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p53の発現促進方法およびそれに用いるp53発現促進剤 外国出願あり

国内特許コード P100000524
整理番号 TUK20090054
掲載日 2010年1月22日
出願番号 特願2009-531301
登録番号 特許第5273740号
出願日 平成20年9月5日(2008.9.5)
登録日 平成25年5月24日(2013.5.24)
国際出願番号 JP2008066127
国際公開番号 WO2009031671
国際出願日 平成20年9月5日(2008.9.5)
国際公開日 平成21年3月12日(2009.3.12)
優先権データ
  • 特願2007-233316 (2007.9.7) JP
発明者
  • 近藤 茂忠
  • 六反 一仁
出願人
  • 国立大学法人徳島大学
発明の名称 p53の発現促進方法およびそれに用いるp53発現促進剤 外国出願あり
発明の概要

p53mRNAの発現を促進する方法およびそれに用いる発現促進剤を提供する。
vegf-A遺伝子のエキソン1から転写されるRNAと、p53遺伝子から転写されるmRNAとの結合を阻害することにより、p53遺伝子の発現を促進する。前記結合の阻害は、例えば、vegf-A遺伝子のエキソン1から転写されたRNAの分解、vegf-A遺伝子のエキソン1からのRNAの転写阻害、または、vegf-A遺伝子のエキソン1から転写されたRNAに、p53遺伝子から転写されたmRNAとは別の核酸を結合させることで実現できる。

従来技術、競合技術の概要


DNAが損傷を受けると、細胞はその損傷の修復を行うが、修復が不可能な場合、細胞はアポトーシスを引き起こす。このアポトーシスの過程において、重要な役割を示すタンパク質として、p53が知られている。p53は、転写因子であって、393個のアミノ酸から構成される分子量53,000Daの核タンパク質である。p53は、正常細胞では速やかに分解されるため、細胞内でのタンパク質発現レベルは低い。しかし、正常細胞がDNA損傷等を受けると、そのシグナル伝達によって、p53はリン酸化されて安定化する。その結果、p53に依存して転写される各種遺伝子(p21遺伝子、noxa遺伝子、puma遺伝子、pig3遺伝子等)の転写が促進され、これらの遺伝子産物の関与によって、細胞のアポトーシスが進行する。



しかしながら、前述のように、正常細胞であればアポトーシスが進行するようなDNA損傷であっても、腫瘍細胞の場合、アポトーシスが起こり難い傾向にある。この原因の一つとして、p53遺伝子の変異が知られている。p53遺伝子が変異すると、発現したp53タンパク質は機能を喪失しているため、結果的に、アポトーシスの進行が妨げられるのである。そして、p53遺伝子の変異が、腫瘍の進展に高頻度で関与しているという事実からも、p53は、腫瘍サプレッサーとして重要な役割を果たすことがわかっている(非特許文献1~3)。しかしながら、p53遺伝子の変異は、腫瘍の進展過程(悪性化)の比較的遅い段階で見られる現象であり、臨床的に診断された多くの腫瘍は、p53遺伝子の変異がなく、且つ、p53の発現が減少するという現象が報告されている。例えば、乳腺腫瘍の場合、約80%は、p53遺伝子の変異を有しておらず、且つ、p53のmRNA発現量が、周囲の正常組織と比較して約1/5~1/10倍の減少を示していることが報告されている(非特許文献1、4、5)。




【非特許文献1】Steele, R. et al. Br. J. Surg. 85, 1460-7 (1998).

【非特許文献2】Levine,A. et al. Cell 88, 323-331(1997).

【非特許文献3】Vogelstein, B. et al. Nature 408, 307-310 (2000).

【非特許文献4】Pharoah, P. et al. Br. J. Cancer 80, 1968-1973 (1999).

【非特許文献5】Raman, V. et al. Nature 405, 974-978 (2000).

産業上の利用分野


本発明は、細胞におけるp53の発現を促進する方法、それに用いるp53発現促進剤、およびその用途に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
in vitro、ex vivoまたは非ヒト動物において、がん細胞におけるp53遺伝子の発現を促進する方法であって、
結合阻害剤として、siRNA、アンチセンスおよびデコイ核酸からなる群から選択された少なくとも一つを用いて、vegf-A遺伝子のエキソン1から転写されるRNAと、p53遺伝子から転写されるmRNAとの結合を阻害することにより、p53遺伝子の発現を促進し、
前記siRNAおよび前記アンチセンスが、vegf-A遺伝子から転写されるRNAのうち下記(1)~(13)からなる群から選択された少なくとも一つをターゲットするsiRNAおよびアンチセンスであり、
前記デコイ核酸が、下記(D1)~(D5)および(D8)からなる群から選択された少なくとも一つの核酸であることを特徴とするp53発現促進方法。
(1)配列番号1における600番目-879番目の配列
(2)配列番号1における659番目-879番目の配列
(3)配列番号1における659番目-780番目の配列
(4)配列番号1における659番目-752番目の配列
(5)配列番号1における659番目-745番目の配列
(6)配列番号1における694番目-714番目の配列
(7)配列番号1における693番目-714番目の配列
(8)配列番号1における691番目-703番目の配列
(9)配列番号1における711番目-723番目の配列
(10)配列番号1における16番目-780番目の配列
(11)配列番号1における659番目-917番目の配列
(12)配列番号1における526番目-1104番目の配列
(13)配列番号45における526番目-1216番目の配列
(D1)配列番号2における462番目-481番目の配列からなるRNA、または、前記配列において、塩基uが塩基tに置換された配列からなるDNA
(D2)配列番号2における462番目-482番目の配列からなるRNA、または、前記配列において、塩基uが塩基tに置換された配列からなるDNA
(D3)配列番号2における462番目-491番目の配列からなるRNA、または、前記配列において、塩基uが塩基tに置換された配列からなるDNA
(D4)配列番号2における462番目-505番目の配列からなるRNA、または、前記配列において、塩基uが塩基tに置換された配列からなるDNA
(D5)配列番号2における252番目-551番目の配列からなるRNA、または、前記配列において、塩基uが塩基tに置換された配列からなるDNA
(D8)前記(D1)~(D5)からなる群から選択された少なくとも一つの核酸において、1若しくは数個の塩基が、置換、欠失、挿入または付加された塩基配列からなり、かつ、vegf-A遺伝子のエキソン1から転写されたRNAに結合可能である核酸

【請求項2】
前記ターゲットが、前記vegf-A遺伝子のエキソン1から転写される5’UTR RNAである、請求項1記載のp53発現促進方法。

【請求項3】
前記ターゲットが、前記5’UTR RNAにおける配列番号1の600番目-879番目の配列またはその一部である、請求項2記載のp53発現促進方法。

【請求項4】
記siRNAのアンチセンス鎖が、下記(#1)~(#17)からなる群から選択された少なくとも一つである、請求項1から3のいずれか一項に記載のp53発現促進方法。
#1 5’-agcaaggcaaggcuccaaugcnn-3’(配列番号4)
#2 5’-agagcagcaaggcaaggcuccnn-3’(配列番号6)
#3 5’-cacgaccgcuuaccuuggcaunn-3’(配列番号8)
#4 5’-uagcacuucucgcggcuccgcnn-3’(配列番号10)
#5 5’-cgagcuagcacuucucgcggcnn-3’(配列番号12)
#6 5’-uggacgaaaaguuucagugcgacgcnn-3’(配列番号14)
#7 5’-agaaguuggacgaaaaguuucagugnn-3’(配列番号16)
#8 5’-gaaguuggacgaaaaguuucagugcnn-3’(配列番号18)
#9 5’-ggacgaaaaguuucagugcgacgccnn-3’(配列番号20)
#10 5’-uuggacgaaaaguuucagugcgacgnn-3’(配列番号22)
#11 5’-agaaguuggacgaaaaguuucagugnn-3’(配列番号61)
#12 5’-aguuucagugcgacgccgcgagcccnn-3’(配列番号63)
#13 5’-gaagcgagaacagcccagaaguuggnn-3’(配列番号65)
#14 5’-agcaaggcaaggcuccaaugcacccnn-3’(配列番号67)
#15 5’-agagcagcaaggcaaggcuccaaugnn-3’(配列番号69)
#16 5’-cgagcuagcacuucucgcggcuccgnn-3’(配列番号71)
#17 5’-cgcggaccacggcuccuccgaagcgnn-3’(配列番号73)

【請求項5】
前記アンチセンスが、下記(D6)~(D8)からなる群から選択された少なくとも一つの核酸である、請求項1から3のいずれか一項に記載のp53発現促進方法
D6)配列番号1における694番目-714番目の配列に相補的な配列からなるRNA、または、前記配列において、塩基uが塩基tに置換された配列からなるDNA
(D7)配列番号1における693番目-714番目の配列に相補的な配列からなるRNA、または、前記配列において、塩基uが塩基tに置換された配列からなるDNA
(D8)前記(D6)または(D7)の核酸において、1若しくは数個の塩基が、置換、欠失、挿入または付加された塩基配列からなり、かつ、vegf-A遺伝子のエキソン1から転写されたRNAに結合可能である核酸

【請求項6】
前記アンチセンスが、配列番号74の配列からなるDNAであり、前記デコイ核酸が、配列番号93の配列からなるDNAである、請求項1記載のp53発現促進方法。

【請求項7】
egf-A遺伝子のエキソン1から転写されるRNAと、p53遺伝子から転写されるmRNAとの結合を阻害する結合阻害剤として、siRNA、アンチセンス、デコイ核酸およびこれらをコードするDNAが挿入された発現ベクターからなる群から選択された少なくとも一つを含み、
前記siRNAおよび前記アンチセンスが、vegf-A遺伝子から転写されるRNAのうち下記(1)~(13)からなる群から選択された少なくとも一つをターゲットするsiRNAおよびアンチセンスであり、
前記デコイ核酸が、下記(D1)~(D5)および(D8)のデコイ核酸
からなる群から選択された少なくとも一つの核酸であることを特徴とするp53発現促進剤。
(1)配列番号1における600番目-879番目の配列
(2)配列番号1における659番目-879番目の配列
(3)配列番号1における659番目-780番目の配列
(4)配列番号1における659番目-752番目の配列
(5)配列番号1における659番目-745番目の配列
(6)配列番号1における694番目-714番目の配列
(7)配列番号1における693番目-714番目の配列
(8)配列番号1における691番目-703番目の配列
(9)配列番号1における711番目-723番目の配列
(10)配列番号1における16番目-780番目の配列
(11)配列番号1における659番目-917番目の配列
(12)配列番号1における526番目-1104番目の配列
(13)配列番号45における526番目-1216番目の配列
(D1)配列番号2における462番目-481番目の配列からなるRNA、または、前記配列において、塩基uが塩基tに置換された配列からなるDNA
(D2)配列番号2における462番目-482番目の配列からなるRNA、または、前記配列において、塩基uが塩基tに置換された配列からなるDNA
(D3)配列番号2における462番目-491番目の配列からなるRNA、または、前記配列において、塩基uが塩基tに置換された配列からなるDNA
(D4)配列番号2における462番目-505番目の配列からなるRNA、または、前記配列において、塩基uが塩基tに置換された配列からなるDNA
(D5)配列番号2における252番目-551番目の配列からなるRNA、または、前記配列において、塩基uが塩基tに置換された配列からなるDNA
(D8)前記(D1)~(D5)からなる群から選択された少なくとも一つの核酸において、1若しくは数個の塩基が、置換、欠失、挿入または付加された塩基配列からなり、かつ、vegf-A遺伝子のエキソン1から転写されたRNAに結合可能である核

【請求項8】
前記ターゲットが、前記vegf-A遺伝子のエキソン1から転写される5’UTR RNAである、請求項7記載のp53発現促進剤。

【請求項9】
前記ターゲットが、前記5’UTR RNAにおける配列番号1における600番目-879番目の配列またはその一部である、請求項8記載のp53発現促進剤。

【請求項10】
記siRNAのアンチセンス鎖が、下記(#1)~(#17)からなる群から選択された少なくとも一つである、請求項7から9のいずれか一項に記載のp53発現促進剤。
#1 5’-agcaaggcaaggcuccaaugcnn-3’(配列番号4)
#2 5’-agagcagcaaggcaaggcuccnn-3’(配列番号6)
#3 5’-cacgaccgcuuaccuuggcaunn-3’(配列番号8)
#4 5’-uagcacuucucgcggcuccgcnn-3’(配列番号10)
#5 5’-cgagcuagcacuucucgcggcnn-3’(配列番号12)
#6 5’-uggacgaaaaguuucagugcgacgcnn-3’(配列番号14)
#7 5’-agaaguuggacgaaaaguuucagugnn-3’(配列番号16)
#8 5’-gaaguuggacgaaaaguuucagugcnn-3’(配列番号18)
#9 5’-ggacgaaaaguuucagugcgacgccnn-3’(配列番号20)
#10 5’-uuggacgaaaaguuucagugcgacgnn-3’(配列番号22)
#11 5’-agaaguuggacgaaaaguuucagugnn-3’(配列番号61)
#12 5’-aguuucagugcgacgccgcgagcccnn-3’(配列番号63)
#13 5’-gaagcgagaacagcccagaaguuggnn-3’(配列番号65)
#14 5’-agcaaggcaaggcuccaaugcacccnn-3’(配列番号67)
#15 5’-agagcagcaaggcaaggcuccaaugnn-3’(配列番号69)
#16 5’-cgagcuagcacuucucgcggcuccgnn-3’(配列番号71)
#17 5’-cgcggaccacggcuccuccgaagcgnn-3’(配列番号73)

【請求項11】
前記アンチセンスが、下記(D6)~(D8)からなる群から選択された少なくとも一つの核酸である、請求項7から9のいずれか一項に記載のp53発現促進剤
D6)配列番号1における694番目-714番目の配列に相補的な配列からなるRNA、または、前記配列において、塩基uが塩基tに置換された配列からなるDNA
(D7)配列番号1における693番目-714番目の配列に相補的な配列からなるRNA、または、前記配列において、塩基uが塩基tに置換された配列からなるDNA
(D8)前記(D6)または(D7)の核酸において、1若しくは数個の塩基が、置換、欠失、挿入または付加された塩基配列からなり、かつ、vegf-A遺伝子のエキソン1から転写されたRNAに結合可能である核酸

【請求項12】
前記アンチセンスが、配列番号74の配列からなるDNAであり、前記デコイ核酸が、配列番号93の配列からなるDNAである、請求項7記載のp53発現促進剤。

【請求項13】
p53の発現を促進する発現促進剤のスクリーニング方法であって、
下記(A)工程~(C)工程を有することを特徴とするスクリーニング方法。
(A) 候補物質の存在下、配列番号1に示すvegf-A mRNAにおける694番目-714番目の配列からなるp53mRNA結合剤と、配列番号2に示すp53 mRNAにおける462番目-481番目の配列からなるvegf-A RNA結合剤とを接触させる工程
(B) 前記候補物質による、前記p53mRNA結合剤と前記vegf-A RNA結合剤との結合の阻害を検出する工程
(C) 前記p53mRNA結合剤と前記vegf-A RNA結合剤との結合を阻害した候補物質を、p53発現促進剤として選択する工程。
産業区分
  • 薬品
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 権利存続中
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