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ダイゼイン資化によるエコール生成能を改善するための腸内細菌およびその利用

国内特許コード P100001023
掲載日 2010年10月1日
出願番号 特願2005-376653
公開番号 特開2006-204296
登録番号 特許第4811760号
出願日 平成17年12月27日(2005.12.27)
公開日 平成18年8月10日(2006.8.10)
登録日 平成23年9月2日(2011.9.2)
優先権データ
  • 特願2004-377891 (2004.12.27) JP
発明者
  • 田村 基
出願人
  • 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 ダイゼイン資化によるエコール生成能を改善するための腸内細菌およびその利用
発明の概要

【課題】本発明は、腸内でダイゼインを資化してエコールを生産するもしくは腸内細菌叢全体のエコール生産を向上させる能力を有する腸内細菌を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、ダイゼインを資化してエコールを生産する能力を有する、ヒトの腸内細菌(特に、Slackia属菌TM-30)および、腸内細菌叢全体のダイゼインを資化してエコールを生産をする能力を効果的に向上させる能力有する腸内細菌(Bifidobacterium adolescentis、Bifidobacterium breve)およびそれらの利用方法を提供する。エコール生産能を向上させるための方法であって、本発明の腸内細菌または組成物を、処置が必要とされる被験体に投与する工程を包含する方法もまた提供される。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


特許文献1(国際公開WO99/07392号)にはダイゼインを資化してエコールを
生産する微生物であるBacteiroides FERM BP-6435、Streptococcus FERM BP-6436およびStreptococcus FERM BP-6437を必須成分として含有するダイゼイン含有物が記載されている。



しかし、これらの微生物は、いずれもプロバイオテイクスとしての使用例の少ない菌種である。プロバイオテイクスとは、消化管内の細菌叢を改善し、宿主に有益な作用をもたらしうる有用な微生物と、それらの増殖促進物質に関する能力をいい、最近注目されている能力である。これまでのところ、プロバイオテイクスとして使用されているのは、BifidobacteriumおよびLactobacillusなどしかない。



大豆食品の心臓血管疾患予防効果[非特許文献1=J.Nutr.128巻、1589-1592頁(1998)]、乳癌、前立腺癌などの特定の癌の予防効果[非特許文献2=Nutr Cancer、21、113-131(1994)]が示唆されている。イソフラボンは、大豆に含まれる機能性成分であり、ダイゼインはイソフラボンの主要な成分の一つである。このダイゼインは、腸内細菌の作用によって抗酸化性およびエストロゲン作用の強いエコールに資化され得ることが報告されている[非特許文献3=Food Chem.Toxicol.,41巻,631-636頁(2003)]。しかし、従来、このような特定の腸内細菌を単離してくる方法は報告されていない。



ところが、最近、ボランティア試験において、イソフラボンを含有する大豆食品を摂取した人の血漿コレステロールおよび血漿トリグリセリド低下効果が顕著であったのは、エコール生産能が高い人であったということが報告されている[非特許文献4=Ann.Nutr.Metab,48巻、67-78頁(2004)]。また、乳癌リスクの低さと尿中へのエコール排泄量の高さとの間に相関があるという報告[非特許文献5=Lancet,350巻、990-994頁(1997)]や、男性の前立腺癌は、エコール生産能が高い人では少ないことが報告されていて[非特許文献6=Jpn.J.Clin.Oncol.32巻、296-300頁(2002)]、イソフラボンの心疾患予防効果や乳癌、前立腺癌予防には、エコールが重要な役割を担っていることが推察されている。



非特許文献7[Journal of Food Science 67巻,3104-3113頁(2002)]および非特許文献8[Journal of Food Science 68巻,623-631頁(2002)]には、Bifidobacteriumを用いてイソフラボン類を生物変換する方法が記載されている。しかし、この文献で開示された細菌は、ヒトの糞便に添加した場合のエコール生産におよぼす効果については報告されておらず、エコール生産能向上効果については、全く言及しておらず、エコール生産能向上効果については、ないといえる。また同定した微生物のプロバイオテイクスとしての利用については何ら言及されていない。



本発明者は、非特許文献9~11[Nutr.Res.22巻、705-513頁(2002);J.Nutr.Sci.Vitaminol.48巻,225-229頁(2002);Microb.Ecol Health.Dis 16巻、18-22頁(2004)]において、エコールが動物の健康状態に与える影響を試験し、実際にエコール生産能を高めることによって、健康状態が改善したことを報告している。しかし、ヒト由来の腸内細菌であって、実際にヒトの腸内細菌叢におけるダイゼインからエコールヘの資化能力を向上作用を有するものは全く報告されていない。そのような腸内細菌は、エコール生産能向上効果を有する微生物として有用であるので、当該分野において必要性が未だに存在する。

【特許文献1】国際公開WO99/07392号パンフレット

【非特許文献1】J.Nutr.128巻、1589-1592頁(1998)

【非特許文献2】Nutr Cancer、21、113-131(1994)

【非特許文献3】Food Chem.Toxicol.,41巻,631-636頁(2003)

【非特許文献4】Ann.Nutr.Metab,48巻、67-78頁(2004)

【非特許文献5】Lancet,350巻、990-994頁(1997)

【非特許文献6】Jpn.J.Clin.Oncol.32巻、296-300頁(2002)

【非特許文献7】Journal of Food Science 67巻,3104-3113頁(2002)

【非特許文献8】Journal of Food Science 68巻,623-631頁(2002)

【非特許文献9】Nutr.Res.22巻、705-513頁(2002)

【非特許文献10】J.Nutr.Sci.Vitaminol.48巻,225-229頁(2002)

【非特許文献11】Microb.Ecol Health.Dis 16巻、18-22頁(2004)

産業上の利用分野


本発明は、ダイゼインを資化してエコールを生産するダイゼイン資化能を有する腸内細菌と菌種特異的プライマーもしくは、ヒトの腸内細菌叢のダイゼインを資化してエコールを生産する能力を向上させる腸内細菌およびその利用に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
ダイゼインを資化してエコールを生産するダイゼイン資化能を有する、ヒトの腸内細菌であって、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターにおいて、受託番号FERM P-20729号(受託日平成17年12月2日)として寄託されたSlackia sp.TM-30株である、腸内細菌

【請求項2】
請求項1に記載の腸内細菌と、他の腸内細菌との組み合わせ。

【請求項3】
エコール生産能を向上させるための、請求項1記載の腸内細菌または請求項に記載の組み合わせを含む組成物。

【請求項4】
食品または医薬である、請求項に記載の組成物。

【請求項5】
さらに他の有効成分を含む、請求項に記載の組成物。

【請求項6】
前記腸内細菌は、液体中に溶解して提供される、請求項に記載の組成物。

【請求項7】
前記腸内細菌は、固形状で提供される、請求項に記載の組成物。

【請求項8】
前記腸内細菌は、凍結乾燥されて提供される、請求項に記載の組成物。

【請求項9】
前記腸内細菌を胃液から保護する成分をさらに含む、請求項に記載の組成物

【請求項10】
非ヒト被験体におけるエコール生産能を向上させるための方法であって、請求項1記載の腸内細菌、請求項に記載の組み合わせまたは請求項のいずれか1項に記載の組成物を、処置が必要とされる非ヒト被験体に投与する工程を包含する、方法。

【請求項11】
エコールを含むもしくはエコール生産性を向上させる医薬を製造するための方法であって、請求項1記載の腸内細菌または請求項に記載の組み合わせと、ダイゼインとを混合する工程、および混合された混合物を該腸内細菌が資化する条件下でインキュベートする工程を包含する、方法。

【請求項12】
請求項1記載の腸内細菌または請求項に記載の組み合わせと、ダイゼインとを混合する工程、および混合された混合物を該腸内細菌が資化する条件下でインキュベートする工程を包含する方法によって生産された、組成物。

【請求項13】
エコールを含む医薬を製造するための、請求項1記載の腸内細菌、たは請求項に記載の組み合わせの使用。

【請求項14】
エコール生産能を向上させるための医薬を生産するための、請求項1記載の腸内細菌、たは請求項に記載の組み合わせの使用。
産業区分
  • 微生物工業
  • 食品
  • 高分子化合物
  • 薬品
  • 薬品
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中


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