することで作成された造形入力データを三次元造形装置に入力し、分子内部構造と鋳型とを一体的に造形する(ステップS6、S7)。造形された鋳型内に透明樹脂を充填し硬化して分子表面構造を形成する(ステップS8)。透明樹脂が硬化した後に鋳型を除去すること(ステップS9)で、分子模型100が完成する。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


現在、タンパク質の立体構造からその機能を解析する構造生物学の研究が盛んにおこなわれている。構造生物学分野の研究者にとって、分子の形を空間的に把握することは、その分子の機能の理解や推測、またターゲット化合物の探索に非常に重要である。



タンパク質の分子構造を立体的に把握する手法として、現在のところ、主にコンピュータ内に仮想的に分子の3次元画像モデルを構築し、その画像モデルをこのコンピュータのディスプレイ(2次元画面)上で様々な角度で回転させて表示させることでコンピュータ操作者は疑似的にこの分子の3次元情報を認識している。このようなタンパク質解析技術の立体構造表示を実現するソフトウェアは、有料又は無料にて入手可能であり、表示方法も解析対象物の性質や利用目的に応じて各種取り揃えられている(非特許文献1を参照)。



しかしながら、従来技術のソフトウェアを利用して3次元の分子構造を認識するためには、絶えず画像モデルをマウスなどで回転させる必要があり、その回転操作も操作者の熟練を要する。さらに、ディスプレイ上で自ら認識した立体の分子イメージを他者へ伝えることも困難である。



さらに、より専門的な見地から言えば、従来のソフトウェアで表示させる画像は主にタンパク質の主鎖構造や、針金モデルなどといった「簡略化された」ものであるが、現実のタンパク質は主鎖、側鎖からなり、さらに主鎖構造はα-ヘリックスやβ-シートといった二次構造を形成する。これらの二次構造は相互に密にパッキングしつつ、隙間や、他の分子との相互作用のための「分子表面の構造」を形成するのである。つまり、分子内部の主鎖・側鎖の構造とともに分子表面の構造に関する三次元情報を同時に取得することが、タンパク質の酵素反応、分子認識などの機能の把握に非常に重要である。



前述のソフトウェアではこれらの情報を直観的に捕らえることは非常に困難であり、最も直観的にこれらを把握するには、分子表面の形状を実際に触って確かめられ、かつ内部の主鎖や側鎖の立体的位置を把握できるような分子模型が最も望ましいが、これまでそうした分子模型を製作する技術は提案されていない。



近年、三次元(3D)プリンタという製品が上市されている。これによりコンピュータ内で仮想的に作成した立体構造物が高精度、高速かつ安価で試作できる環境となっている(非特許文献2を参照)。



この3Dプリンタ装置を用いて、タンパク質の三次元模型を印刷(作製)し、販売するベンチャー企業も誕生している(非特許文献3を参照)。



しかし非特許文献3に開示された分子模型の製造方法は、おもに主鎖構造もしくは分子表面構造のみを立体的に造形したものであり、両者の構造を同時に実現(可視化)させることはできない。こうした造形上の問題に加え、実際に製造された模型は、タンパク質の微細構造を模擬しているため脆弱であり、その取扱いには細心の注意が必要となってしまい、研究者同士が模型を実際に手で触って、その細かな構造を把握または議論するといった目的には性質上決定的な欠点が存在している。加えて、上記のような従来の模型を多少歪ませて変形状態を確認するようなことは当然できない。



なお、その他の分子模型作製技術には特許文献1が開示されているが、この技術はプラスチックや発砲スチロールからなる球や多面体の原子部材と、この原子部材に連結するようにこの部材の差込口に挿入された金属製の針状部材とを備えた分子模型を作製するものであって、上記問題点の解決以前にそもそもタンパク質の微細構造を表現できる技術ではない。

産業上の利用分野


本発明は、タンパク質等の立体構造を表現した分子模型及びその作製方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
タンパク質の構成原子の三次元座標値を基に分子内部構造モデルを用意するステップと、
前記三次元座標値を基に前記分子内部構造モデルと同一の縮尺に調節された分子表面構造モデルを用意するステップと、
前記分子表面構造モデルの三次元形状データを基に鋳型モデルを用意するステップと、
前記三次元座標値に基づき前記鋳型モデル内に前記分子内部構造モデルを配置するステップと、
前記配置ステップによって配置された前記鋳型モデル及び前記分子内部構造モデルを含む分子模型モデルを三次元造形装置が認識可能なファイルフォーマットに変換して造形入力データとして三次元造形装置に入力するステップと、
前記三次元造形装置によって、前記造形入力データから分子内部構造と鋳型とを一体的に造形するステップと、
前記鋳型内に透明樹脂を充填し硬化させて分子表面構造を形成するステップと、
前記透明樹脂が硬化した後に、前記鋳型を除去するステップと、
を備えたタンパク質分子の分子模型の作製方法。

【請求項2】
前記配置ステップは、前記鋳型モデルと前記分子内部構造モデルとの間を結合する支持材モデルをさらに用意し、
前記造形ステップは、前記支持材モデルを含んだ分子模型データを基に前記分子内部構造と前記鋳型とともに両者を一体的に結合する支持材を造形し、
前記鋳型除去ステップは、前記鋳型とともに前記支持材を除去することを特徴とする請求項1に記載の分子模型の作製方法。

【請求項3】
前記鋳型モデルを用意するステップは、前記鋳型モデルを、鋳型本体部モデルと、鋳型蓋部モデルと、に分割するステップをさらに備え、
前記造形ステップは、前記鋳型本体部モデルと、前記鋳型蓋部モデルと、に基づいて開口部を備えた鋳型本体部と、該開口部に蓋をする鋳型蓋部と、を造形し、
前記鋳型本体部は、前記分子内部構造と一体的に造形され、
前記分子表面構造形成ステップは、前記開口部を通して前記鋳型本体部内に前記透明樹脂を充填し、前記鋳型蓋部によって前記開口部に蓋をした後に前記透明樹脂を硬化させることを特徴とする請求項1又は2に記載の分子模型の作製方法。

【請求項4】
前記鋳型が薄膜状の構造物となることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の分子模型の作製方法。

【請求項5】
前記鋳型除去ステップの後に、前記分子表面構造の表面にクリアカラーの塗料で着色するステップをさらに備えることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の分子模型の作製方法。

【請求項6】
前記鋳型除去ステップの後に、前記分子模型にクリスタル造形処理を施して、前記分子模型に関連する情報を付与するステップをさらに備えることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の分子模型の作製方法。

【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の分子模型の作製方法によって作製されたタンパク質分子の分子模型。
産業区分
  • 運動娯楽用
  • 高分子化合物
国際特許分類(IPC)
画像

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JP2009038761thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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