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栄養成長特異的プロモーターおよびそれにより得られた遺伝子組換え植物

国内特許コード P100000992
掲載日 2010年9月30日
出願番号 特願2002-576690
登録番号 特許第3890410号
出願日 平成13年3月27日(2001.3.27)
登録日 平成18年12月15日(2006.12.15)
国際出願番号 JP2001002512
国際公開番号 WO2002077248
国際出願日 平成13年3月27日(2001.3.27)
国際公開日 平成14年10月3日(2002.10.3)
発明者
  • 田中 宥司
  • 番 保徳
  • 萱野 暁明
  • 松岡 信
  • 坂本 知昭
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 栄養成長特異的プロモーターおよびそれにより得られた遺伝子組換え植物
発明の概要 栄養生長組織(特に、茎および/または葉)において異種遺伝子を特異的に発現させるためのプロモーター活性を有するDNAが提供される。本DNAは、配列番号1で示される配列、またはその一部を有する配列であって配列番号1の配列と同等のプロモーター活性を有する、イネOsGA3ox2遺伝子プロモーターである。このプロモーターと発現可能に接続された異種遺伝子を含む発現ベクターもまた提供される。本発現ベクターにより形質転換された植物細胞、この植物細胞により再生された植物体、この植物体の子孫および伝播体、ならびに子孫により得られる種子もまた、提供される。発現ベクターを用いて異種遺伝子を植物に導入する方法もまた提供される。
従来技術、競合技術の概要


草型の人為的改変、特に、伸長生長の抑制によって引き起こされる矮性は、作物育種において極めて重要な目標とされている。矮性は、正常な伸長生長の調節に関わる遺伝子に突然変異が生じた結果もたらされる生長異常である。植物の伸長生長は、細胞分裂と細胞伸長の積み重ねによってもたらされるが、それらは、温度、光などの外的環境要因、および植物ホルモンなどの内的環境要因のような様々な因子による複合的な影響によって調節されている。したがって、矮性に関わる遺伝子には、植物ホルモンの合成やその受容に直接関わるもの、それらの発現調節に関わるものなど様々な種類があることが予測される。なかでも、ジベレリンの生合成経路における異常が、矮性化の原因の1つとしてよく知られている。
高等植物におけるジベレリン生合成は3つの段階に分けられ、それぞれプラスチド、小胞体膜、細胞質に存在する酵素により触媒される。GA12アルデヒド以降の第三段階では、早期13位水酸化酵素と非水酸化酵素の2つの経路が存在する。両経路とも、ジベレリンは3位の炭素が3β水酸化酵素により水酸化されることによって生理的に活性化し、引き続き2位の炭素が2β水酸化酵素により水酸化されることによって不活性化される。
イネにおいて、3β水酸化酵素遺伝子は、少なくとも2種類(OsGA3ox1およびOsGA3ox2)存在することが明らかになっている。そのうちの1つであるOsGA3ox2は、イネ矮性遺伝子として古くから知られるD18(dy)遺伝子座に対応することが示されている。他方、イネの2β水酸化酵素遺伝子OsGA2ox1は、2-オキソグルタル酸依存性酵素遺伝子群に属する新規遺伝子として単離された。ジベレリンの活性型と不活性型との変換に直接的に関わるこれらの酵素の発現を調節することにより、植物の伸長生長を抑制する試みがなされてきた(化学と生物、第38巻、2000年、131~139頁)。この試みの1つにおいて、形質転換植物体内で2β水酸化酵素遺伝子の発現量を調節することにより、内生の活性型ジベレリン含量を変え、その結果として、所望の草丈の形質転換植物を得ようとする試みがなされた。しかし、従来の構成性プロモーターであるアクチンプロモーターを使用してOsGA2ox1を植物体全体に強制発現させる場合、茎および葉に加えて、生殖器官においてジベレリンが常に代謝されてしまうため、極矮性を示すほどに内生ジベレリン含量が激減した形質転換体では、多量のジベレリンを必要とする生殖器官の正常な発育も妨げられてしまう。従って、2β水酸化酵素遺伝子の過剰発現により矮性形質転換植物を開発する場合、栄養生長組織において特異的に働くプロモーターを利用して、生殖器官への影響を抑えることが必要である。
タバコにおいて、3β水酸化酵素をコードする遺伝子(Nty遺伝子)について、植物における発現組織の局在が調べられた(Plant Journal(1999)20(1),15-24)を参照のこと)。この研究では、Nty遺伝子のプロモーター領域をGUS遺伝子に連結させ、植物体中の種々の組織における発現の様子を観察した。この結果、Nty遺伝子のプロモーター領域に連結されたGUS遺伝子は、栄養生長組織を含む、ジベレリン作用が生じている部位に制限されていた。本研究は、3β水酸化酵素をコードする遺伝子の発現とジベレリン作用との関連を見出したに過ぎない。よって、実用的に用いられ得る栄養組織特異的プロモーターは、未だ見出されていない。
従って、イネの遺伝子から、活性が高く、実用的にも使用され得る栄養生長組織発現のためのプロモーターが取得できれば、イネ等の作物を含む有用植物の品種改良に大いに貢献できる。

産業上の利用分野


本願発明は、植物遺伝子のプロモーターを用いる、有用植物の育種に関する。さらに詳しくは、イネの3β水酸化酵素2遺伝子(以下、OsGA3ox2という)のプロモーター遺伝子を用いる有用植物の育種に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
植物において異種遺伝子を強力に発現させるためのプロモーター活性を有する核酸分子であって:
i)配列番号1で示される配列、またはその一部を有する配列であって、配列番号1の配列と同等のプロモーター活性を有する、核酸分子、あるいは
ii)該配列番号1で示される配列、またはその一部を有する配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子

【請求項2】
前記プロモーターが、前記異種遺伝子の発現を、植物の生長分裂組織において特異的に促進する、請求項1に記載の核酸分子

【請求項3】
請求項1に記載の核酸分子、および該核酸分子と発現可能に接続された異種遺伝子を含む、発現ベクター。

【請求項4】
前記異種遺伝子が、2β水酸化酵素をコードする遺伝子である、請求項に記載の発現ベクター。

【請求項5】
請求項に記載の発現ベクターにより形質転換された植物細胞。

【請求項6】
前記植物細胞が単子葉植物細胞である、請求項に記載の植物細胞。

【請求項7】
前記植物細胞が双子葉植物細胞である、請求項に記載の植物細胞。

【請求項8】
請求項に記載の植物細胞により再生された植物体。

【請求項9】
請求項に記載の植物体の子孫。

【請求項10】
請求項に記載の植物体の花粉

【請求項11】
請求項に記載の子孫により得られる種子。

【請求項12】
植物の栄養生長組織における特異的な発現が所望される異種遺伝子を植物に導入する方法であって:
請求項に記載の発現ベクターで植物細胞を形質転換する工程;および
該形質転換された植物細胞を再分化させて、植物体を得る工程、
を包含する、方法。

【請求項13】
前記異種遺伝子が、茎および/または葉の伸長を抑制する機能を持つ、請求項12に記載の方法。

【請求項14】
前記植物細胞が単子葉植物細胞である、請求項12に記載の方法。

【請求項15】
前記植物細胞が双子葉植物細胞である、請求項12に記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2002576690thum.jpg
出願権利状態 登録


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