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円偏光発光の制御方法および円偏光発光材料 新技術説明会

国内特許コード P100000799
掲載日 2010年7月2日
出願番号 特願2009-112574
公開番号 特開2010-260951
登録番号 特許第5360890号
出願日 平成21年5月7日(2009.5.7)
公開日 平成22年11月18日(2010.11.18)
登録日 平成25年9月13日(2013.9.13)
発明者
  • 内藤 昌信
  • 中村 匡志
  • 安井 研一郎
出願人
  • 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
発明の名称 円偏光発光の制御方法および円偏光発光材料 新技術説明会
発明の概要

【課題】円偏光発光材料の官能基およびpHの選択によって円偏光の発光方向を制御する方法、円偏光発光材料のpHを変化させることによって円偏光の発光方向を制御する方法、ポリマー化した円偏光発光材料のpHまたは温度を変化させることによって円偏光の強度を制御する方法、および上記方法に用いることが可能な新規円偏光発光材料を提供する。
【解決手段】本発明にかかる左円偏光を発光させる方法は、所定の芳香族炭化水素誘導体をシクロデキストリンに包接させてなる複合体を含む溶液のpHを、12以下に調整すること、または、所定の芳香族炭化水素誘導体をシクロデキストリンに包接させてなる複合体を含む溶液のpHを、14以上に調整することによって左円偏光を発光させる。
【選択図】図7

従来技術、競合技術の概要


円偏光発光とは、光学活性分子から発せられる右円偏光と左円偏光の発光強度の差分のことである。円偏光発光は、蛍光プローブが存在するキラル環境を調べることで溶液中におけるタンパク質のコンフォメーションを決定する、優れた感度を持つ手法の一つとして発展してきた。最も研究されているのはランタニドやアクチニド錯体などである。例えば、ランタニド錯体を用いた系で円偏光発光を発現させた例として、非特許文献1に記載の発明を挙げることができる。この系は量子収率が非常に高く、かつ1種類の配位子にて数種のランタニドカチオンの円偏光発光を可視領域に発現できたことが評価されている。また円偏光発光は、CDスペクトルが基底状態のキラリティーを観測するように、励起状態のキラリティーを観測するためにも用いられる。



一方、近年、発光材料として円偏光性発光材料を用いる例が出てきており、本質的な円偏光光源の構築が試みられている。例えば、共役高分子を用いた円偏光発光は、安定した薄膜形成能や共役長の変化を利用したセンサーや発光波長の制御などがメリットになると期待されている。この種の円偏光性発光材料として、共役高分子の側鎖にキラルな置換基を導入することで共役高分子にらせん構造を付与し、円偏光発光の機能を発揮させるものが知られている(例えば特許文献1、2)。



また、らせん構造を呈する天然の多糖を用い、これを非共有結合的に共役高分子にコンジュゲートさせて得られる多糖/共役高分子複合体を円偏光発光材料として利用する発明が開示されている(例えば特許文献3)。



さらに、環状糖化合物であるガンマシクロデキストリン内に包接されたピレンからのエキシマー発光が左円偏光発光シグナルを示すことを報告している(非特許文献2)。



円偏光発光材料から発光される偏光を自由に制御することが出来れば、種々の発光デバイスや、センサー、液晶ディスプレイ用デバイス、有機偏光板、多元メモリーデバイスなど多くの分野に有用であると考えられる。円偏光の発光方向を制御する方法としては、ガンマシクロデキストリンを化学的に修飾する方法が知られている(非特許文献3)。

産業上の利用分野


本発明は、円偏光発光の制御方法および円偏光発光材料に関し、具体的には、円偏光発光材料の官能基およびpHの選択によって円偏光の発光方向を制御する方法、円偏光発光材料のpHを変化させることによって円偏光の発光方向を制御する方法、ポリマー化した円偏光発光材料のpHまたは温度を変化させることによって円偏光の強度を制御する方法、および上記方法に用いることが可能な新規円偏光発光材料に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
芳香族炭化水素誘導体をγ‐シクロデキストリンに包接させてなる複合体から左円偏光を発光させる方法であって、
下記(a)の芳香族炭化水素誘導体をγ‐シクロデキストリンに包接させてなる複合体を含む溶液のpHを12以下に調整すること、または、下記(b)の芳香族炭化水素誘導体をγ‐シクロデキストリンに包接させてなる複合体を含む溶液のpHを14以上に調整することによって左円偏光を発光させることを特徴とする方法:
(a)1-ピレンメチルアミン塩酸または1-ピレン酪酸;
(b)1-ピレンカルボン酸または1-ピレンスルホン酸。

【請求項2】
芳香族炭化水素誘導体をγ‐シクロデキストリンに包接させてなる複合体から右円偏光を発光させる方法であって、
下記(a)の芳香族炭化水素誘導体をγ‐シクロデキストリンに包接させてなる複合体を含む溶液のpHを14以上に調整すること、または、下記(b)の芳香族炭化水素誘導体をγ‐シクロデキストリンに包接させてなる複合体を含む溶液のpHを12以下に調整することによって右円偏光を発光させることを特徴とする方法:
(a)1-ピレンメチルアミン塩酸または1-ピレン酪酸;
(b)1-ピレンカルボン酸または1-ピレンスルホン酸。

【請求項3】
下記(c)の芳香族炭化水素誘導体をγ‐シクロデキストリンに包接させてなる複合体から発光される円偏光の発光方向を反転させる方法であって、
上記複合体を含む溶液のpHを12以下の値または14以上の値に調整することによって円偏光の発光方向を反転させることを特徴とする方法:
(c)1-ピレンメチルアミン塩酸、1-ピレン酪酸、1-ピレンカルボン酸または1-ピレンスルホン酸。

【請求項4】
下記ポリマー(d)を含む溶液のpHを7に調整することによって、下記ポリマー(d)から生じる、波長430nm以上490nm以下の円偏光が示す発光スペクトル強度の絶対値を、下記ポリマー(d)を含む溶液のpHが14である場合の上記強度の絶対値よりも増加させ、
下記ポリマー(d)を含む溶液のpHを14に調整することによって、下記ポリマー(d)から生じる、波長430nm以上490nm以下の円偏光が示す発光スペクトル強度の絶対値を、下記ポリマー(d)を含む溶液のpHが7である場合の上記強度の絶対値よりも減少させることを特徴とする、円偏光の強度を制御する方法:
(d)1-ピレン酪酸をγ‐シクロデキストリンに包接させてなる複合体が、ヒドロキシル基またはアミノ基を備えるポリマーを介して複数個結合されてなるポリマー。

【請求項5】
下記ポリマー(e)を含む溶液のpHを7に調整することによって、下記ポリマー(e)から生じる、波長450nm以上550nm以下の円偏光が示す発光スペクトル強度の絶対値を、下記ポリマー(e)を含む溶液のpHが14である場合の上記強度の絶対値よりも増加させ、
下記ポリマー(e)を含む溶液のpHを14に調整することによって、下記ポリマー(e)から生じる、波長450nm以上550nm以下の円偏光が示す発光スペクトル強度の絶対値を、下記ポリマー()を含む溶液のpHが7である場合の上記強度の絶対値よりも減少させることを特徴とする、円偏光の強度を制御する方法:
(e)1-ピレンスルホン酸をγ‐シクロデキストリンに包接させてなる複合体が、ヒドロキシル基またはアミノ基を備えるポリマーを介して複数個結合されてなるポリマー。

【請求項6】
下記ポリマー(f)を含む溶液の温度を5℃から65℃まで増加させることによって、下記ポリマー(f)から生じる、波長450nm以上600nm以下の円偏光が示す蛍光スペクトルの強度を温度依存的に減少させ、
下記ポリマー(f)を含む溶液の温度を65℃から5℃まで減少させることによって、下記ポリマー(f)から生じる、波長450nm以上600nm以下の円偏光が示す蛍光スペクトルの強度を温度依存的に増加させることを特徴とする、円偏光の強度を制御する方法:
(f)芳香族炭化水素誘導体をγ‐シクロデキストリンに包接させてなる複合体を、ヒドロキシル基またはアミノ基を備えるポリマーを介して複数個結合させてなるポリマーであって、上記芳香族炭化水素誘導体は1-ピレンメチルアミン塩酸、1-ピレン酪酸、1-ピレンカルボン酸または1-ピレンスルホン酸である

【請求項7】
1-ピレンメチルアミン塩酸、1-ピレンカルボン酸または1-ピレンスルホン酸γ‐シクロデキストリンに包接させてなる円偏光発光材料。

【請求項8】
請求項に記載の円偏光発光材料を、ヒドロキシル基またはアミノ基を備えるポリマーを介して複数個結合させてなる円偏光発光材料。
産業区分
  • その他無機化学
  • 高分子化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2009112574thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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