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子宮頸癌の検出方法 新技術説明会

国内特許コード P100000874
整理番号 652
掲載日 2010年8月6日
出願番号 特願2009-051447
公開番号 特開2010-203988
登録番号 特許第5526378号
出願日 平成21年3月5日(2009.3.5)
公開日 平成22年9月16日(2010.9.16)
登録日 平成26年4月25日(2014.4.25)
発明者
  • 福島 千加子
  • 村上 明弘
  • 杉野 法広
出願人
  • 国立大学法人山口大学
発明の名称 子宮頸癌の検出方法 新技術説明会
発明の概要 【課題】子宮頸癌を高精度に検出可能で、かつ腫瘍マーカーや創薬ターゲットとして利用可能なバイオマーカータンパク質、これを用いた子宮頸癌の検出方法及び子宮頸癌治療薬のスクリーニング方法を提供する。
【解決手段】生体試料におけるクリスタリン(Crystallin)の発現減弱を検出することを特徴とする、子宮頸癌の検出方法、及びクリスタリンの発現増大を指標とする子宮頸癌治療薬のスクリーニング方法。
【選択図】図3
従来技術、競合技術の概要



子宮頸癌は子宮頸部と呼ばれる子宮の出口に発生する癌で、子宮に発生する「子宮癌」の多くが相当する。子宮頸癌の大半は子宮頸部に生じる扁平上皮癌であり、他に粘液腺癌、粘表皮癌などが知られる。このうち子宮頸部扁平上皮癌については、ヒトパピローマウィルス(HPV)の持続的な感染が原因で引き起こされるものがほとんどで、発症初期にはほとんど自覚症状が無いという特徴を有する。





癌対策においては外科的手術や内科的治療法などが試みられるが、何よりも重要なのは早期に発見し適切な治療法を選択することである。この観点から、従来、子宮頸癌のスクリーニングには子宮頸部細胞診が用いられてきた。これは子宮頸部から採取した細胞に色素染色等を施し、異常な細胞が無いかどうか顕微鏡観察する伝統的な検査法で、癌または前癌病変を検出するには有効な方法であるが、現在わが国における子宮癌検診の受診率が20%程度と先進国中では低く、また若年層(HPVが性交渉により感染するため他の癌に比べ子宮頸癌の発症リスクが高い)の検診率が低迷しているという大きな問題があった。実際、子宮頸癌発症の若年化が指摘され罹患者数の増加も指摘されている(非特許文献1,2)。検診受診率を増加させ早期発見につなげるためには、より受け入れやすいスクリーニング、例えば血液採取による腫瘍マーカーの測定といった手法の開発とその普及が望まれる。





例えば前立腺癌においては、血液から測定可能な腫瘍マーカーとして前立腺特異的抗原(Prostatic pecific antigen=PSA)が発見され、このマーカー検査を導入することで早期癌の発見率を60%以上に引き上げる事につながった。また、前立腺癌の腫瘍マーカーとしてプロテインジスルフィドイソメラーゼ(PDI)が知られている(特許文献1)。子宮頸癌においては、従来使用されている腫瘍マーカーとしてSCCやCYFRAなど数種が知られるが、既に進行した子宮頸癌における治療効果のモニター、或いは子宮頸癌再発の目安として有用ではあるが早期子宮頸癌における陽性率は十分でなく、子宮頸癌の早期発見手段は確立していないのが現状であった(非特許文献3,4)。





また子宮頸癌の治療法として外科的手術或いは放射線療法の他に化学療法が採用されるが、これまでのところ子宮頸癌に対する化学療法の効果は十分でなく、特に進行子宮頸癌や再発子宮頸癌での予後が非常に悪いのが特徴であった(非特許文献5)。近年、各種の癌において分子標的治療薬が登場し、大きく治療法を変えつつある。分子標的治療薬は癌特異的に発現する分子をターゲットとするため、少ない投与量、副作用で効果的に腫瘍の増殖を抑制できると期待されている。この様な薬剤を開発するためには、癌組織/非癌組織における網羅的なタンパク質の発現解析を行い、創薬のターゲットとなる分子を同定することが鍵となる。各種の癌においてプロテオミクス法を用いた癌組織/非癌組織の比較とバイオマーカーの検索は、現在広く行われるようになった手法の一つである。通常は同一個体においてこの様な比較を行い、癌特異的に発現が増加或いは減弱しているタンパク質等を同定することでバイオマーカーの検索を行うという手法である。





しかしながら子宮頸癌では、多くの場合病変が子宮頸部全体を占め、非癌組織が残存していることが少ないという問題がある。また近年、放射線治療例が増加して手術検体を得ることが少なくなり、同一個体におけるプロテオミクス法を用いた比較が困難という問題もあった。この問題を解決するため、Gu Y.らは細胞診を行ったスライドから正常細胞と腫瘍細胞を分離し、それぞれにおけるタンパク質の発現について検討を行っている(非特許文献6)。この手法は同一人由来の検体を用いたという点で評価されるものの、正常及び腫瘍細胞の判別を形態的変化のみで判定しており、生体内での組織としての特徴や腫瘍に対する生体反応を見逃していた。Ono A.ら(非特許文献7)はホルマリン固定されパラフィンに包埋された保存検体を用いたプロテオミクス解析を行っているが、正常組織と癌組織は異なる患者さんから採取されたものであり、また非常に強い前処理を施しているためその影響を無視できないという問題や、腫瘍に対する生体反応が組織固定の過程で流出したり修飾されたりする可能性を排除できないという問題があった。

また子宮癌のマーカーとして、核マトリックスタンパク質、サイトケラチン、Nup358、ラミンAの発現変動(特許文献2)、質量4769±3(m/z)、6254±4(m/z)または11792±6(m/z)のいずれかを有するタンパク質の発現変動(特許文献3)、ヒスタミン放出因子(HRF)タンパク質の発現変動(特許文献4)を利用するものや、HPV-16ゲノムDNAのCpGメチル化を指標とした子宮癌の検出方法(特許文献5)などがこれまでに開示されているが、いずれも十分な効果をあげているとは言えないのが現状であった。

この様に、未だ子宮頸癌においては、有効な腫瘍マーカーとこれを利用した治療薬等のスクリーニング手法が確立していないことから、子宮頸癌を高精度かつ高効率に検出可能なマーカーの開発が望まれていた。

産業上の利用分野



本発明は、女性に特有の癌、詳しくは子宮頸癌、より詳しくは子宮頸部扁平上皮癌の検出方法に関するものであり、具体的には、癌組織と非癌組織で発現しているタンパク質の網羅的な発現解析によって明らかにされた、癌特異的に発現が亢進または減少しているタンパク質からなる子宮頸部扁平上皮癌のマーカー及びこれを用いた癌の検出方法並びに癌治療薬のスクリーニング方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
生体試料におけるクリスタリン(Crystallin)のうち、アルファクリスタリンB鎖の発現減弱を検出することを特徴とする、子宮頸癌の検出方法。

【請求項2】
生体試料におけるアルファクリスタリンB鎖の発現減弱と、トランスジェリン(Transgelin)及び/またはプロテインジスルフィドイソメラーゼ(Protein disulfide isomerase;以下PDIともいう)の発現増大とを検出することを特徴とする、請求項1に記載の子宮頸癌の検出方法。

【請求項3】
アルファクリスタリンB鎖の検出において配列番号1に記載のポリペプチドまたは配列番号1と95%以上の相同性を有するポリペプチドを抗原として得られる抗体を用いる、請求項1または請求項2に記載の子宮頸癌の検出方法。

【請求項4】
トランスジェリンの検出において配列番号2に記載のポリペプチドまたは配列番号2と95%以上の相同性を有するポリペプチドを抗原として得られる抗体、及び/またはPDIの検出において配列番号3に記載のポリペプチドまたは配列番号3と95%以上の相同性を有するポリペプチドを抗原として得られる抗体を用いる、請求項3に記載の子宮頸癌の検出方法。

【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の方法を実施するための、子宮頸癌の検出または診断用キット。

【請求項6】
請求項3または請求項4に記載の抗体を含む、子宮頸癌の検出または診断用キット。

【請求項7】
被検細胞におけるアルファクリスタリンB鎖発現の増大を指標とする、子宮頸癌治療薬のスクリーニング方法。

【請求項8】
被検細胞におけるアルファクリスタリンB鎖発現の増大、トランスジェリン及び/またはプロテインジスルフィドイソメラーゼ(PDI)発現の減弱を指標とする、子宮頸癌治療薬のスクリーニング方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 登録
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