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経口投与用リポソーム製剤およびその製造方法 UPDATE コモンズ

国内特許コード P100000942
掲載日 2010年9月28日
出願番号 特願2009-130375
公開番号 特開2010-275242
登録番号 特許第5638204号
出願日 平成21年5月29日(2009.5.29)
公開日 平成22年12月9日(2010.12.9)
登録日 平成26年10月31日(2014.10.31)
発明者
  • 宮脇 卓也
  • 保田 立二
  • 友安 弓子
出願人
  • 国立大学法人 岡山大学
発明の名称 経口投与用リポソーム製剤およびその製造方法 UPDATE コモンズ
発明の概要 【課題】本発明は、所望のpH感受性および生体に対する安全性を有する経口投与用リポソーム製剤を提供すること、および当該経口投与用リポソーム製剤の簡便かつ安価な製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】脂質で形成された小胞と該小胞内に存在する内水相とを備えたリポソームを含み、当該リポソームの内水相のpHが3以下であり、かつ当該リポソームが酸性で安定な薬物を担持している、経口投与用リポソーム製剤、ならびに、pH3以下である酸性溶液下で、脂質と酸性で安定な薬物とを懸濁することを含む、経口投与用リポソーム製剤の製造方法による。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


薬物の投与経路には、経口投与、皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射、直腸内投与、吸入など様々な経路がある。薬物を投与される患者にとって、乳児から高齢者に至るまで最も受け入れやすい投与経路は、経口投与である。経口投与は、侵襲が極めて小さく、比較的容易に投与することができ、自己管理あるいは家族が管理できることから、入院の必要もなく、医療経済上および医療安全上、最も有用な薬物投与経路であるといえる。



経口投与用製剤の開発において、薬物の吸収、効果、持続時間などの薬物動態の向上を検討したものが多数なされている。経口投与の際、患者が最初に行うのは薬物を飲む行為であり、これが患者にとっての最初の障壁になりうる。薬物を飲む際の障壁としては、剤形や味が挙げられるが、特に低年齢の子供などにとっては、薬物に苦味や酸味などの不快な味は、当該薬物の経口摂取の非常に高いハードルになり、臨床的には決して無視できるものではない。



不快な味を回避する方法(マスキング法)として、一般的には糖衣錠剤やカプセルなどの固形剤形を適用したり、糖類、合成甘味料、アミノ酸、酸味剤、香料などを添加することが行われてきた。最近では高分子ポリマー、リポソーム、リピッドスフェアなどの微小なキャリアーで薬物を包み込むことによって、様々な飲食物に混合して経口投与し、苦味や酸味などの不快な味によるデメリットを解消する試みがなされている(田畑泰彦編:遺伝子医学MOOK別冊:絵で見てわかるナノDDS-マテリアルから見た治療・診断・予後・予防、ヘルスケア技術の最先端-、株式会社メディカルドゥ、大阪市、2007)。



微小なキャリアーとしてポリマーにより薬物をコーティングする方法が開発されている(特許文献1)。ポリマーは、多彩な機能を付与することができることから有用である。しかしながら、体内への吸収性があったとしても、あるいは非吸収性であったとしても、合成化合物としての生体の健康への影響を無視することができない。生体に対する有害性については、一般的な致死的毒性を研究するだけでなく、発癌性、生殖発生毒性、神経毒性、免疫毒性、遺伝毒性などの、遅発性の毒性については長期間の暴露研究が必要である。生体への安全性が確保されている薬物キャリアーとして、リポソームが近年研究されている。



リポソームは生体膜の構成成分であることから、安全性が十分担保されており、臨床応用のハードルが低いことが特徴である。経口投与を目的としたリポソームの応用として、胃酸や消化管内の種々の酵素によって分解あるいは不活化されてしまう生理活性物質を封入し、消化管内での安定性を高め、バイオアベイラビリティーを増加させる、リポソーム含有経口摂取用組成物が開示されている(特許文献2)。



またpH感受性が付与されたリポソームが開示されている(非特許文献1、特許文献3)。pH感受性が付与されたリポソームは、標的に到達した後に、環境に応じてリポソームから薬物が速やかに放出される、標的指向性を有する。かかるpH感受性リポソームは、リポソームの脂質二重膜の構成成分にpH感受性ポリマー、pH感受性脂質、膜融合性蛋白などが加えられたものである。しかし、脂質二重膜の修飾には複雑な製造過程が必要な場合が多い。また、脂質膜の構成にポリマーなどの合成化合物やタンパク質を組み込んだ場合、有害な作用を惹起する可能性がありリポソームの安全性を損なう可能性がある。

産業上の利用分野


本発明は、リポソームの内水相のpHが3以下であり、かつ当該リポソームが酸性で安定な薬物を担持している、経口投与用リポソーム製剤、および、当該経口投与用リポソーム製剤の製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
脂質で形成された小胞と該小胞内に存在する内水相とを備えたリポソームを含み、当該リポソームが、pH3以下である酸性溶液下で、ホスファチジルコリンまたはその水素添加物、ホスファチジン酸またはその水素添加物、およびコレステロールを含む脂質と、酸性で安定な薬物とを懸濁することにより作製されたものであり、ホスファチジン酸またはその水素添加物が、ホスファチジルコリンまたはその水素添加物100molに対して10mol以上20mol以下含まれており、当該リポソームの内水相のpHが3以下であり、かつ当該リポソームが酸性で安定な薬物を担持しており、当該リポソームが、pH7以上8以下の環境下では薬物を担持し、pHが3以下の環境下では薬物を放出する機能を有する、経口投与用リポソーム製剤。

【請求項2】
内水相のpHが-1以上である、請求項1に記載の経口投与用リポソーム製剤。

【請求項3】
酸性で安定な薬物が、向精神薬である、請求項1または2に記載の経口投与用リポソーム薬剤。

【請求項4】
向精神薬が、催眠鎮静薬である、請求項3に記載の経口投与用リポソーム製剤。

【請求項5】
小胞の外膜表面が合成化合物による修飾を有するものでない、請求項1~4のいずれか1に記載の経口投与用リポソーム製剤。

【請求項6】
酸性で安定な薬物がミダゾラムである、請求項1~5のいずれか1に記載の経口投与用リポソーム製剤からなる経口投与用鎮静剤。

【請求項7】
pH3以下である酸性溶液下で、ホスファチジルコリンまたはその水素添加物、ホスファチジン酸またはその水素添加物、およびコレステロールを含む脂質と、酸性で安定な薬物とを懸濁することにより、リポソームを作製することを含み、ホスファチジン酸またはその水素添加物が、ホスファチジルコリンまたはその水素添加物100molに対して10mol以上20mol以下含まれており、当該リポソームの内水相のpHが3以下であり、かつ当該リポソームが酸性で安定な薬物を担持しており、当該リポソームが、pH7以上8以下の環境下では薬物を担持し、pHが3以下の環境下では薬物を放出する機能を有する、経口投与用リポソーム製剤の製造方法。

【請求項8】
酸性溶液のpHが-1以上である、請求項7に記載の製造方法。

【請求項9】
酸性溶液が塩酸を含む、請求項7または8に記載の製造方法。

【請求項10】
(1)脂質と薬物の溶解液を準備する工程、
(2)溶解液から溶媒を除去することにより脂質の薄膜を作製する工程、
(3)酸性溶液を添加して懸濁する工程
を含む、請求項7~9のいずれか1に記載の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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