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紫外近接場光学顕微鏡および先端増強ラマン分光顕微鏡法

国内特許コード P100000496
整理番号 22679
掲載日 2010年1月22日
出願番号 特願2009-141244
公開番号 特開2010-286397
登録番号 特許第5246667号
出願日 平成21年6月12日(2009.6.12)
公開日 平成22年12月24日(2010.12.24)
登録日 平成25年4月19日(2013.4.19)
発明者
  • 田口 敦清
  • 早澤 紀彦
  • 河田 聡
出願人
  • 独立行政法人理化学研究所
発明の名称 紫外近接場光学顕微鏡および先端増強ラマン分光顕微鏡法
発明の概要

【課題】紫外・深紫外領域で近接場増強を得ることができる散乱型近接場光学顕微鏡を提供する。
【解決手段】散乱型近接場光学顕微鏡において、励起レーザー光が紫外・深紫外レーザー光であり、プローブ先端の材料に励起レーザーの波長で誘電率が-2以下である金属を採用する。このような金属としてアルミニウムやロジウムを好適に用いることができる。プローブは、真空蒸着により、シリコン製のプローブの表面にアルミニウム薄膜を形成して作製することが好ましい。この際、薄膜の膜厚を約25nmとして、付着するアルミニウムが直径10~20nmの粒状構造であることが好ましい。
【選択図】図2

従来技術、競合技術の概要


近接場光学顕微鏡は、光の回折限界に束縛されず、高い空間分解能を達成できる走査光学顕微鏡である。1980年代には、直径数10nm~数100nmの微小開口を光ファイバー先端に形成し、ファイバーに光を導入した際に微小開口部に染み出す近接場光(エバネッセント光)を光源に用いてサンプル上を二次元走査し、画像を構成する。このような近接場光学顕微鏡は、今日では開口型近接場光学顕微鏡と呼ばれている。しかし、分解能を高くするためにファイバー先端の開口径を極小化すると、開口から染み出す近接場光の強度が急激に低下し、画像化が困難になるという原理的な問題がある。このため、開口型近接場光学顕微鏡で達成できる空間分解能は実質的に数100nmにとどまっている。



その後1994年に、試料近傍に発生した近接場光を、先端径を数10nmまで尖鋭化したプローブ先端で散乱させ、その散乱光を測定しながらプローブをサンプル上で二次元走査して画像を構成する、新しいタイプの近接場光学顕微鏡が考案された。このような近接場光学顕微鏡は、散乱型近接場光学顕微鏡、あるいは、無開口型近接場光学顕微鏡と呼ばれる。この散乱型近接場光学顕微鏡では、プローブ先端に微小開口を形成する必要がない。そのため,プローブ先端はいくらでも尖鋭化でき、プローブ先端を尖鋭化するほど空間分解能が向上するため、開口型近接場光学顕微鏡が持つ分解能と光量のジレンマから解放され、空間分解能が飛躍的に向上した。



散乱型近接場光学顕微鏡に用いられるプローブの材質には、金や銀と入った貴金属材料が用いられる。先端径を数nmまで尖鋭化した金属プローブの先端に光が作用すると、プローブ先端に局在表面プラズモン(金属中の自由電子の集団的振動)が励起され、プローブ先端に強く増強された局在電場が生じる。その結果、近接場光は、1,000倍~100,000倍程度に増強され、その増強された近接場光がプローブによって散乱されて検出器に届くため、微弱な近接場光を高感度に検出できる。金属プローブを用いた散乱型近接場光学顕微鏡をラマン分光に応用した先端増強ラマン分光顕微鏡(TERS顕微鏡。TERS: Tip-Enhanced
Raman Spectroscopy)では、カーボンナノチューブやDNAネットワークのナノスケー
ル分析やイメージングが実現し、大きな注目を集めている。



先端増強ラマン分光顕微鏡では、金属プローブ先端に生じる局在表面プラズモン共鳴が、本来は微弱なラマン散乱光を強く増強する。しかし、より小さなサンプルをより高速に分析するためには、ラマン散乱信号をさらに強くする必要がある。そのためには、共鳴ラマン散乱法が有効である。共鳴ラマン散乱は、試料分子の電子吸収と重なる波長の光で試料のラマン散乱を励起すると、その発色団の振動によるラマン散乱光強度が著しく増大する現象である。生体分子あるいはその複合系を研究する上で、そこに分布するそれぞれの物質の共鳴ラマンスペクトルを選択的に高感度に得ることができ、同定や分布調査、分子構造や環境の解析などを非破壊で行うことが可能である。

産業上の利用分野


本発明は、紫外領域で利用可能な散乱型近接場光学顕微鏡に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
試料にレーザー光を集光させてラマン散乱光を発生させるラマン散乱光発生手段と、
前記試料に近接または接触させて前記ラマン散乱光を増強し散乱させる、先端が尖鋭なプローブと、
前記プローブによって散乱された散乱光からラマンスペクトルを検出する検出手段と、
を備え、
前記レーザー光の波長は140nm~300nmであり、
前記プローブの材料は、前記レーザー光の波長において誘電率が-2以下の金属である
ことを特徴とする紫外近接場光学顕微鏡。

【請求項2】
前記プローブの材料は、アルミニウムまたはロジウムであることを特徴とする請求項1に記載の紫外近接場光学顕微鏡。

【請求項3】
前記プローブは、表面に、前記レーザー光の波長において誘電率が-2以下の金属の薄膜を有することを特徴とする請求項1に記載の紫外近接場光学顕微鏡。

【請求項4】
前記薄膜の材料は、アルミニウムまたはロジウムであることを特徴とする請求項3に記載の紫外近接場光学顕微鏡。

【請求項5】
前記薄膜部の材料はアルミニウムであって、膜厚は10nm~30nmであることを特徴とする請求項3に記載の紫外近接場光学顕微鏡。

【請求項6】
前記薄膜部の材料はアルミニウムであって、直径10nm~20nmの大きさの粒状構造を有することを特徴とする請求項3に記載の紫外近接場光学顕微鏡。

【請求項7】
前記プローブのコーンアングルは30度以下であることを特徴とする請求項3~6のいずれかに記載の紫外近接場光学顕微鏡。

【請求項8】
140nm~300nmの波長領域に電子吸収スペクトルを有する試料を対象とする先端増強ラマン分光顕微鏡法であって、
前記試料の電子吸収スペクトルと重なる波長のレーザー光を前記試料に集光させてラマン散乱光を発生させるステップと、
先端が先鋭なプローブを前記試料に近接または接触させて前記ラマン散乱光を増強し散乱させるステップと、
を有し、
前記プローブとして、140nm~300nmの波長範囲において誘電率が-2以下の金属を材料とするプローブを用いる、
ことを特徴とする先端増強ラマン分光顕微鏡法。

【請求項9】
前記プローブとして、アルミニウムまたはロジウムにより作成したプローブ、もしくは表面にアルミニウムまたはロジウムの薄膜部が設けられたプローブを用いる、
請求項8に記載の先端増強ラマン分光顕微鏡法。

【請求項10】
前記プローブとして、膜厚が10nm~30nmのアルミニウムの薄膜部が表面に設けられたプローブを用いる、
請求項8記載の先端増強ラマン分光顕微鏡法。

【請求項11】
前記プローブとして、直径10nm~20nmの大きさの粒状構造を有するアルミニウムの薄膜部が表面に設けられたプローブを用いる、
請求項8に記載の先端増強ラマン分光顕微鏡法。

【請求項12】
前記プローブとして、コーンアングルが30度以下のプローブを用いる、
請求項8~11のいずれかに記載の先端増強ラマン分光顕微鏡法。
産業区分
  • 電子管
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
画像

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出願権利状態 権利存続中
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