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ヨーネ病の検査方法

国内特許コード P100001010
掲載日 2010年10月1日
出願番号 特願2005-509040
登録番号 特許第4359684号
出願日 平成15年9月17日(2003.9.17)
登録日 平成21年8月21日(2009.8.21)
国際出願番号 JP2003011845
国際公開番号 WO2005029079
国際出願日 平成15年9月17日(2003.9.17)
国際公開日 平成17年3月31日(2005.3.31)
発明者
  • 百溪 英一
  • 森 康行
  • 彦野 弘一
  • ブザ ジョラム ジョセファット
出願人
  • 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 ヨーネ病の検査方法
発明の概要

本発明は、ヨーネ菌感染動物を、特異抗体上昇以前の不顕性感染時期において高感度に診断することができ、しかも多検体処理も可能なヨーネ病の診断方法を提供する。本発明によって、被検動物の血液を採取し、採取された該血液に抗IL-10抗体とヨーネ菌抗原を添加して培養し、培養後の血液中のIFNγ産生量を測定することを特徴とするヨーネ病の診断方法、血液中のIFNγ産生量をIFNγELISA法により測定することを特徴とする前記のヨーネ病の診断方法、並びに、被検動物の血液を採取し、採取された該血液に抗IL-10抗体と抗酸菌抗原を添加して培養し、培養後の血液中のIFNア産生量を測定することを特徴とする抗酸菌病の診断方法が提供される。

従来技術、競合技術の概要

ヨーネ病は、抗酸菌の一種であるヨーネ菌(Mycobacterium avium subsp.Paratuberculosis)に由来し、主に牛、山羊、めん羊、水牛等の反芻動物が感染する慢性肉芽腫性下痢性伝染病である。わが国の牛群におけるヨーネ病汚染は、1980年以降その発生頭数、発生地ともに拡大傾向にある。特に、発生頭数については、1990年代からは100~200頭/年レベルで推移しながら増加し、2000年には800頭を超えた。
第1図は、ヨーネ病の感染経過(感染から発症まで)と免疫応答性の推移を示す図である。ヨーネ病は、出生後早期に経口的にヨーネ菌に感染することで成立するが、感染経過は未だ不明の部分が多い上に、個体レベルでの差異が他の疾病に類を見ないほど大きい。
感染後、発症(下痢などの臨床的兆候が見られる)までの間の不顕性感染期は、一般に2~5年以上であり、時には10数年以上の個体や、一生発症しない個体もある。この点で、ヨーネ病は「超慢性感染症」と言うことができる。
ELISA法は、ヨーネ菌に対する特異抗体を検出することによる診断方法であり、簡便なことから世界中に普及している方法である(百渓英一「牛のヨーネ病診断の最新情報」臨床獣医、第16巻、9号、1998年、24-31頁参照)。しかし、この方法は、発症牛や抗体上昇後の感染動物のみ診断できるが特異抗体上昇以前の不顕性感染動物は診断できない点で、不十分なものであった。しかしながらこのELISA法がヨーネ病診断のスタンダードとして普及する結果、ELISA陽性牛は減少しつつも、ELISA法では診断できない不顕性感染動物が相対的に増え、診断はますます困難な状況になりつつある。
一方、ヨーネ菌感染動物の細胞性免疫は、第1図に示すように、感染初期に誘導されるが、その後次第に低下する。このような細胞性免疫を診断する方法としては、ヨーニン反応及びインターフェロンγ(IFNγ)ELISA法がある。
ヨーニン反応(ヨーニン皮内反応)は、ヨーネ菌に対する宿主の細胞性免疫応答を検出する診断方法であり、結核感染におけるツベルクリン反応と同様の皮内反応である。即ち、ヨーネ菌の培養上清(ヨーネ菌PPD、ヨーニンPPD)を尾根部皮内に注射後に再度注射部位の発赤や腫脹を観察し計測して診断する。古くから用いられてきた方法であり、我が国でも家畜伝染病予防法においてはヨーネ病の診断方法としてこの方法が採用されている。
しかし、ヨーニン反応は、診断のために農場に2回出向く必要がある上に、頭数が多い場合には更に手間と時間がかるため、多検体処理には不向きである。従って、世界的にはヨーニン反応よりもELISA法による特異抗体の検出がより広く実施される傾向にある。
一方、IFNγELISA法は、ヨーネ菌に対する細胞性免疫応答を利用して、IFNγの産生量をインビトロで検出する方法である(Billman-Jacobe H,Carrigan M,Cockram F,Corner LA,Gill IJ,Hill JF,Jessep T,Milner AR,Wood PR,1992.A comparison of the interferon gamma assay with the absorbed ELISA for the diagnosis of Johne’s disease in cattle.Aust Vet J.69:25-28参照)。サイトカインの一種であるIFNγは、ヨーネ菌に感染した不顕性感染牛及び発症牛の末梢血をヨーネ菌抗原で刺激すると、不顕性感染牛により多量に産生されることから、IFNγの産生量が不顕性感染牛の診断に有効であることが明らかにされ(Stabel JR,1996.Production of gamma-interferon by peripheral blood mononuclear cells:an important diagnostic tool for detection of subclinical paratuberculosis.J Vet Diagn Invest.8:345-350参照)、本方法が1990年代に登場した。
IFNγELISA法は、同様に細胞性免疫応答を利用したヨーニン反応に比べて高感度にヨーネ病の感染の診断が可能であるが、細胞性免疫が次第に低下するに従って感度が低下し、検出できない。また、感染時期や病変内のヨーネ菌増殖の度合い等、種々の要因によっても感度が低くなり、診断方法としての問題点が残されている。
また、ヨーネ菌抗原を認識したTリンパ球が、再度の抗原暴露の時に反応して、細胞増殖を起こす現象(リンパ球幼弱化反応、リンパ球増殖反応)を指標とした診断法(Kreeger JM,Snider TG 3rd.,1992.Measurement of lymphoblast proliferative capacity of stimulated blood mononuclear cells from cattle with chronic paratuberculosis.Am J Vet Res.53:392-395参照)も検討されてきたが、リンパ球増殖に放射性同位元素を利用するなどの条件があることから、野外での応用に適しておらず実用的ではなかった。
このように、ヨーネ菌の感染経過においては、上述のように不顕性感染期が長い上に、不顕性感染期中において更に細胞性免疫及び特異抗体検出のいずれの診断方法によっても診断できない免疫学的診断困難期が存在し、しかも、その期間も個体レベルでの差が大きく、3~5年と長いため、国内防疫や輸入検疫で感染動物を効率良く発見することができず、ヨーネ病の清浄化を困難にさせている。
不顕性感染期の感染動物においては、一定の病変が存続し、不規則であるが、糞便中に排菌されるため、これが汚染源となり感染を拡大させる原因となる。特に、診断困難な免疫学的診断困難期においては防疫上極めて問題となる。
この不規則な排菌を利用した診断方法として、糞便中に排菌されたヨーネ菌を分離して同定する診断方法が挙げられる。
しかし、この方法は、ヨーネ菌を診断に必要な量まで培養するのに数か月を費やさなければならないため、早期診断が難しく、培養中にもキャリアー牛から排菌がなされ感染が拡大する問題がある。また、排菌は不規則であり、持続的に起こらないため、診断を免れる感染個体も存在するという問題もあった。
ヨーネ菌の培養に時間がかかるのは、ヨーネ菌が非定型抗酸菌III群に属し、通常、マイコバクチンを添加した培地上のみで増殖する特殊栄養要求性の細菌であって、目に見えるコロニー形成には7~11週も要する超遅発育性の細菌であるためである。
近年、ヨーネ菌のDNAに含まれる特異的挿入配列IS900を、ポリメラーゼチェーンリアクション(Polymerase chain reaction:PCR)により検出することにより糞便中のヨーネ菌の有無を早期診断できる方法が提案された。
しかし、排菌は持続的に起こらないため、診断できない個体の存在や、汚染牧場においては環境中の菌が経口的に飲みこまれそのまま糞便中に排菌される「通過菌」の可能性などから、確実な診断に至らなかった。そのため、宿主がヨーネ菌に「感染」した証を示す免疫学的診断法が必要とされていた。
このように、ヨーネ病は、診断困難期が長く、免疫学的特性に起因して、従来普及しているヨーネ病の診断方法は、いずれも感染時期等が限定され確実性に欠ける状況にある。従って、ヨーネ病の感染動物、とりわけキャリアー動物は依然として多数存在し、世界的に本病が蔓延し、清浄化が困難な状況となっている。
このため、家畜衛生、公衆衛生、畜産経営の立場から、ヨーネ病を予防するとともに、感染早期における清浄化の実現が急務とされており、特に免疫学的診断困難期の感染動物の診断も可能なヨーネ病の診断技術が待たれていた。
一方、このようなヨーネ病の感染に起因する直接の被害とともに、因果関係は明確にされてはいないが、近年、ヒトのクローン病(厚生省指定難病)の原因としてヨーネ菌の関与の可能性がクローズアップされてきている(Collins MT、Mycobacterium paratuberculosis:a potential food-borne pathogen? J Dairy Sci 80:3445-8(1997);Engstrand L,Mycobacterium paratuberculosis and Crohn’s disease.Scand J Infect Dis Suppl 98:27-9、1995及び百渓英一「ヨーネ病と人間のクローン病の関係について-総説-」臨床獣医、第19巻、7号(別冊)、2001年)。
このため、ヨーネ病とヒトのクローン病との関係を明らかにするため、ヒトのヨーネ菌感染をも診断することができる診断技術が求められている。
本発明は、ヨーネ菌感染動物を、特異抗体上昇以前の潜伏期間において高感度に診断することができ、しかも多検体処理も可能なヨーネ病の診断方法の提供を目的とする。

産業上の利用分野

本発明は、ヨーネ病の診断方法に関し、詳しくは、ヨーネ菌感染動物を、特異抗体上昇以前の感染経過において高感度に診断することができ、しかも多検体処理も可能なヨーネ病の診断方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】 被検動物から採取された血液に抗インターロイキン10(IL-10)抗体とヨーネ菌抗原を添加して培養し、培養後の血液中のインターフェロンγ(IFNγ)産生量を測定することを特徴とするヨーネ病の検査方法。
【請求項2】 血液中のIFNγ産生量をIFNγELISA法により測定することを特徴とする請求項1記載のヨーネ病の検査方法。
【請求項3】 被検動物から採取された血液に抗インターロイキン10(IL-10)抗体と抗酸菌抗原を添加して培養し、培養後の血液中のインターフェロンγ(IFNγ)産生量を測定することを特徴とする抗酸菌病の検査方法。
産業区分
  • 治療衛生
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
画像

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JP2005509040thum.jpg
出願権利状態 権利存続中


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